空の秘密道具騒動その5
                              鳴きの虎


かげがりの巻

−真夏の炎天下の田中教授の研究所・・・。医務室にて−

桑古木:「ちくしょー・・・。何でこのクソ暑い中、台車一つで資材の運搬なんかやんなきゃいけねーんだよ・・・。」

−熱中症の桑古木−

空:「桑古木さん、大丈夫ですか?」

−ナース姿で桑古木を介抱している空・・・−

空:「資材の運搬でしたら、軽トラックに積んで倉庫まで運べばいいのではないですか?」

桑古木:「・・・あいにく、軽トラックは別の所員が使ってるから今無いんだよ・・・。
くっそー・・・。だから台車一つで何度も往復する羽目になってるんだ・・・。」

空:「困りましたね・・・。お手伝いしたいのは山々ですが、私にも仕事がありますし・・・。
あ、そうです。この道具を使って下さい。」

−何かランプを取り出す空−

桑古木:「・・・おい、その道具、まさか・・・。」

空:「ええ、このランプをこすると、けむりのロボットが出てきます。私の代わりに仕事を頼んでみてください。
それでは、ゆっくり休んでくださいね。」

桑古木:「・・・ああ、ありがとな。」

−そして部屋に戻って仕事を進めている空。だが、後ろから何者かに掴まれ、連れて行かれる。−

空:「きゃっ!?な、何ですかいきなり?」

ロボット:「ご主人様が、資材の運搬をしろとおっしゃるのだ。」

空:「頼まれたのはあなたでしょう!?だったら、あなたがやって下さい!」

ロボット:「どうやって運ぶか教えろ。」

空:「台車を使うなり何なりして下さい!」

ロボット:「じゃあ台車持って来い。」

空:「それくらいあなたがやって下さい!」

ロボット:「あと、仕事の段取り教えろ。」

空:「桑古木さんに聞いて下さい!」

ロボット:「つまらないことで、ご主人を働かせたくない。」

−その後、RSDレーザー炸裂でロボットもランプも一瞬で跡形もなく吹き飛ぶ・・・。−

桑古木:「・・・いいのかよ?秘密道具ぶっ壊しちまって。」

空:「・・・一行に構いません。あの道具は不良品のようですから。」

桑古木:「・・・・。まあいいや。それじゃ仕事に行ってくる。」

空:「あ、駄目ですよ。まだ顔色が良くありません。無理は禁物です。」

桑古木:「んなこと言われてもな・・・。」

空:「代わりに仕事をさせる道具を探しますから、ゆっくりして下さい。」

桑古木:「・・・ありがとな。」

空:「ええっと・・・。ネ〇ドロイドはこの炎天下だと、溶けてしまいますし・・・。」

桑古木:「・・・掃除の仕事が増えるだけだな。」

空:「HMX−12に任せるのはいかがでしょう?」

桑古木:「・・・余計に仕事が増えそうだからやめとけ。まあ、一生懸命頑張る姿は微笑ましいけどな。」

空:「くすくす・・・。」

桑古木:「で、どうするんだよ?」

空:「そうです。思いつきました。桑古木さん、少しじっとしててもらえますか?」

桑古木:「?」

−何やらハサミを取り出す空。そして、桑古木の影を切り取る・・・−

桑古木:「な、何だ?影が動き出した?」

空:「それでは、影に仕事を言いつけてください。ただし、1時間毎に1回、こののりでくっつけて下さいね。
タイマーを55分後にセットしておきましたので、この呼び出しボタンで一度影を呼び出して下さい。」

