夏休み前、私はある決心をした。
 ――これからはお兄ちゃんにまとわり付くのは止めよう。
 ――私も私の道を歩いていく事にしよう。
 ……と。

 そしてそう思った矢先の事。
 私は田中先生に連れられていったレストランで、バイトをしていた1人の男の子―石原尚人君―に一目惚れ……のようなものをしてしまった。
 『のような』と言ってしまうのは、その時はまだ私自身、彼の事を好きなのか分からなかったからなんだけど……。

 でもそれから、私も彼と一緒にそのレストランでバイトするようになって彼の事を少しずつわかってきた頃になると、この気持ちは本物だったんだって自分でも分かる様になってきた。

『私……やっぱり尚人君のことが好きなのかもしれない』

 しかしそうは思ったものの、私はなかなか次の行動に移すことが出来なかった。
 バイトの時は色々と話をしたりするけど、どこか遊びに行こうとか、そういう話まで発展する事は無かった。
 これが大学の友達となら、例えそれが男の子の友達だったとしても普通に遊びに行けるのに……。
 どうやら自分は意外と恋愛には奥手だったらしい。そんな事がわかった。
 結局、これといったことが無いまま8月・9月はあっという間に終わり、季節は本格的に秋へと移っていった……。
 
新しい道
                              時羽


「沙羅、来週の祝日にみんなでここに行かない?」
 それはレストランでのバイトが終わり、ユニフォームから私服へ着替えている時だった。
 声とともに私の手の中に入り込んできた一枚のチケット。
 その表面にはこんな文字が浮かんでいた。

 ――『海洋テーマパーク LeMU 入場無料券』。


「これ、どうしたの!?」
 私はこのチケットを渡してきた相手・萩本奈美(はぎもと・なみ)にそう尋ねた。

 奈美は私と同じイタリアンレストラン『蒼き森の泉』でのバイト仲間で、年は私と同じ18歳で千羽谷大学の1年。
 彼女は家族と一緒に藍が丘に住んでいて、家族は両親と弟と妹と5人で暮らしている。両親は共働きのため、小さい頃から弟達の面倒は夕菜が見ているそうだ。
 彼女がサバサバとした面倒見のいい姉御肌的な性格で、バイトでも頼れる存在なのも、そんな家庭で育ったからなんだろう。
 私は奈美がこのバイトに入った頃の事を思い出してみた。


 私がここのバイトに入ってから2週間。
 8月の上旬の事だった。
「沙羅ちゃん、ちょっといいかしら?」
 開店前の掃除をしていた私に、お店の店主・守野いづみ(もりの・いづみ)さんが声をかけてきた。
「何ですか?」
「うん。実は今日から新しいバイトの人が入るから、紹介しておこうと思って」
 私はひとまず掃除を中断して、いづみさんに付いて行った。
 スタッフルームに入っていくとショートカットでいかにも快活そうな女の子が立っていた。
 彼女はいづみさんに促されて私の前にやってきた。
「どうも、萩本奈美です。よろしくお願いします!」
「初めまして、倉成沙羅です。こちらこそよろしく」
 ちなみにその日にバイトに入っていたのは私だけ。
 同い年、そして2人とも外交的な性格と言う事もあり、私達はバイト後に早速で仲良くなったのだった。



「商店街の福引で当たってね。ちょうど4人分あるから尚人君や冬香さんも誘って定休日に行こうかなって思っているんだけど」
「尚人君と冬香さんも行くの?」
 尚人君は当然のこと、冬香さんもここ『蒼き森の泉』でのバイト仲間だ。

 石原尚人(いしはら・なおと)君は進学校として有名な私立澄空高校の2年生。私の2つ下だ。
 性格は温和で普段は少し頼りない印象を受けるが、いざという時(例えばバイトでお店が非常に混雑してきた時など)には、瞬時に的確な指示や行動をとってくれて、とても頼もしかったりする。
 また尚人君は高校で野球をやっている。ただチームはそんなに強くないらしくて今夏の高校野球大会では地方大会3回戦で敗れてしまったそうだ。 
 
百瀬冬香(ももせ・ふゆか)さんは23歳の鳩鳴館大学大学院1年生。
 奈美を頼れる姉さん肌とするなら、冬香さんはちょっとそそっかしいお姉ちゃん的な存在といえるだろう。
 バイトでも何かと些細なミスを連発する冬香さんだけど、持ち前の愛嬌の良さでうまくそれをカバーしてしまう。
 ちなみにいづみさんが言うには、冬香さんは若かりし頃のいづみさんにそっくりらしい。
 私は冬香さんのことについても思い出してみた。


