天下分け目の超決戦?5
作:暇人(八坂 響)






 ――がッ。がす、ドッ!
 聞いている方がいたくなるような痛くなるような音を響かせて、二人の女子高生が肉弾戦を繰り広げている。
 ほたるがワープし、紫色に輝く拳を叩きつけ、空を自在に舞い、遠距離からいきなりダブルニープレスと、まさしく変幻自在に相応しい戦いを展開していた。
 しかしそれを捌き続ける鷹乃の技量も並大抵のものではない。ほとんどその立ち位置を変えず払い、受け、流し、相手の細かい隙に的確なコンビネーションを叩き込む。少し防御させただけでかわされてしまうのだが、守りから攻めへの急激な変化は鮮やかの一言に尽きる。
 しかしお互いがお互いの奥の手を知っている故に、なかなか勝負へ出れずにいた。ヘタに大技を捌かれようモノならほたるは敗北確定。逆に鷹乃のカウンターをアンチカウンターで返せれば、ほたるの勝利が一気に決まる。危ういところで均衡を保ったまま勝負を展開して行く二人は、やがて互いの拳を弾き合って、飛び退るように離れてから仕切り直しに入った。
 ファイティングポ−ズをとって対峙する二人は、方や拳を胸元で軽く回転させるイギリス系の古式拳闘術、もう一方は合気道と拳打からなる柔系古武術。互いにサイコパワーと暗黒の閃光を操り、手数の多さならほたる、後の先取りなら鷹乃に軍配が上がる。
 ――要は五分五分なのだ。ほたるが虚実取り混ぜたパワーのある攻撃で果敢に攻め入れば、鷹乃はその一発一発を丁寧に捌いていく。たまに反撃や当身に出る事もあるが、そこはハイリスク・ハイリターンの原理そのままに、結局両者の力は全て拮抗していた。
 先に勝負へ出たのはほたるだった。
「サイコクラッシャーッ!」
 もはやおなじみの飛行突進技。それに反応した鷹乃は、その右手を悠然と上段に構えた。しかし――当身の手応えがなかった。
 ほたるのサイコクラッシャーは弱技だったのだ。それ故、飛行距離が極端に短い。構えが早すぎた鷹乃は、ほたるの前に致命的な隙を晒している事になる。
「ハッハァッ!」
 そこにすかさず連続ダブルニープレスが襲いかかる。
「ヌゥんッ!……甘い!」
 頭から踵を入れられた挙句、散々に踏み潰されまくって吹き飛ばされた。壁に叩きつけられる鷹乃。これを勝機と見て取ったか、ほたるがダッシュで駆け寄り、ケリを着けにかかった。
 ――が。
 ――ドゴォッ!
 とても銃声とは思えない強烈な咆哮。高速で空気を裂いて飛び来る鋼の矢は、寸分の狙い違わずほたるに牙を剥いた。
「―――!?」
 振り返り、サイコパワーを纏った左手の手刀で銃弾を叩き落す。いや、一発だけ落とし損ねた。もろに腹部へ命中する。ほたるはインパクトに耐えきれず仰け反った。50口径マグナム喰らってのけぞるだけだというのだから、格ゲーとはどこまでも恐ろしいモノである。
 そんなほたるの隙へ、今度は鷹乃が攻勢に出た。密着状態で、重みのあるショートストロークの重ね掌打を打ち込み――
「邪影拳ッ!」
 左の肘、返した右の逆手掌打、最後に閃光を纏った重ねの掌打を再び叩き込む。
「ガッ……ば、バカな……!」
 空を舞うほたるの肢体。その先に見えた、ハンドキャノンの異名を取る自動拳銃を前に、鷹乃は声を引き絞って叫んだ。
「烈風ケェ〜ン!」
「イチイチ技の名前叫んでりゃいいってモンじゃねェだろがこのキ印ヤロォ!」
 蒼い気塊と数発のマグナム弾が違いにぶつかり合って、消滅した。やがて暗がりから、デザートイーグル片手に姿を現したのは、巴とサシで決闘していたはずの希=伸二だ。
 彼女――イチイチ断わるのが面倒になってきたので割愛――はさらに後ろポケットからさらにゴツい銃をとりだした。M1100ショットガン・ライブシェルタイプ。デザートイーグルを左手に持ち替え、利き手の右で全長1mオーヴァー、総重量3kg近いショットガンを構える。そのリコイルはハンドキャノンの比ではないはずだ。ただでさえ平均以下の体格しかない希がこれを携えている姿は、もう不自然や非常識を通り越していっそ滑稽だった。いや、そもそもそんな物が後ろポケットに入っていた事を突っ込むべきだろうか。
 烈風拳しか撃って来ない鷹乃はデザートイーグルで牽制し、復活したほたるにM1100を向ける。
「銃なんか効かないんだから!」
「うるせェ死ねゴルァ!」
 ガァァッ!
