もう一つのmemories  off
〜信の罪〜  
作:ニンニン



次の日、智也と唯笑の二人とも学校には来ていたがどこか雰囲気が違っていた。
「智也」
信はその原因を確かめるために智也に声をかけた。
「信か・・・」
その声には全く生気が感じられなかった。
「昨日のお前の対応は何だ〜?
折角この俺がわざわざ訪ねて行ってやったのに」
信はわざとふざけた態度を取ってみた。しかし、
「ホントに悪かったな」
期待ハズレの返答だった。
いつもの智也ならもっと違ったコトを言い返すはずだった。
(ここまで重症か・・・)
「ホントに何があったんだ」
今度はマジメに尋ねてみた。
「・・・」
智也からの返事は無かった。
「唯笑ちゃん・・・、絡みか?」
「・・・ああ」
智也は搾り出すように答えた。
「何かしたのか?」
その問いの答えを信は聞きたくなかったのかもしれない。
しかし無意識の内に尋ねてしまった。
「何かってレベルのものじゃない。とんでもない事を、一番してはならない事をしてしまったのさ」
智也は自嘲気味に答えた。
「え?」
信には智也が何を言っているのか分からなかった。
「それはどういう意味だ!?」
「もう"ただの"幼馴染にも戻れないってコトだよ。
俺と唯笑は赤の他人になったんだよ」
「な、何を言っているんだ智也!」
「悪いな、信。お前にまで色々と世話してもらったのにこんな結果になっちまて」
「オ、オイ智・・・」
そこまで言いかけて、
-キンーコン カンーコン-
始業のベルが鳴ってしまい結局それきりになってしまった。  

-昼休み-
結局あの後智也は何も話してはくれなかったので、信は唯笑の方に尋ねてみた。
「唯笑ちゃん、あのさ話があるんだけど」
「信クン」
「ちょっと、良いかな?」
「智ちゃんのことでしょ、・・・いいよ」
「そっか。それじゃあ屋上でいい?」
「うん」
二人は屋上に向かった。
「あのさ唯笑ちゃん、率直に聞くけど・・・」
信は屋上に着くとすぐに本題を切り出した。
「智也と何があったの?」
すると唯笑は
「何も無かったの。結局智ちゃんの心の中に唯笑の居場所は無かったの。
唯笑じゃあ彩ちゃんの変わりになれなかったの。
智ちゃんの中に唯笑はどこにもいなかった、だから何も無かったの」
唯笑は淡々と語っていった。
どこか寂しげでそして諦めきった瞳をしながら・・・。
「唯笑ちゃん」
信にはかける言葉が見つからないでいた。
(俺は彼女に何て言えば良い?
大丈夫だよ・・・違う!そんな事無いよ・・・違う!
彼女が待っているのは俺の言葉じゃない!!)
「大丈夫だよ、信クン。唯笑は泣いたりしないから。
もう充分楽しんだもん。数週間智ちゃんの傍にいられたから」
「唯笑ちゃん・・・」
(ナイテイル、コノコハナイテイル)
しかしそれが分かっていても信には何も出来なかった。
「彩ちゃんが、智ちゃんの中にはいるから。
智ちゃんは唯笑がいなくても大丈夫なんだよ」
「彩ちゃん?」
信は初めて聞くその名前に反応した。
「そう、彩ちゃん。中学の時に智ちゃんと付き合っていたの。
そして、唯笑と智ちゃんの幼馴染だったの」
「えっ!?『だった』って、どういう事」
「・・・死んじゃったの、交通事故で。智ちゃんに傘を届けようとして・・・」
(もしかして・・・いやもしかしなくてもあの娘だ!)
信には唯笑が誰のことを言っているのかが分かった。
それは信が助ける事の出来なかったあの少女のことだった。
(俺が・・・。俺のせいで智也も唯笑ちゃんも苦しませている。
昔もそして現在もそれは変わっていないじゃないか。
何が智也と唯笑ちゃんを付き合わせるだ。
俺は一体何をしたんだ。
親友の彼女を見殺しにした挙句、良かれと思ってやった事がさらに二人を苦しませて最悪の結果を招かせてしまっただけじゃないか)
そのとき、信(影)のいっていた、
『君の罪がもう一つ増えるという事さ』
の意味が理解できた。
「信クン、唯笑もう戻るね」
しかし、信の耳に唯笑の言葉は届いてはいなかった。



〜あとがき〜
やっと5話目です。
私にもっと文才があれば唯笑と信の会話が繋げられたのですがこれが限界でした。
今回は自分の力量不足がいやでも目に入ります。
皆様どうかそこは寛大な目で見て下さい。
ちなみに次が最終話です。最終話はエピローグ付き(予定)です。
さて、最終話はどうしようかな〜。まだ半分程度しか決まってません(泣
皆様感想がある人は辛口でも良いのでお聞かせください。



 感想BBS

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送