 冬香さんがこのバイトに入って来たのは、2週間前のことだった。
 その日バイトに入っていたのは偶然にもまた私1人だった。
 奈美が入ってきた日と同じように、店内掃除中にいづみさんに呼ばれ、私達は自己紹介をしあった。
 そして3日前、大学の帰り道でばったりと出会った私達は近くの喫茶店でお茶をする事になった。
「冬香さんも鳩鳴館大学の方に通っていたんですね。ひょっとしたら今までにも大学ですれ違ったりしていたかもしれませんね」
「ふふっ。そうかもしれないわね」
「ってことは、ずっと鳩鳴館大学に通っていたんですか?」
 そうならば色々と講義の事も聞けるかも知れない、そう思って尋ねてみたのだけど……。
「ううん。私、大学2年までは海外の大学に通っていたから」
「え!?それじゃ、冬香さんは帰国子女?」
「ええ。高校から5年間、アメリカの方にね」
 留学か〜、すごいんだなぁ〜。
 ……でも、なんで大学2年で戻ってきたんだろう?
 中途半端な時期な気がするんだけど……。
 すると……。
「なんで大学の途中でこっちに戻って来たのか、気になる?」
 冬香さんはそんな私の思惑を読み取ったかのようにそう訊いてきた。
「あ、わかります?」
「ええ。この話すると、他の人にも良くそう訊かれるから」
 少しだけうんざりしたような笑みを浮かべながら、冬香さんはそう答えた。
「私には妹がいるんだけど……3年前にその妹が行方不明になっちゃって……」
「え、行方不明!?」
「ええ。……妹は昔から人付き合いが上手くなくてね。姉である私となら普通に話せるんだけど、学校の友達とか先生とかとは折り合いも良くなかったらしいの。しかも両親との仲も、ちょっと良くなくてね……。結局、それが理由で家出をしていたらしくて……。それがあって私はこっちに戻ってきたのよ」
「それで、妹さんは……?」
「ああ、もちろん見つかったわ。行方不明になってから半年くらい後だけど、無事にね。こっちの方に友達が出来たらしくて、その子の家でお世話になっていたそうなの」
「そうですか〜。よかったですね」
 家族が行方不明な時の辛さは、私にも良く分かる。
 私もお兄ちゃんと離ればなれになって行方が分からなくなった時は、凄く心細くて辛かったから。
「そういえば『こっちの方に友達が出来た』って言っていましたけど、冬香さんって実家はこちらじゃないんですか?」
「ええ、実家は京都にあるの。今は千羽谷で妹と2人で暮らしているんだけどね」
「あ、妹さんも一緒なんですか」
「ええ。妹は今はこっちの友達が経営している千羽谷のカフェで働いているの。年は沙羅ちゃんと同じだから、良ければ今度会ってみてくれると嬉しいかな」
「もちろん喜んで。ぜひ今度紹介してくださいね」
「うん。その時はよろしくね」



「冬香さんには『行く』って確認取れたんだけど、尚人はまだ。私、あまり尚人とは一緒にならなくて……」
「ああ、確かに」
 尚人君は土・日は1日がかりで野球部の練習があるからバイトは週の前半に固まっている。
 一方奈美は平日は弟達の世話があるため、両親がお休みの週の後半をメインにシフトを組んでいる。
 従って基本的には2人が同じ日にバイトに入る事は無いのだった。
「そんなわけだからさ。尚人には沙羅の方から聞いておいてくれないかな?」
 もう1枚チケットを取り出し、それを私の方に差し出しながら奈美がそう言った。
「うん、わかった。次の月曜日にでも聞いておくよ」
「頼むね……っと、沙羅は行くでいいんだよね?」
「うん。もちろん行くよ」
 2年前の事件で今までの悪事が公になり、壊滅に至ったライプリヒ製薬。
 そのため経営主のいなくなったLeMUもそのまま閉園かと思われていたが、それに日本屈指の大財閥・飯田財閥が待ったをかけ、強引にもそっくりそのまま買収ということになった。
 そしてLeMUは飯田財閥スポンサーの下で経営される運びとなったのだった。
 そんなわけでかつて私を苦しめていたライプリヒの影は、もうあの場所には無い。
「オッケー。それじゃあ尚人の方、よろしくね」
「うん。じゃあお疲れ様」
「お疲れ様〜」

