エバセブ闘牌伝 
ー代打ち集団LeMU−

                              鳴きの虎


エピローグ

原田:「これで、今回の東西戦は終了だ・・・。皆御苦労だった・・・。
それでは、表彰と賞金の授与を行う・・・。
優勝は天貴史、井川ひろゆき組・・・。賞金は500万円だ。
準優勝は倉成ホクト、田中優美清秋香奈組・・・。賞金は300万円・・・。
3位と4位は、準決勝までの合計点数により判定した結果、
3位が茜ヶ崎空、倉成沙羅、4位が倉成武、倉成つぐみと決定した・・・。
尚、3位の茜ヶ崎空、倉成沙羅の二人には、準決勝における役満祝儀として、賞金とは別にそれぞれ10万円を進呈する。」

沙羅:「やった!これで新型パソコンを購入するための資金ができたでござるっ!」

武:「良かったな。沙羅。」

−そして表彰式終了−

つぐみ:「さてと、そろそろ帰る支度をしないとね。武、荷物をまとめるから部屋に行くわよ。」

武:「今回は結構、土産が多いな・・・。」

春香奈:「荷物をまとめたら、みんなロビーに集まって。帰りのバスをチャーターしてあるわ。」

桑古木:「それじゃ俺は、空と一緒に大会本部に挨拶に行ってくる。優、あとのことは頼んだぜ。」

春香奈:「分かった。それじゃお願いね。」

ココ:「楽しかったね♪旅行も出来たし、温泉も入れたし。」

ホクト:「天さん・・・。お疲れ様でした。やっぱり本物のプロは凄いですね。
もしかしたら、行けるんじゃないかと思ったんですけど・・・。
ラストのラスト、凄い気迫でした。あれが、勝負師の天さんの本当の姿なんですね。」

天:「いやいや、君たちも凄かったよ。俺たちがあと一歩まで追いつめられたのは確かだからな。
どうだい?この際、代打ちの世界に入らないか?」

ホクト:「ええっ!?そんなの無理ですよ!」

天:「ははは、冗談だ。まあ、遊びで麻雀がやりたければ、いつでも俺の家に来いよ。
俺はまだ用事があるからな。先に皆と一緒に帰っていてくれ。」

ホクト:「はい、またよろしくお願いします!」

秋香奈:「ホクト!皆集まってるから、そろそろ行くわよ。」

ホクト:「分かった!すぐ行く!」

天:「ふう・・・。」

赤木:「ククク・・・。結構際どい勝負だったじゃねえか・・・。天・・・。
あそこでお前がツモれなければ、多分あの坊やが引き上がっていただろうぜ・・・。」

天:「あの子には、何か不思議な力があることは分かっていたが・・・。それ以上に、あの二人の絆の強さに、驚かされましたよ・・・。
まあ、こんなことは今回こっきりだとしても・・・。正直、疲れました・・・。
俺も、まだまだですね・・・。
さてと、俺たちもそろそろ帰りましょうか。さっさと荷物まとめて・・・おや?このカバンは確か・・・。」

