あの頃は・・・今と比べて幼かったね。 いつもいつもすれ違ってばかりで。 ほとんど意志が通じることもなかった。少なくとも昔は、通じてたかもしれないけど・・・ いつの間にか別れたんだったね?いや、私の中ではまだ終わってはない・・・つもり。 世間では自然消滅って言うのかな・・・? あなたの中ではどうなの?やっぱり自然消滅したと思っているの? でも、そんなの寂しいよ・・・ ゴメンね、わがままばかり言っちゃって。 でもね?仕方ないことなんだって思うの。 好きな人とずっと一緒にいたいって思うのは・・・ 人がみんな思ってることなんだから。 あなたはそうじゃなかったの? 私と一緒に・・・いたくなかったのかな? 私より、もっと好きな人がいたの? もう、会うことはないかもしれないけど・・・ まだあなたは、私の心の中にいるんだよ? これからも、ずっと・・・ず〜っと私の心の中に居続けるんだよ? ね?伸吾・・・ |
Memories Off another stories ------------『I Never Forget Memories, and I will Meet Memories』------------ |
written by daiki |
出会いも突然。そして・・・別れも突然。 彼に出会ったのは小学校五年生のときだった。 その出会いは偶然そのものだった。そう、偶然。 その一つ一つが起こる可能性は低いけれど、知らぬところで毎日起こっている「偶然」 ほんの六十億分の一の確率の中・・・私たちは、出会った。 でも、それは幻想、空想、想像・・・ただの夢物語。そんな綺麗なことばかりではない。 出会うことは偶然。・・・別れることは必然。 現実とはそうゆうものなんだ。夢とは違うんだ。 ――思っていることは全て実現することができる夢の世界。 ――思っていることが理想どおりにならない現実の世界。 ――少しずつ積み重ねることの難しさ。 ――それが崩れることの容易さ。 長い年月をかけて強くしてきた絆・・・切れることは簡単。簡単すぎる。 それが・・・現実。変えることなんて・・・できないんだ。 「ちょっと待ってよぉ〜〜!!」 「ホラ、早くしねえと置いてくぞ!!ヤバッ!!時間無いぞ!!」 彼の名は、岩村伸吾。近所に住んでいる二つ年上のお兄さんだった。 当時、私は高校一年生で、彼は私と同じ高校の三年生。受験勉強で大変な時期。彼は大学進学を希望していた。 それでも毎朝一緒に登校していたし、時間があれば一緒に下校したりした。 私が『大丈夫なの?』と尋ねるほど遊んだりもしていた。 喫茶店で他愛の無い会話をしたり、遊園地にデートへ行ったり、映画を見に行ったり。 特に彼の映画への情熱はすごかった。大学へ行って、それ関係の勉強がしたい。と言っていた。 当然、私はその夢を全面的に応援しているし、その夢を叶えて欲しいと思っていた。 「ハァハァ・・・も、もう、伸吾〜!待ってよっ!!」 そう言って私は彼の腕を掴んだ。彼はバスケ部に入っていただけあって、なかなか腕はがっしりしていた。 「ハァハァ・・・ふぅ。かおるが遅いんだよ!!なんでこう、女ってのは時間がかかるんだ?」 「失礼ね〜!!女の子は身だしなみが大事なの!!み・だ・し・な・み!!」 「それでもせめてオレを待たさない程度にしてほしいな!!」 「う・・・だからゴメンって言ってるじゃない」 「言ったっけ?」 「うぅぅぅ・・・」 毎日繰り広げられる不毛な会話。でも、こんな不毛な会話だからこそ楽しかった。 いつも、一緒だった。変わることはないと思っていた日常・・・ いつも、恐れていた。いつかこんな日々に終わりが訪れるのではないかと・・・ 「というかそんなこと言ってる場合じゃねえぞ!!このままいけばマジで遅刻だ!!」 そう言われて時計を見ると、時刻は八時。私たちの通う学校は電車に乗って二十分かかるので、完璧に遅刻ペースだった。 「ホントだ!!走るよ、伸吾!!」 「おう!!」 でも・・・もし、この日常が失われる時が来るとしても、私は「今」を大切に生きていきたい。 そう、思っていた。 「・・・」 「・・・」 目の前に立ちはだかる高い壁。 これを乗り越えた時には希望の光が・・・なんてバカバカしいことを考えてみた。 