えばせぶ名作劇場〜がんばれシンデレラ!〜
                              チョコシュー


とりあえず、キャスト紹介。

ヒロインであるシンデレラ、茜ヶ崎空。
王子様、倉成武。
意地悪な継母、倉成つぐみ。
意地悪な長女、田中優美清秋香菜…(空の姉と言う設定に対して)年齢的に無理ありだが無視して。
意地悪な次女、倉成沙羅…上に同じ。
意地悪な三女、倉成ホクト…性別は無視w
魔法使いのおばあs…(以下殺戮の宴)…も、もといお姉さん、田中優美清春香菜。
王子様の部下、八神ココ。
馬&魔法使いの使い魔、桑古木涼権。






このSSは完全にキャラを壊しているような気がします。よって、「こんなのは〜〜じゃない!!」
と言われても責任は持てないので、お嫌いな人は即刻戻るを17回ほどクリックしてください。







むかーし、むかし、あるところに、微笑めば周りに蝶と、むさ苦しく危ない男共が集まると言われるほどの
美しい美貌を持った娘がいました。
彼女の名は、そ…も、もといシンデレラ。
母親は、彼女を生んだ時にいなくなってしまいましたが、優しい父親と仲良く二人で暮らしていました。
ところがあるとき、父親が
「さすがに、お父さんも寂しくなったんだ…」
と言って新しい女性と再婚してしまいました。
お父さんに似て優しい彼女は「お父さんがそれで幸せなら」と喜んで二人を祝福していました。
しかし、これが彼女の不幸の始まりだったのです。
継母であるつぐみは自分が持ち得ない美貌に嫉妬し、父親の見えないところで彼女をボコボコに殴り続けました。
これが俗に言う『ドメスティックヴァイオレンス』ってやつですね。(ちょっと…いや、かなり(?)違う??)
ぶっちゃけ家庭内暴力です。
継母には三人の娘がいました。もちろんこの三人の娘も母親に似て性格が捻くれていました。
長女である、優美清秋香菜は「自分は名前が長いのにあなたは一文字だけなんて不公平よ!!」とか言って
バイクに彼女をくくりつけ、ひきまわしの刑にしてしまいました。
次女である、沙羅は「ここをこうしたらどうなるのかなぁ…」と悪魔のような笑みを浮かべながら
……口ではとても言えないようなひどい事をしました。
三女のホクトは…あー、ホクトは…………………………あ、そうそう。彼女のシャワーシーンを写真に収め
町のむさ苦しく、彼女なんて絶対にいないと誰もが思う男共に売って、お小遣いを稼いでいました。
おかげでシンデレラは外を歩くたびに、なんとも鼻息の荒い男共から怪しい目で見られる日々が続きました。
とまぁ、新しく来た家族に虐められた彼女ですが、幸せそうな父の顔を見るたびに言い出せず心の中で泣く日々が続いたのです。
しかし、不幸だった彼女はさらなる不幸のどん底に叩きつけられたのです。
父親が、病気にかかり死んでしまったのです。
病名はティーフ・ブラウ。
感染率が高く、エボラ出血熱のような症状を引き起こし、死亡率が非常に高いウイルスです。
何が感染原因か分からないために、安全のため彼女の家は焼かれる事になってしまいました。
父親が残した遺産があったものの、彼女の身よりは無くなり、独りぼっちになってしまいました。
継母達はもちろん遺産だけかっぱらって、彼女を見捨ててこの町を去るつもりだったのですが
「独りぼっちになった彼女を見捨てた史上最悪の人間」のレッテルをご近所から貼られる事を恐れました。
この情報化社会、情報なんて大抵の物は垂れ流しにされる時代です。
この事が近所だけならともかく、
帰ろうとしていた実家のほうにまでこの情報が流れる事を恐れた
継母達はしぶしぶ彼女を引き取りました。
もちろん継母の実家に行っても彼女の不幸は続きます。
彼女の父親が残した財産は総て、継母達のもの。
彼女は事実上継母達のメイドとして実家に招かれ、
彼女に割り当てられた部屋は、薄暗くゴキブリの巣窟だった屋根裏部屋。
と、まぁ普通の人間なら自殺を考えるほどの不幸ですが、彼女はめげずに
「いつか私だけの人が現れて、幸せにしてくれるに違いない」と「何を夢見てるだか」と言いたくなる様な
少女のようなことを思いながら生きているのでした。
これは、こんな娘の物語です……






