ひびきの高校史上最大の受難 ACT2 
                                    作:木村征人



この創作小説は『ときめきメモリアル2』(コナミ)の世界及びキャラクターを使用しています。



災厄は再び起こる。
そう、あの赤井ほむらよって引き起こされる受難が……
 
「なにやってるんだ伊集院?」
 電脳部に在籍している上杉祐次が奇妙な形をしている人形を作業している人物にのぞきこみながら聞いてきた。
 少し短めの髪とつり目、年上に対しても生意気な口をする。祐次よりも一つ年下の伊集院メイがさも驚けといわんばかりにない胸を張っていった。
「ふん、聞いて驚くのだ。閣下との共同作業の縮小化による内部制圧を重点的に開発した世界征服ロボなのだ」
「閣下? 世界の制服ロボ?」
「違うのだ! 世界征服なのだ」
「はあ……」
「この世は閣下とメイの物なのだ。にゃーはっはっはっは」
 大声で笑っているのを見ながら……
「で、どうゆう構造なんだ?」
「うむ、良くぞ聞いたのだ。ここの画面に入力することによってメイの着ているパワードスーツのように変形するのだ」
 メイは電脳部の部活中はいつもライダースーツにヘルメットをかぶったような物を着込んでいる。それを指しているのだ。
「ほう…………」
「うむ、これぐらいでいいのだ。明日閣下にきて見てもらうのだ」
 閣下が誰か聞いてみたかったが、なんだか聞いてはいけないような気がした。
 
 そして翌朝。
「まったくしつこいんだよな、吹雪ちゃんは!」
 生徒会から抜け出した赤井ほむらは橘吹雪に追いかけられていた。
 ほむらは電脳部の部室へと逃げ込んだ。そしてメイが作った世界征服ロボを見つけた。
「おおおお、すげーな! まるでゴッドリラーみてーだな。
 すげーな、どうやって動くんだ? お、これがパネルか?」
 ほむらといえど多少はワープロの知識は持っている。といっても人差し指で押すだけだが……
「ゴ、ッ、ド、リ、ラ、ーっと……」
 世界征服ロボはガキギと動きほむらと向き合った。
「おお、動いたぞ。すげーな!
 どんな力があるんだ、見てみたいなー」
 パネルには「見てみたいか?」と打ち出された。
「おう、もちろんだぜ! だーはっはっはっはっは」
 世界征服ロボも肩を揺らせている。多分笑っているんだろう。
 そして、ガシッとほむらと世界征服ロボはガッツポーズで腕を組んだ!
 
「大変なのだー!」
 メイは叫びながら祐次のいる教室に駆け込んだ。
「うるさいぞ、伊集院。何のようだ?」
「メイの、メイの世界征服ロボを知らないか?」
「知らねえよ」
「あああ、閣下に殺されるのだー」
 ガシャァァァァァァァ
 ガラスを割って入ってきたのは、
「会長?」
「やまざる?」
 赤井ほむら、その人であった。メイと同じようにライタースーツにヘルメットをかぶったような感じである。
「な、なんなんだ?」
「こらぁぁぁ、山猿。貴様がメイのロボットを盗んだのだな。おとなしく返すのだ」
「メイ、しゃがめ」
 祐次がメイの頭を押さえこんだ直後、ほむらがメイの真上を飛びげりで通過した。そして、何処かへ消えた。
 
「で、説明してもらいましょうか?」
 生徒会室で橘吹雪がメイと祐次に問いただした。ふだんは冷静沈着で美人の橘吹雪なのだが、今は目が思いっきり座っている。はっきりいってこの時の吹雪は怖い。
「いや……、俺も何がなんだか……」
 祐次が視線をそらしながら……
「こっちを向きなさい!」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
 メイが何か考え込んでいた……
「おそらく、山猿がメイの世界征服ロボをいじったと思うのだ。
 その時に山猿とメイのロボがリンクしたと思うのだ」
「おい……それってほむらとその……世界征服ロボとやらが手を組んで暴れてるってことじゃねぇか!」
 祐次の叫びもどこ吹く風、メイはふんぞり返って笑っている。
「にゃーはっはっはっは、どうなのだ。やっぱりメイは天さ――ぶおっ!」
 吹雪がメイに机を投げつけた。
「なんてことするのよ、前の記憶喪失以上の惨事じゃない。ただでさえ生徒会の仕事が遅れてるって言うのに」
「まあまあ、橘さん抑えて」
 同じく桜木和馬が吹雪を制した。
「う〜、なんか考えがあるの?」
「大丈夫だよ、校長がいるじゃないか!」
 前回のほむらが暴れたとき爆裂山がほむらを倒したのだ。今回も爆裂山なら何とかしてくれると信じているのだが……
「無理よ!」
「へ?」
「校長は出張してるわ」
「……………………
 はあ、いらんときはポコポコ出て来るくせに……」
「ふん、こうなれば学校ごと破壊を――」
「やめんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 無茶苦茶なことを言うメイを祐次、吹雪、和馬が張り倒した。
 
