『心に秘めた想い・・・(唯笑の想い)』
                             作:Iku


智ちゃん。
智ちゃん、辛いよ。

唯笑は・・・。
唯笑は・・・智ちゃんと彩ちゃんが仲良くしているのを笑って見てなんかいられなかった。
だって、唯笑も智ちゃんのこと好きだから。
小さいときからずっと好きだったから。
智ちゃんしか見ていなかったから。
唯笑の気持ち・・・。
少しは分かって欲しいよ。
でも・・・彩ちゃんのことも好きだから、大好きだから・・・。
だから唯笑は・・・どうしていたらいいのか分からなかった。
唯笑が鬱ぎ込んでいると二人とも心配するから・・・。
だから笑っているしかなかった。
元気に笑っているしかなかったんだよ。
笑っていれば二人のことを見ていられたから。
でも・・・そんなことをしたって、唯笑の気持ちは・・・。

一生懸命智ちゃんのことを忘れようと努力をしたんだよ。
好きだけど「好き」といえない気持ち。
言ってはいけない心の叫び。
でも忘れようとすればするほど智ちゃんのことが気になって・・・。
でも、彩ちゃんがいたから傍に彩ちゃんがいたから、唯笑は我慢が出来てたんだ。
二人とも大好きだから・・・。
彩ちゃんと智ちゃんだから・・・。
だけど・・・中2の時、彩ちゃんが・・・彩ちゃんが・・・。
突然、唯笑達の前からいなくなった。
お気に入りの白い傘を残して・・・。
大好きな智ちゃんを残して・・・。
唯笑を残して・・・。
彩ちゃんは一人、お空へ旅立っていきました。
笑顔だけを残して・・・。
それからの智ちゃんは・・・まるで生ける屍のよう。
心の中で自分を責めていた。
何の表情もなく、目はうつろで・・・。
ただ黙って一人部屋に閉じこもったまま・・・。
唯笑は、このまま智ちゃんの心が壊れてしまうと想った。
唯笑は幼馴染みとして、一生懸命智ちゃんに声を掛けていたんだよ。
智ちゃんの心が戻ってきますように。
智ちゃんに光が差しますように・・・。
唯笑は彩ちゃんの幼馴染みとして。
智ちゃんの幼馴染みとして。
毎日毎日智ちゃんの心に呼びかけていました。
お願い、彩ちゃん智ちゃんを・・・智ちゃんを助けて・・・。
唯笑の願いが届いたのか智ちゃんに少しずつ心が戻ってきました。
まだ弱い灯火を背負って・・・。
唯笑はその火が消えないように、守ってきた。
最近ようやくいつもの智ちゃんに戻ってきてくれた。
たまに、遠い目をしているときがあるけど・・・。
特に雨の日は・・・。
そんなときはきっと、彩ちゃんのことを思いだしているんだ。
そんな姿を見ちゃうと何も言えなくなっちゃう。
雨は嫌いだけど、彩ちゃんを思い出せるから・・・。
唯笑も彩ちゃんと一緒にいられるような気持ちに感じられるから。

彩ちゃんがいなくなって3年の月日が経ちました。
その間唯笑は、智ちゃんには幼馴染みとして接してきた。
彩ちゃんと付き合っていた智ちゃんの幼馴染みとして・・・。
でも・・・でも・・・もう・・・無理みたい。
智ちゃんに対しての想いが日増しに膨らんできて、自分ではどうにも成らなくなってきた。
一人になると考えるのは智ちゃんのことばかり。
抑えていた気持ち。隠していた想いが溢れそうになってきた。
智ちゃんを好きな気持ちは変わってないんだもん。
昔よりもっと好きになってしまったんだもん。
唯笑は、どうしたらいいの?
彩ちゃんがいないから心に歯止めが掛からない。
頭で分かっていても心は智ちゃんを・・・。
智ちゃん苦しいよ。
二つの想いが絡み合って・・・唯笑、どうにか成ってしまいそう。
伝えてしまいたいこの想い。
智ちゃんが困ることも分かってる。
彩ちゃんにも・・・。
もう、唯笑押さえることが出来ない。
彩ちゃんゴメンね。
彩ちゃんの大好きな智ちゃんを・・・。
彩ちゃんに負けないくらいに智ちゃんのこと大好き。
ううん、彩ちゃん以上に智ちゃんのこと大切だと思う気持ち・・・自信有るよ。
彩ちゃんよりずっと長く唯笑は智ちゃんのこと好きなんだもん。
彩ちゃんになら唯笑の気持ち分かって貰えるよね。
智ちゃんを愛した彩ちゃんになら・・・唯笑の気持ち。
唯笑のことを許してくれる?
虫が良すぎるかな?
でも彩ちゃんならきっと分かってくれると、唯笑は信じているの。
唯笑はもう、迷ったりしないよ。
自分の心に素直になる。
だから、この想いを智ちゃんにぶつけてみようと想っているの。
唯笑の気持ちが届くか分からないけど・・・。
伝えるつもり。
彩ちゃん、唯笑のこと見守って。
唯笑頑張るから。
智ちゃんの中にはまだ彩ちゃんが大きな存在でいることは分かっているの。
もちろん、唯笑の中でも彩ちゃんは生きてるの。
いつまでも一緒だよ。でも・・・。
想い出にすがったままでは唯笑達は一歩も前に進むことは出来ない。
だから彩ちゃんの想い出と一緒に歩んでいくの。
いつまでも仲の良い3人で・・・。
最初の一歩を唯笑が刻むの。
唯笑の気持ちを智ちゃんに伝えることで。
だから応援してね、彩ちゃん。
唯笑と智ちゃんとそして彩ちゃんの想い出と一緒に新しい時を刻んでいくことを・・・。


おわり



-あとがき--------------

あとがき
超久ぶりに唯笑の気持ちを書いてみました。
うーん、批評の嵐が吹く予感がしないでもないけど・・・。
前作をご存じの方は特に・・・。
バージョンアップのつもりで書いたんですがどうでしょうかね?
越えることが出来たかな?
まあ、それは何れ分かりますか・・・。
それと前作とはリンクしてませんのでこの作品でだけでも
充分に読んでいただけると想っているのですが。
あくまで別作品ですので(個人的にそう思っている)。
感想、御意見、厳しいご批判等お待ちしております。

by Iku



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