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--- 過去への回想 解決編 ---

                                    作:木村征人




 空馬は紙にK.Tと書きながら説明した。
「あなたの息子さんを殺したのは、小林康彦と高松昌二です。このイニシャルは二人の名字の頭文字を現していたのです。それにある人に聞いたところこの二人はおたがいのアリバイを作っているんです」
 ある人というのはもちろん戸川。今はそのアリバイの裏を取ろうと奔走している。
「まだ決定的な証拠は出ていませんが、この二人の名字がイニシャルで現していたのでしょう。ただ、不運にもあなたのイニシャルが重なってしまったということですが」
「そうですか……わかりました…………依頼金はすでに振り込んでいますので……」
「? そうですか」
 空馬は高田の瞳に宿る闇には気付かなかった。

 空馬はこの後友人と遊びに行った。自分で事件の真実を見ぬいた高揚感と手に入った依頼金で気分が大きくなり、友人におごったりしていた。
 しかし空馬にとって辛い現実を見せつけることになる。
「ただいまー。なんだ父さんテレビをつけたまま寝てるのか……」
 空馬は冷蔵庫のジュースをコップに入れ、飲もうとした時その動きが止まる。
『本日未明――』
 テレビの左端に高田健一の写真が載っていた。
『某高校に突然現れた男が二人の男子生徒を刺した後、通報を受けた警官に取り押さえられました。二人の男子生徒は病院に運ばれましたが――』
 すでに空馬の耳には届いていなかった。空馬の手からコップがすり落ちる。

 ガシャアァァァァァァァァァァァァァン

 砕け散った音は果たしてコップの音か空馬の心か……それは誰にも分からなかった。空馬すらも……

 奈美も空馬も黙っていた。ただ沈黙だけが流れていった。
「………………………………事実をつきとめたせいで犠牲者を増やしてしまった……」
「でも、それはあなたのせいじゃ……」
「俺が本当にしたかったのはあんなことじゃない。あんなつもりになるなんて思っていなかった……俺は間接的とはいえ人を殺してしまった!」
 空馬はコンクリートの床を殴りつけた。
「でも、私を救ってくれたじゃない。お姉ちゃんを殺した人間を――」
「おまえはあの時感情的に殴りつけたが、もしあの時俺が止めていなかったらおまえは持っていたナイフで殺していただろうな……」
「…………え?」
「おまえがやろうとしていたことに気付かないほど俺の目は節穴じゃない。俺はあんなことを少しでも止めれればいいと思う。でも、探偵じゃダメなんだ」
 そう言って階段を降りて行った。

 途中、空馬は奈美を探しているみどりと出会い。空馬はあっさり屋上にいると教えた。午後の授業に二人は出て来なかったが、ずっと追いかけっこをしていたのだろう。






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