 ダッシュで突っ込んできたほたるに対し、問答無用で散弾をぶちまける。こんなのをまともに喰らったら、それこそ五臓六腑をずたずたに引き裂かれかねない。
 しかしほたるはそれをワープで一気にかわした。彼女がさっきまでいた空間を無数の散弾が通りすぎて、その後ろにあった壁に当たって弾けた。散弾は近距離の柔らかいモノに対しては鬼のような威力を発揮するが、遠くの、それも固い壁などには全く無意味な代物だった。
「ぬッ!ぜぇ……うぉあッ!」
 いきなり希=伸二の目の前に現れたほたるは、彼にブローを鳩尾へ一発とハイキックを首筋に一発、最後に蹴り足で彼女を吊り上げて放り飛ばした。
「こンの……!」
 両手が銃で塞がっているにもかかわらず器用に受身を取って立ちあがった希=伸二は、すぐさまM1100を構えた。彼女の視線の先には――鷹乃に首を掴まれ、片腕で吊り上げられているほたるの姿。鷹乃がその手を離し、掌打でほたるの背を打った瞬間――
「消えろォッ!」
 希=伸二が発砲する。散弾がほたるのか細い身体を吹き飛ばし、続いて放たれたマグナムは、きっちり投げ後のポーズを取っていた鷹乃にカウンターヒットした。
「全治2週間ってとこか?いっそ死んじまえやァ!」
「うるっせェよこォのドシロぅトがぁぁぁぁッ!」
 がっしゃぁぁん!
 伸二が吼えるのに合わせ、ガラスの破裂音と何者かの狂暴な叫び声が重なる。ここが三階だという事実をすっ飛ばして、窓を突き破り部屋に飛び込んできた黒い影は、希=伸二を片手で吊り上げると、離した瞬間に落ちてきたその細い身体へバネの利いたアッパーをぶち込んだ。
「うぉ―――!?」
「あぁぁぁぁぅうぅぅおぅぉぁぁあぁッ!」
 意識が飛びそうなほどの衝撃。天井に激突して床に落ちた希=伸二は、頭上から聞こえてくる意味不明な雄叫びを聞いた。揺れる視界を保とうと頭を振りながらなんとか立ちあがった希=伸二を待っていたのは、豪雨のような蛇使いの連打。
「ッシャァァッシャシャシャシャシャシャァっシャシャシャシャッ――」
 ヒットカウンターがあれば、きっとパチンコのスロットの如く勢いで回転していたであろう。人間サンドバッグなどという言葉が生ぬるく思えてくるほど、右手一本で上段中段下段前後左右と四方八方様々な位置からバックハンドブローと戻りのハンマーナックルを撃ち込む。それを食らい続ける希=伸二の姿は、まるで下手なダンスを披露する道化のようだった。
 殴る方も殴られる方もいい加減腕と全身とがだるくなってきた頃、やっと乱入者――つばめが攻撃の手を休めた。――いや、正確にはそうではない。やっと拳打地獄から解放された希=伸二は、自分の眼前へと迫り来るその拳を避けることができなかった。
「いィっぺん死んでこォォオいッ!!」
 喉を嗄らさんばかりに絶叫したつばめは、サドマゾによく似たトドメのコークスクリューアッパーをねじり込む。強烈なフィニッシュ。希=伸二は受身すら取れずに床へと落ちた。
「……物足りねェな……」
 首をこきこき鳴らしながら、いつものソプラノで呟く彼女。違和感バリバリである。
「――ぬんッ!」
「―――!?」
 その時、背後から声が聞こえてきた。それに反応してすかさずポケットの中のドスを引きぬこうとした時にはもう遅い――いや、敵を見つけられなかった。
「……あぁ?ドコ行きやがぶッ!?」
