メモリーズオフ・REVERSE
ゲバチエル

登場人物

稲穂信:
本編の主人公 思いがけないところで智也と出会い、罪滅ぼしを心に誓う

三上智也:
ある雨の日に最愛の人を無くした。信とはひょんなきっかけで親友となる

今坂唯笑:
智也と幼馴染。彩花と智也と唯笑を交えた3人は幼馴染でその事が未だひっかかっている

桧月彩花:
不幸な事故でこの世を去ってしまった。いつ生き返るともしれない状態のままにある。

第一章・運命

運命的な出逢い

今日は信の高校の入学式だった。
信は近場で自由な校風である、一見楽そうな澄空学園に入学した。
信の学力では無理なレベル・・・のはずだったが、
マークシートが吉と出て、合格する事が出来た。
今は式が終わって教室でおのおの前に出て自己紹介をしている所だった。
信は相変わらず女の子に興味心身に聞いている。
だが信は次の人の自己紹介で固まってしまった。
「俺の名前は三上智也だ。・・雨の日は苦手で、好きな事はわからない・・以上」
(ともや・・?それにあの顔・・・間違いない。
 あの日・事故の日少女と会話を交わしてた少年だ。
 会話からして二人は付き合ってたんだよな・・・まさかこんな所で一緒になるなんて。
 三上とはあわせる顔がないぜ)
キーンッコーン
チャイムがなると同時に信は現実に引き戻される。
不意に誰かに話し掛けられる。
「よう。稲穂・・・だっけ?」
智也が話し掛けてくる。
「男同士で稲穂・・はないだろ?信でいいぜ。三上」
「初対面のやつに死んでいいぜはないだろ」
「つれないな〜信って呼んでいいってことだよ。わざとだろ」
「はは・・俺の事も智也でいいぞ」
二人はこの会話をきっかけに仲は深まっていくとは知らず。
そしてお互いが「親友」と呼び合える仲になるのも信は知るよしもなかった。
この時信は、智也の顔を見るのがつらいからあまり関わりたくなかったのだから・・・

ある日信は智也の家に遊びに行く事になった。
二人は似たような趣味を持ってることから仲が発展していった。
信の提案で、格ゲーを智也と対戦する、という名目で遊ぶ事になったのだ。
「おじゃまします」
「しばらく親いないからな。自由に使えるんだ」
智也は父親が単身赴任してる関係もあってか、母親も父のもとにいき
よく智也が一人でいることが多かったのだ。
「いいねえ。俺なんかさあ親父とかうるさくってさー」
「信。早く対戦しようぜ。そのために来たんだろ?俺の部屋こっちだぞ」
他愛のない会話が繰り広げられる。
「智也。この部屋さあ隣の家の部屋と無茶苦茶近くないか・・?」
「隣は幼馴染の部屋だったんだ。」
「部屋だった?」
「ああ。いつも起こされてばっかだった。でももういないんだ」
信は気づいた。隣にはあの少女が住んでいたことを。
智也に触れてはいけない事を聴いてしまったと深く後悔した。
「遠いところへ行ったんだな?智也も大変だな。ま、格ゲーしようぜ」
「遠い所・・・か。間違ってはいないな」
しかしゲーム中も信の心は晴れなかった。操作する指とは裏腹に
(隣にあの少女がいた。でも確か仮死状態として土葬されたんだ。俺のせいで智也から大切な人を―)
帰り際智也がさりげなく言った。
「?信大丈夫か。顔色悪いぞ。へんなもんでも食ったか?」
信は智也に心を見透かされた気分になった。
「大丈夫だ心配すんなって。なんたって稲穂信だからな!」
以降信が智也の家の中に入る事はなかった。
信は智也と遊ぶ時は常に自分の家に呼ぶようにした。
何故なら、智也の隣の家の事に少しでも触れる可能性があってはいけないと考えたからであった。
智也から大切な物を奪った罪が、これ以上深くならないためにも―。

