空の秘密道具騒動その7
                              鳴きの虎


必ず当たる手相セットの巻

桑古木:「ふう・・・。」

空:「どうしたんですか?桑古木さん。浮かない顔をして・・・。」

桑古木:「いや・・・。今日近くのレストランで昼飯食った後、近くに占い師がいたからちょっと
コイン占いをやってもらったんだけどさ・・・。」

空:「で、何と言われたんですか?」

桑古木:「・・・今日の午後の運勢、最悪だって言われた。」

空:「ま、まあ、お気になさらず前向きに行けばいいじゃないですか。」

桑古木:「・・・だけどそいつ、自身ありげに言うんだよ・・・。“俺の占いは当たる”って・・・。」

空:「意外と桑古木さんって、縁起を担ぐ方なんですね・・・。」

桑古木:「・・・前々回、最悪な目に遭ったからな。」

作者:「“かげがり”のことだな。」

桑古木:「うるさいっ!作者!!」

空:「では、桑古木さんのために、運が開ける道具を出しましょう。」

桑古木:「(・・・何だか悪運の原因は、こいつの妙な道具にありそうなんだが。)」

空:「必ず当たる手相セットです。」

桑古木:「何だそれ?」

空:「これに書かれていることを手の平に書くと、その通りのことが起きるんです。
では、試しに“金運の相”を書いてみましょう。」

桑古木:「?」

優春:「空、ここにいたのね。」

空:「あ、先生、どうかしましたか?」

優春:「先週あなたが買った宝くじだけど、何と100万円が当たったわよ。」

空:「え?本当ですか?」

優春:「はいこれ。無くさないようにね。」

空:「ありがとうございます、先生。
あ、そうですね、よろしければ週末に倉成さん達も一緒にお食事など如何ですか?」

優春:「え?いいの?折角当たったのに。」

空:「いいんです。自分一人で使うよりも、皆さんと楽しく過ごすために使うほうが、幸せですから。」

優春:「・・・ありがとね。それなら、私が後で良さそうなお店を探しておくわ。」

空:「よろしくお願いします。先生。」

桑古木:「なるほど・・・。効果覿面だな。」

空:「でしょう?だから、桑古木さんにも書いてあげますよ。」

桑古木:「あ、おい・・・。」

優春:「あ、ちょっと、桑古木。」

−また戻ってきた優春−

桑古木:「何だ?優。」

優春:「そういえば、雑用とかその他もろもろのボーナス、まだ渡してなかったわね。はいこれ。」

−かなりの枚数の入った封筒を渡す優−

桑古木:「お、おい、いいのかよ、こんなに・・・。」

優春:「いいのよ。最近は忙しくてあなたも大変だったでしょ?サービスよ。」

桑古木:「ホント大変だったよな・・・。」

優春:「じゃあね。」

−仕事に戻っていく優。−

桑古木:「ま、こいつも週末に皆でパーッとやっちまうか。」」

空:「いいんですか?私の方はともかく、それは桑古木さんが受け取るべきものだと思いますが・・・。」

桑古木:「いいんだよ。俺もみんなと楽しくやる方がいいしな。」

空:「・・・桑古木さんもほんとに倉成さんに似てきましたね。」

桑古木:「うーん、そうかな?」

空:「そういえば桑古木さん、元気が戻ってますね。この調子で、午後も頑張って下さい。」

桑古木:「そうだな、悪いことばっかり考えてても仕方ないな。」

−何だかんだでPM4:30−

桑古木:「お、もう仕事が終わったけど、まだ時間はあるな。」

−コンコン・・・。桑古木の部屋のドアを叩く音が。−

桑古木:「ん?どうぞ。」