                 『えばせぶ名作劇場〜がんばれシンデレラ!〜』







「…プロローグの内容が長すぎるうえに、ありえないほど不幸ですね…」
…今、異次元の話をしてくれちゃったのが不幸娘、シンデレラです。
彼女は朝の掃除をしている最中でした。
今の気温は7°
水の中に手なんか入れていられない寒さです。
しかし彼女は継母の言いつけ通りに、濡らした雑巾で床を拭きます。
けなげな娘です。
「いつかっ、ぜったいにっ、復讐してやるっ」
訂正、怖い娘です。
彼女は恨み言をつぶやきながら床を吹きます。
そこへ…
「シンデレラ!!」
大きな音を立て、ドアを破壊して入ってきたのは、継母であるつぐみです。
「…お母様、毎朝ドアを壊して入ってくるのは止めていただけませんか?」
床を吹きながら、視線すら向けず「出来れば無視したいなぁ」って顔をしながらシンデレラは言いました。
「うるさい!ところでシンデレラ、朝の掃除は終わったの?」
「…見て分かりませんか?ここで最後ですが、まだ終わってません」
「まぁ!とろい!!とろすぎるわこの娘は!!」
オーバーリアクションで驚く継母つぐみです。
「あなた、仕事がまだ残っているのを分かっているの!」
「…時間配分の計算は完璧です。20:00時には総ての作業は終了できる計算です」
「あなたなんかに言われなくても分かっている」と、そんな顔をしながら作業を続けるシンデレラ。
「そんなことよりお母様、何か御用ですか?朝食のしたくはすでに終了していますし、仕事にぬかりはありませんが?」
そうなのです。シンデレラの仕事は、プロのメイド顔負けの仕事っぷりなのです。
ですのでそこらへんの意地悪姑みたいに、窓枠に指を滑らせて
「まぁ!この娘はまともに掃除もできないのかしら!!」なんてのは、嘘でも言えないのです。
「ああ、そうそう。今日はお城の舞踏会に出席するから、夕食のしたくは必要ないわ」
勝ち誇ったような顔をしながら、継母はシンデレラに向かって言います。
「もちろん、お前はつれて…」
「連れて行ってもらえないのは存じておりますので、どうぞ楽しんでいらしてください。仕事が減って楽になりますから」
シンデレラは、継母の言葉を途中で切って、「めんどくさいから、早くどっかに行ってくれ」という顔で言いました。
「ぐぬぬぬぬっ、ふん!!」
継母は悔しそうに、部屋を出て行きました。
「はぁ、やっといなくなってくれた……舞踏会か…行きたいなぁ……っと、こんな事を言っている場合ではないですね。
今のやり取りで、時間を340秒もロスしてしまいました」
シンデレラは、作業を再開しました。
しかし、シンデレラは気づく事はありませんでした。
窓からシンデレラを覗く視線に…

「ふふふふ、面白くなりそうだわ……」






舞踏会が始まる夜になりました。
もちろんシンデレラは屋根裏部屋にいます。
「はぁ…仕事が減って楽になったはいいですけど…やる事がなくて暇です…」
どうやら、暇をもてあましているようですね。
「お城の舞踏会ですか……踊る事に興味はありませんが、王子様をこの目で見て見たいものです…」
さすがに計算深いシンデレラでも、女の子であることには代わりません。
女の子なら誰もがあこがれるカッコイイ王子様。
王子様の名前は、武。
王子様のくせに、日本人の名前というのは置いておきましょう。
戦の時に王子様は自ら最前線に立ち、敵に向かっていった事はこの国では有名なのです。
そして敵に言った言葉、「俺は死なない!!」は国の格言として歴史書に乗りそうな勢いの人気ぶりなのです。
「…王子様が私だけの人だったらいいのですが…」
と、シンデレラがベッドにうつぶせになってぼやいていると…
「もし…そこの娘…」
どこからともなく声が聞こえてきました。
「……………………」
しかし、シンデレラは気づいていないようです。
「もし、そこの娘…」
「……………………」
まだ気づかないようです。
「さっきから呼んでんだろ!このタコ!!」
怒鳴り声と共に現れたのは魔法使いのおばあs………
「ああん!!!??」
も…もとい、現れたのは魔法使いのお姉さんでした。
しかし、シンデレラはそれでもベッドでうつぶせになっています。
「…もしかして、寝てる?」
魔法使いがそっとシンデレラに手を伸ばした瞬間…

