雨が降っていた
髪から滴る雨のしずくが頬を伝う
雨が体温を徐々に奪っていく…
頬を伝う雫が熱く感じられた
身体は冷えきっていて全く動かなかった
目には白いものが映っていた…いや、それしか目に入っていなかった
白いものがなんであるのか
脳が、それが何であるのか認識するのを拒んでいた

遠くに響くサイレンの音と、地を打つ雨の音だけが聞こえていた



『あがらない雨』
                                作:ひろせ




「…や・・、とも…、智也ってば!」
不意に横から声をかけられて我に帰った。
雨が降っている。
どんよりとした雨雲が空を覆っていた。
見上げれば雨が降っているのか、自分が昇がっているのか分からなくなる。
「もう、どうしちゃったの?ボゥーっとしちゃって」
再び声をかけられて、やっと声がする方に顔を向けた。
そこには見慣れた顔があった。
白い傘をさして、肩を並べて歩いている少女。
桧月彩花。俺の幼馴染の一人だ。
「いや、、別に…」
再び視線を空に戻す。
さっきより灰色が濃くなっているような気がする。
「あっ、さては〜」
突然、彩花が右手を額に当ててくる。
「う〜〜ん、熱はないみたいだけど…」
暖かく柔らかな手のぬくもりが心地よかった。が、、
「ば、馬鹿!恥ずかしいからやめろって」
恥ずかしくなってすぐに手をどけさせる。
ここは俺達の通う藍ケ丘二中の近くにある商店街。
雨の日とはいえ、結構な人で賑わっていた。
傘を忘れたのか、商店街を一直線に走り抜けていく人も見える。
「なによぉ〜、人がせっかく親切でみてあげてるのに〜〜」
彩花が頬を膨らませて言う。
「でも、どうして雨のなかを走ってきちゃうかな〜?
そんなことして風邪でもひいたらどうするのよ」
午後から急に降りだした雨。
傘がなくて彩花に電話して傘を持ってくるよう頼んだ。
だが電話の後で奇妙な感覚にとらわれた。
白昼夢をみているようなそんな感じだった。
雨が降っていて、目には白いものが映っていた…
それがなんなのか分らなかったが一気に不安が襲いかかってきた。
それは底知れぬ恐怖であったのかもしれない。
彩花に会えなくなる恐怖…
気が付いたら雨の中を駆け出していた。
早く彩花に会いたい…ただそのためだけに走った。
「彩花がいなくなるなって嫌だったんだ…」
「え?」
無意識に口を開いてしまったらしい。
「あ、いや…だから、その…」
どう答えていいのやら、しどろもどろしているうちに、
ギュッ

「なっ…」
いつの間にか彩花は自分の傘をたたみ、左腕にしがみついてきた。
やめさせようと口を開けかけたとき、
「私はここにいるから…」
優しく囁くように言ってきた。
「……」
「ずっとここにいるから、、いつまでも一緒だよ、智也」
ああ、いつまでも一緒だ。
心の中でそう呟いた。
「まったく、、俺と同じようにびしょ濡れになりたいのか、彩花」
そう言って傘を右手から左手に持ちかえた。
空が少し明るみをとり戻したようだ。
『雨はいつあがる』
どんなに長い雨でもいつかは必ずあがる
だが願わくば、もう少しの間降り続いてほしい…









【あとがき】
どもども、ひろせです。
SS、初挑戦〜〜
でもこの場合「SideStory」ではなく「スゴクShort(短い)」ですね(笑)
内容はどうだったでしょうか?ぐゎ〜〜、イデデ、物を投げないで〜〜
はぁ〜、この短い文を書くのにすごく時間がかかった。
書いては消しての連続…
ネタはイラストをもとに書いたというか、これをもとにイラストを描いたというか…
はっきり言って全国74,426,381人(当社推計)の「メモオフ」ファンを一気に敵にまわしそうなSSです。
あの悲しい事件を否定=これから起こるメモオフストーリーの否定になりかねないですからね…
しかもへぼ文…なんのひねりも表現もない(汗)
これから夜出歩くときは背後に気をつけますです、ハイ
では、また〜〜って、次はないと思います(^^;;



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