僧我:「赤木・・・天・・・。ほな、今回はこれで失礼するで・・・。
今度は、わしらだけで打とうや・・・。いつでも待ってるで・・・。」

赤木:「ククク・・・。年寄りは身体を大事にしろよ・・・。」

僧我:「・・・相変らず、いけ好かん奴やな・・・。まあええ・・・。
その生意気な口が聞けるようなら、わしも安心や・・・。」

赤木:「じゃあな・・・。また会おうぜ。」

−その頃、ホテルのロビーでは・・・−


沙羅:「困った・・・。困ったでござる・・・。」

ホクト:「沙羅、どうしたの?」

沙羅:「拙者、パソコンを入れたカバンをなくしたようでござる・・・。」

ホクト:「ええっ?部屋に置きっ放しってことは?」

沙羅:「部屋はさっき見てきたでござる・・・。だから、この辺にあると思うのでござるが・・・。」

天:「沙羅ちゃん?どうかしたか?忘れ物か?」

沙羅:「あ、天殿・・・。拙者、大切なパソコンの入ったカバンをなくしてしまって・・・。」

天:「パソコン?ああ、こいつのことか?」

沙羅:「ああっ!それ!それでござる!」

天:「さっき、そこのソファーのところに置いてあったのを見つけたんだ。
多分沙羅ちゃんの忘れ物だと思って届けに来たら、案の定だ。」

沙羅:「天殿、ありがとうでござる!」

天:「いやいや、気にすることないって。それじゃ、今度はなくさないよう、気をつけるんだぜ。」

−帰りのバスの中・・・−

春香奈:「結局、代打ち集団LeMUは全員敗退、天の優勝か・・・。ま、私たちで2位から4位まで独占できたから、上出来ね。」

武:「だから、その怪しげな集団名はやめろって・・・。」

春香奈:「でも、これで私たちの名が代打ちの世界に轟くわね。それに今回で、全員に麻雀の素質があることが分かったわ。
では、次の大会に向けて・・・」

武:「・・・そうそう上手くいくわけねーだろーが。今回はまぐれだ、まぐれ。
言っとくけど、もう俺はやらねーぞ。お前の企画にこれ以上つき合わされると、破滅のトンネルに突き進みそうだからな。」

つぐみ:「同感だわ・・・。」

春香奈:「あーあ、残念ね・・・。これからあなたたちをもっと鍛えて、帝愛グループと一戦交える覚悟だったのに。」

武:「・・・頼むから、俺たちが望むのは平和で平凡な生活だ・・・。これ以上、おかしな世界に首を突っ込ませるな。」

ホクト:「疲れた・・・。ごめん、優・・・。もうちょっとで優勝だったのにね・・・。」

秋香奈:「・・・何だかステージA終了後と、立場が入れ替わってるわね。
優勝できなかったことなんかどうでもいいわよ。ラストは正直、私も一緒に死んでいい位の覚悟だったから。」

ホクト:「えっ?今、何て・・・?」

秋香奈:「むしろ、決勝戦よりも、私が怖かったのは烏丸との対局の方よ。
あの時、私はあいつらに人質に取られてる気分だったから・・・。
でも、ホクトは、必死であいつらから、私を守ってくれた。
その時に確信したのよ。いざとなったら、ホクトは私を身を挺してでも守ってくれるって・・・。
だから、私もあなたと一緒なら命を賭けてもいいって、そう思えたの。
たかが麻雀で、大袈裟だけどね。
やっぱり私、あなたのこと・・・え?」

ホクト:「くぅ・・・・」

−寝息を立てて、寄り添っているホクト・・・−

秋香奈:「(はぁ・・・。肝心な時に、何やってんだか・・・。
ま、この台詞は、二人きりのときのために、とっておこうかな。
今はお休み・・・。お疲れ様、ホクト・・・。)」

−帰宅後の倉成家−

つぐみ:「私たちの得た賞金が100万円、ホクトと沙羅が得た賞金が、半分ずつ山分けして、合計250万円・・・。
合計、350万円か・・・。この内100万円は家のローンに回すとして、あと100万円ずつはホクトと沙羅の
将来のための貯金に積み立ててと・・・。」

武:「おっ、早速家計のやりくりか。」

つぐみ:「当然よ。まあ、思いがけない臨時収入があったのは助かるわね。残りの50万円は、生活費というところかしら・・・。
今度、家族旅行とかの機会があれば、その時に少し使うのもいいわね。
それと、はい、これ。少しだけどね。今回、武も頑張ってくれたし。」

武:「え?いいのか?」

つぐみ:「これで取りあえず、お昼とかちゃんと食べて頂戴。まだまだ家のローンも残ってるしね。
これからも、頑張って働いてもらうわよ。お互いにね。」

武:「・・・ありがとな。つぐみ・・・。」

つぐみ:「それと、あとは近所にお土産のおすそ分けに行かないとね。ちょっと沙羅とホクトにも、手伝ってもらおうかしら。
ホクト、沙羅、ちょっとお使いを頼みたいんだけど・・・」

沙羅:「きゃーーーーーーーーーっ!」

−沙羅の部屋から悲鳴が・・・−

つぐみ:「ど、どうしたの?沙羅!?」

武:「何かあったのか?ネズミでも出たか?」

沙羅:「せ、拙者のカバンの中に、こんなものが・・・」

つぐみ:「・・・・。武、ちょっと出かけてくるわ。片づけをお願い。」

武:「?」

−つぐみ、天のアパートへ・・・−

つぐみ:「天、いるかしら?お邪魔するわよ。」

天:「ん?誰かと思えば、倉成さんとこの奥さんか。俺に何か用かい?
生憎うちには嫁さんが二人いるから、これ以上は・・・。」

つぐみ:「・・・白々しい冗談はやめて頂戴。あなたの仕業でしょ?これ・・・。」

−札束の入ったカバンを突き出すつぐみ・・・−

天:「な、何のことだか俺は知らねえな・・・。それに、倉成さんとこのカバンの中に入っていたんなら、
それは倉成さんのもんだよ。気にすることないって・・・。ぐおっ!?」