カチャリ…

「動かないでください」

今までうつぶせに寝ていたシンデレラが消え、そのかわりなんと魔法使いの後ろに、
P90と言うベルギー製市街戦用の銃を持ち、魔法使いの頭に銃口をつきつけ
セーフティーを外した状態で、トリガーに指をかけているシンデレラが訓練された兵士のように現れました。
「な、何するのよ…」
当然、魔法使いは困惑します。
「何をするのかではありません。あなたこそ何者ですか?どこから入ってきたんです?目的はなんですか?」
シンデレラは銃口を頭から外さずに言います。
「わ、私は魔法使いの優よ…」
「…黄色い救急車が必要なようですね。よもやこの家に精神異常者が入ってこようとは…セキュリティは完璧のはず…」
「ほ、本当の事よ!!」
「…セキュリティは何の異常も無い…ならば…どうやってここに入ったのです?」
「ま、魔法よ魔法。魔法で入ってきたのよ」
「ふざけたこといってると、その頭の中身、ここでぶちまけますよ?」
シンデレラは銃口を頭にさらに強く押し付け、冷たく言い放ちます。
「じ、事実なんだから仕方がないじゃない!」
「…まぁ、いいでしょう。次にここに入った目的は?」
「あ、あなたを舞踏会に連れて行ってあげる事…」
「ほほう。あなた、よほどここで死にたいようですね。本当の目的を言いなさい、さもないと…」
「本当よ!信じて!!」
「不法侵入者を信じろと言うほうが無理ではないですか?」
「ぐっ……!」
シンデレラのいう事の方が一理どころか、百理あります。
本当の事を言われて、魔法使いは何も言い返すことができません。
「まぁ、百歩譲ってあなたの言うことが本当だとしましょう。
あなたが本物の魔法使いと言うのでしたら、今すぐ魔法でこの状況を打破してみてください」
「あ」
…今の「あ」と言い方からすると、設定を忘れていたようですね。『魔法』使いさん。
「うるさいわね!」
…はいはい。
「風よ!!」
魔法使いが叫ぶと、どこからともなく風が吹き、シンデレラを吹き飛ばしてしまいました。
「くっ!」
そしてシンデレラは体勢を立て直すことができずに、そのまま壁を突き破り外に放り出されてしまいました。
「きゃぁぁぁぁぁ!」
「土よ!!」
魔法使いがさらに叫ぶと、シンデレラの落ちる場所の土が柔らかくなり
クッションの役割をしてシンデレラを受け止めました。
シンデレラは「してやられた」という顔をしながら立ち上がり、ふわりと降りてきた魔法使いをにらみつけました。
「くっ…どうやら本物の魔法使いだったようですね…」
「ふふふ、やっと認める気になったようね」
「で、私をどうする気ですか?」
「言ったでしょう。あなたを舞踏会に連れて行ってあげるって」
そう言うと、魔法使いは手をシンデレラに向かってかざしました。
「元素よ!」
魔法使いが叫ぶと、シンデレラの着ていたメイド服が光の粒子となって消え始めてしまいました。
「な!?何をするのですか!!」
当然シンデレラは体を隠しながら困惑し、魔法使いに事の説明を求めます。
「まぁまぁ、あわてないあわてない」
シンデレラが魔法使いのいう通りにしていると、光の粒子がシンデレラの体に集まりだしてドレスを構築し始めたのです。
「綺麗…」
光の粒子が消えた頃には、シンデレラは立派で美しいドレスを着ていました。
「ふふふ、ドレスは用意したわ。あとはお城に行くまでの馬車ね…出でよ!我が使い魔!!」
魔法使いが手を上に上げると、手の先から魔方陣が現れその中から人が出てきました。
「…ってオイ!俺が使い魔、兼、馬かよ!!」
使い魔は自分がなぜここにいるのか分かっていないようです。
「うるさいわよ、涼権!!」
と魔法使いが服の袖からあるものを取り出し、使い魔の首に押し付けました。
「な、何をするんだ優!!」
「黙ってろ!!!」
魔法使いがとりだし、使い魔の首に押し付けた何かのボタンを押すと、
プシュっと空気の抜ける音がして、使い魔に何かが打ち込まれました。
すると…
「何なりと御用を、マスター…」
使い魔はとっても従順になりました。
「さて、うざったい問題は解決したわ。後は…お、いい物発見」
魔法使いはたまたまその辺に転げ落ちていたカボチャを落ちていたを拾い上げて、使い魔に渡した後こういいました。
「我が望みの姿となれ!!」
光の粒子がかぼちゃを持った使い魔を包み込み、使い魔が馬、かぼちゃが立派な馬車となっていました。
「あら、運転手を忘れていたわ」
と言い、たまたまその辺をあるいていた運の悪いネコをつかまえ、同じように魔法をかけ運転手にしてしまいました。
「これで全ての準備は整ったわ。はい、これ招待状」
魔法使いはシンデレラに招待状を渡し、馬車に乗せました。
「いっておくけど、この魔法は12時きっかりに消えてしまうわ。
だから12時になる事を告げる鐘が、鳴り終える前にここに戻ってこないと面倒な事になるわよ」
「分かりました。ではいってきます、魔法使いのおb…」
ギロ…!!!!!!
「…お姉さん…」
「はーい、楽しんでらっしゃいな」
こうしてシンデレラは舞踏会に行く事ができるようになりました。
当然シンデレラは楽しみで仕方ありません。
「面倒な事に巻き込まれた気もしますが…まぁこの際良いでしょう。ああ、早く王子様にお会いしたい…」
馬車はシンデレラの気持ちを読み取ったのか、スピードを上げてお城へ向かいます。




