My Merry May プロローグ
作:木村征人





              かみさま、魂のない私が……
          あの人をすきになるのは……罪なのでしょうか?


 目が覚めると俺のとなりに女の子が寝ていた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 慌てて俺は布団から飛び出した。
「ん〜にゅ、おはよ」
 目をこすりながらYシャツ姿の女の子が起き上がった。
 腰下に伸びる長い銀色の髪がゆっくりと揺れている。両頬にかかる髪を金属製の筒みたいなもので軽くまとめてある。
 はっきり言ってかわいい。
「? どうしたのお兄ちゃん?」
 見とれていた僕を覗きこむ様に見つめる。
「ってお兄ちゃん?」
「うん、レゥのお兄ちゃんだよ」
 レゥという名前を聞いて思い出した。
 昨日、外国のいる両親からやたらとでかい送りものが届いた。
「恭介ぇ、おまえの親から荷物が届いているぞぉ」
 少し茶色がかった髪に活動的なパンツルックのたえさんが学校から帰ってきた俺を呼び止めた。たえさんは俺の寮の管理人代理。たえさんのお母さんが入院しているせいで仕方なくやっているみたいだけど。
「で、でかいですね……」
 直径二メートルぐらいありそうな巨大な箱が管理人室の前になんかえらそうに構えていた。
「あの、運ぶのてつだ――」
 すでにたえさんの姿はなかった。
「に、逃げた……」
 結局俺一人で運ぶことになったけどはっきり言って重い、部屋まで運ぶ時に時々どこかにぶつけたような音がしたけど。
 部屋の中で包装を破くとなんがたか訳のわからない巨大な装置が入っていた。
「手紙?」
『恭介へ
 元気か? 俺は母さんとよろしくやっている。
 どうせおまえのことだ部屋は散らかり放題、ろくに彼女もおらんだろうからレプリスと言う人工生命体を送る。名前はレゥと言う。おまえの好みぐらいしっかり分かっているから安心しろ。おまえ好みの完璧な女性だ。
P.S
 ちなみにこのゲームは全年齢対象なので邪な事を考えない様に』
「はぁ?」
 相変らず意味不明な手紙を送ってくる。だけど、よろしくやってるって何を?

 あの後、色々と説明があったけど訳がわからなかったせいでとにかく起動ボタンを押したけどなにも起こらなかったからそのまま寝たんだっけ……
「で、なんでYシャツなんか着てるんだ?」
 だいたいこの部屋にYシャツなんてあったか?
「だって、寒かったからね」
 子供の様に笑いながら、女の子――レゥは無邪気に答える。
「……なんかものすごく常識はずれな答え方するね」
 完璧な女の子から程遠い。もしかしていきなり起動ボタンを押したのが悪かったのか?
 動きと言うか仕草と言うか何となく子供っぽい。
「ふぅ、それよりレゥの服を買っていかないとな」
 さすがにYシャツ一枚の女の子をこのままするのはいくらなんでもまずい。それよりもこの現状打開する手立てを考えないとな。

 町のショールームの入り口まで来たんだけど………………
 彼女のプレゼントで来たんですけど何かいいものありますか?
 はい、それ下さい。プレゼント用の包装でお願いします。
「よし、これでOKだな」
 一通りイメージトレーニングを済ました後気合を入れていざはい――
「あれー、恭介どうしたのこんな所で?」
「げぇ、ひとえ!」
 俺をまるで阻む様に見事なタイミングで幼馴染みの榛名ひとえがいきなり現れた。
 短い髪に活発的なショートパンツ。俺と同い年だけど幼く見えるため中学生に見える。
「なによその顔は! だけどこんな所で服でも買いに来たの?」
「う、うん。そうなんだよ。あは、あはははははは」
「女物の服を?」
「うっ!」
 ひとえはしてやったりとあからさまにやな笑みを浮かべた。
「ふーん、どういうことなのかしらねー?」
 逃げられない。俺は本能的に悟った。俺は頭を抱えた。
「…………………わかったよ……俺の部屋に乗り込んだ後じゃ言い逃れはできないからな…………」
 俺はことのあらましを説明した。ひとえは少しぽかんとしていたが、
「恭介のお父さんもふざけたことするね」
 さすが勝手知ったる我が幼馴染み。あっさり状況を信じてくれた。
「それで服を買いに来たところを」
「ああ、とっっっっても残念なことにおまえに見つかったわけだ」
「どういう意味! まあ、いいわ。私の服を貸してあげましょう」
「はっ! おまえの幼児体型じゃレゥに合う――」
 この瞬間、ひとえの鉄拳が俺の顔面をとらえた。

「あ、お兄ちゃん。おかえりー」
 部屋に帰るとレゥがパタパタと俺の元へかけよって来た。
「レゥ、ちゃんとお留守番できたよ。えらい?」
「ああ、えらいえらい」
 俺はレゥの頭をなでてあげた。
「なるほどね……確かに子供並の思考しかないわね」
 俺とレゥの不可思議なやりとりを見て納得した様にうなずいた。
「誰?」
 レゥが俺に隠れる様におどおどしながら聞いて来た。
「それは後にしない? 私の服を貸してあげるから」
 俺が部屋に追い出されて数分、すっかり御召し変えをすませたレゥがいた。
 ひとえの持ってきた服がレゥに合うはずもなく。服はへそを出す形にショートパンツはレゥのウエストはひとえより細く俺のサスペンダーをつけることになった。
 ひとえを納得できない様な顔をしていた。その顔を眺めながら俺は必死に笑いをこらえていた。
「で、なんでこんなお子様になったの?」
「多分HDDを無視して起動させたせいでほぼ初期化状態になったと思う……」
「恭介、バカ?」
「しょうがないだろ。コンピュータなんて詳しくないんだし。しかも人工生命体なんてなんて御伽話じゃあるまいし………」
「まったく……最近になってようやくクローンが正式に認められるようになってきたのに、全く時代錯誤も良いところね」
「うるさいなー。それよりもどうする? ひとえの所でレゥを預かってもらえるか?」
「うーん、別に良いけど」
「いや! いやいやいやいやいやいや。お兄ちゃんと一緒にいる」
 おとなしく聞いていたレゥがいきなり駄々をこね始めた。どうし様か困っているとドアがいきなり開いた。
「よぉ! 恭介。やたらと騒がし…………おぉおおおおおおおおおおお!」
 俺の悪友であり、ぱっと見どう見てもホストにしか見えない萩本亮がいきなり俺の部屋を空けて入り込み、そして叫び声を上げた。
「誰だよ! この可愛い女の子は!」
「いきなり人の部屋に上がり込んでわめいてんじゃねぇ! だいたいテメェしっかり彼女いるじゃねぇか!」
「いいんだよ、あいつは! それより誰だよこの可愛い子は!」
 レゥは意味が分からずただにこにこしている。もっとややこしい奴にレゥの存在がばれてしまった。このままじゃ他の人に知られるのは時間の問題だな。
 こんな展開にうらやましがる奴がいたら変わって欲しいよ。まったく。
「お兄ちゃん♪」
 レゥが後ろから抱きついて来た。
 でもまぁこういうのもいいかもな…………
                           to be Game




あとがき
はっはっは、やっちまったよ。発売してないせいでキャラクターがはっきりしてないし、G’sで読みながら書いてたんですけと……難しいね。やっぱり。
発売した後どれくらいあってるというのも面白いかも。
これで全員違ってたら笑い話にもならねぇな。恭介は智也と健の中間的な感じにしました。しかし、亮は健以上にブーイング受ける存在になるだろうな……



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