| ＴＨＥ・ＭＥＭＯＲＩＥＳ・ＯＦＦ・ＦＩＧＨＴＥＲＳ２００１（ＭＯＦ） |
| 作：メンチカツ |
| ---------------------------------------------- 20話 『影の正体』 ---------------------------------------------- |
|
『それではＲＯＵＮＤ４を始めます。両選手前へ』
Ｋ’がけだるそうに立っている。
その前に香緋が歩み出る。
「よいよいよいよいはぁー！」
香緋は、両手を交差させながら上下に数回振ったあと、気合を入れるかのように両手を横に突き出す。
そして試合が始まる。
『ＲＯＵＮＤ４、ＦＩＧＨＴ！』
「シュッ！」
小さく息を吐くとともに、その場で振り上げた手から炎が出る。
それをかわしつつ大ジャンプでＫ’の懐に飛びこむ香緋。
しかし！
「おらぁっ！」
自ら生み出した炎を思いきり蹴り上げ、炎が高く舞う。
「んきゃ！？」
香緋は炎に撒かれ、体勢を崩す。
そこへ、炎を溜め込んだＫ’の超必殺技が叩き込まれる。
ヒート・ドライヴだ。
ゴバァゥン！
錐もみ回転しながら香緋の体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
香緋の立ち上がりに合わせて、ミニッツ・スパイク（前方に突進しながらのソバット気味の蹴りを放つ技）を放つ。
しかし、
「天崩山！」
香緋が対空技でそれに迎え撃つ。
Ｋ’は、地面に叩きつけられる前に、受身でそのまま立ち上がる。
しかし、そこへ香緋が超必殺技を放っていた！
「はぁぁぁぁぁぁあ！！」
気を爆発させ、砂埃を舞い上げながら肩から突っ込んで行く。
大鉄神という技だ。
「ぐああ！？」
Ｋ’が吹っ飛ぶ。
体勢を立て直し、すぐさま立ちあがるＫ’。
そこへ更に攻撃を仕掛けようとする香緋だったが・・・・・
「・・・・・・邪魔だ」
ポツリとそう呟くと、Ｋ’は胸元に仕舞ってあったサングラスを香緋に投げた。
ダッシュしていた香緋はそれを避ける事ができず、サングラスにあたってしまった。
そして、香緋が顔をしかめた瞬間！
その一瞬にＫ’は香緋のすぐ傍まで移動し、チェーン・ドライヴが発動する。
ドガガガガガガガガガガガガ！！
パンチ、キックの入り乱れた物凄い連続技である。
更に連続技は続き、炎を纏い始める。
そしてフィニッシュ！
Ｋ’の赤いグローブが起爆装置となり、香緋が爆炎に呑み込まれる。
『ＷＩＮＮＥＲ ＩＳ Ｋ’！』
そして試合は終わった。
・・・・・とうとう俺の出番だ。
あいつに勝つ事が出きるのだろうか？
しかし、やらなくてはいけない。
「智ちゃん、ガンバって・・・・」
・・・・・唯笑、やっぱりお前は良い奴だな・・・・
「智也！骨は拾ってやるぜ！」
・・・・・信、やっぱりお前は嫌な奴だな・・・・・・・
『それでは、ＲＯＵＮＤ５を始めます。両選手前へ！』
Ｋ’は、冷たい目で突っ立っている。
その目の前に歩み出る俺。
『それでは、ＲＯＵＮＤ５、ＦＩＧ・・・・ガガガピーーー』
マイクのハウリングする、嫌な音が響き渡る。
そして俺の目の前に、一人の人影が現れる。
Ｋ’と同じような、黒い革の服を着ていて、まるで氷で出来ているかのような透き通った青いストレートの髪。
そして、その手はやはりＫ’と同じようなグローブだった。 Ｋ’と違う点は、彼女はそのグローブを両手にしている事。
そして、Ｋ’のグローブが赤なのに対し、彼女のグローブは明るい緑。
Ｋ’の表情が、驚きに変る。
「お前は・・・・・」
その時、この大会の間で、何度も体験したあの影が再び俺の横を通りすぎて行った。
一瞬、ほんの一瞬だが、顔が見えた。
（・・・・・・女？）
そのまま影はＫ’の横も通りすぎ・・・・・
いや、通りすぎる際、何らかの攻撃をしたのだろう。
Ｋ’の体が高々と舞う。
「今よ！クーラ！」
影は、向こうの端っこで、立ち止まっていた。
長身の美女。手には何か、レイピアのような細身の剣を持っている。
クーラと呼ばれた目の前の少女は、
「うん、わかってる！」
というと、両手を横に突き出し、気合を放つ。
「フリーズ・エクスキュージョン！！」
その瞬間！！
あの光が辺りを覆う。
まるで、北極にでもいるかのような、物凄い冷風・・・・いや、凍風が強烈に吹きつける。
絶対零度。
その凍風の中、Ｋ’の体は舞い、そして地面に落ちた。
試合会場全体に、霜が降りている。
「あなたの出番は、まだ先よ・・・・・」
目の前の、クーラと呼ばれた少女がポツリと呟く。
彼女が今まで俺の事を何度も助けてくれたのか？
一体なぜ？
数々の疑問が頭の中を通りすぎる。
そして彼女は言った。
「さぁ、次はあなたの番よ」
ガガガガガガ・・・・・・・
『ＩＮＶＡＳＩＯＮ、ＩＮＶＡＳＩＯＮ・・・・・』
目の前に並ぶコンピューターに、異常が発生する。
「一体どうした？」
「は！システムがハイジャックされました！」
「早急に立ちなおせ」
「は！了解しました！ゼロ様」
|
||
>>次回へ続く |
感想BBS