ココ:「こんにっちゃ〜♪少ちゃん、遊びにきたよ。」

穂鳥:「・・・(ぺこり)・・・」

桑古木:「お、ココと穂鳥ちゃん、それにピピか。ちょうどいいや、今仕事が終わったんだ。
優に連絡して、都合がつけば買い物にでも行くかい?」

ココ:「さんせーい♪」

桑古木:「ちょっと待っててくれ。机を今整理するから。」

ココ:「ねえねえ少ちゃん、ここにおいてあるのは何なの?」

桑古木:「ん?必ず当たる手相セットだ・・・。あ、さては空、持っていくのを忘れてたな。
何でも、これに書いてある手相を書くとその通りのことが起こるんだってさ。」

ココ:「へえ〜、面白そうだね。じゃあ、ココがいっぱい書いたげる♪」

桑古木:「あ、おい、ココ・・・。」

−何やらいっぱい手に書かれてしまった桑古木・・・−

桑古木:「お、おい、今何を書いたんだ?」

ココ:「ほえ?分かんない。開いたページに書いてあったのをそのまま書いちゃった。」

桑古木:「ちょ、ちょっと、そりゃ困るぜ。」

穂鳥:「・・・(くいくい)・・・」

−桑古木の袖を引っ張っている穂鳥・・・−

桑古木:「何だい?穂鳥ちゃん。」

穂鳥:「!!!!!!(ページを開いて必死で指をさしている。)」

桑古木:「ええと、何だって・・・。か、書いてはならぬ、悪運の相!?な、何じゃこりゃあーーーーーーっ!!!!!!」

穂鳥:「(手話)ネタが古いよ。」

桑古木:「は、早く消さないと・・・。」

−水道で手を洗う桑古木。だが、いくら洗っても落ちない・・・−

桑古木:「ぜ、全然消えないぞ!?どうすれば消えるんだ?」

穂鳥:「・・・・・・!(本を必死に見ている)」

桑古木:「穂鳥ちゃん、何か分かったか?」

穂鳥:「・・・・・!(ページを開いて見せてる)」

桑古木:「なになに・・・。付属品のクリームで消えるだって?あ、そういえばそれらしきものがあったよな・・・。
ええっと、クリーム、クリーム・・・。」

ココ:「ねえねえ少ちゃん、ピピがいなくなっちゃったの。どこに行ったか知らない?」

桑古木:「今、それどころじゃないっての!」

穂鳥:「・・・・・!(桑古木の袖を引っ張ってる)」

桑古木:「穂鳥ちゃん、クリームが見つかったのか?」

穂鳥:「・・・・・(窓の外を指さしている)」

桑古木:「え?あんなところにピピが?いつの間に・・・。あ、何か咥えてるぞ?もしかしてクリームか?」

ココ:「ピピ、勝手にお外に行っちゃだめだよ〜?」

桑古木:「ピピ、そいつを俺に渡せーーーーーーっ!」

−外に飛び出す桑古木とココ・・・。後を追う穂鳥・・・−

桑古木:「どわっ!痛えっ!」

蛇の皮ジャンの男:「・・・どこ見て歩いてやがる。」

桑古木:「え!?うわあっ!」

−突然殴られた桑古木・・・−

蛇の皮ジャンの男:「・・・俺をイラつかせるな。」

桑古木:「・・・痛てて。乱暴な奴だな・・・。」

ココ:「ねえねえお兄さん、ココと一緒にガボンアダーごっこしない?」

蛇の皮ジャンの男:「・・・ガキは帰って寝てろ。」

桑古木:「ココ!そんなことしてる場合じゃない!ピピがどっか行っちまったぞ!」

ココ:「ええっ?ピピ、待って〜!」

穂鳥:「・・・(袖を引っ張ってる)・・・」

桑古木:「今度は何だって?」

−メモ帳を開いて見せる穂鳥。桑古木に書かれた手相の一覧がメモしてある。−

桑古木:「ええと・・・。“ぶつかり相”“殴られ相”“おっこち相”それから縄で縛られ、刺される・・・!?
だーーーーーーっ!あの占い師の言う通り、最悪だーーーーーーっ!!!!!!」

