恐怖!! 間違ったお袋の味
三月の花
ふと目が覚めると俺の部屋だった
時計を見ると


〔PM:12:48〕


昼―――
確か、朝食を食べて部屋で横になって・・・そのまま2度寝してしまったのか

それにしても家の中が静かだ、誰も居ないのか?

俺は階段を降りてリビングへ向かった
誰も居ない、縁側にもキッチンにも……みんな出掛けているのか
それなら書き置き位は残してあるはず……どういう事だ?

「ただいま〜」
「おじゃましま〜す」

玄関から2人の声、この声は――
「あ、恭ちゃん起きたんだ」
「こんにちは、恭也さん」

美由希と那美さんか

「お帰り美由希、いっらっしゃい那美さん」
「恭ちゃん、今日は良く寝てたね」
「うむ、しかし起きたら誰も居ないが他のみんなは?」
「レンは病院、晶は空手の練習、フィアッセとなのはとかーさんは翠屋に行ったよ」
「そうか…ところで1つ気になっているのだが……那美さん、その手に持っている鍋
は?」
俺は那美さんが持っている鍋に注目した
「さざなみ寮で私と美由希さんが作った肉ジャガです」
「今回は那美さんと一緒に気合入れて作ったから自信作だよ」
そうか、美由希と那美さんが……………

ちょっと待て

今何と言った?

美由希と那美さんが一緒に料理?合作?

危険だ、その鍋の中はとてつもなく危険だ、核物質クラス……否、それを遥かに上回
る――
「さざなみ寮住人のあの2人にも好評でしたね」
「あの2人?」
「真雪さんと美緒ちゃんです、作った時にお2人がお腹を空かしていたので少し………恭
也さんもお昼がまだでしたら如何ですか?」
そうか、既に毒味役がいて猶且つ今でも健在なら食えない事もないだろ
「はい、それではお言葉に甘えていただきます」
「それじゃ、キッチンで準備してくるから待っててね」
そう美由希が言い残して那美さんと共にキッチンへ向かった


―――10数分後
キッチンのテーブルに座り、その向かいに美由希と那美さんが座った
そして俺の前に白いご飯と、合作の肉ジャガが置かれた
刺激臭はしない、むしろ良い匂いだ
他は少し煮込み過ぎたのかジャガイモがトロけているが特に問題は無さそうだ
「それでは、いただきます」
「「はい、どうぞ」」
息ぴったりの揃った二人の声、流石は仲良しコンビ
などと思いつつ俺は肉ジャガを食べた
やはりジャガイモが煮込み過ぎで柔らかくなり過ぎている
しかし食べれない事は無い、少し味が濃いが――

「うまい」

俺の言葉に嬉しそうにする2人
そして、お茶碗のご飯と小鉢に入った肉ジャガを平らげ、手を合わせた
「ごちそうさま」
「「はい、お粗末さまでした」」
ここまでシンクロ率が高いとは……第三新東京市の特務機関に行って人造人間に乗るか?
まあ、それは置いといて2人共、良くここまで成長したな―――


不意にリビングの電話が鳴り、俺は電話をとりにリビングへ向かった
「はい、高町です」
『その声は恭也くんだね?』
電話の相手は、元洋食屋『サフラン』のコック、そして今は『さざなみ寮』の管理人であ
る槙原耕介さんだった
「あ、どうも、ご無沙汰しています」
『ああ、ところで美由希ちゃんと、うちの那美ちゃんは来てないかな?』
「美由希と那美さんですか、はい来てますが………」
『それと恭也くん、あの2人の肉ジャガはもう……』
「はい、先程よばれました」
『……そうか……遅かったか……』

遅かった?
耕介さんの電話越しに感じる沈痛な面持ち――
何か嫌な予感がしてきた、とてつもなく嫌な予感………


――ゴロゴロゴロ!!


「○■☆@♂▲◇!!」
突如、俺は腹痛に見舞われた

『もしもし、恭也くん?』

あまりの痛さに声が出ない―――
『恭也くん?……まさか新たな被害者が…………恭也くん!しっかりしろ!!』

受話器越しに耕介さんの声が聞こえてくるが対応出来ない

『新たな被害者』……その言葉で腹痛の原因が解った気がする


段々意識が朦朧としてきた
朦朧とする意識中、キッチンにいる2人の声が聞こえて来る――


「やっぱり本に書いてある通りでしたね」
「そうだね、材料は…………」


「「やっぱり腐りかけが1番ですね(だよね)」」


腐りかけ……2人共……それは……肉……限定…………だ………


そして俺はそのまま意識を失った


――数週間後――
俺は病院のベットで目を覚ました
俺の寝ているベットの隣は――――

「……な〜み〜……みゆきち〜……」
「……この借りは……数千……いや、数万倍にして……返してやる………あ〜……原稿が
〜……締切が〜…」
この2人の怨念と殺気は異状では無かった
(……今回は仲裁の余地無しだな)


後日判明した事だが、肉ジャガに使われた野菜は全部腐りかけ、そして肉は腐りかけでは
無く――




100%余すところ無く完全に腐った肉だった



「那美さん、次は頑張りましょう!」
「そうだね、美由希ちゃん!!」





「「「お前等もう料理作るな(なのだ)!!」」」



感想BBS



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送