「はぁ…」
ここはこの国を収める王のいるお城。
今は豪勢な舞踏会の真っ最中。
しかし、この豪勢で楽しそうな中、一人深刻そうな顔をする人がいました。
今ため息をついた、この国の王子、武です。
「どうされました?たけぴょん」
王子の従者である、ココが面白いのか、王子の事を心配しているのか分からない顔で近寄ってきます。
「ああ、ココ。こんな一夜かぎりのパーティーで嫁さんを見つけろって言われたら、誰だってため息をつくさ」
「まぁ、そういわずに見つけたらたけぴょん。たった一週間でお嫁さんどころか子供まで作っちゃったんだから、大丈夫だよ」
「…さっきから王子に向かってたけぴょん言うのはココだから置いておくとして…
それを言うのは止めてくれ…あれは若さゆえの過ちだと思いたい…」
…ever17が成り立たなくなるような、主人公にあるまじきセリフを言う武王子。
やれやれとつぶやきながらお嫁さんを捜し始める武王子でしたが…
「…ロクなのがいねぇ…」
そうなのです。目の前には豪勢な舞踏会なのですが…
「…なんで、デブか、痩せすぎて骨と皮しかねぇってやつと、スタイルよくても顔が凄いやつしかいねぇんだ…」
「王様の趣味じゃん?」
生まれて初めて、まともに生まれてよかったと、神に感謝する武王子でした。
本気であんなのと結婚させられてたまるかと、綺麗で自分好みのお嫁さんを探す武王子の横で
従者のココは城の兵士の報告を受け、「これはどうしたら良いのだろう…?」と思ったのか妙な顔をし、武王子に報告しました。
「たけぴょん、ちょっと変な事があったんだけど…」
「あー、なに?」
「今、城の門に招待状を持った女性が来たの」
「…で?」
何がおかしいんだと言う顔をしながら、武王子はココの話を聞きます。
「その招待状が偽造されたもので、馬車にも武器が積んであったから拘束しようと思ったんだけど…」
「…ど??」
「城の兵士たちが、逆に麻酔銃で眠らされちゃって…」
「…なさけない話だな」
兵士達の不甲斐無さを考え、どう処罰を下そうか考えながら話を聞く武王子。
「で、たけぴょんにどうしようか聞こうかなって…」
「…もちろん捕まえるに決まってるだろう」
当たり前じゃないかと思いながら言う武王子。しかしココはちょっと微妙な顔をしながら言います。
「でも…」
「でも??」

「兵士達の目撃情報によると、その女性ものすごく綺麗な人なんだよね」

「拘束ではなく保護して俺の目の前に連れて来い!今すぐに!!!」
いきなり武王子は目を輝かせながら、さっきとはまるで正反対の事を平然と言いました。
「言うと思って、指示出しておいたよ…」
あまりの変わり身の早さに少々あきれながら、ココは言いました。
「ナイスだココ!!」
グッジョブ!!と右手でサムズアップをする武王子。
武王子は心を躍らせながら、彼女が保護されるのを待つことにしました。

たとえそれが、後で悪夢をもたらすとは誰も知らずに…





タッタッタッタッ!
城の薄暗い通路に複数の足音が聞こえます。
「待てーーーー!!!」
「くっ!」

パシュパシュパシュパシュ!!!!!