ココ:「少ちゃん、ごめんね。ココがあんなことしちゃったから・・・。」

桑古木:「それはいいから、ココは早くピピを捕まえてくれ!」

穂鳥:「(手話)一旦戻った方がいいよ。」

桑古木:「そうだな・・・。これ以上外にいたら、どんな目に遭うか分からないしな。」

ココ:「ココは、ピピとクリームを持ってくるから、待っててね。」

桑古木:「・・・できるだけ早く頼む。」

−というわけで、一旦仕事部屋に戻る桑古木−

桑古木:「当分大人しくしてるしかないな。」

穂鳥:「・・・(こくこく)・・・」

−突如、インターホンが鳴る−

桑古木:「何だ?こんな時に・・・。はいもしもし、桑古木ですが。え?優?今忙しいから玄関の廃品回収に出す書類をまとめておけって?
今それどころじゃ・・・ええ?分かったよ。やっとけばいいんだろ?ああ・・・了解。」

−玄関に向かう桑古木と穂鳥・・・−

桑古木:「待てよ?確か次に来る悪運は確か・・・うわあっ!?」

穂鳥:「!?」

−すぺって階段から落ちて、前を歩いていた穂鳥にぶつかる桑古木・・・−

桑古木:「痛てて・・・。穂鳥ちゃんごめん・・・。え?ありゃ?」

−ビニール紐が絡まって動けない桑古木・・・−

桑古木:「た、確かこれは落っこち相・・・!おまけに縛られてる・・・。そして終いには・・・!」

???:「あらあら、随分楽しそうなことしてるじゃない。」

桑古木:「え?穂鳥ちゃん声が?ま、まさか・・・!?」

犬伏:「あたしが縄を切ってあげようか?」

−カッターナイフを取り出し、チキチキと音を立てて刃を出す犬伏・・・(怖−

桑古木:「だーーーーーーーーっ!久々この展開かよ!?危ないっ!よせっ!やめろっ!」

犬伏:「何よ・・・。人が親切で言ってるんじゃない。ほら、じっとして・・・。」

−妖艶な笑みを浮かべて迫る犬伏・・・−

犬伏:「・・・ちょっとこれじゃあ、切るのが面倒ね。ちょっと待ってて、すぐ解いてあげるから・・・。」

桑古木:「お、おい・・・!?」

犬伏:「あーあ、失敗しちゃった・・・。」

桑古木:「解こうとして、よりきつく縛るバカがいるか!お前、わざとやっただろ!」

犬伏:「・・・じゃあ、こいつで切るしかないわね。」

桑古木:「やめんかーーーーーーーっ!!!!!!」

−転がりながら逃げる桑古木・・・だが、勢い余って積んであった段ボール箱に当たる・・・−

桑古木:「痛てて・・・。頭の上にもろに落ちやがった・・・。」

犬伏:「あははは!何やってんのよ!人間ボーリング?」

桑古木:「うるさいっ!」

優春:「・・・何よ、うるさいわね・・・。さっきからドタバタと・・・。」

犬伏:「ビクッ!」

−突然、フラリと意識を失う穂鳥・・・。−

桑古木:「ゆ、優・・・。」

優春:「・・・何やってんのよ桑古木。新しい遊び?」

桑古木:「んなわけ、ねえだろっ!それより、早く縄を解いてくれ・・・。」

−縄を解いてもらい、一部始終を話す桑古木・・・。そして医務室へ−

桑古木:「痛てて・・・。もうちょっと優しくやってくれよ。」

優春:「なるほど、二人して階段から落ちた拍子に、穂鳥ちゃんの別人格が現れちゃったというわけね。」

桑古木:「前回と同じで、丁度いいタイミングで優が来てくれて助かったよ・・・。」

優春:「まあね。それにしてもあなた、運がいいんだか悪いんだかイマイチ分からないところがあるわよね。
空から聞いたんだけど、あなたの今日の午後の運勢、最悪だったんですって?」