急いで電車に駆け込み・・・開いた途端に学校へとダッシュ!!・・・するつもりだった。 ・・・現実とはそう上手くいかないものだ。 当然、朝の電車というものは満員である。電車から出るのに苦労した上、改札は超満員。 遅刻しかけている私たちにとって、これはかなり都合が悪かった。 そして、鳴り響く非情の鐘・・・私たちの通う学校はチャイムが鳴った途端、校門が閉じられるのだ。 高い壁・・・それはすなわち校門のことだった。そこまで高くはなかった・・・乗り越えられない高さではない。 「はぁ・・・やっぱり間に合わなかったか」 「ゴメン・・・」 「いや、もう遅れてしまったものは仕方が無い。仕方がない。乗り越えるか・・・」 「え!?私、スカートだよ?」 「・・・そんなの、見る人いねえよ」 ドガッ!! 腰の回転を利用し、腕に渾身の力を込めたボクサー顔負けの右ストレートが、彼の腹部に命中した。 ・・・女の子に向かって失礼ね・・・ 「なにか言った?」 「い、いいえ、別に・・・」 「それでよし」 とにかく、彼の言うとおり乗り越えるしか方法はなさそうだ。 「伸吾・・・先に乗り越えて。私は後からいくから」 「了解・・・」 まだ痛そうなお腹をさすりつつ、彼は軽々と校門を乗り越えた。・・・さすが元バスケ部。 「お〜い、かおる。早く来いよ!!」 「う、うん」 伸吾にそう言われ、なんとか校門を乗り越えた。なんだか彼の視線が痛かったけど・・・ 「もしかして・・・見た?」 「・・・何を?」 そんな毎日がいつまでも続けばいいと思っていた。 時が流れるのは早いもので・・・いつの間にか伸吾はこの学校を巣立っていくことになった。 彼の大学受験は、卒業式のあとにあるのだ。 幸せだった日常。ずっと続くと思っていた日々、薄れることはないと思っていた絆。 しかし、流れる時は全てを流しさる。そう、全てを。 それは命であり、記憶であり、あるいはこれまで積み重ねてきた絆だったりする。 「卒業おめでとう!!伸吾」 そう言って彼に笑顔を向ける。でも、どうあがいても心から笑うことはできなかった。 「ありがとな」 そんな私に気付いて、気を遣ってくれたのか・・・あるいは、気付いていないのか。 彼の表情は笑顔だった。私のそれとは正反対の、心からの笑顔。 笑顔というものは、普通ならば「嬉しい」などの正の感情を伝えるものだ。 でも・・・今の私がそれに込めたメッセージは「寂しさ」という負の感情だった。 気付いて欲しい。 このメッセージに気付いて欲しかった。 永遠の別れなんてわけじゃない。でも私の胸に残る小さなしこり。一律の不安。 『もう、彼とはほとんど会えないのかな・・・』 『そうして、彼とは終わってしまうのかな・・・』 そんなことを思ってしまう。どうしても自分に自信を持つことができない。 こんな自分が・・・情けない。 そして月日は流れ・・・今年の四月。 私の恐れていたことが起こってしまった・・・いや、心の奥深くでは覚悟できていたのかもしれない。 彼は無事に、目指していた大学に合格した。 そして、将来の夢である、映画関係の仕事をするための第一歩、映画研究会のサークルに入っていた。 無論、大学の勉強や、サークルで映画を自主制作したりしていて、忙しかった。 そのため、彼と会う機会は減り・・・会ったとしても彼は映画の話ばかりだった。 映画の話をしているときの彼は、私のことなんて眼中にないって感じだった。 それでも、私は彼と話を合わせていた。合わせたいがために、映画の勉強もした。 嫌われたくなかったから。彼が私から離れていくのが怖かったから。 彼は私に、少しだけだったけど演技も教えてくれた。 『かおるを撮りたい』 こんなことを言ってくれた。けど・・・彼が求めているのは何? 役者としての私?・・・私が撮られた画?・・・そんなことばかりが頭によぎる。 いつの間にか、私は少しずつ彼に疑いを持つようになりはじめていた。 ひとたび生まれた亀裂は、直るどころかどんどん広がっていく。 すれ違いの耐えない日々。これが私の求めていた日常?―――違う!! 私が望んでいた日常は、こんなものじゃなかった!! こんな一人ぼっちで、寂しい日常なんて求めていなかった!! 