----- レジェンド・メイカーズ!! -----
第3章『真実・仲間・試練』その1
作:メンチカツ



 突然現れた謎の人物(女性?)によって闇の使いは滅んだ。
 だけど、この謎の人物は味方なのか?
 そして、闇の使いが闇の使いではないとはどういうことなのか?
 新しい疑問が増えたけど、今はそれを考えているときではない。
 目の前に現れた謎の人物。あの闇の使いが恐れ、その闇の使いを一瞬で倒すほどの力を持った相手。味方かどうかわからない以上油断は出来ない。
「はじめまして。私は闇の大精霊ミスティ」
 身構える私達に、その謎の人物……ミスティは言った。
「……闇の大精霊!?」
 闇の大精霊といえば、かなりランクの高い精霊。
 この世界の精霊は、地水火風の四大元素に下級精霊・中級精霊・上級精霊・大精霊・精霊神が存在する。精霊神は、精霊王と呼ばれることもある。
 そして、光と闇の精霊は精霊神の上に更に神王が存在する。
 また、余談ではあるがその姿から、闇の大精霊は魔族と呼ばれたり、光の大精霊は天使と呼ばれたりすることもある。
 そう。今私達の目の前にいるミスティは、世間でいう魔族ランクなのだ。
 さらに、定説では闇の精霊たちこそが闇の使いであるといわれているのだ。
 ちなみに魔族とは、闇の使いの更に上位に存在し、下級魔族・中級魔族・高位魔族・神魔とランク付けされているが、闇の使いの存在すら確認されたことがないので、どうやって決められたのかはわからない。
 ……どうせ総理と言う役職を国王で押し通したあの魔法・アニメオタクな国会議員たちが考えたんだろうけど。
 話を元に戻すけど中級精霊以上の精霊が姿を現すことはほとんどないので、世間での呼び名や定説に信用はほとんどないと言っても良い。
 実際、目の前にいるミスティも、魔王どころかどこからどう見ても人間の女性にしか見えない。闇色のストレートの長い髪にやはり闇色の貴族服のようなものを着ている。
 外見上はとても美しい女性だが……やはり大精霊と言うべきなのか、その存在感や威圧感は人間ではありえない圧倒的なものがある。
「なぁ、明。あいつは本当に闇の大精霊だと思うか?」
 梁滋が疑問をそのまま口に出す。
「それはわからないけど……敵ではないようね」
 そう。目の前のミスティからは、何の敵意も感じられない。さきほどの闇の使いはその全身から邪悪な気を発していたが、ミスティからはそれらが一切感じられないのだ。
「とはいっても油断するんじゃないよ」
 ミリアが釘をさす。
 そんな私達のやり取りを知ってか知らずか、ミスティは屋根で呻いているコスモスへと近づいていく。
 思わず私達は身構えるが、その必要がなかったことをすぐに知った。
「大丈夫?」
 そういって、ミスティはコスモスを屋根から救い出し、その体を抱えて私達の目の前に降り立ったからだ。
 ミスティは音も立てずにコスモスを地面に横たえると、その手から闇を生み出し、コスモスの体を包み込んだ。
「!?」
 急な出来事に私達は対応できなかった。
 が、闇は次第に薄まり、闇が消えるとコスモスの体は完全に回復していた。
「……う……ん、治ってる?」
 これが精霊の力なのだろうか。私達人間の治癒魔法の比じゃないわね。
「ありがとう……と言っておくわ」
 私がそういうと、ミスティが答えた。
「ふふふ、お気になさらずに。サービスです」
 ……サービス……精霊にもそういう概念はあるんだ……。
「それよりも、貴方たちに伝言があります」
「……伝言?」
 いったい精霊が何を伝えに来たのか?
 いや、それよりも……誰からの伝言なのか?
「誰からの伝言なの?」
 私は何の気なしに質問した。
 そして……
 その答えに驚きを隠せなかった。
「我らが闇の神王『メンチカツ』様からの伝言です」
「……闇の……神王」
 闇の神王といえば、今現在世界で魔王として認知されている存在だ。
 そう、コスモスから聞いたこの世界の歴史の話でいえば、『無明の滅び』を起こした魔王のことだ。
 いったい、その闇の魔王がどんな伝言を?そしてなぜ私達に?
 疑問が尽きることはなかったが、とにかく話を聞かなくては始まらない。私達は、その伝言を聞くことにした。
「……で、その伝言って?」
「……ふふふ、神王様の言ったとおりだわ。あなた方人間は勘違いをしているようね」
 私の問いにミスティはそんなことを言った。
 勘違い?人間が?いったいなにを?
「まぁ、神王様の伝言はまだ貴方たちには早いようだし、この世界の真実を教えておきましょう」
 ……また真実。なんかそろそろいい加減にして欲しいわね。
「悪いけど世界の真実ならコスモスから聞いたわ」
 いまだ敵か味方かわからないミスティに気を抜かないまま答える。
「そう?ならなぜ人間たちは『イビル』を闇の使いなんて呼んでいるの?」
「……イビル?」
