*ジャンルは秘密だよ♪ |
運命をも変える…… |
鏡丸太 |
カキィィィン!!! 響き渡るのはぶつかり合う小太刀二刀と小太刀二刀。 片や、偉大な父の遺した漆黒の刃、八景。 片や、愛する夫の遺した御神流正統の証、龍鱗。 八景を抜刀し一撃を放つは、小太刀二刀御神流、師範代、高町恭也。 龍鱗でその一撃を難なく薙ぎ払い刺突を放つは、同じ小太刀二刀御神流、御神美沙斗。 「美沙斗さん! どうしても駄目なんですか!?」 「……私は今まで命を奪い過ぎた……だから……今更、立ち止まれない」 CSS主催のチャリティコンサート。 美沙斗はそれを中止させるために刺客として現れた。 それは御神の一族の仇たる龍の情報を得る為に……。 そして、恭也と美由希は自らボディーガードを買って出る。 恭也は美由希よりも先に美沙斗の前に立ちはだかる。 それにはとある理由が……。 「くっ!」 恭也は迫り来る刺突をぎりぎり肩に掠める程度に躱し飛針で牽制するが、美沙斗は全てを叩き落とし後ろに跳び間合いを取る。 美沙斗は悲痛な表情で、深く腰を落とし前かがみなる。 そして水平に構えられ鈍い輝きを放つ龍鱗。 その構えは……。 御神流・裏、奥義之参。 「射抜……ですか」 御神流の数ある奥義の中でも、最長の射程距離を誇る超高速の刺突術。 「そうだ……私の最大の奥義……」 対する恭也は八景を納刀。 それは父が最も得意とした、そして恭也が受け継いだ抜刀術の構え。 御神流、奥義之六。 「薙旋かい? やはり君は兄さんと同じだな……」 御神流の奥義が一つ、抜刀から四連撃を放つ突進術。 「ええ、これが、俺が唯一、美沙斗さんの射抜に対抗出来うる技ですから」 そしてお互いに対峙し合う事数秒。 突然二人の姿が消える。 御神流、奥義之歩法、神速。 瞬間的に自らの知覚力を爆発的に高めることにより、常人には知覚出来ないモノクロの世界を行動可能となる特殊体術。 モノクロの世界を駆ける二人の剣士。 美沙斗が繰り出すは超高速の刺突。 対する恭也は抜刀から四連撃の薙ぎ。 だが、薙旋の一撃目、二撃目は無残にも受け止められ、三撃目で完全に止められてしまう。 そして完全に動きを止められてしまった恭也の左胸、心臓部に迫る龍鱗の剣先。 「はっはっ……」 美由希は走っていた。 恭也が襲撃者の女性−美沙斗ーと戦っている場へと。 嫌な予感がするとフィアッセは言っていた。 まるで士郎が死んだ時の様な嫌な予感と。 だから急ぐ。 恭也に元に。 バァン! 勢いよく扉を開けた瞬間、美由希の目に映ったのは……。 「嘘……だよね、恭ちゃん……」 美沙斗に心臓を貫かれた恭也の姿……。 龍鱗が引き抜かれると、力無く床に倒れる恭也の身体。 貫かれた心臓部から流れ出る大量の血。 「恭ちゃん!!!」 眼前に美沙斗がいるのも忘れ、恭也の元に駆け寄る。 「恭ちゃん! 恭ちゃん!!」 美沙斗は呆然とした……。 殺してしまった。 かつて穏やかな時、親子のように接した甥。 一族全てを失い、父も失っても、それでも純粋に真っ直ぐに御神の剣を振るう甥。 彼を殺したくなかった。 だが、彼を、恭也を殺したのは間違いなく美沙斗自身の手だ。 「あなたが……あなたが恭ちゃんを!!!!」 美由希は憎む。 目の前の女性を。 だが、それを止める者がいた。 「やめろ……美由希……ごほっ」 恭也だった。 まだ息はあるが、もう長くないのは目に見えている。 美由希は喋らない様にと言おうとするが、恭也はそれでも話す。 「その人は……美由希、お前の……実の、母親だ……」 美沙斗が美由希の実の母。 それこそが、美由希と美沙斗を会わせたくなかった最大の理由。 「嘘……嘘でしょ? いつもの嘘だよね?」 「事実だ……」 「すまない……本当に、すまない……美由希……恭也……」 手にした龍鱗を落とし謝罪する美沙斗。 その瞳からは滴が……。 美沙斗を許したわけではないが、美由希は恭也の言葉を信じる。 まだ、信じられないが……心が感じ取った、そして、過去の記憶を思い出した。 美沙斗が母である事と。 「もういい、もういいよ恭ちゃん」 「これで……フィアッセの夢も、叶うな……」 そう言い終えた時、恭也の身体から重さが無くなる。 「え?」 心音の停止。 それは、死の意味。 「恭ちゃん! 恭ちゃん!!」 「恭也!!!」 