少なくとも・・・去年までは私は幸せだった!! いつもと同じように他愛のない会話をして・・・ いつもと同じように彼の隣を歩いて・・・ いつもと同じようにじゃれあったりもして・・・ ・・・いつもと同じように?・・・今はその表現は間違っているかもしれない。 だって、このときの「いつも」は、今から見れば「過去」なんだ。 彼は今、どう思ってるのだろう?聞きたいけど、聞けない。 私は恐れているんだ。「かおるなんてどうでもいい」という言葉を聞くことを。 私は彼のことがまだ好きだから。心の中は彼でいっぱいなのだから。 拒絶されたくなんて・・・なかったから・・・ 「・・・え?」 「今、話したとおりだ」 お父さんの口から聞かされた事実。それは、すでに追いつめられていた私を突き落とすのには、十分すぎた。 「ちょ、ちょっと待ってよ、お父さん!急すぎるよ!!」 「・・・かおる・・・落ち着いて」 落ち着いた口調で私をなだめようとするお母さん。でも、そんな言葉は私の耳には入らなかった。 「なんでそんなこと今日になって言うの!?もうちょっと前に言えたんじゃないの!?まだ、伸吾に何も・・・」 「かおる」 私の言葉を遮るようにして、お父さんは・・・とても威圧感のある声で私の名を呼んだ。 「お前は・・・彼のなんなんだ?」 「!!・・・」 私は、その質問に答えなかった。いや、答えることができなかった・・・というのが適切かもしれない。 これが、一年前の私ならはっきり「彼女」だと答えることができただろう。 それなのに。今の私にはそう答えることができない。頭では分かっているのに、口は動かない。 勇気がなかった。自信もなかった。そう答えるための全ての力が私には・・・なかった。 「答えられないのか?それだから、まだお前は子供なんだよ」 「なっ!!」 「自分は彼の彼女だと答えられないんだろう?・・・理由は大体分かっている」 「・・・っ!!お父さんに何が分かるって言うのよ!!私の気持ちなんて分からないくせに!!」 そう言って私は自分の部屋へと駆け込んだ。 「かおるっ!!待ちなさい!!」 バタンッ!!ガチャ。乱暴に部屋の戸を閉め、鍵をかけると、私はそのままベッドへと倒れこんだ。 「かおる?開けてちょうだい・・・」 外からお母さんの声が聞こえたが、私は無視した。 悲しさ、自分の無力さ、そして愚かさが少しずつ心に染み渡っていった。 お父さんの先ほどの言葉が、何度も何度も頭の中で繰り返されていた。 『明日、この街から出て行く』 『父さんの仕事の都合なんだ・・・仕方ないだろう・・・』 『こうでもしなければ、お前はここに残ると言っただろうからな』 そして次の日。私の抵抗も空しく、次々と荷物が運び出されていく。 彼に別れを告げようと思った。いや・・・心の奥深くでは、彼に引き止めて欲しかった。 しかし・・・今日は大学に行っていて、いなかった。 結局、彼には何も言えないまま・・・この街を去ることになった。 もしかしたら、これでよかったのかもしれない。 なぜなら、私たちの進む先に、分岐点はなかったから。 待っているものは・・・「破滅」の一点だけだったから。 前触れは過去にいくつもあった。それらすべてが破滅へのプレリュード。 そして今。「別れ」という最後のフレーズが唱えられ、それは終了した。 それ以降、彼とは連絡をとっていない。いや、とれないんだ・・・ 控えていた電話番号も、引越しのときに間違って捨ててしまったらしい。 もちろん、彼は私の新しい住所や、電話番号は知らない。 だからと言って、会いに行く勇気は無かった。会ったら、今度こそ本当に別れを告げられると思って・・・ でも・・・この気持ちは私の中で一人、ポツンと生き続けるのだと思う。 どこで選択を誤ったのだろうか。いや・・・彼と出会ったこと自体が、間違いだったのかもしれない。 智也は何も言えなかった。 彼女の口から告げられた過去。それは、彼の過去と少なからず共通点があった。 「これで・・・全部だよ」 ふいに、かおるが口を開いた。相変わらず、智也は口を開くことが出来なかったが。 「・・・そうか・・・」 喉の奥からやっと搾り出したのは、たったそれだけだった。 しかし、これで智也は決意することができた。「彼女を手伝ってやろう」と。 自分には何が出来るのか?そんなことは分からないが、愛しき人に会えない寂しさ。 