『淡い雫 〜君の頬を伝うもの〜』
作:刃 仙人



風のような弱さに流されて

いつかたどり着いた場所 

ひとり ひざを抱えていた

いつからそうしていたのか 

もう覚えていないけど


目を閉じても見える 

壊れてゆく夢のかけら


意味のない繰り返しなら 

人はなぜ願うの?


幾度となく問いかける

そうすることにも疲れて

ゆっくりと 忘却の彼方に還っていく





長い時間が経って

大切な何かを忘れた気がして

でも思い出せなくて

なぜかとても悲しくて

それもどうでもよくなって

まどろみに身をまかせる




・・・だけど

なんだろう

ふいに聞こえる つぶやき

忘れていた 自分の名を

誰かが呼ぶ

なぜか ひどく懐かしくて

うつむいたまま 目を開けてみる


握りしめた手の中に

なにかがとどまっていた 


――これは


小さな光
 
今にも消えてしまいそうな 

たしかな灯火


震える指で そっと触れてみた

響いてくる 優しい呼び声

心の奥に染み込んで

失くした何かを探すような・・・


――そうだ


広がってゆく景色

どこまでも澄みきった空


何かが形になっていく

手をのばせば届きそうで


やがて

近づいてくる影

遠くこだまする歌声


――あの時の


ゆっくりと、振り返る

風になびく髪

穏やかな微笑み


そして 

いつかの懐かしい面影に

あの光が重なって――



そして・・・







ひとつぶ







涙が







こぼれた









最後に見たのは 夢

人を愛した記憶

捨て切れなかった想い


どうしてだろう

せつなさに 目がかすむ

思い出せたことが嬉しいのか

忘れていたことが悲しいのか

・・・・・・わからない


ただ・・・

淡い雫だけが

しずかに頬を伝う



刹那――

辺りを包んでいた光が

空に吸い込まれて 

消えた



そっと瞼を閉じ

大きく息を吸う

かすかに感じるぬくもり

きつく抱きしめた手を

静かにかざす


流れていく風

止まっていた時が

また動き出す


これが正しいことなのか

本当は分からない

だけど

一つだけわかったことがある

涙とともに溢れだす想い

それはきっと

失くしてはいけないものだから


だから

もう一度問い掛けてみよう

あのまっすぐなまなざしに

その奥に宿る強さに


きっと紡がれる

たしかな答えを 信じて・・・











無意味なんかじゃない











世界は、無意味なんかじゃない!







Fin







苦肉の策の独り言


『淡い雫 〜君の頬を伝うもの〜』読んで頂けましたか?
この詩は、フリーゲーム「Nepheciel(ネフェシル)」と、
イメージソング「ツナグソノテ」がモデルになっています。
二番煎じにならないように気をつけたつもりでしたが、いかがだった
でしょうか。

この詩を書くにあたって一番のポイントだったのは
自分の中のイメージに近づくということでした。
実を言うと、俺はあまり表現力に自信がありません。
漠然としたイメージがあってもそれを上手く形にできずに
妥協して書いたことは、実際は何度もありました。
それでも頑張って書いたものなんで、自分でも納得しているんですが
やはり悔しく思う部分がどっかにあったんでしょうね。
そのもやもやを払拭しようと、今回はとことん足掻いてみました。

イメージにどこまで近づけるか、地道に推敲を繰り返していくのは
はっきり言って辛くて、苦しくて・・・
なんとか完成形が見えてきた頃には、二ヶ月以上が過ぎてました(汗
もうそれだけで中編SS書けるくらいの・・・
よくもまあこれだけ時間をかけもんだと自分でも思いましたが、
一つの詩にここまで本気になれたのは初めてだったので、そのまま
最後まで突っ走りました。
書き上げた今は、どうだっ!!っていう気持ちなんですが
皆さん、察してやってください(笑)

他にも書きたいことは、それこそ山のようにありますし、
つっこみどころもいろいろあるかもしれませんが、
俺自身すでにほぼ完全燃焼して燃えカスになってますので(笑)
また別の機会にしたいと思います。

それでは、ここまで読んでくださった皆さん、
本当にありがとうございました。
途中紆余曲折あってチャットで愚痴をこぼしたとき、寛大にフォロー
してくれたBFのメンバー、どうもありがとーーーーーーっ!
特に、多くのアドバイスとインスピレーションを与えてくれた
NKさん、月守さん、コスモスさん、daikiさんらには、最大級の感謝を。
そして書いているあいだ、栄養ドリンク代わりに何百回と聴き続けた
「ツナグソノテ」と歌い手の霜月はるかさんに、ありがとう!の一言を。


締めに送る、この詩に込めて・・・




最後に残された絶望

願いはいつもそこから生まれ

それを希望に変えて

人はまた進む


だから 託してみたいと思う

人が生きる意味を

願いが生まれたわけを


君とつなぐその手の 

あたたかいぬくもりを

信じてみようと思う・・・






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