----- レジェンド・メイカーズ!! ----- |
第3章『真実・仲間・試練』その4 |
作:メンチカツ |
一夜明けて私達は再び私の愛車『インフィニティ』でハッピーレインボウを目指していた。 すでにオレンジサンシャインを抜け、ファインカインドの領地に入っている。 「後もう少しでハッピーレインボウに入りますね」 そう、もう少しでハッピーレインボウへと入る。 だが、私達が目指しているのは街ではない。私達が目指しているのは……フェレットの、フェリス・レットアートの封印を解く洞窟なのだ。 しばらく進むうちに一本のわき道が見えてくる。 ハッピーレインボウ領地の山へと続く道だ。 「ここから先は歩いていきましょうか」 私はそう言って、麓の駐車場へと車を止めた。 二人肩を並べ、わき道を進んでいく。フェレットの籠はコスモスが持っている。 「う〜ん!気持ちいいですねぇ!」 コスモスが伸びをしている。 確かに木漏れ日は暖かく、時折吹きすぎてゆく風が涼しく気持ち良い。 だが。 「けど……妙じゃない?」 「えぇ、妙ですね」 そう、この山はおかしい。私達が歩く音以外、なにも音がないのだ。あまりにも、不自然に静か過ぎる。 「てゆーかコスモス、それに気付いててよく伸びなんて出来るわね」 「別に何かの気配があるわけですから」 うみゅぅ、この自信はいったい……頼りにしていいのか? 結局コスモスの言うとおり、何事も無く洞窟の入り口まで来てしまった。 目の前に聳え立つ垂直のような山肌にぽっかりと空洞が空いている。 「んー、順調すぎるわねぇ」 私がそういったときだった。 「ちょっと待ってもらおうか」 声がした。しかも上から。 「誰!?」 私はそういい、コスモスとともに身構える。 「安心しろ、俺は敵ではない」 そういいながらゆっくりと降りてくる。 前にあった闇の大精霊ミスティと同じような印象を受ける。違う点といえば髪が短いことだろうか。 そして地上に降り立つ。どうやら男のようだ。 「俺は闇の大精霊の『まる』だ」 ま、まる?なんか精霊っぽくない名前のよーな……。 「で?その大精霊さんがなんのようなの?」 「ミスティが忘れたそうなんでな、俺が代わりに来た」 わ、忘れごと?精霊も忘れたりするのね。なんか親近感沸いちゃったわ。 「ミスティに黒い玉をもらっただろう?それを出してくれ」 「黒い玉……真実のオーブの事?それならここに……どうぞ」 「ミスティの奴真実のオーブなんていってるのか……あいつらしいな」 まるはそんなことを呟きながら、なぜか優しい微笑を浮かべていた。 「これの本当の名前は『深遠なる闇の瞳(ダーク・アイ)』というんだが……やはりミスティは忘れていったようだな」 まるは真剣な顔になると、私が持っている真実のオーブ……いや、『深遠なる闇の瞳』に手をかざした。 「我は闇の大精霊まる。我らが神王の名の下に、その力を解き放て」 まるがそう呟くと、『深遠なる闇の瞳』は一瞬光を放ち、元に戻った。 「今のはいったい……これは!?」 光が消えた……そう思った瞬間、力が溢れてきた。これが『深遠なる闇の瞳』の効果なの!? 「それの力を解き放った。お前達は闇の加護を受けられる」 「闇の加護?」 「そうだ。だが勘違いするなよ?闇の精霊に憑依したイビルの力は闇に似ているが闇ではない。……悪意の力だ。他の精霊に取り付いたイビルにも言える事だがな」 確かに、前に戦ったイビルの放った黒い力は禍々しく感じたが、それに対するあのミスティの放った力は純粋な闇に見えた。 「まったく、ミスティもこんな大事なことを忘れやがって……このままイビルと戦ってたらお前達死んでたぞ?」 Σ( ̄□ ̄;)!?。 「そ、それは助かったわ。