「ぐあああああ!!」
「ぎゃあああ!!」
普通の銃声とはちょっとちがう音が聞こえたと思ったら、次々と人がが倒れる音がします。
ちょうど窓から月明かりが差し込んだ時、倒れているのは城の兵士達。
そしてサイレンサー付きのハンドガンを撃っていたのは、シンデレラである事が確認できました。
「ふぅ、いそいで舞踏会会場まで行かなければ…ちなみに言っておきますが、眠っているだけですからね」
カシャッ!と麻酔銃のマガジンを交換しながら言うシンデレラ。
誰に向かって言っているのかは、置いておきましょう。
「さて、舞踏会会場はどこに…」
そういってシンデレラは、PDAを取り出しデータベースをクラッキングしてお城の見取り図を手に入れようと、
近くの端末にプラグを差し込んだのですが…
「you gat mail!」
「!!」
いきなりシンデレラ宛にメールが届きました。
「何故メールが…」
ウイルスチェックをすませ、安全を確認した後おそるおそるメールの内容を見て見ました。すると…
「これは…この城の見取り図…」
しかもご丁寧に現在の居場所から、舞踏会会場までのルートまでついています。
「私を捕まえるための罠の可能性が高いですが、今回は乗る事にしましょう」
そういうとシンデレラは、舞踏会会場に走りはじめました。





「たけぴょん、獲物が餌に食いついたよ。今こっちに向かってきてる」
ココがこの城のデータベースへのアクセスログを見ながら武王子に言います。
ココはデータベースへアクセスしようとすると、自動的にシンデレラに見取り図とここまでの場所を案内させるプログラムを
時限消去ウイルスとして仕掛けておいたのでした。
「よっしゃぁぁ!!」
武王子は本当に嬉しそうです。
「曲の演奏を止めて、新しい曲の準備を頼む!全員どかせて中心を開け、道を作るんだ!!」
嬉々とした表情で、部下に指示を出す武王子。
そして、会場は静寂に包まれたのでした。
「これで準備は完璧だ…後は向こうの到着を待つばかり…」
武王子が到着を今か今かと、待ち望んでいると…

キィ…

舞踏会会場の正門ではなく脇の扉から、控えめに扉を開ける音がしました。
扉の向こうから現れたのは、もちろん何も知らないシンデレラ。
シンデレラは中に入ろうとしますが、辺りが異常なまでに静かなのでおろおろしています。
「な、何故こんなに静かなのでしょう…」
シンデレラは誰にも聞こえない大きさで、独り言をつぶやいたのですが…

「それはお嬢さん。あなたのためにですよ…」

誰かがシンデレラの一人ごとに反応した瞬間、
いきなりシンデレラの前にいた人たちが道を作り、その先に王子様がいました。
「お、王子様…」
シンデレラは余計にわけが分からなくなってしまいました。
「お嬢さん、私と踊っていただけませんか?」
王子様がシンデレラに手を差し伸べます。
「わ、私なんかでよければ、喜んで…」
シンデレラは王子様の手をとりました。
手をとった瞬間に、タイミングを見計らっていた楽団が、演奏を始めました。
曲に会わせシンデレラと王子様も踊りだします。
二人はとても楽しそうな顔をしていました。
シンデレラと王子様が踊っている間、舞踏会会場は二人だけの世界へと変わっていました。
シンデレラと王子様のダンスはとても優雅で美しく、会場にいたほとんどの人を魅了していました。
シンデレラも幸せそうにダンスを踊り、
王子様も、楽しそうにダンスを踊っています。
しかし、この楽しそうな時間も長くは続きませんでした…
もう何曲目か分からなくなったその時です。



