4月16日、一つの哀しい物語が終わった日。
 その夜半、天気が急変しました。
 春嵐の夜でした。
 叩きつける雨が草葉を濡らし、吹き荒ぶ強風が桜を散らせてゆきました。
「………………………………」
 この日、私のクラスからまた一人、遥かな高みへと旅立たれた方がいました。

 その方の通夜が行われたのは、運命の日の翌日。
 その日も雨音は止まず、風音が吹き鳴らされていました。
 そんな中、私はほっとしていました。
「……君は?」
「お休みになられているそうです。
その……疲れが……ひどすぎるそうなので……」
「………………………………」
 会わずにすんで良かった。
 心の片隅に、そう思う私がいました。
 そんな自分が、嫌でたまりませんでした。

 通夜が明けた朝。
 空は変わることなく、明けることなく、昼というのが嘘のようでした。
 白い傘がよく映えるのでしょうね、そんなことを思いつくような空模様でした。
「……おはようございます」
『………………………………』
 毎朝交わされてきた挨拶。
 でも、今朝は一方通行。
 暗鬱とした教室で、私の囁きだけが途方に暮れていました。
 唯だ笑い続けていらした方も、唯だ雨に煙る街並みを眺められていました。

「双海先輩」
「…………?」
 振り向いた先には、最近知り合ったばかりの後輩。
「……様子は、どうなのですか?」
「いえ、まだ鎮静剤で……」
「まだ……なのですか……」
「はい、でも、一応今朝の投与でおしまいだそうです」
「そうですか……大丈夫なのですか?」
「……様子見、だそうです」
 雨を浴び続ける校舎の白壁が、灰色に見えるのは何故でしょう?
 今日もまた、時間だけが過ぎていきました……





Memories Off Nightmare
第十九章「無題」
 Produced By コスモス






 そして、運命の日から三日目の朝。
 見上げれば、からりとよく晴れた青い空。
 全てが嘘だったかのように、嵐は消えてしまっていました。

 彼の姿と共に……

 私がそのことを知ったのは、それから数時間後のことでした。









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あとがき

 「うわっ、短ッ!!」というのは、お・約・束♪(^^;
 皆様こんにちは、コスモスです。m(_ _)mいつも長々ですので、たまにはこんなのも新鮮でいいかな〜〜?などと思ったりしてこんな章構成です。さて、本文よりあとがきの方が長いなんてことになるのはあまり笑えませんので、短いですが今回はこの辺で♪
 さぁ、それでは続けて、メモオフナイトメア第二十章「夢幻」へGO!!


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