ありがとう」 「俺の用はそれだけだ。じゃぁな」 それだけ言い残してまるは闇に消え、あとには微かな闇が残った。が、その闇もすぐに消え去った。 「でも明さん、これ凄いですよ。精神力も力もかなりレベルアップしてます」 「ええ、でも逆に言うと、このくらいじゃないとここのイビルには勝てないって事よ。気を引き締めていきましょう」 「……もう一つ」 不意にフェレットが口を挟んできた。始終無言だったので寝てるのかと思ってたけど……。 「相手がイビルかどうかも判別出来るようになってるはず。そして闇の魔法もほぼ使えるようになったはずよ。今の人間が知らない闇の魔法もね」 いったい何を……そう思ったとき、フェレットの言葉がきっかけになって、私達の意識は闇の魔法に集中した。 「これは!」 隣でコスモスがはっとした様に叫んだ。 私達の知らない知識が……勝手に整理されていく。 「……ん〜!!試してみたい!さっさといくわよ!コスモス!!」 「え?あ、はい!」 私達は洞窟へと足を踏み入れた。 『!?』 まるで洞窟の入り口が境だったかのように空気が変わった。 「……異様に冷えてるわね」 「……気をつけてください。複数の気配を感じます」 言われてみれば確かに気配を感じる。しかも複数と言っても数十という単位で。 「これ全部……敵よね?」 「多分、そうでしょうね」 まさか数十の敵が一箇所に居るはずはないと思うけど……。 「コスモス、ちょっといいかしら?」 フェレットが口を挟む。 「どうしたんですか?」 「このままじゃ戦いにくいでしょう?私を籠から出して。私はこの姿でも戦えるわよ」 確かに剣士のコスモスにとって両手が使えればかなり楽だろう。でも、フェレットがどの程度戦えるのかわからない以上出していいものかどうか? 「ほら、敵が来るわよ!」 私が悩んでる間に敵が近づいて来ていたようだ。 「……仕方ないですね。フェレットさん、死なないで下さいよ」 こちらに気付いたのか、敵が姿を現す。 敵は2体。いずれも兎の異形のようだ。 動物がなぜ異形化するのかはあまり解明されていないが、スピードや跳躍力など、動物特有の動きが強化されたりしていて結構手ごわかったりする。 ちなみに、動物は異形になる時に抵抗しないのかどうか分からないが、雰囲気が凶悪になるもののそのまま大きくなった姿でいることが多い。 今目の前にいる兎の異形は……2メートルはあるだろう。 「キュイィィィイイイイ!!」 目の前の兎の一体が突如叫びながら走り出す。……いや、前方にジャンプしたといったほうが正しいだろう。 「……く!速い!」 何とかかわす。兎はそのままかなりの距離を飛んでいった。 その隙を埋めるようにもう一体の兎が鋭い前歯で襲い掛かる! 「……うぉ!?」 ゴガァ! コスモスも何とか攻撃を避けたが、兎の鋭い前歯はそのまま壁を抉った(えぐった)。 後ろではすでに態勢を立て直した兎がいる。 「あれ食らったらひとたまりも無いわね」 私がその様子を見ながら構えなおしたときだった。 「フゥゥゥゥゥウウウ!!」 フェレットが唸りながら後ろの兎に飛び掛っていく。 「キュイィィイイ!!」 兎が両の手の爪を伸ばしてフェレットに振り下ろす。 が、フェレットはその攻撃を横っ飛びにかわし、そのまま兎の頭の上の壁に飛びつき…… 「風の精霊に告ぐ!見えざる刃となりて我が爪に宿れ!!」 そういいながらのけぞるようにして爪を振りかぶる。その爪が淡い緑色の光に包まれた。 「『風爪斬(ふうそうざん)』!!」 その言葉とともに両腕を振り下ろす。すると、その爪の軌跡を描くような緑の光が疾る(はしる)。 「ギュイ!?」 振り返った兎の目にその光が映り……その姿を5枚に切り裂いた。 ストッ そんな軽い音を立てながらフェレットは地に降り立ち、呟く。 