無限ループは終わらない〜The endress of infinity〜 横右 |
西暦2042年。 つぐみは武とライプリヒ製薬社長室に来ていた。 いや、「来ていた」と表現するのはおかしい。 彼女たちは、ライプリヒ製薬社長室に忍び込んでいた。 「・・・やっと、見つけたわ・・。」 そこには、椅子に座る黒い影・・・。 「・・・・・。」 「ライプリヒ製薬社長にして創立者。そして・・・ ・・・私達を不幸に陥れた元凶・・。」 そう、こいつさえいなければ・・・。 「・・・・・。」 「わたしは貴方を・・・。」 「殺す?」 「・・・!」 ・・・?どこかで聞いたような声・・・。 「・・・殺すの?」 「・・・・。」 「・・どうするの?」 奴は椅子に座りこちらに背を向けている。なのに、勝てる気がしない。 それほどまでに強いのだ。 これが、ライプリヒ製薬社長・・。 「・・・やめとけ。つぐみ・・・。」 「武・・・。」 「ここは・・・。俺がやる。」 「!・・・ちょっと正気!?貴方は・・・」 「パーフェクトキュレイなんかじゃなくても奴の実力ぐらい分かるつもりだがな。」 「じゃあ・・・。」 「それでもお前に、もう人殺しなんてさせたくない。だからここは俺が・・・」 「じゃあ、貴方が殺すの?私を。」 振り返った奴の姿を見て武は驚いた。 「貴方じゃ無理ね。きっと殺せないわ。武。」 そこに立っていたのは・・・。 つぐみと瓜二つの女性だった。 武とは対照的につぐみはすぐに現状を理解し、同時に攻撃を仕掛けた。 相手は流れるように避ける。 まるで先のことが分かるかのように・・・。 つぐみの眼にも止まらぬ早業を難なく避けているその様はまさに神技だった。 この早業を避けられるものは同じキュレイである武でも不可能だと思うだろう。 その早業を避けるその姿に改めて武は驚いた。それも、その行動もつぐみにそっくりだったからだ。 「やはり、危惧しておくべきだったわ。」 「何をだ?」 「まだ分からないの?あいつは・・・」 「私のクローン」 「何だと?!」 「私が捕まったのは、2010年。つまり12のとき。 それ細胞を元にクローンを生み出しキュレイを与え、特殊な訓練を施した。」 「じゃあ、何であいつが社長なんか・・。」 「そうなるように仕込まれたのよ。それにいろいろ便利じゃない。キュレイは人の持つ全ての能力を上げる。 頭脳も、身体も。つまりボディーガードもいらないし、絶対死なないし。」 「・・・・。」 「でも、何であいつ一人なんだ?」 「それは分からないわ。何人、いや、何百人といるか分からない。 意外にうまくできなくて一人しか実用化できなかったのかもしれない。」 「・・・。」 「つまり、これは人殺しじゃなくて、爪を切るみたいな行動。それと同じ。」 「・・・あなたに、私を殺せる?」 「・・ええ、殺せるわ。」 「そう、それならいいわ。でも、あなたに言わなければならないことがあるの。」 そういって奴は、二人の前に一枚の写真を投げた。 そこには・・・。 「・・・この写真は・・。」 「つぐみと、小学生ぐらいのつぐみ・・。」 「いいえ、違うわ。」 「・・私と、お母さんの写真・・。」 「そう。その写真は、あなたと、そして・・・ ・・・私の写真。」 「・・・ウソ・・。」 「・・・ホントよ。」 「・・ウソ!ウソに決まってる!ライプリヒがこんなことして何の得になるのよ!!」 「・・・もう、忘れたの?その写真の裏に書いてあること・・・。」 「・・・!」 「・・・あなたは、この写真を知っている。」 「・・・!」 「お母さん、言ったでしょ?五時までにはちゃんと帰ってきなさいよって。 それとも、またいつもみたいに駄々こねるの?つぐみ?」 「・・・!!!」 「そして、このペンダントも・・・。」 「・・・う、うぁぁぁぁぁっっ!!!!」 らしくないつぐみの攻撃。もちろん相手にそれを避けるのは造作もないことだった。 見かねた武はつぐみの攻撃に参加してつぐみを落ち着かせることにした。 「おい!つぐみ!」 「そんなはずない。そんなはずない!」 「つぐみ!落ち着け!」 武の手がつぐみの頬を叩いた。 「・・・ごめん、武・・。」 「そんなことより、まず奴を倒すほうが先だ。」 「ええ、それからね。」 それから二人の攻撃が始まると流石に回避が追いつかなくなってきた。そしてついに・・・。 「そこ!」 ドゴッ!! ・・・奴は、つぐみの鉄拳を、喰らわなかった。 奴の前にもう一人、男が現れた。 そいつは、つぐみの渾身の一撃を受け止めていた。 「こいつを殺すなら、俺を先に殺せ。」 この声も、どこかで・・。 そいつが、顔を上げた。そこにいたのは・・・ |
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