桑古木:「ああ、分かった・・・。おい、俺の影、すぐ資材の運搬をやってくれ。」

−仕事に向かう影・・・−

空:「これなら大丈夫ですね。でも桑古木さん、1時間以内に1回くっつけるのを忘れないで下さいね。」

桑古木:「ああ・・・。分かった。」

−1時間経過・・・−

桑古木:「よし、1回のりでくっつけて・・・。それでまたハサミで切ってと・・・

−2時間経過・・・−

桑古木:「いちいち面倒臭いな、くっつけたり切り離したり・・・。

−3時間経過・・・−

桑古木:「う〜ん、眠い・・・。」

−鳴り続けるタイマー。眠気の中無意識に、タイマーの停止スイッチを押してしまう桑古木・・・−

優春:「そろそろお茶の時間ね・・・。涼権と空をよんでこようかしら。」

−インターホンで、空の部屋へ用件を伝える優春・・・。−

空:「はいもしもし・・・。あ、田中先生。」

優春:「そろそろお茶にしようと思うの。ケーキも用意しておくから休憩室まで来てね。」

空:「はい、分かりました。」

−優は給湯室へ向かい、お湯を沸かしに行く。そして空は桑古木を起こすために医務室へ・・・−

空:「桑古木さん、そろそろ起きて下さい。お茶の時間ですよ。」

桑古木:「ん・・・?もうそんな時間か。じゃあ行こうぜ。ふああ・・・。」

−ふと目をやると、桑古木に影が無いのに気が付く空・・・。−

空:「あら・・・?桑古木さん、影はどうしたんですか?」

桑古木:「影?ああ、確か2時にまた仕事を頼んでそれっきりだが・・・。」

空:「え?今は3時25分で、既に1時間以上は経過していますよ?
3時にくっつけていないんですか?」

桑古木:「え?あ、そういえば、タイマーをつい押しちまったような・・・。」

空:「ええっ!?そ、そんな、大変です!桑古木さん、一緒に来て下さい!」

桑古木:「お、おい、ちょっと・・・。な、何なんだよ一体!?」

空:「あの影は、切り離されて1時間以上経過すると、だんだん知恵がついてくるんです。
しまいにはあの影が本物になって、桑古木さんが影にされてしまいますよ!」

桑古木:「ええっ!?マジかよ!ヤバい!ヤバすぎる!」

空:「一刻も早く探し出して、早くくっつけないと・・・きゃっ!?」

桑古木:「な、何だよ・・・。俺がどうかしたのか?」

空:「桑古木さん!だんだん体が黒くなり始めています!もう影になり始めていますよ!」

桑古木:「ガクガクブルブル・・・・」

−そのころ優春は・・・。−

優春:「さてと、お湯も沸いたし、お茶にしようかな。買っといたケーキ、楽しみにしてたのよね♪
そろそろ二人とも来るころ・・・ああっ!?」

−テーブルの上に置いてあったケーキが全部無くなっている・・・。そして桑古木らしき影が通り過ぎていくのが目に入る・・・。−

空:「一体どこに逃げたのかしら・・・。」

桑古木:「た、頼むぜおい・・・。」

優春:「涼権ーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!」

桑古木:「ゆ、優?な、何だよ一体・・・。」

優春:「よくも楽しみにしてたケーキ、全部一人で食べたわね!」

桑古木:「ち、違う!食べたのは俺じゃない!」

優春:「いいえ!確かにさっきの影はあんたの・・・」

空:「か、影ですって!?どうやら、既に自分の意思で動き始めているみたいです!ここは一刻を争います!急ぎましょう!」

優春:「ちょ、ちょっとあんたたち・・・。」

−別の部屋で、影が雑誌を読んでいるのを発見する二人・・・。−

空:「見つけました!あれです!」

桑古木:「ここにいやがったか!」

空:「元通り、桑古木さんにくっついてください!」

影:「イヤダネ。」

桑古木:「げげっ!こいつ言葉までしゃべりやがる!」

空:「ならば捕まえます!」

桑古木:「逃がすな!」

−だが、さわっても影には手ごたえが無い・・・。戸をすり抜けて逃げてしまう・・・。−

桑古木:「全然手ごたえがないぞ、あいつ・・・。どうやって捕まえたらいいんだ!?」

空:「・・・影をつかまえるには、影とりもちが必要でした・・・。」

桑古木:「・・・最初から使えよ・・・。」

空:「私はこちらを探します。桑古木さんはあちらを探してください。」

桑古木:「・・・分かった。」

−用心深く影を探す二人・・・。数分すると、空の向かった方向からバタバタと音が・・・−

空:「桑古木さん!見つけました!捕まえて下さい!」

桑古木:「逃がすか!」

