THE・MEMORIES・OFF・FIGHTERS2001(MOF)
作:メンチカツ
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エピローグ『知られざる戦い』
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この島の中心であるルナ・ビーチと診療所を結ぶ道の真中辺りでは、異常が起きていた。
物凄く邪悪な何かが蠢いている。
その姿は闇に包まれ、良く見えない。
そう。智也達によって6人の中の邪悪な力は中心に集められた。
この島の中心に。
この島全体をあの光で包み込んだことによって、皆の身体の中では無く、この島の中心に力が封じられたのだ。
しかし封印は完璧ではないようだ。
この島全体を範囲にしたせいで効果が薄まったのか。
はたまたこの邪悪な何かの力が強すぎるのか。
どちらにせよこのままでは封印は解けてしまう。
しかし、そこに現れる一つの影があった。

智也の手からこぼれ落ちた文殊が光を放つ。
そしてその光は一人の人影を作り出す。
「智也・・・・こんなになっても私のことを想ってくれたんだね・・・・」
その人影の光が次第に消えていき、その姿を実体化させる。
「後は私に任せてゆっくり休んで・・・・・」
そう言い残してその人影は消えた。

邪悪な何かは今もなお蠢いている。
そこに現れた人影。
それは智也の傍から消えたあの人影だった。
その人影は藍色の鎧にその身を包み込んでいた。
頭にかぶっている兜に付いている羽が特徴的だ。
兜は頭全てを覆う物ではなく、長い綺麗な栗色の髪が伸びている。
その腰には複雑な彫刻の施された美しく、神聖なオーラを放つ剣が吊られていた。
いや、神聖なオーラはその姿自体からも発せられていた。
そう。
世界創世の時代ではこう呼ばれていた。
アース神族第六級神、運命を司る三女神ノルンの一人、ヴァルキリーと。
その人影が顔を上げる。
その顔は・・・・・・智也の最愛の人、彩花のものだった。
アヤカ=ヴァルキリー。
それが、今の彼女の名前だった。
アヤカがその腰の剣を抜く。
『神剣グランスリヴァイバー』
魔獣ブラッドヴェインの腹に隠されていた魔剣レヴァンテインが、ヴァルキリーの持つ神聖なる再生の力により生まれ変わった姿。その力は死に絶えた大地を蘇らせることも出来るという。
その剣を持ち、アヤカが邪悪な物に向かって言い放つ。
「其は聖の下に滅せよ」
グルルゥゥォォアアアァァァァッ!!
やがて邪悪な何かが形を変えていく。
その姿はまるで巨大な蛇の様だった。
「・・・・七つの大罪が一つ、嫉妬のリヴァイアサンね」
彩花が呟く。
そう、妄想を現実にしてしまうほどの皆の誠に対する強力な想いは、誠が優夏と結ばれたことにより行き場を失い、嫉妬へとその姿を変化させたのだ。
両者が互いに睨み合う。
辺りは静寂に包まれていた。
両者は共に動くこと無く、ただ時間だけが過ぎていく。
しかし!
グルルロォァアアアァァァァァァアアァァァ!!!
先に動いたのはリヴァイアサンだった。
一声咆哮を上げると、リヴァイアサンの横に2つの闇が生まれる。
その闇は姿を変え、小型のリヴァイアサンになる。
(ここでは分かりやすく、α、β、と呼ぼう)
リヴァイアサンαがその口から闇を吐き出す。
「・・・フッ!」
アヤカはそれをたやすくかわす。
吐き出された闇はそのままアヤカの背後の木にぶつかる。
シュウウゥゥゥゥゥ・・・・・・
闇に蝕まれた木は、その場で分解消滅した。
アヤカに特に驚いた様子は無い。すでにその力を知っているのだろう。
リヴァイアサンαが続けざまに2発の闇を吐き出す。
