『いつまでも・・・』
作者:Iku




目を覚ますとそこは、白い世界・・・。
いつもの見慣れた風景。
白い天上。
白い壁。
白いカーテン。
そう、ここは病院の一室。
私はずっとここのベッドで寝ている。
先天性の病気・・・直る可能性の薄い病気・・・必ず訪れる死。
でも、私はとっても幸せなんです。だって、大好きな智也さんが毎日逢いに
来てくれるから。
こんな私に夢をくれた、人を愛することを教えてくれたんです。
私には一生関係のないことと思っていました。それが・・・。
智也さんと会ってからは、私の考えは変わりました。
好きな人といつまでも一緒にいたい・・・同じ時間を過ごしたい。
私は嬉しさの余り自分の背負った運命を忘れてしまいました。
こんなにも人を好きになることがすばらしいものかと気付かされました。
毎日がとっても楽しくて・・・智也さんといることが・・・。
でも・・・。
私の身体はそれを許してはくれませんでした。
授業中に突然倒れて、救急車で病院へ。
それから3ヶ月の月日が流れました。
私の病状は少しは快復の兆しが有ったのですがそれもつかの間のこと・・・今は
ベッドから出られない状態にまで成ってしまいました。
智也さんは私を励ましてくれます。
元気づけてくれます。
だけど、それは・・・・。
だって、私は智也さんと一緒に歩んでいくことが出来ない。
こんなにも智也さんのことを好きなのに愛しているのに・・・。

お別れは必ず訪れます。
それまでに沢山の持ちきれないくらいの想い出を作りたかった。
智也さんと一緒の時間を過ごしたかった・・・。
なのに・・・それも、もう叶わない夢・・・。
私は一人で歩くことさえ出来ません。
起きあがることは何とか出来るけど、それもいつまで持つのか・・・私は
きっと寝たキリになってしまう。
智也さんに逢うことも出来なくなってしまう。
智也さんとお話しすることさえも・・・。
だから、智也さんに逢えないと心が寂しさで潰れてしまいそうです。
私より智也さんの方が辛い思いをしていることは分かっています。
日増しに弱っていく私を見るのが・・・。
時折悲しい眼差しで私のことを見ているから。
智也さん。ご免なさい。
みなもはそれでも智也さんに逢いたい。智也さんを感じていたい。
私に会うことが智也さんの負担になっていると分かっていても・・・。
みなもは狡い娘ですね。自分のわがままばかり言って。
でも、自分の気持ちに素直になっていることでもあるんです。
私には余り時間がないから・・・一緒にいられる時間が残り少ないから・・・。

智也さんはいつも笑顔でいてくれます。だから私も智也さんの前ではいつも笑顔でいます。
どんなに苦しくても・・・。
今の私にはそんなことぐらいしかできないから・・・。
私も彩ちゃんみたいに智也さんの心の中で生きていけるかな?
そうだと良いな。
それないつでも一緒にいられるもの。
今は、智也さんに逢えることを感謝しています。
神様、おねがいです。1日でも長く、1時間でも多く、1分でも、わずかな時間でも
智也さんと一緒にいさせて下さい。
みなもは幸せだった想い出を一杯持って、彩ちゃんのところへ行きます。
彩ちゃんと二人で智也さんの思い出話をして過ごします。
二人で智也さんを見ていますからね。

智也さんにお願いがあります。
自分を見失うことなく強く生きてください。
私と彩ちゃんが一緒に生きた証として・・・。
だから智也さん。お別れの時が来ても決して泣かないでください。
約束ですよ。笑顔で私を送り出してください。
みなもは智也さんの笑顔を胸に秘めて涙を見せず笑って旅立ちます。
最後の智也さんの記憶と共に・・・。


おわり



--あとがき----------------------------------
みなもちゃんの気持ちを書いてみたのですが、如何でしょうか?
切なさが伝わってくれたらいいな、と。
では、御意見感想、批評等、お待ちしております。

by Iku




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