 そして翌週の月曜日に尚人君に聞いてみたところ……
「もちろん僕も行かせてもらいます」
 ……との返事が来た。


「いい天気〜。まさに行楽日和ね」
 太陽の光を手で遮りながら空を見上げて、冬香さんがそう言った。
 連絡線からインゼルヌルに降り立った私達はすぐに中央ゲートには行かず、インゼルヌルを歩き回っていた。
 夏の時よりもだいぶ弱まった日差しに海の香りを含んだ秋の風が吹いている。
「ふ〜ん。こんな感じなんだ」
 尚人君が物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回しながら、そう呟いた。
「ひょっとして尚人君、ここにくるの初めて?」
 そう尋ねると、尚人君はうんと頷いて答えた。
「TVで見た事あるけど、実際に来たのは初めてですね」
 尚人君の言葉に奈美も続いた。
「実は私も初めてなんだよね、ここに来るの」
「へぇ〜、そうだったんだ」
「うん。だから昨日の夜は楽しみで楽しみで、あまり眠れなかったり……」
 そう言ってから少し恥ずかしかったのか、奈美は苦笑いを浮かべてポリポリと頭を掻いた。
「あ、ところで沙羅や冬香さんは?ここに来るのは何回目?」
「私は高校のとき、学校行事で1度だけあるよ」
 まあ、その時は事件が起こっちゃってろくに遊べなかったけど。
「私はこれで3度目ね。中学と高校の卒業記念に遊びに来たわ」
「そっかー」
 それから私達は他愛もない世間話をしながら中央ゲートへ向かった。
 
 エルストボーデンに降りるため中央ゲート前に来た私達。
 寄り道をしていたせいか、並んでいる人の列はかなり短かった。
 一人、一人と中央ゲートの中に入っていく。
 間もなく私達の番になった。
 まず最初に入ったのが奈美。
 2番目が冬香さん。
 3番目が尚人君。
 そして最後に私が入ろうとした、その時……。
「すいません。定員のなりましたので今回の入場はここまでとさせていただきます」
 そんな声とともに私の前にLeMUの係員が立ちはだかった。
「ええっ!?」
 私は思わず声を上げてしまった。
 勿論1人だけ取り残されてしまった事がショックだった、ということも理由のうちだけど、それよりも何よりもこの状況って……。
「……パパがママや田中先生達と閉じ込められてしまった時と同じ……?」
 そう。19年前にパパも友達とここに来て、この中央ゲートの所で友達と別れ、エレベータ1本遅れてLeMUに入った。
 そして……17年にも渡るあの事件が起こったのだった……。
 まさか。
 まさかね。
 あの事故の再来なんてありえないよね?
 ありえない、ありえない。
 そうそう同じ事が起こるなんてないよ。
 これはただの偶然。
 『偶然は続く』なんて昔の誰かが言っていたけど、そんなこと無い無い。
 偶然は1回だから偶然なのであって、何度も起きたらそれは必然。
 だから大丈夫。
 変な理屈な気もするけど、絶対大丈夫……。
「沙羅さん!」
 ゲートの中から尚人君が顔を出し、叫んだ。
「下で待ってますから!心配しないで下さい!」
 後で冷静になって考えてみたら、何のことは無い普通の会話。
 でもこの時、動揺していた私にとっては、何よりも嬉しい言葉だった。
「うん。わかった!ちゃんと待っててよー?」
 私がそう返すと、尚人君はしっかり頷いてゲートの中へと消えていった。

 約45分後、エルストボーデンに降り立った私を待っていたのは……。
 私を待っていたのは……。

 ……尚人君……だけ?

「あれ?尚人君、冬香さんと奈美は?」
 私は尚人君と合流するなり、そう尋ねた。
「沙羅さんって、黛鈴(まゆずみ・りん)って人、知ってますかね?」
 ……黛鈴?
「それって、火サスで有名な女優の黛鈴?」
「そうそう。その黛鈴ですよ」
 刑事モノや探偵モノで人気の高い火曜サスペンスアワー、火サス。
 その中での知名度が高い『弁護士・熊坂藍紗のプロファイル』シリーズの主人公・熊坂藍紗役を演じているのが黛鈴という女優なのだ。
 しかしこの黛鈴という女性、昔から女優だったというわけではない。
 彼女の本業は国選弁護人。そう、実は本物の弁護士さんなのだ。
 なんでもこのシリーズを立ち上げようとした時、プロデューサーが『主人公に現役の弁護士を』と強く要望し、それに彼女が乗ってきてこういう結果になったそうだ。
「さっき黛鈴がここ通って。2人は彼女を追っかけて行っちゃったんです……」
 半ば呆れたように尚人君は言った。
「……ミーハーなんだね、2人とも」
「ははは……そうみたいですね」
 そして尚人君はやれやれと肩をすくめるとこう言った。
「それじゃ、2人を呼び戻しますか」
「えっ?」
「?……どうしたんですか?」
「呼び戻すって……どうやって?」
「PDAで……」
「…………」
「…………?」
「あのね、尚人君。LeMUじゃPDAは使えないよ……?」
「え?そうなんですか?」
「うん」
 オーナーが飯田財閥に変わったとは言え、コンセプトまでは変わってはいない。
 ここはあくまで『地上の楽園』。
 従って、外部からの連絡は自分の携帯端末では取れないことになっている。
 その代わりにどうしても外部と連絡を取る必要がある人には、LeMU専用の端末機を有料で借りることが出来るといったシステムが導入されている。
 でも、私達はもちろんそんな物は借りていないので、奈美達と連絡と取るのは無理だ。
 最終手段として館内放送を頼むという手もあるけど、そこまですることも無いだろう。
 どうせ回っているうちに見つかるだろうし。
「それじゃあ仕方ないですね。僕達だけで回るとしますか」
「うん」
 それから2人で歩き始めて数分。
 私はある事に気がついた。
 ……ん?ひょっとしてこれって……尚人君と初デート?
 今私達は2人だけで、テーマパークの中を見て回っている。
 うん。デートと思えなくも無い。
 そう……これはまさに……。
「……チャンスじゃん……」
「え?何?」
「ん?ああ、いや、何でも〜」
 つい口に出てしまったけど、まさにこれは尚人君と急接近するチャンスじゃない!
 思わず転がり込んできたチャンス。神様、ありがとう!
 特に信仰者ではない私もこの時だけは幸運の女神に感謝した。