まだ高一学校生活の日。
「おはよー信君」
「お。おはよー唯笑ちゃん」
「聞いてよ信くん・・・最近智ちゃん酷いんだよ」
      ―今坂―唯笑―
智也のもう一人の幼馴染である。
事あるごとに信に相談をしてくるのだ。
しかし信は密かに唯笑の事を想っていた。
「智也がどうかしたのか?」
だが想いが伝わらない事も判っていた。
幼馴染の智也と唯笑はお互いを好きと想っているはずだから。
幼馴染だから、その感情に気づいてないだけなはずだから。
信はそんな唯笑と智也をその感情に気づかせて、二人をくっつけようとした。
それが、智也から大切な人を奪ってしまった事への罪滅ぼしになると思って。
「ちょっと?信君きいてるの〜?」
唯笑の声に我に帰る。
「すまん。聞いてなかったよ唯笑ちゃん」
考えに夢中になりすぎて唯笑の声も届かなかったようだった。
「でね〜最近智ちゃん嘘ばっかりつくの。それで唯笑はいつも騙されるの」
信はやれやれと言った感じで口を開く
「智也の虚言癖は今に始まった事じゃないだろう?
 それに唯笑ちゃんも智也の言う事すぐ信じるから、騙されちゃうんだよ?」
その言葉に唯笑は頬を膨らませる。
「ぶぅーー。唯笑は悪くないもん。智ちゃんが嘘つきなのがいけないんだもん!」
そう言うと唯笑は去っていってしまった。
よく見ると前には担任の伊東先生か立っていた。
「稲穂。席につかないか?」
HRが始まっていて、もうみんな座っていた。
周囲の視線を痛く感じながら、信は席についた。
「智也」
空間を少し置いて隣にいる智也に声をかけた。
「信か。なんだ」
「今日の放課後さ。話があるんだ。だからちょ〜っと付き合ってくれよ。
 一緒に帰ろうぜ。な・な?。」
「覚えてたらな。」
いつものように授業が始まる。
毎度毎度眠っている智也をよそに信は考えていた。
智也と唯笑を結ばせれば、智也の過去そして少女の思いへの罪滅ぼしになるはずだ。
でも天国の少女は喜ぶだろうか?
自分の付き合ってた男を他の幼馴染に渡して。
しかしやらなくてはならない。智也の友として。そして罪滅ぼしとして。
気がつけば、級友に別れを告げる物、部活へ向かう者でにぎわっていた。
「智也!」
信は寝ている智也を起こした。
「もうHR終わったぞ。いつまで寝てるんだ。馬鹿!」
「・・・何。じゃあ信帰ろうぜ」
二人は共に帰路につく。
「なあ。智也って唯笑ちゃんをどう思ってるんだ?」
智也は困ったような表情を浮かべた。
「はい〜?あんなのただのうるさいお子様としか思ってないぞ」
「またまた。実は好きだったりとかするだろう?」
「アホ!何であんな前代未聞の馬鹿たれを好きになるんだ?
 天地がひっくり返ったとしてもそんなのありえんぞ」
「判ってるよそれぐらい。二人は幼馴染だろう」
「何度も教えたろうがまったく・「ただの」幼馴染だ。」
「ふう〜んそうなんだ」
自己完結した信に智也が聞き返した。
「お前は唯笑の事どう思ってるんだ?」
微妙に焦る信。
「あ?いや別に友人程度にしか思ってないぞ。智也には勝てないようんうん」
「俺に勝てないってどういう意味だ?わざわざかえるの誘ったのもこれが理由か?」
信は妙な顔を浮かべる。
「・・・まあね。思うところがあってね」
二人はそんな会話をしながら澄空駅についた。
「いつも言ってるが俺は電車じゃないからここでな」
信がそう別れを告げる。
「ま、犬の糞でも踏まないようにな」
二人はそう言って別れた。
信は智也と唯笑を交えた3人でいることが多かった。
意識してではなくて自然といつもこうなってしまうのだった。
信と智也がいると智也に唯笑がよってくるというお約束(?)があるのだ。
大抵の場合は智也が唯笑をからかって信がまとめ役というのが普段だった。
特に唯笑は事あるごとに信に相談を持ちかけるようになった。
3人は今までの他愛のない会話ややりとりの中で互いの仲が気づかないうちに深まっていった。
信は3人にいるたびにいつも思うのだった。
(このままでいられたらな。そしていつか俺が恋のキューピットになるのだ!)
しかし何の進展もないままに、高校一年生の日々は過ぎ去ってしまうのであった。






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