----- レジェンド・メイカーズ!! -----
第3章『真実・仲間・試練』その3
作:メンチカツ



「ところで、イビルとか異形の事がいろいろわかりましたけど……国王に報告しなくていいんですか?」
 私達は私の愛車『インフィニティ』でハッピーレインボウへと向かっていた。
「別にいいんじゃない?国中の旅をしながらイビルの情報収集と異形を倒すのが仕事だし」
 それに梁滋とミリアも同じ情報を持ってるし、よほど頼りになる。
 しばらく他愛の無い話をしながら進むうちにあたりが暗くなってきた。
「そろそろ暗くなってきたし……今日はこのくらいにして宿でもさがそっか」
「そうですね。まぁ、ここら辺までくれば明日にはハッピーレインボウに着くでしょうし」
 魔法都市オレンジサンシャインの中の小都市のひとつ、旧名松山の『オーシャンブルー』。道程の4分の3は消化したと思う。
 私達は早々に宿を決め、夕食を食べるために繁華街へと繰り出した。
「コスモスは何か食べたいものある?」
「俺は修行してたからよくわからないんですよ。だから明さんの食べたいものでいいですよ」
「そう?じゃぁあれにしよっと♪」
 私の大好物!その名も『へらへら』!!具の無いお好み焼きを薄く延ばして焼いて、醤油で味付けしたごくごく簡単な素朴な料理。私も家ではよく作ってるけど、こんな風に遠出するときもよくお店で食べるの!
「へ、へらへら?変な名前ですね……」
「美味しければいいのよ!」
 私も変な名前だと思うけど。でも、薄く焼いた料理だからへらへら。シンプルでいいわ!
 慣れない道をへらへら店を探して歩き続ける。
 歩き続けること約5分!
「あ!元祖へらへらの店の直営店だわ!やったラッキー♪コスモス、いくわよ!」
「は、はい!」
 SSシティーにある元祖へらへらの店『和』の直営店、『禅』を見つけた私達は、早速店に入った。店内は和風で、テーブル席、座敷席においてあるテーブルには、お好み焼きのように真ん中に鉄板がはめ込んである。
「座敷とテーブル、どちらになさいますか?」
「もちろん座敷で!」
 やはりお好み焼きやもんじゃ焼きに同じく、へらへらも座敷で食べるのが通というもの!このくらい常識よね!
 席に着いた私達のところに店員が注文をとりに来る。
「御注文のほうはお決まりでしょうか?」
「へらへらを大で2つお願い♪」
 へらへらの店にはメニューはへらへらしかない。へらへら1人前でへらへら4,5枚に変わったもんじゃ焼きが食べれて、十分お腹が一杯になる。もちろん生地を全部へらへらにして食べてもOK!へらへらは薄いからすぐ焼けてたくさん食べれるのよね♪
 ようするに食べれる量を選ぶだけなんだけど……コスモスは男だしこれくらい食べれるわよね。
「お飲み物のほうはどうしますか?」
「私は烏龍茶で。コスモスは?」
「俺も同じで」
「烏龍茶2つですね?それではしばらくお待ちください」
 そういうと、店員は下がっていった。
「さぁて、早く来ないかなぁ♪」
「……そ、そんなに美味しいものなんですか?」
「そりゃもちろん……」
 私が言いかけた時だった。
「俺を馬鹿にすんじゃねぇ!!」
 奥の方のテーブル席から罵声が飛んできた。
「そんな!滅相もございません!お客様を馬鹿にするなどと……」
「じゃぁこれは何だ!?メニューが一つ!?馬鹿にしやがって!!こんな店ぶっ壊してやらぁ!!!」
 かなり物騒なことを叫んでる。
「ただごとじゃないわね」
 私の大好きなへらへらの店を壊すなんて許さない。
「み、明さん?」
「ちょっと行ってくるわ」
 そう言って私はテーブル席のほうへと近づいていった。
「何だお前は!!お前も俺を馬鹿にするのか!!」
 暴れているのは男のようだ。年は10代後半のよう。何をいきがってるんだか。
「ちょっとあなた、うるさいのよ!」
「な、何だと!?」
 男がこっちを振り向く。
「私の大好きなへらへらにけちつけるんなら相手になるわよ!」
「こ、このやろ……ぐあ!?」
 いきなり男が気を失って倒れる。
「食事時に迷惑な奴ですね」
 そういったのはコスモスだった。そう、私のほうを向いていた男に当身を食らわせたのだ。
『おー!いいぞ兄ちゃん!』
『よくやった!』
 なんか声援を送られてるし。
「じゃぁ皆さん、ごゆっくりどぉぞぉ〜♪」
 そういいながら男を引きずっていく私。
 とりあえず倒れた男を私達の席まで連れて行き、喝を入れ、目覚めさせる。
「……うぅ……ここは……んあ!?」
「おはよう」
「お、お前は!」
 眼を覚ました男が、驚いたように立ち上がる。
「まぁまぁ、座んなさいよ」
 コスモスは黙ったまま事の成り行きを見守っている。
「な、なんであんたの言うことなんか……」
「あんたへらへら食べたことあるの?」
「あ、う……無い」
 予想通り!一度食べたらこのメニューにも合点がいくはず。あんなことを言うのは食べたことの無い証拠よね。
「あんたがどんなものを嫌おうと勝手だけど、せめて食べてからいちゃもんつけたら?」
「メニューが一品だぞ!?そんな店ほかに……」
「いいから食べて見なさいって!食べればわかるわよ!」
「……わ、わかったよ」
 私の言葉にようやく静かになる男。店員を呼び、へらへらの大を1つ追加した。
 無言で待つことしばらく、ようやく店員がへらへらを持ってくる。
「来たわ来たわ私のへらへら!さぁ焼こうさぁ食べよう!」
「明さん……なんか変です……」
 ボソリと呟くコスモスを放って置いてへらへらを焼き始める私。
 ジュウウゥゥゥゥゥ……
 生地を適量たらし、伸ばす。そして待つこと10秒、返して5秒。さらに醤油をたらして返し5秒焼く!わずか20秒で一枚のへらへらが焼きあがる!
「ほら、出来たわよ。食べてみなさい」
「え?……さ、最初に食べていい……の?」
 変なところで謙虚な奴である。今までの台詞もそうだったけど、あまり悪い人間には見えない。
「じゃぁ……いただきます」
 しかも丁寧に箸を持って手を合わせてるし。礼儀もいいぞ!
「ハフホフ……ホムホム」
「お味はどうかしら?」
「……うまい……すっごい美味い!」
 これでまた、へらへらファンが生まれたわね。いいことだわ♪へらへらは友達の和を広げるのよ!!
「さ、みんなで食べましょ♪」
 それからしばしのとき、3人で楽しい食事の時間を過ごした。