ゴーン…ゴーン…



どこからか、12時を告げる鐘の音が城内に響きました。
「いけない!もう、戻らなくては!」
シンデレラはすぐさま駆け出します。
「待ってくれ!!」
王子様が叫びますが、シンデレラは振り返ることなく会場から飛び出しました。
「12時まで残り2分16秒…それまでに、城外に脱出し隠れなければ…」
シンデレラはさらに走る速度を上げます。
このまま行けば、正面に正門が見え、そこから馬車で脱出できるはずでしたが…
「そこの女!止まれ!!」
馬車の近くに何故か兵士がいたのです。
「…王子様ですね。その気持ちは嬉しいのですが、今の状況ですとちょっと複雑です…」
シンデレラは複雑そうな顔をしながらも、ドレスを翻し、その下からハンドガンを取り出し、兵士に向かって発砲します。

パシュパシュ!!

「ぐあぁぁ!」
「かあさぁぁん!!」
弾丸は兵士を見事に捕らえていました。
「…約一名の一言が、無事だと決まっているとは言え、良心に突き刺さりますね…」
でも、シンデレラはセリフとは裏腹に、颯爽と馬車に乗り込み運転手に指示を出し、馬車を走らせました。
馬車は正門に向かいます。しかし、正門は堅く閉ざされていました。
「…橋はかかっているようですね…ならば…」
ごそごそと馬車の中で何かを探すシンデレラ。そしてシンデレラが手にした物はロケットランチャーでした。
「魔法使いのお…姉さんからもらったロケットランチャーが役に立つとは…」
シンデレラは慌てて言いなおしました。何故か何もないはずの空間から殺気を感じたためです。

ドンドンドン!!

シンデレラは平然とロケットランチャーのトリガーを引き、正門を破壊し城から脱出しました。


ゴーン…ゴーン…


しばらく馬車で家の方に向かい、適当な場所で隠れていると、遠くで12時を告げる最後の鐘が鳴り終わり、
日付が変わる頃シンデレラにかかっていた魔法は解けてしまい、元の服に戻っていました。
馬車も馬も運転手も、それぞれ元の姿に戻り、全てが終わってしまった事を告げていました。
「ふぅ…短い時間でしたが、もう二度とこんな楽しい想いをする事はないでしょう…」
肩にかかった長い髪を手で後ろに戻しながら、シンデレラは今日起こった事を一生忘れまいと心に近い、家へと帰りついたのでした。






その頃…
「彼女を補足できたか?!」
「申し訳ありません、ジャミングが酷くて人工衛星が使い物になりません…」
「くそっ!!」
王子様はあの手この手を使って、シンデレラを探していました。
しかし、国家の技術を使っても、それ以上の技術でジャミングがかかり、シンデレラを補足する事はできませんでした。
「王子!彼女の物と思われる、ガラスの靴が!!」
「何だと?!」
兵士が持ってきたものは、たしかにシンデレラが履いていたガラスの靴でした。
「兵士との戦闘の時に脱げてしまったもの思われます」
「よくやった!!これで彼女を追う事ができるぞ!!」
王子様は本当に嬉しそうに喜びます。
そして王子様は明日のための指示を兵士たちに出し、寝室へスキップしながら戻って行きました。
しかし、この時の王子様の異常なまでの彼女への執念は、さながら悪質を極めたストーカーのようだったと、後に兵士は語ります…







翌日、シンデレラはいつもの通りの朝を迎えました。
昨日の事は夢のような出来事でしたが、それでもシンデレラはどこか嬉しそうでした。
お昼ごろまで今日もいつも通りに仕事をこなしていると…
「シンデレラ!!」
長女である優美清秋香菜が、息を切らして走って来ました。
「…あら、お姉さま。今日は荷物持ちですか?それともお使いでしょうか?」
シンデレラは嫌そうに言います。
「そ、そんな事はどうでもいいから、今すぐ来なさい!」
シンデレラは彼女に引っ張られて、外へ飛び出してしまいました。
「お、お姉さま…一体何なので……」
慌てたシンデレラが一言言おうとしたその時でした。