「どう?これでも頼りにならないかしら?」 ……風が語りかけます。強い、強すぎる!……そんなくだらない言葉が私の頭の中に響いてたりしたが、兎はもう一体残っている。 「フェレット、悪かったわ!頼りにしちゃうわよ!」 私はそういいながら両手を構える。 「キュイイイィィイッィッィイィイイイイ!!!」 怒ったのか兎が私に向かって走ってくる。 「闇の精霊よ……」 確かに速いが、距離があるので大丈夫だろう。 「暗き滅びの風と成りて……」 「明さん!!」 避けようとしない私を心配してか、コスモスが叫ぶ。 「我に仇成す者を喰らい尽くせ!!」 兎が飛び掛る。 だが、私の手には闇が……純粋なる、真の闇が集まっていた。 「『闇の蝕迅(ダーク・セイバー)!!』」 ブゴォウ!! 音を立てながら私の手から闇が解き放たれる。 闇は兎に向かって風のように襲い掛かり、駆け抜け、消えた。 兎の姿は……あのほんの一瞬の中で跡形も無く消え去っていた。 「……すごい……これが闇の攻撃魔法?」 私達……というか、今の世に伝わっている闇の魔法は、『闇の霧(ダーク・ミスト)』などの補助魔法しか存在していなかった。 まさか威力がこれほどとは……。 たしかにあの兎はSクラスには及ばない。せいぜいBクラス止まりだろう。 今の魔法は敵単体用のようだけど、Bクラスの異形を一瞬で跡形も無く滅ぼすほどの魔法はかなりの上級魔法だ。 「明、一つ言っておくわ」 フェレットは私の横に来て言った。 「今貴方が使った魔法のように、知られていない、伝えられていない魔法は数多くあるわ。それも……」 「……それも?」 「闇だけじゃなく、光と地水火風の四大属性にもね」 「!?」 ……それだけの魔法が存在していたなんて……でもなぜ伝えられていないのだろう? 「フェレット、それだけの魔法があるにもかかわらず、なぜいままで人はそれを使うことが出来なかったの?」 「それは簡単な話。精霊達の加護を失ったからよ」 精霊の加護を失った?どういうこと?私の生まれた地は精霊都市と呼ばれるほどの加護を受けているのに……。 「貴方達も知ったのでしょう?全ての歴史を。いまでこそある程度の加護を受けてはいるけど……魔法を発見する以前の人間のした事は許されることではないわ」 確かに、魔法を発見する以前の人間は一つの星を死に追いやるほどの環境の破壊、汚染をしていた。自然を生きる精霊たちの怒りを買うのは当たり前だろう。 「だけど、確かに異形化する人間は多いけれど、3千年前……光の精霊神が人間の姿に転生していた。それをきっかけに少しずつ心を開いてきてくれているの」 「そういうことだったのね。精霊も分かってくれているんだ。……全ての人間が悪いわけではないことを」 もともと精霊は聡明で優しい。過ちを続ける人間に、それでも力を貸してくれるほどに。 「あまり長話をしていると敵に囲まれるわ。早く奥へと行きましょう!」 「OK!」 「そうしますか!」 こうして私達は2体の異形を倒し、奥へと進んでいった……。 続く |
あとがき
えー、やはり遅れてますな、レジェ書くの。 毎度のことながら申し訳ありませぬ。 ちなみにあのまるさんがついに登場! ……いまのところあまり登場予定はありませんが。Σ( ̄□ ̄;)!? ようやく進み始めたストーリー。 洞窟の奥には一体何が? フェリス・レットアートの封印とは? この先待ち受ける敵は? イビルの正体は? 新しい仲間はどこへ行った!?(笑 次回レジェンド・メイカーズ第3章その5! いつになるか分からないけどまて!(早く書け) |
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