 そんなわけで尚人君と2人でエルストボーデンを回る。
 ここは以前来た時はろくに見る間もなく崩壊してしまったフロアだったので、私にとっても新鮮だった。
 エルストボーデンにはアトラクションの類は無く、外壁は全てガラス張りで天然の水族館のようになっている。
「うっわ〜!綺麗〜!!」
「綺麗ですね」
 ガラスを隔てた紺碧の海の中には無数の魚が勝手気ままに泳いでいる。
 大きい魚、小さい魚、赤い魚、黄色い魚、青い魚、1匹だけで泳いでいる魚、群れをなしている魚……。
 そして地上から届く微かな光が幻想的な雰囲気を醸し出しているのだった。
「何て言うか……凄いですね」
「うん。凄い凄い!」
 視界いっぱいに広がるガラスの向こうには無限に続く海……。
 そしてその中で自由に泳ぐたくさんの魚たち……。
 この光景はやはり、凄いという他に言いようが無い。
 しばらくの間、私たちは自然が作り出すイリュージョンに目を奪われていたのだった。

 エルストボーデンを後にした私たちはツヴァイト・ドリットの各フロアにあるアトラクションを楽しんだ。

 2年前ここに来た時はヤミオニとかトランプとかでは遊んだけど、こういうアトラクション系を楽しむ余裕は無かったんだよね〜。
 ……唯一印象に残っているのはコスミッシャーヴァルくらいかな?
 まあ、逆にあそこでは色々とあったから、忘れようにも忘れられないんだけどね。

 そんなわけで(?)私は尚人君を引き連れて次から次へとアトラクションに挑んでいったのだった……。

「ふ〜、ちょっと疲れたかな?」
 めぼしいアトラクションを全て楽しんだところで、私たちは憩いの広場にやって来た。
 私が散々連れ回したせいか、尚人君はベンチに座るとふぅ、と一息つく。
「うん。ごめんね、ちょっと懐かしかったから、はしゃいじゃって……」
「別に気にしなくていいですよ。僕も楽しかったから」
 穏やかな笑みとともにやさしくそう言ってくれる尚人君。
 う〜ん……やっぱりいいよなぁ……。
 でも私のほうが年上なのに、これだとまるで尚人君の方が年上みたいじゃん。
 何て言うか……尚人君に気を遣わせ過ぎたかも?
 それはやっぱりいけないよね……。
「そうだ!ねぇ尚人君、ソフトクリーム食べない?」
「え?ソフトクリーム?」
「うん。……あまり甘いものは好きじゃないかな?」
「いや、そんなことは無いです。どちらかって言うと男の割には好きな方ですかね」
「そう。それじゃあ奢ってあげるね。今買ってくるから、ここで待ってて」
 私がそう言って立ち上がると、尚人君も慌てて立ち上がった。
「あ、僕が買って来ますよ。沙羅さんは休んでて下さい」
「いいからいいから。ここは年上の私に奢らせてよ」
 『年上の』というところを強調して言うと、さすがに尚人君もそれ以上は言い返せないようだ。
「……じゃあ、ご馳走になります」
「あはは。ご馳走なんてちょっと大袈裟だけど。それじゃあ買ってくるね」
「はい」
 尚人君が頷くのを確認して、私は売店に向かった。

