メモリーズオフ・REVERSE
ゲバチエル

登場人物〜序章〜

稲穂信:
本編の主人公 彩花を助ける事ができなかったことを悔やみ心の傷としている

三上智也:
ある雨の日に彩花を無くてしまう。信とはひょんなきっかけで親友となる

桧月彩花:
信が目の前で助ける事の出来なかった少女。いつ生き返るともしれない状態のままにある。

「復活と奇跡編」
序章〜運命の白い傘〜

雨に打たれた傘

大ぶりの雨。人気のない通り。
その通りを眩しいほどの白い傘を差した少女は楽しそうに歩いていた。
待ち受けている運命も知らずに。
信号は青。少女は信号を確認すると同時に横断歩道を歩き出す。
彼がふと振り返ると赤信号なのに向かってくる一台のトラックが見えた。
少女の目前に迫る一台のトラックが―
(危ない下がってくれ!)
キキ―――!!
トラックからけたたましい急ブレーキの音が聞こえた
バン!!
何かがトラックにぶつかる。
・・・そこには少女が横たわっていた・・・
(助けなくちゃ!くそ)
彼は頭でそうは思ってはいても体が動く事はなかった。
少女の周りにはうっすらと赤みが染みてきていた。
しかし彼女は自分で出来る限りの止血方法を試みていた。
(早く助けないと!救急車呼ばなくちゃ)
トラックは一目散に逃げ出していくように少女を残して走り去っていった。
彼はトラックのプレートナンバーをただ見つめていた。番号を覚えるために。
(あのナンバーか)
電話ボックスがわずか5m先に見えている。手を出せば届きそうな場所に。
しかし彼はその場を動く事が出来なかった。トラックのナンバーは覚えたのに。
生死は事件後5分が勝負と言われているのに・・・
ただ、ただ少女の周りが真っ赤になるのを見届けるだけで・・・。
何処かからサイレンの音が聞こえた。事故から15分ほど経ったころに。
病院はこの現場から歩いて5分とかからないのに―
すぐに一人の少年が走ってきた。
少年は白い傘の目の前で立ち尽くした。
「あ・・・あ・・・あ・」
彼はそんな少年を見ることしか出来なかった。ただずっと。
「ーーーーー!!」
少年は言い表せない言葉でただ叫び続けた
少年は少女の下に駆け寄っていく。
「・・・と・・もや・・?」
「しっかりしろ。ほらもう救急車もきてるから」
少年は涙ぐみながら言葉を発する。
「ごめん・・ね。傘。届けられなかったよ」
「いいから・・喋るな!傘なんて気にしてないから!」
「と・・もや・・・ありがとう。」
「だからもう喋らないでくれよお願いだよ・・あれぐらいの雨で呼んだ俺が悪かったんだ」
「智也は・・・悪くないよ。ただ・・・私の不注意だったの・・」
「・・・っと。お前の言ってた痛みの飛ぶおまじないだ。俺のまじないでも利く・・だろ」
「ごめん智也。・・・なん・・だかね・・むくなってきちゃった・・。
 だから・・・寝かせて・・」
「眠るな・・もう少しの辛抱だ。ほら帰ったらデートに誘ってやるからさ。」
「おや・・・・すみ」
「!!!!!!」
叫びにも似た少年の言葉が辺りにこだまする。
すぐ後に救急隊員が少女をタンカーに乗せる。
「お願いします。俺も一緒に乗らせてください!」
隊員は無言で少年の言葉に頷く・・・
救急隊員が少年をなだめる光景が見える。
彼は少年に一瞬にらまれたかのように感じたがすぐに少女に向き直る。
「目を覚ましてくれ。お願いだ!死んだら駄目だ。」
しかし少女は少年の思いむなしく目を覚まさなかった。
そのまま少女たちは救急車とともに消えていった・・・
真っ白の傘が開かれたまま取り残されて・・・
信の硬直が解けると同時に寂しそうな白い傘を拾い、たたんで持ち帰っていった。
持ち主を無くし、届けられる事のなかった悲運の傘を・・・
景色が忽然と真っ暗闇に飲まれた
「どうだい。感動の恋人の別れの場面の感想は?」
目の前には・・・自分そっくりの少年がぼんやり立っている。
「ふざけるな!一体なんのつもりでこんな―」
彼は少年を突き飛ばしてしまった。
少年はそんな事もお構い無しに
「・・ふざけるなだ?それは俺の言い分だよ。3日たった今、あの悲劇を忘れようとしている。
 でも忘れていいと思うかい?だって君は彼女を見殺しにしたんだ。
 あの場には君と少女しかいなかったはずだ。だから君が
 蘇生法やすぐ近くの電話で救急車を呼べば助かったかもしれないのに、
 君は見てるだけだったんだ。君にしか出来なかった事なのに君は何もしなかった。
 現にすぐ近くの病院から救急車が出てきたのはいつだったんだい?
 これが判ってて君・・・いや俺がふざけるな?と言えるのか?」
少年の言葉が彼に突き刺さる。彼は反論できずに立ち尽くす。
「少しは罪が理解できたかな?もっと理解してもらうためにも
 君はここにいなくちゃいけない。いや君は動けないか・・・ハハハ」
そう言うと少年は彼の目の前から姿を忽然と消した。
「何度でも俺自身の罪の深さ・重さ・判って?思い知らせてあげるよ」
消えた少年の声が聞こえた。・・・と同時に
先ほどの事故がループ再生される。彼の目の前に。
そして何度も何度も事故は再生された。彼をあざ笑うように。
「やめろー!やめてくれ!!やめろーーーーーー!」