−つぐみのボディーブロー炸裂・・・−

つぐみ:「・・・いい加減にしないと、私も怒るわよ。どういうつもりなのか、白状しなさい。」

天:「・・・か、敵わねえな・・・。奥さんには・・・。
まあ、こんなもん、俺たちには無用の長物だから、こいつは沙羅ちゃんやホクト君のために使ってやってくれよ・・・。」

つぐみ:「理由もなく、こんなもの受け取れるわけないじゃない。大体、相方の取り分はどうするのよ?
これはあなた一人のものじゃないでしょ。全く・・・。」

天:「・・・ああ、ひろの分は、俺が後でどうとでもしますよ・・・。ちょっと頑張れば、何とかなるだろうし・・・。」

つぐみ:「とにかく、あなたの悪ふざけにはこれ以上付き合いきれないわ。私は帰るわよ。それじゃ・・・。」

天:「頼む!奥さん、そいつを受け取ってやっちゃくれないか?」

−頭を下げる天・・・−

つぐみ:「ちょ、ちょっと、天・・・。」

天:「そいつは、俺たちみたいなろくでなしが持ってたって、酒や下らない遊びに消えるだけだ・・・。
そんなもんに消えるくらいなら、あの子たちのために使ってくれ・・・。
それに散々、俺は汚いやり方で、他人から金を巻き上げてきた・・・。
少しは人のためになることをしなきゃ、バチが当たるってもんさ・・・。」

つぐみ:「天・・・。」

天:「それにさ・・・。俺は本当にあんたたちに感謝してるんだ・・・。
難しいことはよく知らないが、あんたたちと出会えたことがきっかけで、赤木さんはもう一度生きる決意を示してくれた・・・。
それは、確かなことなんだ・・・。
俺はそのことの借りをあんたたちに返していない・・・。
単なる自己満足かもしれないが、俺なりの恩返しをさせてくれ・・・。」

−やれやれと、肩をすくめるつぐみ・・・−

つぐみ:「・・・分かったわ。じゃあ、今度皆を集めて、会食でもしましょうか。良さそうなお店でも優に頼んで探しておくから、
その時にいらっしゃい。」

天:「悪いな・・・。奥さん・・・。」

つぐみ:「それから、最近物騒な事件とか多いから、都合がよければまたホクトや沙羅のこと、お願いね。
あなたもあんまり無茶しないで、身体を大事にしなさいよ?ま、言うだけ無駄かもしれないけど。」

天:「ははは・・・」

−そして数日後・・・−

空:「田中先生、お電話です。」

春香奈:「今忙しいんだけどな・・・。誰からよ?」

空:「大会でお会いした、原田克美氏からですが・・・。」

春香奈:「あ、忘れてた。」

原田:「突然で悪いが・・・。ニュースは見たか?今日の夕刊だ・・・。」

春香奈:「ええ、読んだけど?それが何か?」

原田:「決勝の前夜、駐車場から消えた俺の組のベンツが3台、埠頭から引き上げられたそうだが・・・。
もしかしてあんたか・・・?」

春香奈:「ああ、あれね?別にいいじゃない。ちゃんと弁償くらいするわよ。それから、また面白そうな大会があったら教えてね。
今度は、あたしたちが優勝掻っ攫うから。」

原田:「ああ・・・。好きにしろ・・・。」

春香奈:「それじゃあね。私忙しいから、もう切るわよ。」

−ガチャ・・・ツーツーツー・・・−

原田:「(もう二度と、この女は大会には呼ばんぞ・・・!覚えてろよ・・・!)」



エバセブ闘牌伝 代打ち集団LeMU END










あとがき

どうにかこうにか、これで完結です!
途中、データが消えたり、生活に追われて執筆が上手くいかなかったり、
またはアイディアが浮かばなかったりと紆余曲折ありましたが、何とか書き終えることができました!
改めて思うのですが、作品を創り、尚且つ完成させるのって、本当に根気がいるものですね。
自分としては、2割ほど悔いの残る形となってしまいましたが、ここまで来れて、本当によかったです!
これで作品投稿は最後となりますが、明さん、そして今まで私の作品を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました!
では、機会があれば今後は掲示板等でお願いします。

BY 鳴きの虎







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