 売店でソフトクリーム2つ買って尚人君の所へ戻る……と。
「え?」
 突然、目の前に人影が飛び出してきた!
「わっ!」
「きゃっ!」
 咄嗟に私はソフトクリームを守るため両手を引っ込めた。
 幸いその人にぶつかることはなく、ソフトクリームの方も無事だった。
「っと、大丈夫!?」
 ぶつかりそうになった女性が心配そうな声で尋ねてきた。
 私はそっちに振り向いた。
「あ、はい……あれ?」
 振り向いた先にいた女性……それは……。
「……冬川先生?」
「……あ、沙羅ちゃん?」
 その女性は、私が大学でお世話になっている冬川こころ(ふゆかわ・こころ)先生だった。
 大学では毎週会っているけどプライベートで会うのは今日が初めて。
 服装もいつものスーツ姿じゃなくラフな格好なのでちょっと新鮮だ。
「奇遇ですね、こんなところで会うなんて」
「そうだね。沙羅ちゃんは1人で来たの?」
「いえ、バイト仲間と一緒に」
 私は首を横に振って答えた。
「あ、そうだよね。さすがに1人じゃあ来ないよね」
 別に1人で来る人もいるんじゃないかと思うけど……。
 私は口には出さずにそう突っ込んでおいた。
「そういう先生は?見たところお1人のようですけど……」
 先生の周りに同行者らしき人がいなかったので私はそう聞き返した。
 すると先生は急にため息をついてこう続けた。
「うん。実は……友達と一緒に来ていたんだけど、はぐれちゃってねぇ」
 『それで探していたんだけど……』と言いつつ、冬川先生はきょろきょろと辺りを見回している。
「沙羅ちゃんさ、銀色の髪をしたインド人系の女性を見なかった?」
 銀色の髪をしたインド人系の女性……。
 そんな人が傍にいたら間違いなく気づくだろう。
 しかし残念ながらここに来るまでには、そんな人は見かけていない。
「いえ。見ませんでしたけど……お友達の方ですか?」
「うん、そう。あと数人と一緒に来たんだけど……一番目立つのが内海さん、そのインドハーフの女性で……」
「えと、他の人の特徴は?」
「う〜ん……穂鳥ちゃんは黒髪の綺麗な人だけど、特にこれと言って目立つ特徴はないし……。あ、黛さん――黛鈴って女優さん知っている?」
「あ、それならさっき一緒に来たバイト仲間が見たって言ってましたよ」
「え?本当!?いつ、どこにいた?」
「詳しい時間まではわかりませんけど、1時間位前にエルストボーデンの中央エレベータ前にいたそうですよ」
「そっか……それじゃあもう他の場所に移動してるよね……」
 先生は肩を落とすと、ふーっと大きく息を吐いた。
 それにしても冬川先生とあの黛鈴が友達だったなんて驚きだ。
 気になった私は2人の関係について尋ねてみた。
「ああ。私達はHAL18便の事故で知り合った仲なのよ」
「……HAL18便の事故?」
 聞いた事の無い事故だ。
 私がきょとんとしていると冬川先生は少しの間をおいてから、ある事に気づいたように驚いた表情を見せた。
「そっか……もう25年前の事故だもんね。沙羅ちゃんはまだ生まれていないか」
 先生はそう言うと感慨深げに遠くを見つめた。
 その様子からその25年前の事故のときにただならぬ事があったようだ、というのが伺える。
 一体何があったのだろうか?
 そう思った私は……しかし、それについて尋ねる事は出来なかった。
「そういえば沙羅ちゃん、大丈夫なの?」
「へっ?」
 突然心配の言葉をかけられても、何の事か分からない私。
「ソフトクリーム……」
「あ……!」
 そう言われて、私は両手に持っていたソフトクリームの事を思い出した。
 まだ解け出してはいないが、そろそろ危険な状態へと移行しつつあるのは明らかだ。
「早く戻った方が良いわよ」
「そうですね。それじゃあ失礼します」
「うん。じゃあ、また大学でね」
「はい」
 私は急いで尚人君の待つ憩いの場に向かった。

「お待たせ〜」
「ああ、ありがとうございます」
 ベンチで待っていてくれた尚人君に一方のソフトクリームを手渡し、私は隣に座った。
「ちょっと溶け始めちゃっているから、早く食べた方がいいかも」
「わ、わかりました」
 大急ぎでソフトクリームを食べ始める私達。
 う〜ん……。
 何か思っていたのと違うなぁ。
 私の中ではソフトクリームを片手にゆっくりといろいろな事を話し合うとか、そんな想像をしていたのに。
 ……夢見すぎ?
 そうなのかなぁ……。
 そんな事を考えながら食べたせいか、ソフトクリームは全然甘くなかった。