「で、どうするんだ? これを餌にするか?」
「きゅ〜〜〜〜〜〜」
 祐次は目を回しているメイを片手で掴みながら吹雪に聞いた。
「それで誰が捕まえるの?」
「うっ! それは……」
 今のほむらははっきり言って世界征服ロボの相乗効果で最強に近かった。
「とにかく……ほむらの居所を見つけないと……」
「それなら大丈夫よ、和馬君。生徒会偵察部が追っているわ。それと赤井ほむら避難発令を出しておいたわ」
「それなら大丈夫だな」
「…………せ、生徒会って……」
「これぐらいしないと会長の面倒は見られないわ」
 祐次の疑問にあっさり吹雪は答えた。祐次はなんとも言えない説得力を感じた。
「メ、メイも手伝うのだ」
「お、伊集院にしては珍しいな」
「このままだと閣下にお仕置きされるのだ」
「ここまでメイに恐怖を与える閣下って一体……
 今はそんなこと言ってる場合じゃないか。それで桜木。なんかいいアイデアないか?」
「うーん、八重さんならほむらの動きを止められるかもな」
「八重さんが?
 よし、八重さんを探すか……」
「それはやめといたほうがいいわ」
 吹雪が首を振って否定した。
「どうしてだ?」
「こういう事が嫌いな彼女を無理強いさせると、会長すらも逃げ出す八重花桜梨さんを敵に回すかもしれないわよ?」
「うっ! 確かに今回以上の惨事になりそうだな……」
「上杉の言うとうりだな」
「とにかく会長の野性に文明の利器というのは厄介ね」
「結局追いかけるしかないのか……」
 前回散々振り回された和馬は心底いやそうな顔をした。
「なあ、今思ったんだけど前回って誰がやられたんだ?」
 前回の惨事をよく知らない祐次が聞いてきた。
「えーっと、最初に伊集院と咲之進、それから火の玉番長に行って、八重さん、それから光……あっ!」
 思い出したように和馬が声をあげた。
 ここには伊集院メイがいる、そしてもちろん咲之進もいる。火の玉番長は未確認だがいる確率は少ないだろう。八重花桜梨は論外。
 とすれば赤井ほむらが狙うのは…………
 
 で……そのターゲットとはいうと……
「あううううううう」
 陽ノ下光は掃除用具入れのロッカーの中に隠れていた。避難発令を聞いたときこの中に隠れたのだ。
 ここなら見つからないだろうとたかをくくっていたが、ほむらの野性の勘の前では無意味だった。
 ズドドドドドドドドドドドドドドドドド
「ひいぃぃぃぃぃぃ、ロッカーごと殴ってきたぁ」
 光を目ざとく見つけた、というか勘だけで見つけたほむらは容赦なくロッカーを殴りつけた。いわゆるアイアンメイデン(鋼鉄の処女)の刑である。
・ アイアンメイデンとは中世のヨーロッパで使われた。扉の内側に無数の大きな針が備え付けられており罪人をそこに押し入れそのままを閉じ込める拷問道具。
・ 某文庫で無敵の教師が使った特技。
・ 良い子は真似できません。
本当ならロッカーの扉がひしゃげて開かないのだが、
「ひぃ!」
 ほむらのコブシはロッカーの扉を突き破った。光の顔の真横すれすれに通った。
 こぶしが抜けなくなったほむらは扉ごと引き抜いた。
 その隙に光は逃げ出した。
 光を見失ったほむらは辺りを見回し……
「え…………?」
 近くにいた情報収集の天才であり童顔で女の子のような容姿をした坂城匠を捕まえ、そのままロッカーへ押し込み、外れた扉の上から再び殴りつけた。
 もはや原型をとどめていないロッカーからは、
「痛ぁい、暗ぁい、せまぁい…………」
 匠の悲痛なつぶやきが聞こえた。それを聞いて満足したほむらは再び光を探しに出ていった。
 
「琴子ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
 おそらく今のほむらに対抗できるであろう、親友の場所へ向かった。
「どうしたの光?」
「お願い助けて! 琴子しか頼れる人いないの!」
「事情を説明してから……」
「あれ! あれ!」
 光の指差す方向にはほむらがダッシュで近づいてきた。
「まったく……本当なら光のほうが強いのに……」
 ぶつぶついいながら飛びついてきたほむらに、
 ばちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
 おもっいきり平手を食らわした。そのままほむらは吹っ飛び大きな音を立てて壁に激突する。
 