「この靴の持ち主はどこだ!!!」

「!!」
外に出た瞬間、お城の使いでしょうか、男が昨日シンデレラが履いていたガラスの靴を持ちながら、靴の持ち主を探しています。
「お、王子様…」
シンデレラは王子様の執念にちょっと呆れてしまいました。
「…そこの娘!」
お城の使いがシンデレラの事を指差します。
「な、何でしょうか…」
「こっちに来てこの靴を履いてみろ」
「…履いてどうするのですか?」
「決まっている。この靴の持ち主かどうか確かめるだけだ」
シンデレラは戸惑いました。
ここで自分がその靴の持ち主だと言う事を言えば、王子様に会える。
しかし、自分の今までの不幸を考えると、もしかしたらその不幸が王子様にも降りかかるかもしれない。
そう考えると、会ってはいけない。そうシンデレラは思いました。
「どうした、早くこの靴を履きなさい」
このまま逃げてしまおう。そうシンデレラは思い、後ろを見て見ましたが…
「シンデレラ、早く靴を履くのよ!」
秋香菜に退路を塞がれていました。
しかたなくシンデレラは靴を履いてそのまま逃げようとした、そのとき…

「武!!!!!」

いきなり王子様の名前が辺りに響き渡ったのです。
「私よ!武!!!」
声の方に目を向けると…
「お、お母様!!?」
そう、シンデレラの継母、つぐみでした。
「つ、つぐみ…」
そして、王子様もそこにいたのです。
王子様は何故かつぐみのことを知っている素振りを見せます。
「あなたに会わせたい子たちがいるの…さあ、いらっしゃい…」
代わりに答えたつぐみの後ろから現れたのは、シンデレラのお姉さん、沙羅とホクトでした。
「お父さん…」
「パパ…」
お姉さん達の言葉に、シンデレラは困惑しました。
「お、お母様どういうことですか?!ね、年齢的に王子様は子供を作る事はできないはずなのに…」
つぐみの元に駆けつけた、シンデレラはつぐみに事の説明を求めます。
「武はね、ハイバネーションされていたの」
つぐみの言葉にシンデレラは思い当たる節がありました。
17年前、王子様が現代の医学では直せない病気にかかり、わずかな望みを託して人口冬眠されていた事を…
当時、ニュースでかなり騒がれていたので、幼かったシンデレラも覚えていたのです。
「つぐみ…」
「武…」
王子様とつぐみは一歩ずつ近づいていきます。
今、17年の歳月を越え愛し合う二人が、結ばれる。
誰もがそう思いました。



が、しかし…



「武のバカァァァァァァァァァ!!!!!!」



「ぐはぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ドゴン!!


つぐみが殴り終わった後に音がなる、強烈なボディーブローを王子に叩きこんだのです。
殴られた王子様は、わけも分からずお腹を抱えながら地面に突っ伏して悶えています。
「この浮気者!!こんな舞踏会なんか開いて、とどめに靴の持ち主探してまでお嫁さんみつけようだなんて!!!」
「ま、まて!つぐみ、それは誤解だ!!」
「問答無用!!」
と、人とは思えない速度で、王子様を殴り続けます。
「お父さん、最低だよ!!」
「サイテー、コレが自分のパパだと思うと恥ずかしいよ…」
とお姉さん達も、非難の声を上げ、
「ヒソヒソ…」
「王子って……」
「サイテー…ヒソヒソ…」
周りの人々も、王子様に対するイメージが崩れてショックを隠せません。
「ま、待ってくれ!舞踏会を開いた理由は、つぐみ!お前が来てくれるんじゃないかと思っていたからだ!!」
「その割には、知らない女と楽しそうに踊っていたじゃない!!!」
どうやらシンデレラの事を言っているようです。全く気づいていませんね。
「あ、あれは…その………そ、そう!仕方なく!仕方なくなんだよ、つぐみ!!」
必死に弁解しようと、頑張る王子様でしたが、言ってはならない事を言ってしまった事に気づいていないようです。

「…王子様…仕方なくってどういうことでしょうか?説明を求めたいのですが…」

いつの間にか、王子様の後ろに立ったシンデレラが冷たい目をして、王子様に言いました。
この目に王子様は後に、「…あの時は本当に死こそが救いだった」と語ったそうです。
「え、き、君は、一緒に踊った……」
「はい、シンデレラと申します。それより、王子様…先ほどのお言葉…説明いただけますよね?」
シンデレラの冷たい目が王子様を捕らえて逃がしません。
「あ、いや…」
「どういう事なのでしょうか…?」
シンデレラが一歩一歩王子様に近づくと、王子様は情けない格好で後ろに下がります。
「…そうね、私もそこのところをはっきりさせたいわ」
そこにつぐみが加わり、王子様は二人から問い詰められる形になってしまいました。
そして…