 ドスを突き付ける先を見失ってそれを持て余していると、いきなりとんでもない衝撃が頭上を襲った。彼女からは完璧に死角になっていた頭上を、飛びかかりの踏み付けで急襲されたのだ。もちろん襲いかかったのはほたるである。
 彼女は宙でひらりと身を翻すと、仰け反っているつばめに急降下のサイコクラッシャーもどきをぶちかました。吹っ飛び、壁際にぶつかるつばめ。しかしほたるの猛攻はこれからだった。
「ぬぅんッ!」
 ピキン。とばかりに周囲を暗転させ、薄蒼い燐光を纏うほたる。いわゆるオリジナルコンボ発動というヤツだ。吹っ飛んだつばめを追いかけていってしゃがみ強パンチを叩き込み、彼女を浮かしなおすと、そこから小ジャンプ強キック、再びしゃがみ強パンチと繋げ、これを何セットか繰り返す。つばめを散々上下からド突き回したほたるは、オリコンゲージが消える直前、しゃがみ強パンチにキャンセルをかけて――
「ぬぅッ……ぬうぅんッ!」
 ダブルニープレスを二発お見舞いするニープレスナイトメアをぶち込んだ。カス当たりしかしないのだが、アレだけの連続技を決めた後ならトータルダメージは相当高い。つばめはそれっきり立てなくなっていた。
「死をくれてやる」
「そうはいかないでござる。拙者の前では、誰一人として死なせはしない!」
 ほたるの勝ちセリフを無視しきって、またも常識破りな方法――今度は天井を突き破って降って来た――のは巴だった。空中で思いきり逆刃刀を振りかぶり――
「龍槌ッ――」
 めがっ!
 聞いてる方が痛くなりそうな音を響かせて、ほたるのドタマに刀がめり込んだ。気分的には龍槌閃より岩山両斬波だ。床に着地した巴は、今度はその反動を生かして全身のバネを使い、刀を両手で押し上げ――
「――翔閃ッ!」
 今度は顎をかち上げる。吹き飛んだほたるを追いかけて走る巴。彼女の身体が地面着くか否かの瞬間、巴は一度鞘に収めた逆刃刀を抜剣した。ほたるの脇腹に埋まるほどの勢いで繰り出された刃は、彼女を壁に叩きつけて跳ね返らせた。そこにもう一度、今度は鉄ごしらえの黒鞘が疾る。
「双龍閃!」
 今度は高く舞いあがると、ほたるの肢体が再び壁で跳ね返った。ゆったりとした孤を描きながら、巴の正面にちょうど落ちてくる。
 ――刹那、室内のプレッシャーが最大限まで膨れ上がった。迸る剣気。巴の喉をついて出で来る裂帛の気合いは、人かそれとも獣のそれか。少なくとも彼女は――風を超える速さで複数の剣閃をほぼ同時に叩き込んだ。
「――九頭龍閃!」
 壱は唐竹、弐は袈裟懸け、参は右薙ぎに疾り、四は右切り上げに孤を描く。伍の刃は風上を模って疾り、禄は左切り上げへ。漆が左薙ぎへ向かえば八の太刀が逆袈裟に斬り払われる。そして最後に久の剣閃――トドメの刺突がほたるの体に吸い込まれるようにして突き刺さった。
 悲鳴を上げる暇すらなく、ほたるは壁に激突してくず折れた。その様子を見て、巴は刀を鞘へと戻し――
「また、つまらぬモノを斬ってしまった」
 キャラが違う。
 ――と、その瞬間――
「――はッ!?」
 迫り来る気配に気付いた時にはもう遅い。
「――Kill!」
 ざしゅ。
 薄い声と共に、どんな刃にも劣らぬ切れ味の手刀が巴を背後から襲った。背中を切り裂かれ、鮮血が室内に散った。――と、今度は正面に気配が生まれる。
