彼女は言った。「いつも一緒にいようね」と。
彼は言った。「あぁ、いつも一緒だ」と。
しかし、その約束が守られることはなかった。
彼はずっとそばにいてくれと願っていた。
彼女も、ずっと側にいたいと願っていた。
ずっと、側にあるものだと思っていたもの・・・
そう、かけがえの無いものをお互いに守りたかった。
しかし
その希望も叶えられることもなく、
2人は永久に別れた。
ただ、他の人とは違うこと。
喧嘩や、住む場所が離れてしまったなどと生半可なものとは違う。
完全なる別れ。
一言で言うならばそれが相応しい。
お互いに愛し合ったまま。
2人の仲は、
「死」という名の悪魔によって・・・
引き裂かれた。
しかし、完全に消えることはなく・・・
残された者に呪縛を与えた。
もし…
神という者が存在するならば
それは残酷だ。
神は人間という物を作り出した。
壊れやすいガラスの彫刻。粉々に砕け散るのは一瞬。
神は人間に「時」を与えた。
過ぎる一方で、止まることを知らず、いつまでも進みつづける。
そして、いずれ全てを消し去る絶対的な力を持つ。
神は人間に感情を与えた。
喜び、怒り、哀れみ、楽しむことを。そして・・・愛することを。
神は人間に怒りを覚えた。
戦い、お互いに傷つけあう下劣な行為を嘆き、悲しんだ。
神は人間に「忘れる」力を与えた。
争いを続ける哀れな人間に完全なる人間はいないのだと伝えるために。
「人間は忘れゆく生き物だ」
これぞ、神の与えた産物。
「忘れる」ということ。
それは時には都合のよいものとなり・・・
時には哀れむべきこととなる。
懐かしい幼なじみ。そして恋人。
しかし・・・もうここにはいない。遠く、遠く離れた存在。
そして、決して忘れてはいけない想い出。
残された彼は――三上智也は、誓った。
「オレは・・・お前の事を忘れない」
神の与えた産物に抗うことを、誓った。

Memories Off another stories
------------『I Never Forget Memories, and I will Meet Memories』------------                
 written by daiki

  Prologue「Story of My Memories」




昔、昔・・・今はまだ中学生の少年少女がいました。


いつもの登校風景。少年と少女の2人は学校へ向かっていた。
「ふぁぁぁ・・・眠いな」
欠伸をしながら愚痴をこぼす少年、三上智也。
たまに破天荒な行いをすること以外は、どこにでもいるような中学生。
その様子を、少女は呆れて見つめていた。


少女を困らせていたけど、その少女に好意を抱いていた少年。


「ね、智也。来週の・・・日曜日って・・・ヒマかな?」
相手の様子をうかがうように、智也の隣の少女は尋ねた。
少女の名は桧月彩花。智也の家の隣に住む幼なじみで、部屋も屋根を隔てて隣同士である。
その住宅的環境をふんだんに利用して、毎朝智也を起こしに来ている。
勉強もできるし、容姿はいいほうで、さらに料理もサラリとこなしてしまう。
まさしく「頭脳明晰」「容姿端麗」の4字熟語がふさわしい。
しかし、智也ともう1人の幼なじみの前では子供のような行動をしてしまうことがあるのも事実。
それでも智也と彩花とそのもう1人の3人の中では「まとめ役」という役割になっていた、お姉さん的存在。
そして、腰ぐらいまである髪の毛からは、柑橘系の匂いが風に乗って運ばれてきていた。


少年に困らせられていたけれど、その少年に恋心を抱いていた少女。


「来週の日曜日?ん〜・・・今のところは何も無いな」
智也がそう言った途端、智也には彼女の顔が輝いた・・・ように見えた。
その顔を見て、思わずドキッとする智也。この頃からだろうか、お互いに恋心が芽生えていたのは・・・


けど、2人には見えない1つの壁がありました。


「エヘヘ。実は遊園地のチケットもらったんだぁ♪」
そう言って悪戯っぽい笑顔を浮かべる彩花。
「・・・一緒に行かない?」
そのとき、彩花には1つの決心があった。


『幼なじみ』という名の、すぐ破れそうなのに、それでも破れない壁。


「おぉ、いいぜ」
智也はそう答えた。しかし、彼は彩花の考えには気付いてはいない。
「やった!!タダだからいっぱい遊べちゃうね!!」
だから、こう答えてしまった。
「そうだな。ん・・・唯笑も来るんだろ?」


そして、もう1つの壁。それはもう1人の幼なじみの存在。もう1人の幼なじみも少年に恋していました。


智也がそう言った途端、急に彩花の顔が少し暗くなったように智也は感じた。
「え?唯笑ちゃんは・・・用事があるんだって。残念がってたけど」
「そうか。せっかくタダで遊びとおせるチャンスなのに」
「ハハ、そうだよね・・・」


さて・・・この少年はどちらの少女を選ぶのか。いや、もう選んでいたのかもしれない。


彩花の心は少し傷付いていた。親友とも呼べる存在を使って、ウソをついてしまった。
それでも・・・今は智也と2人きりで出かけることができることが嬉しかった。
「じゃ、10時に駅前でいい?」


時は移り・・・その後、遊園地にでかけた2人はその帰り道にめでたく結ばれることが出来ました。


しかし、それはほんの少しのあいだだけで、一瞬にして2人の仲は引き裂かれてしまいました。


なんで引き裂かれたって?それは・・・おいおい話すとしましょう。


そして、残された少年の心には鍵がかかってしまいました。


この心の鍵を開くことができる人は、いません。いや・・・いませんでした。


時は経ち・・・3年後。物語は再び動き出したのでした・・・彼の知らないところで・・・


ゆっくりと。かつ、はっきりと。




<第1話へ続く>

あとがき
こんにちは、daikiと申します。
私の作品『I Never Forget Memories, and I will Meet Memories』のプロロ−グはいかがでしょうか?
話の内容としては、「もう1つのMemories Off」。
自分なりに考えたストーリーで、新しいメモリーズオフを展開していこうと思っています。
まだ、あんまりSSは書いたことがないのに、いきなり連載と言うのは無謀かもしれません。
それでも、書き上げる自信はありますので、末永く見守っていただければ嬉しいです。

次回・第1話「動き始めた歯車」でまたお会いしましょう。
その日まで、ごきげんよう!!



感想BBS



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送