 ソフトクリームを食べ終えた私達は、そのまま憩いの広場でのんびりすることにした。
 アトラクションはほとんど楽しんだし、奈美と冬香さんはまだ見つかっていない。
 だからここで待ってみよう、と考えたわけだ。
「へ〜、尚人君って三つ子なんだ?」
「妹が2人いるんですよ。気が強くて、いつも押されぎみで、少し困ってるんですけどね」
 2人で隣同士に座っていると、まるでさっきの悩みは杞憂だったと思えるほどに話は弾んだ。
 バイトの話、学校の話、友達の話……。
 そして今は家族の話をしている。
「そうなんだ〜。じゃあ、家では肩身が狭い、とか?」
「そこまではいかないですけど、何と言うか……逆らえない?」
「あはは。大変だね〜」
「ええ、そうなんですよ。父も母には頭が上がらなくて……。女性陣が絶大な権力を持ってるんですよ、家は」
「そっか〜。でもそれ、家と同じだね〜!」
「え?そうなんですか?」
「うん。パパもお兄ちゃんもママには逆らえないんだよね」
「……って事は、実は沙羅さんも……とか?」
「え!?あ、え〜と……まぁ、家では結構我が侭放題、かな?」
「そ、そうなんだ……そうは見えないんだけどなぁ……」
 尚人君は少し驚いたようにそう呟いた。
 う……ひょっとして、マイナスイメージ持たれちゃった……?
「……尚人君はそういう女性は嫌いだったりするの?」
「え……あ、えーと……」
「……………………」
「いや、そのっ……別に嫌いでは無い……というか」
「……………………」
「えー……」
「……………………」
「……………………」
 わわっ!会話が無くなっちゃったよ!!
 尚人君、何かを言いたそうだったのに口をつぐんじゃうし……。
 うー……。
 結局尚人君は私をどう見ているんだろう??
 一緒にいて楽しいタイプ?
 それとも……ちょっと苦手なタイプなのかな?
 後者だったら嫌だなぁ……。
 出来れば、もう少し、尚人君と一緒にいたい。
 尚人君のこと、もっと知りたい。
 やっぱり……私は尚人君のことが好きになっているんだ。
 彼の容姿……。
 彼の性格……。
 そして、ふとした瞬間に見せる仕草……。
 そういった、彼が持っている全てのものが、私を魅了している。
 ……ちょっと大袈裟かな?
 ううん。これは本当の事なんだから。
 私は彼に惹かれている。
 黙っているだけじゃあ、何も変わらない。
 せっかくのチャンス……思い切って、自分の気持ちを伝えなきゃ!

 …………。
 ……………………。
 ………………………………。

 …………よし!!
「あの――」
「あのさっ!」
 しかし、私の声は僅かな差で尚人君の声にかき消されてしまった。
 尚人君は私の目をじっと見ている。
 いや……これは見つめている、と言った方が正しい。
 真剣な瞳で、私の瞳の奥を射抜くかのように、真正面に私を見据えている。
 私は何もいえず、ただただ尚人君の言葉を待つ。
「……沙羅さん」
「うん……」
 私の声も尚人君の声も少し、震えている気がした。
「さっきの質問の答えなんですけど……」
「…………」
「確かに、我が侭放題の人っていうのは、ちょっと苦手かもしれません」
「…………」
 やっぱり、そうだよね……。
 ああ……さっきあんな事言わなきゃ良かったよ……。
 ……後悔先に立たず、だけどさ……。
「……でも」
「…………?」
「その……こんな事急に言われても、迷惑かもしれませんけど……」
 な、なに……?
 尚人君は何を言おうとしてるわけ……?
「僕は…………沙羅さんのことが好きなんです!」
「……………………」
「……………………」
「…………は、はい??」
 い……今、何て……?
「初めてのバイトの日、沙羅さんを見た時から一目惚れで……沙羅さんと一緒にバイトしていると本当に楽しくて……」
「……………………」
「だからもし良かったら、俺と付き合ってください!お願いします!!」
 尚人君はベンチから立ち上がり、私の正面に立ってそう言った。
「……………………」
 う……嘘でしょ?
 こんな偶然ってある……?
 私も最初彼を見た時から一目惚れで……。
 彼の方も、私に一目惚れで……。
 出来すぎだよ……こんなの……。
「……やっぱり、迷惑ですかね?」
 私が何も答えないでいたからだろう。
 尚人君は『返事はノー』だと勘違いしてしまったようだ。
 ちゃんと、私も言わないとね。
「ううん、そんな事無いよ。……信じられないかもしれないけど、私も尚人君に一目惚れだったんだ」
「……え?」
 尚人君は思ったとおり、心底驚いているような顔を見せた。
「それに……私もたった今、告白しようと思ってた♪」
「……ほ、本当に?」
「当たり前でしょ?こんな時に冗談言うほど、私性格悪くないよ〜」
 2人ともお互いの事が好きだったのに、ずっと言えなかったなんて。
「……は、はは、ははははっ……」
「ふふっ、ふふふふっ……」
 私も尚人君も安堵と自然と笑いが溢れてくる。
 私たちはお互い、気の済むまで笑いあった。
 周りの人達が奇異の視線を向けてくるけど、そんなの気にしない。
 
