----- レジェンド・メイカーズ!! -----
第2章『世界の真実、集う運命』その1
作:メンチカツ



 
「それじゃぁ早速話しましょうか」
ハッピーレインボウへと向かう車の中、コスモスは話し始めた……。
 
 かつて光の神々と闇の神々の戦いの末、ビッグバンと呼ばれる大爆発が起き、宇宙が創造された。それから50億年という年月が流れ、地球と呼ばれる惑星で科学が発達した。
 その進歩の過程の中で魔法の使用方法が発見され、魔法は著しい進歩を遂げ、今に至る。……これが今の世界の常識だ。
 だが、コスモスの話は世界の常識を覆すものだった。
 
「かつて、光の神々と闇の神々の戦いの末ビッグバンが起こり、宇宙が創造された。それから気の遠くなるような年月の末太陽系が生まれ、地球が生まれたんです。そして地球が生まれてから50億年という歴史の中で生物が誕生し、進化して人間が生まれ、そして道具を使い始めた人間たちは科学を手にした」
「ちょ、ちょっとまって!?宇宙が生まれてから50億年じゃないの!?」
「まぁ、そこら辺の話もありますから、今は聞いてください」
 最初からかなり飛んだ話に驚く明を落ち着かせ、話を再開する。
「科学の進化の過程の中で、昔の科学者が魔法の使い方を発見し、やがて魔法をも極めつつあったといいます。しかし、その頃すでに地球は死につつあったそうです。そう、かつて地球が誕生したとき、その溢れる力を思うがままに振るっていた精霊たち。しかし、科学に頼りすぎたために、精霊たちはほとんど消え去ってしまっていたのです」
「精霊が……消えた?」
 まさか……精霊が消えるなんて……そもそも精霊って意識を持ったエネルギー体っていうのが定説のはず……だから何らかのエネルギーがこの世にある限り精霊が消えるなんてことはない……どの魔法学校、ソーサリー・ギルドでもそう教えられているのに……。
「はい。精霊たちは意識を持ったエネルギー体というのが定説ですよね?ですが、精霊たちが操ることができるのは自然のエネルギーだけなのです。ですが昔の人々は科学に頼り、自然を破壊してしまったため、精霊たちはエネルギーの補給ができなくなり、下級の精霊から次々と消えていってしまったのです」
「そんなことが……」
「話を元に戻しますが、精霊の存在を知った人間たちはその事実を知り、精霊をなんとか蘇らせようとしてある大規模な実験を行ったそうです」
「実験?」
「そうです。その時点で地球自体がすでに死につつあることを突き止めた科学者たちは、ある大胆な発想を実行に移したんです」
 地球が死につつある……自然を取り戻してもそう長くないうちに地球が死んでしまう。それはわかるけど……大胆な発想って一体……
「すでに過去に戻ると言うことが不可能であることを知っていた当時の科学者たちは、昔の地球を作ることにしたんです」
「地球を作る!?そんなことが可能なの!?」
 いくらなんでも大胆すぎる発想……まさか地球の創造だなんて……
「科学者たちは大きな魔法を使える者たちを集め、物を操る魔法……「マニオブラル」で隕石を操り、多数の隕石をぶつけあわせ、原初の地球を作り上げた」
 
 原初の地球。
 海は荒れ、風は吹き荒び、火山は常に噴火し続け、大地は鳴動していた。
 そう、地球の創造は成功したのである。
 新しく惑星を創造したため、星の名前を決めるのに意見が飛び交ったのだが、当時の政府はすでに腐食しきっていたため、簡単に言えば「面倒くさいから」という意見で「地球」のままに落ち着いた。
 やがて旧地球にいた精霊王たちは新しく作られた地球へと移り、たくさんの精霊たちを新たに生み出し、その力を戻していった。
 だが、しばらくして悲劇が起きた。
 残された人間たちは宇宙船を作り、まず最初に新しい地球の環境を安定させるために必要な機械、そしてそれを使用することの出来る技術者、さらに的確にオペレートできる指導者を食料と一緒に送り込んでいった。
 宇宙船の建造には膨大な時間が掛かり、一般の市民たちはなかなか移住することが出来なかった。新しい地球への移住計画が始められてから300年の月日をかけ、全人口約200億人のうち実に10億人足らずしか移住が終わっていなかったのである。
 しかし、科学者たちの見解では来るべき旧地球の破滅の日まで、約1500年あると推測され、十分に時間はあると思っていたのである。
 確かに、最初のころは機械を最優先で送り出しており、宇宙船の約4分の3を機械がしめていたのだ。
 だが、予想もしえない悪夢が旧地球を襲ってしまった。
 誰にも予想できることのなかった、最悪の悪夢。
 今の地球の人間に伝えられなかったその悪夢とは、当時こう呼ばれていた。
 『無明の滅び』
 魔王が現れ、再び世界を闇で覆い尽くしたのだ。地球を創造するために、大魔法使いたちが強大な魔法を駆使して隕石を多数ぶつけ合わせた。その際に生じた莫大なエネルギーが魔王を蘇らせてしまったのだ。
 旧地球破滅の日まで約1500年あると推定されていたが、魔王の再誕によりわずか2時間で滅ぼされてしまったのだ。
 このときの被害者数実に170億人強。結局、23億人しか移住できなかったのだ。
 魔王の再誕により、絶望していた新しい地球の人間たちだったが……
 
「たった2時間で旧地球を滅ぼした魔王。その圧倒的な力に人間たちは絶望していたのですが、そのとき、勇者が現れたそうです」
 勇者?……そっか、国王が言っていた話のことね。
「勇者は一人の女性と、大精霊たちと共に魔王に戦いを挑み、そして魔王を封印しました。いくら魔王の力が弱かったとはいえ、封印するのが精一杯だったそうです。そして魔王との戦いで怪我を負った勇者は、魔王の封印を見届けた後……その場で倒れ、命を引き取った」
「そんな……事実があったなんて……」
 今の世界の常識とは遥かにかけ離れたコスモスの話に、私は考え込んでしまった。だが……
「まだ話は終わってませんよ?」
 コスモスの話は、まだ終わってはいなかった……
 
次回へ続く
 
 



あとがき
いや、本当に申し訳ありません。前の投稿からすでに1ヶ月以上経っちゃってます。仕事が忙しいってのは言い訳にならんしねぇ。
それに「言い訳なんて言って良いわけ!?」とかっていわれそーだし。
氷河期が訪れる前に退散〜♪



 感想BBS

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送