美由希は恭也の身体を揺さぶるが、糸の切れた操り人形のようにだらんとしてる。 「ううっ……あのね、恭ちゃん。実はお弁当作ってたんだ。コンサートが終わったら、一緒に食べようと思ってね」 あまりの現実に恭也が生きていると思い込み、懐から不恰好なおにぎりを取り出す。 「恭ちゃん、1人で食べれないから食べさせてあげるね」 美由希にとって恭也とは、兄であり、剣の師であり、そして想いを寄せる男性。 彼女にとって当たり前のように隣にいた存在。 だからこそ現実を……直視する事が出来ない。 「美由希……くっ」 美沙斗は心の中で嘆き叫ぶ。 何故、甥を、恭也を殺してしまっのかと。 何故、娘を、美由希の心を壊してしまったかと。 だが、恭也が死んだ事実は変わらない。 ガチャ……。 不意にドアが開く音がして、美沙斗は目を送るとそこには。 「やれやれ、噂の人喰い鴉。役に立たないな」 美沙斗にコンサート襲撃を依頼した組織の連絡者が。 「貴様は、……!!?? その刺青はっ!?」 男の手には、龍の刺青。 それは御神の一族を滅ぼした、犯罪組織『龍』の証。 つまり、美沙斗は……。 「よくも、騙してくれたな……」 「騙されるのが悪いのさ。この業界なら尚更にな」 男の手から投げ放たれる小箱。 瞬間的にそれが、爆弾である事を理解する。 美由希は屍と化した恭也におにぎりを食べさせていて男の存在、ましてや投げ込まれた爆弾の存在すら気付いていない。 美沙斗は意識を集中し神速を発動。 「なっ……」 だが神速は発動せず、代わりに身体中に激痛が走る。 感覚麻痺の薬が切れた事で、先ほど恭也のとの戦いで負った傷の痛みが現れ、床に倒れてしまう。 もはや死の運命は逃れられない。 だが。 その時。 一陣の黒き影が。 駆け抜ける。 それは神速の如き速さ。 いや、正真正銘の神速。 影は爆弾を抱えると、そのまま男の下に走る。 「なっ!!??」 男は影に押される形でそのまま部屋の外に。 そしてホテルの外に連れ出すと、影は大声で叫びながら男を爆弾ごと天高く放り投る。 「人間が食えない料理を食わせるなぁぁ〜〜!!!! この、 馬鹿弟子 がっっっ〜〜〜〜!!!!!!(某素手でMSを破壊する三つ編みの人風)」 どっば〜〜〜〜ん!!! 夜空に輝く爆発の光と音。 「はぁ〜、はぁ〜……」 影は息切れを起こしながらも、深呼吸を繰り返し自身を落ち着かせる。 ホテルの中から出てくるのは、恭也の身の危険を感じたフィアッセ。 「恭也!!」 影は……死んだはずの恭也であった。 確かに心臓を貫かれて死んだ筈であった。 その証拠に左胸には大量の血痕がこびり付いている。 が、現実に今、生きて立っている。 様々な出来事があったが、コンサートは無事に終了した。 そしてステージの楽屋裏に皆が集まる。 「恭也……よく生きてくれた……」 美沙斗は今だ信じられないが、それでも恭也が生きていることに喜ぶ。 ちなみに美由希は部屋の片隅でぶつぶつと言いながら座り込んでいる。 その訳は……。 「あの馬鹿が作ったおにぎりが不味過ぎて、あの世から戻ってきたんだ」 恭也が蘇生したのは、見も蓋もない理由。 だが、美由希にしてみれば不幸のどん底に落ちる理由。 「でも恭也が生きてて良かったよ」 フィアッセは満面の笑みで恭也の抱きつく。 「それにしても、美由希の料理が役立つなんて初めて、 ううん、むしろ奇跡だね♪」 「そうだな。あの破滅的な料理が役立つとは……。 本当、奇跡としか言いようがないな」 「もう……私の前から消えないでね」 「安心しろ……ずっと、傍にいる」 2人だけの世界を作ってる恭也とフィアッセ。 「ぐすん。これ、私のシナリオルートじゃなかったの?」 それは作者が恭也×フィアッセ派だからさ♪ 真のタイトル 【運命をも変える、美由希の手料理】 ちゃんちゃん♪ 「『ちゃんちゃん♪』じゃな〜〜〜い!!!!」 |
本家では初めまして、鏡丸太です。 え〜、本作は一発ネタです。 少しでも笑えてもらえれば、万事OKです。 ちなみに美由希の扱いに関しては、……まあ、ギャグではこれがデフォルトっぽいので。 口ずさみにとらハサウンドステージ4から『ねこねこロックンロール』なんぞどうぞ。 では。 |
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