さらにリヴァイアサンβが粘体の物を吐き出す。
アヤカはリヴァイアサンβの吐き出した粘体の物をかわし、リヴァイアサンαの吐き出した闇に右手の盾を掲げる。
闇は盾にぶつかり、そのまま・・・・霧散する。
いや、それだけでは終わらなかった。
アヤカの掲げた盾から、四発の光弾が放たれる。
『スター・ガード』
敵の攻撃を防御し、その際に光弾を放ち、敵に反撃する。
神の祝福を授かった聖なる盾だ。
アヤカはそのスター・ガードを装備していた。
光弾の直撃を食らい、リヴァイアサンαは消滅した。
アヤカがふと後ろをちらりと見る。
そこには先ほどかわした粘体の物が地面を溶かしていた。
強酸性の粘液のようだ。
そう、リヴァイアサンβの吐き出したのは、『アシッド・ヴェノム』。濃硫酸の数倍の溶解力を持つ粘液だ。
アヤカが再び敵を見据える。
リヴァイアサンが動く。
ルアアアァァァァァァアアアッァァァア!!
その身体から更に4体の小型リヴァイアサンが現れる。
「・・・・また増えたの!?」
アヤカが少々げんなりしながら言う。
「・・・・はぁ、しょうがないわね」
アヤカは小さく呟くと、懐から一つのクリスタルを取り出す。
「聖なる光の粛清を!」
クリスタルを投げる。
「クロス・エアレイド!!」
アヤカがそう叫ぶと同時にクリスタルが光を放ち、消える。
そして虚空から現れた光がリヴァイアサン達に襲いかかる。
キラキラキラ・・・・・
だが、その動きは緩慢で、まるで漂っているかのようだ。
リヴァイアサン達はそれを容易くかわす。
・・・・・いや、かわしたはずだった。
しかし、かわした際に起きた微量の風に乗り、光はまるで吸いつくようにリヴァイアサン達に当たる。
キュイィィィィィィイイイイイイ!!!
その途端、光はリヴァイアサン達をそれぞれ包み込み、侵食する。
小型のリヴァイアサン達は全て消え去った。
そして何とか生き残ったリヴァイアサンもすでに瀕死の状態だ。こうしている今も少しずつその動きが弱まっている。
グ・グ・グ・グググウゥゥオオオオォォォオオオオォォォ!!
リヴァイアサンが咆哮を上げる。
その怨念のこもった咆哮は、闇と化していくリヴァイアサンに同化していく。
かつてリヴァイアサンだった闇がその姿を変えていく。
それはだんだんと人型をかたどっていく。
そして闇が実体化する。
その姿は禍禍しく、怨念に満ち満ちていて、邪念が渦巻いている。
身体は骨で出来ているようだ。両手には常人では扱えないような・・・・いや、大剣を扱うプロでも両手でなんとか振れるような剣を一つずつ携えている。
両手に持ったその剣をぶらりと垂らしながらこちらをにらみすえる。
『ラム・ガーディアン』
俗に言う竜牙兵というやつだ。
その中でも最強のレヴェルがこのラム・ガーディアンだ。
アヤカの顔に緊張が走る。
ラム・ガーディアンが攻撃を仕掛ける。
左手に持った大剣で薙ぎ払うように切りつけてくる。
ギィン!
「くっ!」
アヤカがなんとか防御する。
盾から数発の光が放たれ、ラム・ガーディアンに直撃するが、ほとんど効いていないようだ。
アヤカは懐からまたクリスタルを取り出す。
しかし今度は色が違う様だ。
「焼き尽くせ、聖なる炎よ!」
そしてクリスタルを投げる。
「バーン・ストーム!」
アヤカが叫ぶ。クリスタルは消え、力が開放される。
ズドォオオオオオオン!!
大地を揺るがしながらラム・ガーディアンの真下から爆炎が吹き上がり、そこにある全てを吹き飛ばす。
ズドォオオオオオオン!!
ラム・ガーディアンが落ちてきた所に、もう1発爆炎が吹き上がり、再度空中へと吹き飛ばす。
ズドォオオオオオオン!!
更にもう1発爆炎が吹き上がる。