そんな自分と似た苦しみを味わっている人を、智也は見捨てることができなかった。 「分かった。手伝うよ」 智也がそう言ったとき、彼女の時は止まっているかのように思えた。 驚いた表情のまま動かない。「手伝う」という表現は適切ではなかったのだろうか? (半分強制だから、手伝うとは言わないか・・・) そんなことを思っていたが、彼女はそう思っていないようだった。 「え・・・本当に?本当にいいの!?」 彼女の口から出てきた言葉の一つ一つに、驚きと感動が半分ずつ混ざっていた。 「あぁ。オレは何すればいい?・・・って、さっき聞いたか」 「うん!」 そのときこぼれた彼女の笑みは、本当に心からの笑顔だった。 「それで・・・音羽さんは会ってどうしたいの?」 「・・・けじめを・・・つけたいの」 本当は、彼女は彼に会いたくなかった。その気持ちに蓋をしておかなければならなかった。 しかし・・・前日、彼を見つけたことによって「このままじゃいけない」と思ったのだ。 彼女の気持ちが、爆発しそうになった・・・それも原因の一つだが。彼女が走り出した理由はそうだろう。 (これ以上、彼を私のせいで縛ることはできない) それに、智也が一緒にいてくれれば少しは楽になると思ったのだ。確証はなかったが、そう信じたかった。 「え?それってどういう・・・」 「まっ、それは彼に会ってからのお楽しみ〜♪」 「なっ!?」 急に真面目な顔になったと思えば、また子供っぽい笑みを浮かべるかおる。 そんなかおるに智也は呆れきっていたが、悪い気はしなかった。 「もうすぐ授業始まるから、そろそろ教室帰ろうか?」 「あっ、待って三上クン!!忘れ物!!」 「え?ぅわっ!!」 後ろを振り向いた智也に向かって、一つの包みが飛んできた。 それは、智也が捜し求めていた例の少女漫画だった。 「返すよ」 「・・・おぅ。サンキュ」 「じゃぁ、今日からよろしくね」 「あぁ。早く彼が見つかることを祈ってるよ」 「うん。ありがと」 そう言って二人は教室へと向かった。そのすぐ直後、授業開始を告げるチャイムが鳴った。 智也はとても長い間、屋上にいたような気分になっていた。 しかし、実際には二十五分ぐらいしか経っていない。もしかしたら、神が時間を止めてくれたのか?などと思えてくる。 かおるが、最後まで智也に過去を告げさせるために・・・ |
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もしかしたら、この二人の出会いは・・・ある意味、運命だったのかもしれない。 似たような境遇を経て、似たような悲しみを持つ二人。 神がそれを気遣い、お互いに引き合わせてくれたのだろうか・・・? だが、神はどこまでも・・・残酷だった。準備など・・・必要無いらしい。 この悲しき運命を乗り越え、待っているのは明るい未来か・・・それとも、暗い過去の再来か。 <第四話「let's begin again」へ続く> |
あとがき 皆さん、ナマステ〜♪daikiです。 いや〜・・・もうすぐ入試だって言うのに、書き上げちゃいました。 やっぱり、勉強は趣味に負ける。といったところでしょうか。 勉強しなきゃならないんですけどね・・・ ということで、これを書き上げたら、当分(といっても月曜日まで)休業です。 しかし、ちゃ〜んと帰ってくるのでご安心を♪ 連載をはじめた以上、完結させるのは作者の義務ですからね。 挫折しない程度に頑張ります。(笑) それで、作品ですが・・・はじめて一人称に挑みましたが、どうでしょう? やっぱり三人称のほうがちょっと書きやすいかな・・・とか思います。 急に三人称に戻るので、読みにくいかも・・・ 感想いただけると、嬉しいです。 今回は、前回の半分ほどになってます。作者、これで限界です・・・ そして、次回。って、あんまり必要無いですね。バレバレだし。 もっと精進いなければ!! それでは、次回「let's begin again」でお会いしましょう!! ナマステ〜♪(知ってました?『ナマステ』はこんにちわと、さようならの両方の意味があるらしいです) |
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