中学生日記 

第4話

真理が来てから3日が過ぎた。
母さんはかなり頑張っていた。
寝る間も惜しんで真理を学校に行かせる方法を考えていた。
そして今日・・・。
ついにやってのけてしまった。
母さんは毎日学校へ行き何とかしてくれないかと頼み続けたそうだ。
東中の校長先生はとてもいい人で最初は断ったそうだが何とか許可してくれたらしい。
「雄一、明日から学校に行くからね!」
真理はやる気満々だ。
だが俺は色々な意味で不安だった。

「邑橋真理です。どうぞ宜しくお願いします。」
みんなは盛大な拍手をした。
特に男子は・・・。
「とりあえず今、空いてる席に座ってくれ。えーっと・・・島崎の隣に行ってくれ。」
担任の馬鹿でかい声が聞こえる。
今日はたまたま俺の隣の広川が休みなのだ。
真理は俺の隣に座った。
無論、男子の目線は真理に釘付けだった。
俺の前にいる大城は体を真後ろに向けている。
「島崎が羨ましいなー。」
なんて声も聞こえてくる。
「これで今日の朝礼は終わり。邑橋は後で教科書を取りに来なさい。」
担任の馬鹿でかい声と共に朝礼が終わった。
転校生というのは投稿初日しか注目を浴びないものだ。
だが真理の場合は様子が違った。
可愛いせいなのか、それとも俺の勘違いなのかよく解らないが・・・。
とにかく注目を浴びすぎだ!
ここまでチヤホヤされると根性の悪い女子が真理をターゲットにしてしまうぞ。
いつ襲われるか解らなくなるぞ。
おっと1つ大事な事を忘れてた。
真理は念力が使えるんだ。

今日の1時間目は数学だ。
だが・・・何故か担任が入ってきた。
「今日は先生が出張で学校には居られないので自習!みんな集中してやるように!」
それだけ言うと、とっとと出ていってしまった。
すると教室中が騒がしくなった。
自習=自由な時間 みたいなもんだもんな。
大半の男子は真理に話し掛けていた。
女子も一緒になって真理を囲む。
「俺まで囲むな!」
俺はその場から離れた。
あんなところにいたら死んでしまう。
真理はそんなことは気にせずお喋りを楽しんでいた。
すると真理がかなり大きい声で
「雄一ってサッカー部だったの?」
と言った。
そしてこの発言が俺の命を絶つことになる。←ウソ
この真理の発言を聞いた男子は一気に俺に詰め寄ってきた。
「お前、邑橋と知り合いか?」
とか、
「どういう関係なんだ?」
とか、とにかく訊きまくってくる。
「やめろー!」
俺は力の限り叫んだが全くの無力。
男子全員VS俺ではとてもじゃないが勝てない。
俺はただひたすら誤魔化しまくった。
とにかく誤魔化した。
何とか落ちついてくれたがその後も俺は怪しい目線で見つめ続けられた。
不快・・・。

「やっと解放されたー!」
俺は心の底から喜んだ。
やっと下校時間になったのだ。
今日は部活が無いんだよ。
ラッキー!
即行で帰れるぞ。
俺はすぐに荷物を片付けて帰る準備をした。
そういえば・・・真理、何処に行ったんだろう?
とりあえず俺は真理を探すことにした。
真理が行きそうなところをくまなく探したが真理は何処にもいなかった。
俺は1人で帰ることにした。
「すっかり暗くなったな。」
俺は暗い暗い空を見上げた。
まだ6時なのに・・・。
「雄一ー!待ってー!」
後ろから大きい声が聞こえたので振り返ってみるとそこには真理がいた。
「何で先に帰っちゃうのよー!」
真理は相当怒っているようだ。
「探したんだけど何処にもいなかったんだよ。」
俺は頑張って真理の怒りを静めようとしたが無駄だった。
そんなに怒るなよ・・・。
真理は何とか許してくれたがそれは金曜日の夜だった。