「それにしても良かったな〜」
 ひとしきり笑って疲れた私達は、ジュースを飲みながら一息ついた。
「ん?何が?」
「僕が告白するのが一足遅かったら、沙羅さんに告白されてたわけでしょ?」
「うん。そうなるね」
「やっぱり男の方から告白しないと格好がつかないからね。だから良かったって思って」
「そんな、今時告白するのに男も女も無いって〜。……尚人君って、結構考えが古臭いんじゃない?」
「古臭かろうが古臭くなかろうが、男って言うのはそういう生き物なんだよ」
「そういうものかな〜?」
「そういうものなんだよ」
 尚人君は自分が言った事にうんうんと頷いている。
 ……こういったところにも惹かれちゃったりするな〜。
 ついつい尚人君をぼーっと見つめてしまう。
 その時だった。
「あっ!いたいた!」
 背後から聞き覚えのある声がした。
「あ、奈美……それに冬香さん」
 声の主は奈美だった。奈美は小脇にイルカのぬいぐるみを抱えている。
 そして奈美のやや後ろに、お土産が入っているのであろう袋を手に下げた冬香さんが立っていた。
「おやおや〜?ひょっとしてお邪魔だったかしら〜?」
「なっ!そんな事は無いですよ!」
「ほ〜う?沙羅、その割にはムキになってない?」
「き、気のせいだよ!」
「あははは……」
 私をからかって笑う奈美。
 そういえば奈美って、なっきゅ先輩にちょっと似てるかも。
「そろそろ帰りましょうか。もう3時過ぎだし」
「あ、本当だ。もうそんなに経っていたんですね」
「楽しい時間はあっという間に過ぎちゃうよね〜」
「それじゃ!LeMUをたっぷりと満喫できた事だし、帰りますか!」
 奈美のその号令と共に、私達は帰宅への道についたのだった。


 みんなでLeMUに遊びに行った日から3日後のバイト。
 今日は冬香さんと一緒だ。
 バイトの方はいつも通り特に問題も無く終了し、スタッフルームで着替えをする。
「……そういえば、このあいだは楽しめた?」
 すると一足先に帰り支度を整えた冬香さんがそう聞いてきた。
 このあいだっていうのはLeMUでのことだろう。
「ええ、楽しかったですよ。冬香さんは?」
「もちろん私も楽しかったわ。……でも、私が聞きたかったのはそういう意味じゃなくて……」
「?」
 冬香さんはちょっと困ったように、目を虚空に彷徨わせる。
「あー……。その、尚人君とは、どうだったのかなって……」
 そしてしばらくしてから小さな声でそう訊いてきたのだった。
 しかし、突然尚人君のことを話題に出されても、私としてもなんと言えばいいかわからない。
「ど、どうって……?」
 私はそう聞き返した。
「えっと、だから……」
 冬香さんはまたしばらく『う〜ん』と唸ってから、やがて意を決したように『うん』と頷いた。
「……つまりね?尚人君との仲は進展したのかなって、そう聞きたかったわけなんだけど」
「…………は、はいっ!??」
 な、何で冬香さんがそんな事を!?
 バイトで一緒とは言え、冬香さんと知り合ってそんなに長くはない。
 そして何より、冬香さんには私が尚人君の事を気に掛けているって事は話していないのに。
「実はこの前LeMUに行ったの、もちろん遊んで楽しむためっていうのもあったけど、本当の目的は沙羅ちゃんと尚人君をくっつけることだったりするのよね♪」
「はあ〜〜〜〜??」
 私と尚人君をくっつけることが目的〜〜〜!?
「あの……話が全然見えないんですが……」
「沙羅ちゃん、しばらく前に奈美ちゃんに尚人君との事を相談しなかった?」
 奈美に相談?
 ……ああ、そういえば……。


 厳しかった残暑も終わりを迎えた9月の下旬。
 その日のバイトを上がった後、奈美と一緒に『あいみるちゃ』に寄ってお喋りを楽しんでいた。
 ちなみに『あいみるちゃ』っていうのはお団子やあんみつ、お汁粉などの和菓子をメインとする、全国チェーンのファーストフード店のことね。
 
「ところでさぁ、沙羅って恋人とかいるの?」
 年頃の女の子が集まれば当然出てくる質問。
 私は正直に答える事にした。
「う〜ん……恋人じゃないけど、好きな人はいるよ……」
「え、どんな人?かっこいい系?それとも優しい系?」
 そしてこれまた当然のことながら話に喰らい付いてくる奈美。
 一瞬、本当のことを言おうかどうしようかと迷ったけど、やっぱりここは言う事にした。
 奈美に話す事で何かいい案が出てくるかも、と思ったからだ。
「奈美もバイトで1度は会った事があるだろうけど……実は、尚人君のことが……」
「えっ!?……あ、そうだったんだ〜」
「う、うん……」
 私は頷く。
「へぇー。で、今はどんな関係?」
「どんなって……だから、ただ私が一方的に彼の事好きだってだけで、まだ何も……」
「ほほう……では、まずはお2人の出会いからお話していただきましょうか♪」
 体を乗り出し、嬉々とした表情でそう聞いてくる奈美。
「な、何でそんな事聞くのさ?」
「何でって、そりゃあ2人の事知らなきゃ恋の手伝いもできないでしょ?」
「恋の手伝いって……」
「大丈夫、大丈夫!恋愛の事ならこの『浜学愛のキューピッド』こと萩本奈美さんに任せなさい!」
 奈美は自信満々にそう言って胸をぽんと叩く。
 う〜ん……本当に大丈夫なのかなぁ〜?
 なんか凄い安請け合いって感じがするんだけど……。
 それに『浜学愛のキューピッド』って言われても……逆に頼りなさげに聞こえちゃうのですが……。
 それでも、このままじゃいつまで経っても尚人君との仲も縮まりそうにはならないし……。
 まあ一応話しておいても良いかな?と、それ位の軽い気持ちで、私は尚人君との出会いから今に至るまでの経緯を話した。
 私が話している間、奈美は意外にもかなり真剣に聞いてくれているようだった。