合計3発の爆炎にその身を焦がされながらラム・ガーディアンが落ちてくる。
それにあわせ、アヤカが神剣グランスリヴァイバーを抜き放ち、斬り掛かる。
「ふっ!」
上段から真下に一気に振り抜く。
「やぁっ!」
地面に叩きつけられたラム・ガーディアンをスライディングで空中に浮き上がらせ・・・・・
「たぁっ!」
下から上へと斬りつける。
グォオオオオオォォォォ!!
ラム・ガーディアンが苦悶の咆哮を上げる。
しかしまだ死んではいないようだ。
「まだ息があるの!?」
ラム・ガーディアンは怒りに任せて斬りかかってくる。
ゴアアアアアアァァァァァァァ!!
『アドバンスソードX』
両手の大剣でバツの字を書くように斬りつける大技だ。
見た目は地味だが、その大剣の持つ重量に加えラム・ガーディアンの圧倒的な力により生み出される破壊力は凄まじい。
アヤカが弾き飛ばされ、大木に激突する。
「くぅっ!」
何とか身体を起き上がらせる。
しかし怒り狂ったラム・ガーディアンは、アドバンスソードXを連続で出してくる。
起き上がったばかりのアヤカは不安定な体勢でそれを受け、受けきれずにまたもや弾き飛ばされる。
しかも今度は少し当たっていたようだ。鎧の左肩の部分が壊れ、肩から血が滲んでいる。
だが、その表情には勝機を見出したかのような確信が浮かんでいる。
アヤカの表情など気にもせずにラム・ガーディアンがアドバンスソードXを繰り出してくる。
「見きったわ。もう通じないわよ!」
アヤカはそう言い、ラム・ガーディアンの大剣を潜り抜け・・・・
「その身に刻め!」
剣に力を入れる。
すると、神剣グランスリヴァイバーが光輝く。
「神技!!」
そう言い放ち、斬り掛かるアヤカ。
まず上段から真下へと斬りつけ、返す刃で上に振りぬき、更に真下へと切り裂く。
そのままスライディングでラム・ガーディアンを転ばせ、浮いたところを下から上に斬り上げる。
ラム・ガーディアンの身体が空中に浮く。
そのとき!
虚空よりアヤカの3倍はあろうかという長い槍が現れる。
槍はラム・ガーディアンの身体を左下から右上へと串刺しにする。
更にもう1本右下より現れ、左上に串刺しにする。
そして更に、ラム・ガーディアンの真下より、倍以上の太さの槍がラム・ガーディアンの身体を突き抜ける。
3本の槍に串刺しにされたラム・ガーディアンを力ある言葉によって作られた封環がその動きを封印する。
ラム・ガーディアンから距離を取り、アヤカが空中へと飛ぶ。
アヤカの背中から、光輝く羽が現れ、羽から出でた光が巨大な槍となる。
アヤカはその槍を掴み、ラム・ガーディアンへと投げつける。
「ニーベルン・ヴァレスティ!」
槍に纏う光が竜の形を象り、ラム・ガーディアンに突き刺さる。
合計4本の槍はその形を失い、エネルギーの塊となり収束する。
そして・・・・・
ドゴガァアアアアアアァァァァァァァン!!
ラム・ガーディアンを爆殺する。
そしてアヤカは、すでに魂すらも消えうせたラム・ガーディアンに向かって、諭す様に言う。
「魂の束縛は潰えた。この場に止まる理はもう無い」
そしてアヤカは島のある方向を見つめながら呟く。
「・・・・智也・・・いつでも見守ってるからね・・・・・・」
そしてアヤカの姿は消えた。

こうして、誰にも知られない一つの戦いは終わった。


END





後書き-------------
え〜、なぜ彩花がヴァルキリ−になったのか、ヴァルキリ−は世界中の魔獣や魔物と
闘っているのに、なぜいつでも見守っていられるのか、等の疑問には一切応えられません。Σ( ̄□ ̄;)!?



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