今日は土曜日。
久しぶりに部活が無い。
のんびりできるな。
俺は窓を開けて外の景色を眺めた。
やはり朝は冷え込む。
俺はブルブル震えながら台所へと向かった。
母さんと真理はすでに起きていた。
「今日は遅いじゃない。」
母さんはニコニコ笑いながら朝飯を作っている。
真理は新聞を読んでいた。
「最近物騒だよね。」
真理は急に世間話をしだした。
「また誘拐だってさ。今度は小3の女の子。雄一も気をつけなよ。」
真理は新聞を俺に渡しながら言った。
「俺よりもお前の方が気をつけなきゃいけないだろう。」
俺は新聞を見ながら真理に言い返した。
「何々?本当だ。小3の女の子が誘拐。昨日の夜10時頃。」
俺は新聞を読み勧めた。
「友達の家に遊びに行ってから連絡が途絶えている・・・か。ほんと、物騒だな。」
俺は新聞を片付けた。
朝飯は手っ取り早く食べ俺はすぐ部屋に戻った。
本当はゆっくり朝飯を食べたかったのだが・・・。
「なあ真理。朝飯の時ぐらいゆっくりさせてくれよ。」
実は真理に急かされていたのだ。
「訊きたい事があるんだ。」
真理は俺の椅子に座りながら言った。
「効きたい事は腕輪のことだろ?」
俺は真理に腕輪の事をすべて教えてやった。
少なくとも俺が知っている範囲だが・・・。
真理は物分りが悪い。
この間も理解するのにかなり時間がかかった。
そして今日も・・・。
真理は完全に理解するのに2時間もかかった。
全く、真理の物分りの悪さには呆れるぜ。

俺は久しぶりの休日を楽しむために散歩に出かけた。
やっぱり気持ちいいな、散歩は。
冬だからちょっと寒いけど・・・。
「コート着てきたら良かったな。」
俺は体を震わせながら歩いた。
しばらく歩くと元気に遊んでいる子供達を見かけた。
「サッカーやってるのか。」
俺はしばらくその風景を眺めていた。
あ、ボールが飛んできた。
俺は飛んできたボールを投げ返そうとした。
だが・・・。
急に強烈な頭痛が俺を襲った。
胸も苦しい。
息が・・・できない。
ミュートの声と子供達の声を聞きながら俺はその場に倒れこんでしまった。

目を開けると俺を包み込んでしまいそうな青空が広がっていた。
俺は布団よりも柔らかい芝生に倒れこんでいた。
そしてヒョコッと小さな顔が3つ。
さっきの子供たちだった。
「大丈夫?」
子供達は同時に言った。
「ああ、大丈夫だ。」
俺はゆっくり起き上がり、おもいっきり背伸びをした。
身長が伸びたかもしれない・・・。
俺は子供達に礼を言うと家に帰ることにした。

家に着き、自分の部屋に入ってからさっそくミュートに訊いてみた。
「あれは一体何だったんだろう?」
ミュートは少し考えてからこう言った。
「何か思い当たることは無いか?」
俺は過去を振り返ってみた。
何も思い浮かばなかった。
俺は考えるのを止めて大城の家に行くことにした。
実は昨日、午後から遊ぶ約束をしていたのだ。
「島崎。やっと来たか。お前10分も遅れてるぞ。」
「悪い悪い。」
こいつは時間にうるさすぎるぞ。
俺は大城の家に入った。
大城はやたら大きいバッグの中に色々なもの入れていた。
「それ一体何だ?」
大城は見て解らないか?と言った。
「解らないから言って・・・あ!」
俺は解った、というより思い出した。
明日・・・練習試合だった。
「このアホが。」
大城は俺に言った。
あー恥かいた。
まあそのあと二人でサッカーをした。
大城は少しやりにくそうだったが、それなりに楽しんでいたようだ。
結構面白かったな。
家に帰ってきたのは6時だった。
俺はさっそく明日の練習試合の準備をした。
「スパイクに・・・ユニフォームに・・・タオル・・・。」
俺は一つずつバッグに入れていった。
「よし、終わり!」
準備ができたところで俺は宿題をやっつけるため机に向かった。
その時、またあの頭痛が来たのだ。
キーンと頭の中で音がする。
「なぁ。もうそろそろ交代しようぜ。」
頭の中で声がする。
誰の声だ?
俺は立っていられなくなりベッドに倒れこんだ。

目が覚めるともう9時だった。
俺は起き上がり台所へ向かった。
「あんた寝すぎだよ。」
真理は夕飯を食べながら言った。
「早く食べなさいよ。」
と母さん。
「いただきます。」
俺は夕飯を食べた。
お腹がいっぱいになったので俺は宿題をやっつけることにした。
さっきやり忘れたからな。
机に向かおうとしたその時、今度はミュートによって止められた。
何故、宿題をしようとすると邪魔が入るんだ!
「おい雄一。本当に大丈夫か?」
ミュートは俺を心配してくれていたらしい。
「ああ、大丈夫だ。」
俺は椅子に座りながら言った。
宿題やろう。