雨の交差点の景色が消えて薄暗い部屋が見えてくる。
「はぁ・・・がぁ・・。現実みたいな夢・・・だ。あの娘・・・」
夢に出会って初めて、彼は自分の行動を罪深く感じていた。
(俺が動かなかったから・・・少女は死んだ?俺が人を殺したのか!!)
彼・稲穂信は自問自答を心で繰り返していた。自問自答してるうちにまた夢に誘われる・・

「また会ったね。」
少年・・いや闇稲穂信と言うべきだろうか。はそこにいた。
「何故あんな夢を見せた?あれは仕方がなかった事なんだ。ただ体が動かなくて」
闇・信はにらみつけるように言った。
「まだそんな事を言うんだ?あそこに助けられる人は君しかいなかった。
 見殺しにしたんだ見殺しに!すぐ、目の前に彼女が横たわっていながら君は何もしなかった」
彼は何も言い返せないでいた。
「事故を目の当たりにして衝撃的で動けなかった事が事実でも、
 見殺しにした事には変わりないんだ。君しか救える存在はいなかったんだよ?
 頭の中で助けようと思ったのに動かなかったその体は君自身の体だろう?
 文句言うなら自分の体に言うんだね。」
彼はフ・・と笑い再び闇に消えた。
「動けなかったなんて言い訳に過ぎない。そこで動けなかった事が君の罪だ!
 だから君には罪をしっかり理解してくれよ!」
直後また事件の映像が生々しく繰り返されていく・・・
「やめろ。」

事件現場は消え去り薄明るく染まった部屋が見える。
「眠ってたのか・・」
信はカーテンを開けて窓の外を見る。
外ではあの日のような大ぶりの雨が降っている。
「そうか。だから夢を見たのか」
信はこの日ようやく自分の行動を悔やむのだった。
(あの時俺が助けていれば、あの少年は・・・)
それは自分が助ける事の出来なかった、一生忘れる事のない「罪」

この日以降、雨の日は必ずあの事件の日の夢を見せられるのだった。

「・・・起きるとするか」
以降稲穂信の雨の日は常に罪悪感から始まる

この日起きてすぐに信はぼんやりと新聞を眺める。
普段は読まないはずだが、この日は特にしたいこともなかったので自然に手が伸びた。
信は黙読を始めた。地域の見出しを見つける。
そこに書いてあったものに信は震えが止まらなくなった。
(一週間前澄空の交差点であった交通事故の事じゃないか)
そう思いながら自然と信は文を黙読する。
(3日前の交通事故。以前ひいたと思われる犯人は不明で、事故を目撃した人は不幸にもいない。
 救急隊の駆けつけが遅かったのか、傷は完全に癒えたが少女は目を覚まさない。
 昨夜病院側は、「仮死状態にあるため蘇生率はゼロ」と発表し死亡を宣告する)
ここまで読んだ信は心が凍りつくような気分になった
「俺が殺した・・?死亡・・・・嘘だろ」
信はぽつりと呟く。続きを読む気はしなかった。

信は中学校2年生で、クラスのムードメーカー的存在だった。
事故のことを抱えながらも、それを内に秘めたまま、いつもどおりの生活を過ごしていた。
だが彼はあの日新聞を読んで以来、常にその記事を目に通すようになった。

「さて・・・今日の記事は」
いつものあの事故に関係する記事を読み始める。
(本日、少女の葬式が行われたが、火葬はされず。
 幼馴染である少年が目覚める確率が0.1%でもあるならいつまでもまっていようと主張したことから、
 式は形式だけのものとなった・・・)
信は続きを読む気にはなれなかった。もう、これ以上現実を知りたくなかったからだ。
しかし続きを読まなかった事が彼を不幸にしてしまうとは想いもよらなかっただろう。
続きにはこうある
(今は仮死状態として、澄空墓地の外れた場所に安置されている・・・)
読んでいればあるいわ、信も彩花の可能性を待ち望めたのかもしれない・・・。
そしてこの日以降新聞に事故の記事が載ることはなかった・・・・

月日は流れた。信は雨の日以外はあの事故を忘れるかのように生活してきていた。
信は今まで女子に優しくするようなタイプであったが、
事件以来、女子をよりいたわるようになった。助けられなかった事への埋め合わせのように・・
事件のことを語る事も聞くこともなく中学生活は幕を閉じる。
信は新たな進路へ歩みだした。
まるであの事故を忘れたいがために。
しかし信の進路は信の運命を大きく変えるとも知らずに・・・



あとがき(あとがきだけ2004年6月2日に訂正)
少女・・・彩花が火葬されないそして仮死状態の時点でわかると思いますが、
彩花はこのSSでは・・・・・です。そしてオリジナル要素をかなり含んでいます。
しかし本編を吸収してるのでネタばれも多いです。
そして、この物語はSECONDを超えて、メモからまで進行する予定です。
彩花の存在の仕方をもうちょっと変えればよかった・・・反省。
これが終わったらメモリーズオフ彩花グッドENDでも書こうかな・・・なんておもってたり(笑)
製作日は2002年です。メモオフで彩花ENDがバッドENDしかないのにショックを受けて、
信の唯笑へのおもい、あの時俺の見てた的発言からこの作品を執筆を決意!!
ちなみにリア友に見せたときに、どっかから盗作してないと言われ自分はぽかんとしてしまいました。
闇稲穂信は、遊戯王を見てた影響とドッペルゲンガーというものが好きだからという理由です。
何章まで続くか判りませんが・・・・末永く応援よろしくお願いします!



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