「もう満腹!もうはいらないっス!」
「俺もおなか一杯です〜……」
「あぁ、至福のひと時だったわ♪」
 みんなでへらへらを6枚ずつ食べ、最後に余った生地でもんじゃ焼きを食べて食事は終わった。
「すいませんでした!」
 男がいきなり謝る。
「な、なによいきなり。どうしたの?」
「食べもせずに暴れたりしちゃって……ほんとすいませんでした!」
 どうやらへらへらの美味しさが身に沁みたようである。
「でも、どうして暴れたりしたの?」
「はい。実はオレ、田舎の出なんですよ。で、ひとつしか無いメニュー表渡されて、てっきり馬鹿にされてるんだと……」
 ……まぁ、確かに初めての人間にはびっくりするメニューではあると思うけど。
「そんなことしてたら商売上がったりじゃないの……。私達は客なんだから、そんなこと気にせずに堂々としてればいいのよ!」
「はい、そうっスね。自分が馬鹿でした」
 確信。こいついい奴だ。素直でいいわ〜♪
「私達はもう帰るけど……あなたは?」
「オレも帰ります。明日も早いんで」
「そう……じゃぁ、ここでお別れね」
「はい、またどこかで会えたらいいッスね!」
「なんか俺ほとんどしゃべって無いけど……楽しかったですよ」
 こうして私達は新しきへらへらの友と別れた。

「そういえば……」
 宿への帰り道、コスモスが何かを言いかける。
「何?」
「あの人の名前聞いて無いですよね」
「…………」
 忘れてた!成り行きが成り行きだけにうっかりしてたわ!ていうか自己紹介するタイミング無かったし!
「ま、まぁ、縁があればまた会えるわよ」
「へらへらの店でですか?」
「そーゆーこと言う?」
「あはははは……すいません」
 二人して笑ってるうちに宿へと着く。
「今日は楽しかったわねぇ」
「ええ、本当に」
「明日はハッピーレインボウへとつくはず」
「……フェレットの封印の洞窟……ですね」
「気合入れていかないとね」
 そう、明日はイビルがいると言うフェレットの封印の洞窟へと到着するだろう。イビルがいる……でも、敵はイビルだけなのだろうか?
「……そういえば……」
「ん?どうしたの?」
 コスモスが何かを思い出したように話す。
「……フェレットがいないみたいですけど」
「……ああ!車の中だわ!」
「やばいですよ!一人だけ夕食食べれないってのは!」
 私達は慌てて車へと駆けて行くのだった……

 そのころフェレットは……
「……私ってそういう扱いなのねぇ」
 すっかりいぢけていた。



あとがき

どうもどうもお待たせしました!
レジェンドメイカーズ第3章その3をお届けしました!
メンチカツです。
閑話休題というか休憩的なものですがどんなんでしょ?
次回からはまたストーリーが進んでいきます!
なんかレベルダウンした気もしますが、
どうか見捨てずに付き合ってやってくださいませ!!



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