バトル・オブ・ライフ
海瀬流 夜魔

vol.12 例えば私の彼女を見て







今さら言いたかないが敢えて言おう。


―――俺は二次元生命体だ。


あらら、「俺」なんて言っちゃって。どうしましょう、私ったら。
今日だけは笑って許してbyアッコで突っ走るのでよろぴく……。


―――気が付けばコントローラーが手元にあったあの日。ファミリーコンピューターは世界一の文明の利器だと信じて疑わなかったあの頃。俺の実体が架空のものと化し始めたことは今さら否定しない。

初めて買ったハードの輝きは、14800円を感じさせない革新的な最新型メカだった。無論今でも現役だ。
スタートボタンは所謂1コンにしか付いていなくて、ルイージを操作する2コンプレイヤーは落とし穴やパックンフラワーの上にジャンプした瞬間、苦汁をなめることになる。


「ピコピコーン」
「チャッチャチャラララ〜♪」


そう。あの悪魔的なマジック。
自分の番に早く回したいがために失った友情の数々。
ハイリスクノーリターンと言ってはいけませんよ?
当時の子供たちには死活問題だったんですから。
皆さんも経験済みだとは思いますが……。
え……私だけ? またまたご冗談を。


マリオかルイージかが社会的な問題を引き起こすことを任天堂社員は予測出来なかったのだろうか、と小一時間問い詰めたくなるのも無理は無い。
しかし驚くべきことに、彼らはきっちりと対策を施していたのだ!
「マイク」の存在である。
1コンのタイム戦略にはらわたが煮えくり返ったであろう2コンプレイヤーの逆襲方法とは、ブーイング戦法。
マリオがジャンプした瞬間に罵倒を浴びせ、クリアに近づいたらこれでもかと繰り返す。

……正直虚しい。

まあ、キラーの出現するステージでは発射音を分からなくするという点において有効な手ではあるが、それも馴れてくれば意味が無い。
鬱陶しいだけだ。
そこで1コン側は考える。


……一つ留意点。1コンプレイヤーとは大抵ファミコンの持ち主だったりするわけで、その権力は絶対的なものであったと俺の過去ログに記憶されていることを御了承の上、読み進めることを推奨……。


そう、マリオ操作プレイヤーが編み出した最強にして最悪の最終手段とは……。


「テレビの音を消音にする♪」


もうお分かりでしょう。テレビの音声端子と繋がっているハードのコントローラーに付属しているマイクは意味を成さないただの飾りなのです。


かくして任天堂の対策は何の意味も成さなかったのだった。


1990年。革命が起こった。
スーパーファミコンの登場だ。


ここで一つためになる知識を披露しましょう。折角読んで下さっているのに何も得るものが無いんじゃ損ですよね。
聞きたくないって? 遠慮はいりませんよ、お客さん。
実はですね……スーパーファミコンとはスーパーファミリーコンピューターの略ではないのです。どうです。知らなかったでしょう? いやはやこれで人生の30%くらい徳しましたね。


……本題に移ろう。
25000円のこの代物。斬新な丸型コントローラーには2つともスタートボタン、セレクトボタンが付いている。世界が変わった瞬間だ。
これでマリオ対ルイージの鬼のような友人喪失劇場に終止符は打たれることとなる。
思えばPCエンジンにメガドライブ、ネオジオなんてものも存在していた。買わなくて良かった。CPU不足もなんのその。国内1700万本を売り上げたこのモンスターマシーンは俺を虜にした。
新たに発売されたドラクエ5。データが何度消えてもあきらめることの許されないinfinityループ。
FF4。磁力の洞窟の在り処がわからずに数ヶ月放置した日々。
TOF。リザードマンに石化させられユミルの森を一向に抜けられない罠。
苦難と栄光の道のりは俺を漢として磨き上げた。


―――思えばこの時からだろうか。俺の実体が既に架空のものと化してしまったのは……。


1994年。2大巨党の誕生。94年体制の幕開けである。
セガサターンとプレイステーション。
前者は44800円、後者は39800円の破格だ。
俺は無論両方をゲット。
メモリーカードはパワーメモリーよりも耐久性があるのか。
サターンは姿を消してゆく。俺の青春と共に。

1996年。ニンテンドウ64。25000円。
ソフト不足により壊滅。買った俺も現世から消滅。

1998年。ドリームキャスト発売。29800円。
専務の行方は知ったことではない。ちなみに現役で快調に稼動中。


―――さて、ゲーム史と共に俺の人生は歩んできたことは概ね理解していただけたとして、自己完結させたいと思う。


制服を着て授業中にゲーム雑誌を読んでいた俺。
学校祭でキャンプファイヤーを皆が踊っている中、怪しげな友人たちと共に陰に隠れてゲームボーイで遊んでいた俺。

みんなかけがえのない思い出だ。










「―――かけがえのない想い…みつけた。」










――――今、俺は、世界を見つめている。

だがそれは、おそらく皆さんとは違う視点からだろう。








「私」は二次元という異空間に存在せし者……「海瀬流 夜魔」……








…………扇風機に弱いという説もあったがそれは今でも謎っぽい。




この物語はフィクションであり、実在の人物・団体名とは関係がございません。きっと。おそらく。そして多分。





あとがきなのだろうか、これは。

皆さん、こんばんは。海瀬流 夜魔です。私の名前が読めなかったらそれはご愛嬌。
二次元空間には昼は存在しないという仮定に基づき、私の挨拶は「こんばんは」だけらしいです。
このシリーズは面白いな〜、と思ったので投稿してみた次第です。本家へのSSの投稿は初めてらしいです。最初で最後になる可能性も否めませんが(笑)
タイトルにつられて恋愛ものだと思って読み進めてしまった方にはご愁傷様。
まあ私の彼女がこのSSでは何であるかは、お分かりいただけたと思います。
作成までの時間は分かりませんね〜。二次元に時間軸は無いもので……。
これを事実と受け取るも冗談と受け取るも皆さん次第。
真実は私だけが知っています…。きっと。

もしよろしかったら感想でも書いてやって下さいませ〜。


捕捉:ファミコンスタートボタンの罠……ルイージが落とし穴回避のためにジャンプした瞬間、マリオ操作プレイヤーはスタートボタンを押す。
すると、「ピコピコーン」と音がしてタイムがかかり画面が止まる。
何してるんだ、とルイージ側プレイヤーが言った瞬間にマリオ操作プレイヤーはタイムを解除する。すると、おなじみの「チャッチャチャラララ〜♪」の効果音と共に身動きのとれなくなったルイージは穴に一直線。ゲームセットという罠。
これはスタートボタンがついているコントローラーを操作するマリオ操作プレイヤーのみに可能な芸当でなのである。
1コン……1コントローラーのこと。
2コン……2コントローラーのこと。


長い補足だな……。
運が良ければBBSかチャットでまたお会いしましょう。
ではでは♪



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