 聞きなれない言葉がでて、思わず質問で返してしまう。
「おい、いったい何の話だ?」
 痺れを切らした梁滋が私に質問してきた。
 ……そういえばコスモスの話を聞いたのは私だけだったっけ。
「どうやら貴方以外はなにもわかっていないようだから、ちょうど良いんじゃないかしら?」
 確かにそうかもしれない。……いや、別に説明するのが面倒くさいわけじゃないわよ。
 結局、私達はミスティの意見を飲むことにした。
「わかったわ。貴方の知っている真実って言うのを教えてもらうわ」
「ふふふ、私の知っている真実って言うか……私は精霊よ?この世の始まりから全てを見届けてきた。初代の精霊たちから記憶は受け継がれるの。これ以上の真実はないと思うわ」
 そうか。コスモスが話した真実は、所詮人間の知っている真実。それも人間の歴史の中でのもの。
 人間の記憶なんて忘れたり薄れたり、時には誇張や脚色、思い込みによって改竄(かいざん)されてしまう曖昧(あいまい)なもの。
 この世界の始まりから全てを見届けてきた精霊の知る真実と比べれば、それは到底真実などと呼べるものではないのかもしれない。
「これを」
 そう言ってミスティが差し出したのは、闇色をした珠だった。
「……これは?」
「その『真実のオーブ』は、神王様が作ったもの。額に当てるだけでいいの」
 なかなか便利なものを作ってくれる。
 これがあればいちいち説明しなくても良いってわけね。
「それでは、用は済んだから私は帰るわ」
「帰る?……いまさらだけど、貴方は敵ではないの?」
 私は意を決して質問してみた。
 それに対するミスティの答えは、簡潔なものだった。
「ふふふ、何のために真実のオーブを渡したと思ってるの?それを使えば、貴方の疑問のほとんどは解消されるはずよ?」
 そう言ったミスティの右の空間に、闇が生まれる。
「ハッピーレインボウへと向かいなさい。そこにイビルの支配する洞窟があるわ。その洞窟のイビルを倒したらまた来ます。その時は……我らが闇の神王メンチカツ様に会ってもらいます」
「ちょっと待って!洞窟はハッピーレインボウのどこにあるの!?」
「それは真実のオーブを使えばヒントがわかるはずよ。その洞窟には、『フェリス・レットアート』の封印を解くものがあるから」
 ミスティの発言に、フェレットの耳が敏感に反応する。
「フェリス……レットアートの封印?」
 フェレットの反応に誰も気付かず、私は質問で返した。
「……フェリス、なにも話してないのね。まぁ、それも真実のオーブを使えばわかるから」
 そう言い残すと、ミスティは闇の中へ入っていく。
 ミスティの姿が闇の中へと完全に消えると、闇も消えてしまった。
「フェリス・レットアートの封印って何だろう?」
 なんとなく聞いた質問に、フェレットが答える。
「私の名前よ」
「……え?」
「私の本名。フェリス・レットアートって言うの」
 初めて聞く話ね。そういえばフェレットのこと何も知らなかったわ。
「とりあえず、真実のオーブを使ってみましょう。考えるのはその後にしましょう?」
 フェレットが提案してくる。
 もちろんその意見に異論はない。真実のオーブでわかるかもしれないことを今質問しても、二度手間になるだけだし。
「梁滋とコスモスもいいわよね?」
「ああ、いいぜ」
「ええ、OKです」
 ふとミリアを見ると、すでにいつもの水色の髪に戻っていた。
「ミリアもいい?」
「もちろんよ♪明ちゃん♪」
 ……もうちょっと金髪バージョンでいて欲しかったかも。
 などと思いながら真実のオーブを見つめる。
「それじゃ、私からやってみるわね」
 そう言って、私は真実のオーブを自分の額に当てた。
「…………!?」
 その瞬間、物凄い量の情報が頭の中に流れ込んできた。
 その情報は、どういう仕掛けなのかはわからないけど、そのままあたかも自分で経験したかのように知識となって記憶に組み込まれていく。
「……これが……本当の真実……」
 私は、その膨大な情報の割りにあまりにも早く−−時間にして数秒−−終わったことよりも、その内容に呆然としていた……。






あとがき♪

えー、なんとミスティが登場しました!
モチロン了解済みです。
てことはあの方もいつかは登場!?

闇の大精霊の登場。
真実のオーブのもたらす真実とは?
フェレットの正体は?
闇の神王がメンチカツ!!超以外!?
次回その謎は全て解けるのか?
ミリアの髪の変化の謎はどうなったんだ!?
楽しみにしてる人は期待してまて!

P・S:第2章その5でミリアの髪を「青い髪」と表現してしまいましたが、間違いです。水色です。ごめんなさい。
次はメモオフのSS書こうかなと思ってます。まぁ、期待しないで待っててね♪



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