桑古木:「それもこれも、あいつが道具をしまい忘れたからだっての!全く・・・。毎回あいつの道具のせいでえらい目に遭うぜ・・・。」

優春:「そういえば桑古木、道具の登場する本編には、ある一定の法則があるのを知ってる?」

桑古木:「一定の法則?何だいそれ?」

優春:「それじゃ簡単に説明するわね。
まずその1。“しまい忘れの法則”、その2“窓からポイの法則”、その3“ダンプカーの法則”よ。
“しまい忘れの法則”は、ネコ型ロボットがそのまま放置しておいた道具をダメ少年が勝手に持ち出して、騒動に発展する法則。
まあ、これは毎度のパターンだけどね。
“窓からポイの法則”は、ネコ型ロボットとダメ少年以外の誰かが、道具を窓からポイ捨てして、それでまた騒動に発展する法則。
そして“ダンプカーの法則”は、“窓からポイの法則”と連動して捨てられた道具がなぜか外を走っているダンプカーの荷台に
落ちて運ばれていってしまい、困ったことになるという法則よ。
これ以外にも色々な法則があるから、探してみると案外面白いかもね。」

桑古木:「なるほど・・・。今回は、“しまい忘れの法則”で騒動に発展したわけか。」

作者:「・・・じゃあ早速、今後のネタ作りのために探しておくとしよう・・・。」

桑古木:「コラ作者!それでまた俺をいじって楽しもうっていうんじゃないだろうな!?
それよりも、とっとと闘牌伝の続きを書け!今あの人もTVアニメで大活躍中なんだぞ!」

作者:「・・・今やってるよ。焦るなって・・・。」

優春:「無駄話はそれくらいにして、早く廃品回収に出すものをまとめるわよ。」

桑古木:「そうだな。」

穂鳥:「う、ううん・・・。」

優春:「あ、穂鳥ちゃん、目が覚めた?」

桑古木:「ゲッ、まさかさっきの人格じゃないだろうな・・・。」

穂鳥:「(手話)何かあった?」

桑古木:「(良かった・・・。元に戻ってる・・・。)」

優春:「大丈夫、何も無かったわよ。穂鳥ちゃんが桑古木と階段から落ちた以外はね。
あ、お目覚めでいきなり悪いんだけど、後で廃品回収に出すものをまとめるのを手伝ってもらえるかしら?
お礼に今夜、お鍋でもご馳走するから。」

穂鳥:「(こくこく・・・。)」

ココ:「少ちゃ〜ん、ただいまっ!」

桑古木:「あ、ココ、帰ったか。どうだ?ピピとクリームは回収できたか?」

ココ:「うん、ちゃんと連れて帰ってきたよ。じゃあ少ちゃんの、悪い手相を消してあげるね。」

桑古木:「・・・ありがとな。(苦笑)」

−その後、作業も無事に終了−

優春:「ふう、どうにか終わったわね。ココも穂鳥ちゃんも、手伝ってくれてありがとう。
それじゃ、夕飯の買出しに行こうかしら。みんな、車に乗って。」

ココ:「はーい♪」

穂鳥:「(コクリ)」

桑古木:「運転は俺がやるぜ。」

−そして一同、デパートへ買出しに・・・−

桑古木:「なあ、優・・・。」

優春:「どうしたの?」

桑古木:「・・・何か一つ、忘れてる気がするんだが。何か思い当たることはないか?」

優春:「さあ、気のせいじゃない?」

−その頃、空は・・・−

空:「ううう・・・。皆さんひどいです・・・。私、途中から完全に忘れ去られてます・・・(涙)。
このSSは私が主役のはずなのに・・・。前回も今回も、道具を出しただけでほとんど出番がありません・・・。」

作者:「・・・最後になって自分も気付きました。次はちゃんと活躍させますので許してね。」

END






/ TOP  / BBS /  









SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送