 突き抜けるような衝撃と共に、彼女の鳩尾へ黒い手刀が突き刺さった。確実に人体へめり込んでいる。
「ストームブリンガァー!」
 声が聞こえてきた瞬間、急激な脱力感が彼女を襲った。この、突然現れた暗殺者にような誰かに、自分の体力をグイグイ吸い取られている。おそらく相手は、レバガチャ+ボタン連打でストームブリンガーの体力吸収量が増える事を知っているに違いない。
 やっとそれから解放された時には、彼女は既にフラフラだった。結構な激戦を希=伸二と繰り広げていたのもあるが、それ以上に今のが効いた。足元が全くおぼつかない。
 そんな巴を待っていたのは、最初に彼女を襲った襲撃者――静流のボルテックランチャーだった。
「――ハァァァァァァァァッ!」
 緑色をした気塊の周囲で真空の刃が渦巻き、その中へ突っ込む形になった巴は全身をずたずたに引き裂かれた。すかさずそこへもう一人――小夜美が飛びかかった。巴の首を掴まえると、器用に身をひねって、遠心力を利用し彼女の首を何回転にもわたって切りつけた。ネックローリングと呼ばれるその技で追い討ちを食らった巴へ、再び静流がさらなる追撃を入れる。
「ハートアタック」
 落ちてきた巴に、どこかで聞いたようなロック曲の名を呟いて、接着型の小型爆弾をつけて地上張り付けにする。仰け反る巴。そこにダッシュで接近した静流は、膝蹴りから少し飛んで、振り下ろしの踵落としへと繋げ、いきなり空中でその軌道を変えた。
「――フッ」
 鋭い呼気と共に、静流の身体が空を裂いて巴へと迫る。彼女を捕まえた静流は、手刀で鋭く斬り付けると、今度は反対側へともう一度飛んだ。そう、ちょうど彼女のジャンプした軌跡がVの字を描くようにして――
 ――っどぉぉぉんッ!
 爆発。最初につけた爆弾もろとも起爆したようだ。膨れ上がる爆炎の中、煙の尾を引いて巴の身体が宙を舞った。
 ――しかし、これではまだ終わらない。
 黒い残滓を引きずりながら、今しがた連続技を決めた静流に代わり小夜美が走った。今だ宙に浮いている巴を掴まえると、その鋭い手刀を再び突き刺した。
 ……ちなみに一説によると、彼らのグローブには常に爆弾の類がついているらしい。小夜美は迷わずそれを起爆させた。手刀は巴の身体を貫通していたのだから、当然内部からの爆発だ。(株)新日本企画もまた随分とえげつない技を考えたものである。
 再び広がる爆炎。その陽炎が晴れた先に――立っていたのは小夜美と静流の二人組だけだった。さすがは超一流と呼ばれる暗殺者ハイデルン親子をパクっただけあって、全く無音の内に全員を無力化してしまった。静かに闇の中佇む二人。
 ――その時、ゆっくりと起き上がる者がいた。鷹乃だ。今の今まで死んだふりをしていたのか、傷らしい傷もダメージらしいダメージもなかった。サウスタウンの覇者が死んだフリしてていいのか、という気はしないでもないのだが、それはこの際どうでもいい。
「随分と荒らしたみたいね」
 いつもの鷹乃の口調に戻っていた。心地よい澄んだソプラノが闇の中に朗々と響く。
「………………」
 無言でその姿を闇に溶かす小夜美と静流。暗殺者なのだから当然だが、気配すら悟らせない。その技術は神業的ですらある。
 しかし。
 ――しゃきん。
 闇に閃く手刀の残滓を、鷹乃は紙一重でかわして見せた。
 鷹乃は二人のさらに上を行っていたのだ。