−天井や壁を這いまわるようにして、二人の攻撃をかわす影・・・−

空:「捕まえたっ!手ごたえがありました!」

桑古木:「馬鹿ーーーーーーっ!俺は本物だ!」

空:「ええっ?桑古木さん!?さっきよりも黒くなっているのでつい・・・。」

影:「ケケケッ、コッチコッチ。」

空:「ぬうっ!こっちが影ですね!今度こそ逃がしません!」

桑古木:「わーーーーーっ!よせバカ、俺がまだくっついたまんま・・・」

−ドタン!バタン!ドンガラガッシャン!(部屋が滅茶苦茶に・・・)−

空:「はあはあはあ・・・。まったく、手強い相手です・・・。」

桑古木:「・・・・・(もはや半死半生)・・・・・。」

優春:「桑古木ーーーーーーっ!あんた何やってんのよ!」

桑古木:「悪い優・・・。話は後だ・・・。」

−その後何度も追いまわすが、どうしても捕まらない・・・。−

影:「ケケケ、モウスグオレトオマエガ、イレカワルゾ。」

−そう言うと、天井裏に隠れてしまう影・・・−

空:「ああっ・・・。あれでは捕まりません・・・。」

桑古木:「空なら暗闇くらい透視できるんじゃないのか!?オイ!?」

空:「・・・見えることと、捕まえられるかどうかは別です・・・。」

桑古木:「そうだ!RSDで何人か空を作って捕まえるのはどうだ?」

空:「RSDは実体がありませんから、道具を手にもって捕獲することはできません・・・。」

桑古木:「じゃあどうすればいいんだよ!?(必死)」

空:「・・・今最善の方法を考えています。」

桑古木:「早くしてくれ!もうすぐ時間が切れる!(超必死)」

空:「そうです!思いつきました!」

桑古木:「何?本当か?」

優春:「か〜ぶ〜ら〜き〜。(怒」

桑古木:「ゲッ、優・・・。」

空:「あ、先生、丁度いいところへ・・・。どうぞ叱ってあげて下さい。日当たりのいい所で。」

桑古木:「そ、空!?」

−そして庭で・・・−

優春:「ガミガミガミ・・・・・」

桑古木:「(チックショ〜・・・。今回は悲惨極まりない・・・。恨むぞ空・・・!そして作者・・・!」

空:「ふんふんふん♪」

優春:「そ、空!?あんた何してんのよ!?」

空:「では、お願いします。」

桑古木&優春:「!?」

−そして数分後・・・−

空:「とうとう捕まえました。桑古木さんの影なら先生の影には弱いはずですから。」

桑古木:「なるほどな・・・。(苦笑)」

−後日談−

桑古木:「おい、空・・・。」

空:「何でしょう?」

桑古木:「何で俺が、優に怒られなくちゃいけないんだ!?部屋の中をぶっ壊したのは空じゃないのか!?オイ!(血涙」

空:「・・・原作でも、襖を壊したのはネコ型ロボットの方でしたね・・・。」

桑古木:「大体、あんな危険な道具出しやがって・・・。もうちっとまともな道具を使えよ・・・。」

空:「ごめんなさい、桑古木さん♪(自分の頭をコツンと叩き、舌をペロリと出す空・・・)」

桑古木:「くっ・・・!こんなの反則だぞ・・・。」

空:「お詫びといっては何ですが、これから一週間分の桑古木さんのお仕事は私が引き受けます。
ご自宅で、ゆっくり養生なさって下さいね。」

桑古木:「チッ・・・。まあ、それでいいか。」

−さらに後日談。ココがボランティアに来ている幼稚園では・・・−

ココ:「みんな〜。集まった?。それじゃ、ココといっしょに、“カゲオニ”して遊ぼうね♪」

子ども1:「なになに?カゲオニって。」

子ども2:「おねえちゃん、教えて。」

ココ:「はいはい、それじゃ教えるね。カゲオニというのは、ジャンケンで負けた人の影をこのハサミで切り離して、
逃げた影をこのとりもちでつかまえるという遊びだよ♪」

桑古木:「わーーーーーーーっ!!!!!!そんな危険な遊びはやめろーーーーーーーーっ!!!!!!」






あとがき

先週の金曜日にド○えもんでこの話が放送されたのですが、その時野球の試合を見に行っていて放送されていたのを
知りませんでした・・・。無念・・・・。
元々、この話はテレビで放送される前に執筆していたのですけどね。本当です。
最近、空さんの活躍する話に凝っていましたが、次こそは闘牌伝を投稿できるように頑張ります。
しかし、最近麻雀の相手をしてくれる面子がいないので、なかなか良いアイディアが浮かんでこないのが悩みの種です・・・。
はあ・・・。


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