「う…うう…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

王子様の精神状態は極限にまで追い込まれ、ついに逃げ出してしまいました。
「「待ちなさい!!!」」
そして、シンデレラとつぐみが王子様を追いかけます。
世にも恐ろしい鬼ごっこが始まったのです。
王子様は全速力で逃げます。それをシンデレラ達は全力で追いますが、男と女の違いか追いつくことができません。
「く、このままではらちがあかないので、食らってください!!」
と、シンデレラは急に立ち止まり、スカートの下から分解式スナイパーライフルを取り出し、組み立て、王子様に向かって発砲しました。
パンッ! キュン!!
「おわぁ!!」
弾丸はゴム弾ですが、王子様の頬をかすり、血が出ました。
「む、むちゃくちゃだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、その事実は精神状態が追い込まれた王子様にとって、恐怖以外の何でもありませんでした。
もう王子様は泣きながらはしります。
パンッ、パンッパンッ!!
シンデレラはなおも銃を撃ち続けます。
そして…

パンッ!!

「うわぁぁ!」
ついに弾丸が王子様の背中をを捕らえました。
ゴム弾の威力は、プロのボクサーのジャブの威力に匹敵します。
そして、成人男性を地面に叩きつけることぐらいは、簡単です。
「ぐ、ぐぅぅ……」
王子様は背中をのけぞらせて、地面でもだえます。
地面でもだえている王子様のそばに、二人の女性の影が映ります。
「王子様…」
「武…」
シンデレラとつぐみです。シンデレラの両手には、特製ゴムボール弾が装填されたハンドガンを。
つぐみの右手には、カイザーナックルがありました。
「……ガクガクブルブル」
王子様は擬音を口に出すほど、恐怖に怯えていました。
「…お母様、お先にどうぞ」
「そう?じゃ、お言葉に甘えさせていただくわ…」
ポキポキと指を鳴らし、つぐみが王子様に近づいて行きます。


「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」


このときの王子様の叫び声は1.7km先まで聞こえたと、後に人々は語ります。
「ふぅ…」
つぐみは満足げに、自分の額に流れる汗を拭います。
「終わったわ、後はお好きにどうぞ」
「ありがとうございます、お母様…」
今度はシンデレラが、微笑みながらもハンドガンの弾数を確認しながら、王子様に近づきます。
「さぁ、王子様…女心をもてあそんだ罪は、重いですよ?」


「ぎゃぁァぁぁぁぁぁぁアぁぁぁぁァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァぁAAAぁぁぁぁァAAぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


今度の叫び声は3.4km先まで聞こえたそうです。
あのかっこよかった王子様は、もう見る影もありませんでした。
「さて、お母様これからどうしましょうか?」
シンデレラはさも困った顔をしながら言います。
しかし、その手はさっきまで撃っていたハンドガンのマガジンを的確に交換していました。
「あら、頭の良いあなたなら分かると思ったんだけど…」
「…なるほど」
二人は顔を見合わせ、微笑みます。
王子様の運命は、もう誰にも覆すことはできず、王子様はその事実と二人の微笑みに、ただ恐れることしかできませんでした。





                       THE END………???




HDDが飛んだSS作家の戯言

どうも、お久しぶりですみなさん。チョコシューです。
もう、後がきのタイトルであるように、HDD飛びましたTT
このSSのデータも飛び、最初から書きなおしてしまいました;;
おかげで、予定の2倍以上のデータ量になってしまいましたよ…


その後の、シンデレラ達は…
シ:「お母様、隣国が和平交渉をなさりたいと言ってきています」
つ:「受ける必要はないわ、無抵抗なものは無傷で、抵抗するものは徹底的に殺しなさい」
武:「ちょ、ちょっとそれはやりすぎじゃ…」
つ&シ「ギロッ!!」
武:「…ごめんなさい」
武王子は、妻であるつぐみに完全に尻にしかれ、シンデレラはつぐみと和解。
今では意気投合して、仲良くやっているようです。
そして、つぐみの国はドンドン大きくなり、やがて世界一の国となりました。
めでたしめでたし。

武:「めでたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」



はい、話が飛びまくりですね。流石に久しぶりに書いていますから、ブランクが…
それでは、いつものごとく感想、意見、苦情、お待ちしております。
それでは…


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