「―――!?」
 まさかアレが避けられるとは思っていなかったらしく、もろに動揺の気配が鷹乃へと伝わった。
 刹那、彼女が駆ける。相手がどちらだろうと関係はない。ただ倒す。それだけの話だ。
 今しがた鷹乃へ攻撃を仕掛けてきたのは小夜美だった。その胸倉を問答無用で掴み上げると、強烈なローキック叩き込み、真空投げでその肢体を放り投げた。ほとんど触れずして相手を真上へ放り投げる技は時として神懸りめいていて――
「――はぁッ!」
 横薙ぎの重ね掌打が、ちょうど落ちてきた小夜美の鳩尾を捕らえていた。リアルバウト餓狼伝説をやらない人には馴染みのないであろう、ある意味幻の技、羅生門だ。さすがは悪の企業ハワードコネクション総帥、初対面の人間も問答無用でぶっ飛ばせるらしい。
 吹き飛んだ小夜美が、闇の中に佇む静流のすぐ傍をすっ飛んで行った。
「―――!?」
「それは挨拶代わりよ」
 その一言と共に、鷹乃の背後の窓から都合よく月光が差し込んだ。部屋の中が、微かに青白い光で満たされる。無論、静流の姿も浮かび上がった。
 ――それはどう形容すればいいのだろうか。凄惨な光景。――いや、それ以上にひたすら場違いな雰囲気ばかりがある。学校の体育館に備え付けの部室で真剣に殺陣を演じているのだから、これを場違いと言わずして何と言えようか。
 床にはほたる、巴、小夜美、希、などが転がっていた。皆ピクリとも動かない。
 静寂。沈黙。ピンと張り詰めた緊張感が部屋を支配していた。双方共に相手の隙を覗って、一瞬でもチャンスがあれば勝負を決めにかかるに違いない。
 にらみ合いを始めてどれくらい経っただろう。一分か、はたまた十分か。もはや時間感覚すら狂い始めている。
 始めに動いたのは鷹乃だった。だがそれは攻撃のために動いたのではなく――笑ったのだ。突然何の前触れもなく、その唇の端を軽く吊り上げ、笑ったのだ。
「―――はッ!?」
 一瞬の後、その理由に気付く静流。しかしその時にはもう遅かった。膨れ上がる闘気と熱気。渦巻く焔はその中に暴力的なまでの力を内包し、その中心にある剣は――人と戦うための剣ではなく、人に在らざるものを倒すために技術の粋を結集して造られた、神器だった。
「――ヴぅォルカニックヴァイッパァァッ!」
 雄叫びと共に、静流の目の前で焔の柱が吹き上げる。突き上げるアッパーのような一撃。爆発的な焔と、焔に溶かされてできた床の溶岩に焼かれ、あまつさえ肉厚の刃で切り上げられた彼女は、一撃で吹き飛び、床に叩き付けられた。微かに全身を痙攣させている。再び動く気配は全くなかった。
 これで一体何人目だろうか――意外なところから現れた乱入者は、またしても状況をひっくり返した。どこにしまってあったのか、その右手には逆手に握られた肉厚の刃。いまだ焔を吹き上げる刀身は、無骨な印象を見るものに与える。そしてその剣を扱う者。いつのまにかその額には、赤い鉢金が巻かれていた。それも戦国時代のものではなく、どちらかというと近未来的な、どこかとがった印象のある鉢金。
 赤のジャケットを羽織った彼――健は、封炎剣片手にひどく冷めた瞳でこう呟くのだった。
「……ヘヴィだぜ」

>> 6へ続く




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