「なるほど。まずは2人が近づくことが先決ね」
 私が一通り話をし終えると、奈美はすぐにそう言った。
「ただバイトで一緒ってだけじゃあインパクトが薄いわ。2人でどっか遊びに行くとか、そういう事が無いとね」
「それは分かっているんだけど……どうやって誘えばいいか……」
「そんなの、『今度のお休みに遊びに行かない?』とか適当に声をかければいいじゃない」
 ……それが出来れば苦労はないんだよね。
「その、適当に声をかけるのが難しいんだよ……。なんか意識しちゃって……」
「ふ〜ん。そうなんだ」
「うん……」
「そっかー……」
 奈美はお団子を1つ頬張り、う〜んと唸りを上げた。
 そして口の中のものを飲み込んでからこう言った。
「……オッケー。それなら私が何とかしてあげるわ」
「え!?」
「私が上手く話をつけてあげるってこと!」
「……本当に?」
「だからこの『浜学愛のキューピッド』に任せておきなさいって!」
 こういう時って、任せると大失敗!っていうのがお約束だったりもするんだよね……。
 でも、奈美も決してふざけて言っているようでもないし。
 ……頼んでみるかな?
 奈美には悪いけど、そんなに期待はしないで。
「……うん。じゃあ、お任せするよ」
「オッケー!成立カップル10組の大台に向けて、本気で頑張らせていただくからね♪」
 この時この話が彼女の中でどれくらい本気だったのか、私にはわからない。
 はっきりと言えるのは、私は本気で期待してはいなかったということくらいで。

 でも…………。


「本当は奈美ちゃんからは口止めされているから、言ってはいけないのかもしれないけど……奈美ちゃんは、沙羅ちゃんと尚人君が仲良くなれるように色々と頑張っていたみたいだったから。やっぱり成果があったのか気になっちゃってね……」
 冬香さんの話からすると、奈美は真剣に私と尚人君の間を取り持つ努力をしてくれたんだ。
 まだ知り合って2ヶ月しか経っていないのに……。
 あ、なんか、ちょっとぐっと来るものが……。
「沙羅ちゃん?」
「え、あ、いや……何でもないですよ」
「ひょっとして、尚人君と上手くいかなかったの?」
「そ、そんなことないですよ……どうしてですか?」
「だって、泣いているから」
「違うんです!その、嬉しくって……」
 私がそう言うと、冬香さんは私のそばに寄ってきて
「……優しいんだね、沙羅ちゃんって」
 そう言って、私の頭を撫でてくれた。
「優しいだなんて、そんな……」
「嬉しくて泣ける人っていうのはね、心が優しい人なんだよ」
 冬香さんは優しく優しく頭を撫でてくれている。
 ……ちょっと恥ずかしいけど、でも凄くほっとする。
 LeMUでママとお兄ちゃんに出会って、抱き合った時のような、あの安心感。
 心の底から落ち着く……そんな感じだ。
 気持ちが納まってから私はそっと冬香さんから離れた。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
 冬香さんはニッコリと微笑んでくれる。
「私も奈美ちゃんも2人のこと、応援しているからね」
「……はい。頑張ります!」




 私は今、幸せです。
 好きな人と両想いになれて。
 本当にいい人達と巡り会えて。
 昔の嫌な過去は、決して消える事は無いけど……。
 それでも、過去は過去の記憶として。
 今の幸せをかみ締めながら、精一杯生きていこう。
 また始まる、私の新しい道を。
 家族と共に。
 仲間と一緒に。
 尚人君と2人で……。
 歩いていこう。



あとがき
どうも、時羽です。
ほのぼの後日談シリーズ7作目読んで戴いてありがとうございます。
沙羅の恋愛話・第3話。
これでひとまず区切りがついたといった感じです。
これから2人は武×つぐみに負けないくらいラブラブになっていくでしょう。
それを作品という形でだすかどうかはまだ不明ですが。

それでは。


TOP / BBS /  








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送