「うわっ! なんだこれ」
 光がいる教室に駆け込んだ和馬が見つけたのは鉄の固まりしか見えないロッカーだった。
 強引に扉をねじ開けると……
「暗ぁい、せまぁい……痛ぁい……」
 匠がうつろな目でつぶやいていた。
「おい、匠どうした?」
「会長が……」
「ちっ、やはりきてたか!」
 ドォォォォォン
 爆発のような音が廊下から響く。
「あっちか……匠にそれほど外傷はないようだし大丈夫か……」
 しかし、匠の心の傷は重傷だった。
 
「すごぉぉぉぉぉぉい、さすが琴子」
 素直に感動する光、だが……
「ぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅう」
 ほとんどダメージを受けている様子はなかった。
「かなり丈夫ね……ガハッ」
 琴子がつぶやいた瞬間にほむらが琴子を殴りつけた。そのまま琴子は昏倒した。
「光……無事か?」
「和馬くん!」
 ほむらは和馬に狙いをつけ……
「へっ?」
 和馬は吹っ飛んだ。もっともほむらのチリのような自制心によってほとんど無傷だったが……それを見た光は!
「ゆるさない……ゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさない!」
 光の髪が金色に染まり、逆立った。
「あ、スーパーひかりんになった」
 それを見ていた和馬は冷静に分析した。
 そして、光はほむらに向かって蹴りつける。
「白か……」
 さらに和馬は冷静に見ていた。
 ほむらは光の足を掴みそのまま投げ飛ばした。そのまま光は動かなくなった。
「あ゛あ゛、劇場版のベジータみたいにあっけない」
 そしてほむらはそのまま光の頭を掴み壁にぶつけた。
「うううう……」
 恐怖で光の顔が歪む。そして奇跡が起こった。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 光が突然吠えた!
「な、なんだぁ?」
 ようやく追いついた祐次とメイが驚きの声をあげた。
「ようやく来たか……」
「一体これはどうしたんだ?」
「なんなのだ! これは」
「もしかしたら光は勝てるかも知れないってことさ」
「暴走したのか?」
「いや、おそらく恐怖のあまり発狂したんだろう。発狂ひかりんだ!」
「そんなんありか?」
「なっちまったもんはしょうがない」
 闘いはほぼ互角だった。二人の闘いの衝撃で壁に亀裂が入る。
「なあ、今思ったんだけど……」
「なんだ?」
「どっちが勝てばいいんだ?」
「はっ?」
「どっちが勝っても暴れつづけるんじゃないか?」
「………………そうだったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 ほむらも光も今は敵同士だが決着つけば持て余した力で見境なく暴れてるだろう。
「どうするのだ?」
 メイは二人に聞くが、
「…………………………………」
 沈黙で返すしかなかった。
 闘いは激しさを増し、力と力がぶつかり合う。間合いを計るために廊下のスミへと場所を移動する。
「追いかけるぞ!」
 二人のあとを追いかける祐次、和馬そしてメイ。そこで三人が見たのは、
「これって」
「一体」
「どうなっているのだ?」
 ほむらと光が倒れていた。そして、そこにいた人物は……
「八重さん?」
 祐次の言葉を無視しながら去っていった。
「あの人はなにをしたんだ……」
 和馬は前回のことを思い出した。
「妙なのだ……」
「どうした伊集院?」
 祐次がほむらと光を調べていたメイに聞いた。
「二人とも無傷なのだ。つまり、何のダメージも負ってないのだ」
「でも、気絶してるんだろ?」
「それが不思議になのだけど……納得いかないのだ。どうやったのか気になるのだ!」
「桜木……八重さんて一体何者なんだ?」
「聞くな……前回といい、今回といい、なにをしたんだ……」
 二人の超常的な力を倒し、なおかつ無傷で済ませた八重花桜梨に三人は戦慄を覚えた。
 
「どうやら……小型化をやめたほうがいいわね」
 ひびきの高校の校門の前で女性が立っていた。制服からしてきらめき高校だろう。上から白衣をまとい、前髪で片目が隠れている。そして瞳には類まれな野望に燃えている。
「しかし、赤井ほむら、陽ノ下光、そして八重花桜梨か……
 すばらしい素材だわ…………ふふふふふふふふふふふふ」
 そう言って、白衣をひるがえし消えた。


あとがき

あうー、なんか全然まとまりのない作品ですね。
物語りがオーバーラップしすぎて強引に終わらせることしかできなかった。



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