もう一つのmemories  off
〜信の告白 届かぬ想い〜 
作:ニンニン



智也に手紙を送ってから数日、信は唯笑に自分の想いを伝えた。
信のこの想いが伝わらないであろうことは知っていたが、
これにより智也と唯笑の関係が幼馴染ではなくなるだろうと考えていた。
自分の行動により二人にとって大切な人とは誰かと気付いてくれるものと信じていた。
いや、信じるというよりも願望であったのかもしれない。
信はその事実に気付いてはいなかった。
そのまま信は唯笑に告白した。自分の想いの全てを。
「今日はありがとう唯笑ちゃん、俺に付き合ってもらって。」
「ううん、そんな別にお礼言われるようなことしてないよ〜。
だって唯笑も楽しんだもん。」
「あのさ唯笑ちゃん。聞いてもらいたいことがあるんだけど、いいかな。」
「うん、いいよ。」
「えーとね唯笑ちゃん。俺・・その好きなんだ、唯笑ちゃんのことが。
友達としてじゃなくて一人の女性として。」
「信クン・・・。」
「俺、ホントに唯笑ちゃんの事が。
だから、だから、俺と付き合ってください!」
「・・・。」
「・・・。」
長い沈黙が続いた。そして最初に口を開いたのは、
「ゴメン、信クン。」
唯笑の方だった。
「唯笑ね、好きな人がいるんだ。
本当は諦めようと思っていたんだけど、信クンの告白を聞いたら諦めきれなくなちゃった。
やっぱりその人のこと本当に好きなんだって気付いたの。
だから、信クンとは・・・。」
「・・・そっか。」
分かりきっていた答えだったが、それでも信の心には大きく響くものだった。
「唯笑ちゃんがそこまでそいつのことを想っているなんてそいつは幸せ者だな。」
「信クン、本当に・・・。」
「スットプ!!そこまで。何も唯笑ちゃんが謝る必要はないよ。
ただ単に俺が勝手に告白して玉砕しただけなんだから。」
唯笑はそれ以上何も言わなかった。
「それじゃあ、唯笑ちゃん。」
「えっ、ちょっと信クン。」
「ゴメン。今日はこのまま一人で帰らせてくれないかな。
そうしたら明日にはいつもの稲穂信に戻っているから。」
「分かったよ、信クン。それじゃあまた明日。」
「それじゃあね唯笑ちゃん。智也と上手くいくといいね。」
「うん・・・ってなんでそこで智ちゃんがでてくるの!?」
「なんでだろうね〜?バイバイ唯笑ちゃ〜〜〜ん。」
そう言い残すと信は走り去って行った。
「信クンってばー!!」
唯笑の叫び声を聞きながら・・・。

「フゥ・・・。」
唯笑と別れた後、信は駅裏の噴水公園に来ていた。
「分かっていたけど、やっぱりな・・・。」
「ハァハァ、信!」
突如、声をかけられた。
「智也。」
「信、唯笑は?」
「フラれちまったよ、見事にな。」
「信、お前・・・。」
「早く唯笑ちゃんのトコに行けよ。
まだ、近くにいるはずだからな。」
智也は信に一礼した後、走って行ってしまった。
「律儀なヤツ。」
信は苦笑した。
「これでも大丈夫だよな。あの二人も、この俺も・・・。」
しかし、物語はまだ続いていた。
今日の信の行動は全ての終わりではなく、始まりへと繋がっていた。

〜あとがき〜
連載3作目です。
ようやく半分と言ったトコです。
どうか長い目で見て下さい。





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