----- レジェンド・メイカーズ!! -----
第2章『世界の真実、集う運命』その3
作:メンチカツ



梁滋との話を終え、私たちはBLUE・FORESTへと急いだ。
 やがてBLUE・FORESTが見え始め、気を引き締めたその時……
 BLUE・FORESTの入り口から何かが飛び出してきた。
 飛び出してきた何かはそのまま壁にぶつかり、激しい音を響かせながら壁を半壊させて地面に横たわった。
「梁滋!」
「おう!わかってる!」
 私たちは入り口付近で車を止め、半ば乗り捨てるようにしてその横たわったものに近づいた。
 車に乗っているときから、その正体は大体わかっていた。この状況を考えれば簡単だろう。
 そう、その正体とは……
「大丈夫か!?」
 梁滋のいつもよりもでかい声が辺りに響く。
「……酷い怪我ね」
 そう、梁滋のギルドの団員だった。状況から見て、異形との戦闘でやられたのだろう。
「とりあえず手当てしましょう」
「……手当ては任せた!」
「梁滋!?」
 梁滋はそう言うと、街へ走っていった。
 すばやく手当てを終わらせ、私も立ち上がる。
「コスモス、フェレット、行くわよ!」
「ああ!」
「ふにゃ!」
 ……ひょっとしてフェレットってしゃべらないほうが可愛い?
 そんなことをちょっとばかり思いつつ、私たちも街へと向かった。
 
 幸い街への被害はほとんど無いようだった。さすがに異形が暴れている場所の付近は破壊された後があるが、それでも異形との戦闘でこの程度の被害で抑えられているのは団員たちが善戦している証拠だろう。
 ドガァァァァァァ!
 異形が暴れている。
 異形は人の輪郭で、手足と背中を分厚い甲羅で多い、その甲羅から鋭い刺を10数本生やしていた。顔は歪んで原形を保ってはいなく、背中の甲羅が頭部を庇うように覆っていた。
 異形と相対するソーサリー・ギルドの団員たちは戦闘態勢を保ったまま……後退している?
「食らいやがれぇぇぇ!!」
 私たちの死角……異形の後ろから、梁滋の声が響いた。
「『剣魔合体技・爆埋斬』!!」
 異形が振り替える間もなく異形の脇腹を深く斬り、梁滋は両刃の長剣を横に水平に構えたまま私たちの前に現れた。
 あまりの速さに異形は梁滋の姿を見失ったのだろう。斬られた事にも気付かずに辺りを見回し、梁滋の姿を確認するとその鋭い刺のついた腕を振り上げる。
 腕を振り上げたことでようやく斬られたことに気付いたのか一瞬躊躇いを見せたが、そのまま怪我を無視して腕を振り下ろす。
「危ない!」
 コスモスが叫ぶ。
 だが梁滋は息を吐くと、長剣を鞘に収めてしまった。
 そして……
「……消えな」
 ドォゴォォォオオオオオォォォォン!
 梁滋が呟くと、辺りを揺るがすような音を響かせて異形は爆死した。
「へ、楽勝だぜ」
「……梁滋?」
 不敵な笑みを浮かべる梁滋に私はジト目を向けた。
「……なんだよ?明」
「……この有様、どうするの?」
「…………」
 私の言葉に辺りを見回した梁滋は動きが止まってしまった。
 確かに梁滋は異形を倒した。だが、爆死させたおかげで辺りの建物などに異形の血肉がべっとりと付着していた。
 異形と相対していた団員たちにもそれは降り注ぎ、ちょっとしたパニックになっている。
 ……もちろん私たちにも降り注いでいた。
「……がっはっは、ずいぶんと街模様が変わったなぁ」
「あんたのせいでしょー!」
 まったく、怒りに任せてあんな大技使うからよ。
 気がつくと、コスモスが放心していた。
「どうしたの?」
 服の汚れをふき取りつつ聞いてみる。
「……いや、今のは一体?」
 そういえばコスモスは梁滋に会うのは初めてだったわね。
「今のは梁滋の必殺技でね、剣技と魔法を合体させた『剣魔合体技』のひとつ、『爆埋斬』っていうの。これは相手を斬り付けた際に魔力を相手の体内に埋め込み、その魔力を自分の意思で爆破させ、内部から破壊する技なのよ」
「へぇー、すごい派手な技だなぁ」
 私が説明してやると、コスモスは感嘆の声を上げた。
「へ、俺様にかかればざっとこんなもんよ!」
「でも、破壊力が並外れてる分範囲と対象は狭いのよね」
「う、うるせぇ!」
 そう、梁滋の技は破壊力は物凄いけど、そのほとんどが単体用の技だ。
 だけど、それは梁滋の腕が悪いわけじゃない。範囲が狭いということは、確実に敵に当てなければ効果が無いということで、確実に敵に当てるには接近するしかない。
 異形はその姿も攻撃方法も多種多様。そんな相手に接近するには、それ相応の勇気と度胸がいる。
 梁滋には、それがある。
 これだけでもすごいことだけど、私は梁滋が攻撃を外すのを見たことが無い。つまり、命中率もほぼ100%だと思う。
 ……まぁ、フォローしてあげるのは心の中だけで、声に出してなんかやんないけどね♪
「大体今の異形はGランクでしょ?Gランク程度に使うような技じゃないじゃない」
「なぁにいってやがる!ランクなんざ関係ねぇ。大切なもんをぶっ壊そうとする奴は全力で潰す!それだけだ」
 梁滋の言いたいこともわかるんだけどねぇ。
「まぁ、気持ちはわかるけど、それで街に被害出しちゃだめでしょうに」
「……それについては以後気をつけるってことで」
 まぁ異形も一体は倒したことだし、あんまりいじめちゃ可哀想ね。
「こんなところで話してる場合じゃないわね。次いきましょ!」
「その必要は無いわ」
 私が走り出そうとすると、フェレットが引き止めた。
「……どういう意味?」
「ほら、もうあそこまでBランクが来てるわよ?」
 フェレットの示す方向を見ると、一体の異形がこちらへと歩んでいた……
 
 
次回へ続く
 



あとがき
えーっと、書いててふと思ったこと。
「このなかのコスモスって、ワンピースのサンジみてぇだ」
普段はクールだけど、意中の人にはめちゃ弱い♪
とかいいつつ次回を待て!



 感想BBS

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送