月曜日になった。
今日は学校がある。
今、「練習試合はどうした」と言いましたね?
お願いです。
訊かないでください。
「じゃあ変わりに俺が言ってやろう」
と、ミュートが出てきた。
「島崎のチームは8対1でボロ負けだ。」
ミュートはケラケラ笑う。
今、皆「弱」って言ったな?
弱くて悪かったな!
俺はゆっくり学校に行った。
今日は時間に余裕があった。
教室に入ろうとすると広川に止められた。
「今、教室で大城君と五条(ごじょう)君が喧嘩してるんだよ。」
俺は窓からそっと覗いてみた。
殴り合っている・・・。
俺はかまわず教室に入った。
一瞬、教室内は静かになった。
「島崎、出て行け!」
五条は叫びながら俺を突き飛ばした。
頭の線がプツンと切れた。
「なんだと?お前が出て行け!」
俺ってこんなに切れやすかったかな?
いつの間にか俺は五条を思いっきり殴っていた。
五条はあっという間にのびてしまった。
「助かったぜ、島崎。」
大城は肩で息をしていた。
俺はその場でずっと立っていた。
自分自身が信じられなかった。
俺は昔から喧嘩が強い方では無かった。
むしろ弱いくらいだ。
なのに一撃で相手を倒した。
・・・何かある。
やっぱりあの頭痛が原因だろうか?
するとまた頭の中で声が聞こえてきた。
「もうそろそろ交代しようぜ。」
聞こえてくる声は俺に異常に似ていた。
「お前誰なんだ?」
俺は頭の中で叫んだ。
「ふふふ。俺がおまえでおまえが俺だ。」
何だそりゃ?
「まあいい。今日中に決めてくれ。交代するか・・・否か。」
それっきり声は聞こえなくなった。
俺は五条を保健室に連れていった。

授業など全く聞いていなかった。
俺はずっとあの時の事を考えていた。
交代・・・。
どういう意味なんだ?
俺は考えまくった。
だがいくら考えても解らなかった。
俺は部活をサボって帰ることにした。
家に着くと頭の中で叫んでみた。
「おーい。でてこい!」
何も返ってこない・・・。
俺は諦めて椅子に座った。
落ちつくことができない。
心臓が激しく鼓動を打つのが自分でも解った。
その時、頭の中で声が聞こえた。
「決まったか?」
俺は言い返した。
「その前にお前が誰かを教えてくれ!」
ふふふと笑う声が聞こえる。
「ひとついいことを教えてやろう。交代しなければお前は確実に死ぬ。」
何!
俺は一瞬だけ固まった。
「交代すればすべてが解る!」
何故かこの声には説得力があった。
どうする?
交代するか?
否か?
・・・解らない。
自分では決められない。
「どうするんだ?」
声は俺に迫ってきた。
「こうなったらやってやる!」
俺は叫んだ。
半ばやけだったかもしれない。
「よし。」
と頭の中で声がしたかと思うと急に窓が開き風が吹き込んできた。
目を開けることができないほど強い風だった。
風が止むとそこには俺の姿をした誰かが立っていた。
「交代するぞ。俺と握手しろ。」
俺の姿をした誰かは俺に手を差し出した。
俺はその手を握った。
握った瞬間、周りは俺だけになった。
「交代完了。」
俺は椅子に座った。
そして部屋を見渡した。
すべてが懐かしい。
この部屋も・・・よく覚えている。
久しぶりに解放されたな。
俺は外に出た。
風が気持ちいい。
だが少し寒い。
12月に入ると・・・あの作戦が決行される。
今は11月。
時間が無い。
でも絶対に食い止めてやる!
続く

新コーナー
『真理の部屋』(なんかパクってない?)
こんにちは、真理です!
最近、雄一が目立ち過ぎだから私も目立つことにしました。
このコーナーではとにかく色々な話をします。
まずは次回予告!(っていってもそんなおおげさじゃないよ)
次回は私が活躍しまーす。
以上!
え?予告になってない?
じゃあちゃんとやるよ。
次回は私を知っている人が現れます。
雄一は姿を消しちゃうしあの作戦の準備は始まっちゃうし・・・。
とにかく次回は大変なことになります。
そんな中、例のあの人が登場するよ。(決してヴォルデモートではありません(笑))
次は私の特技!
私の特技は歌!
「絶対嘘だ」
突然雄一が現れた。
「この間お前が歌ってたの聞いたけど耳がおかしくなりそうだったぞ。」
雄一はそれだけいうと去っていった。
「ミラーはどう思う?」
私はミラーに訊いてみた。
ミラーはただ一言
「雄一君と同じ。」
と言った。
みんな嘘つきだね。
あははははは・・・(汗;
次はまた今度。
じゃあね!



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