無限ループは終わらない〜The endress of infinity〜
                              横右


-2-


そいつは、つぐみの渾身の一撃を受け止めていた。

「こいつを殺すなら、俺を先に殺せ。」

この声も、どこかで・・。
そいつが、顔を上げた。そこにいたのは・・・


武その人であった。


「な、なんだこりゃ!?」
「ちっ!武のもいたなんて・・・。」
「・・・。・・・俺は思い込む。俺の拳を受けて壁に叩きつけられ、再起不能になる。」
「?!・・こいつ、何を・・。」

奴の拳が飛ぶ。つぐみはそれを受けたが、壁に叩きつけられてとてつもないダメージを受けた。
つぐみは、再起不能になった・・・。

「!?・・どうして?!・・・キュレイが反応しない?!」
「それは、俺がそういう風にしたからだ。」
「くっ、貴様・・!」
「やめとけ武。つぐみのそばにでもいてやれ。どうせ貴様が向かってきても、焼け石に水だ。それに・・・
 こいつは俺が殺させない。」
「・・貴様ら、何者だ!?さっきから訳の分からんことを・・。」
「はあ・・。相変わらず馬鹿ね。あなたは相変わらずじゃないだろうけど、そっくりよ。」
「?・・・どういう意味だ!」
「・・・気にしないで。」
「自己紹介がまだだったな。俺はライプリヒ製薬副社長兼秘書兼雑用だ。」
「・・・不思議な、身分ね・・・。」
「おい、つぐみ。お前動くんじゃ・・。」
「いいわ。貴方が出てきたら、なんとなく確証がもててきた。貴方達、いえ、お二人の、本当の身分と、名前は?」
「・・・。信じなくてもいいわ。武。つぐみは信じるようだけど。私は、小町。小町日真理(ひまり)。この子の母親よ。」
「この子って、まさか・・。」
「そう。そして俺は小町陸斗(りくと)。つぐみの父親だ。」
「・・・久しぶりね。父さん、母さん。」
「ああ。実に30余年あまりか。しかし、親子感動の再開。とは、いかないもんな。」
「・・・どういうことか、説明してくれ・・・。」
「それには、キャストがそろってないな。・・・そろそろ行くか。日真理」
「そうね。じゃあ、私達は年上順で回って行くから。」
「じゃあな、武。つぐみ。田中研究所で待ってる。・・・ちゃんとフォローしてくれよ?」
「ちょ、ちょっとまっ・・。」
「じゃあね♪」

・・そして、誰もいなくなった。

「・・どうだ、つぐみ、動けるか?」
「ええ。そろそろ動けそう。」
「あの二人は、誰、なんだ?」
「あの人たちは、私の両親。私の、ライプリヒに囚われるまでの12年間を、一緒に過ごした人達。
 私は、忘れていた。自分の親がどんな人だったか。憎しみの炎は、思い出すら焼いてしまったの・・・。
 でも武、今、私があなたに引かれた理由がなんとなく分かった気がするわ。
 あなたは、似すぎていた。優しく、強く、母を愛し、私を愛し、自らに誇りを持ったすばらしい父親。
 私は本能的に、父親に似ているあなたに引かれたんだと思う。
 そんなことはいいとして、今まで忘れていた両親なのよ。あの二人は。」
「それで、二人はどこに行ったんだ?」
「たぶん、キャストがそろってないってことは、Lemuメンバーに会いに行っているとしか・・・。」
「そしたら、今、誰の家に行っているか・・・。」
「確か、年上順って言ってたから、たぶん、ホクトの家よ。」
「どうしてだ?」
「あの子達。年上順って言ったら、それしかないじゃない。それに、孫の顔も見たいだろうし。」
「そうだな・・・。」
「・・・・。」
「・・・・。」

二人は、肝心なことを忘れていた。

「あっ!」
「あっ!」

そして二人は同時に気づいた。

「あの二人、まさか・・・。」

そう、あの二人がつぐみを動けなくした理由。
二人は、武とつぐみに成りすますつもりなのだ。
・・そのころ、ホクトの家。

ピンポーン!

「はーい。」

ガチャッ!

「あっ、お義父さん、お義母さん。こんにちわ。どうしたんです?」
「いや〜。近くを通ったからせめて孫の顔でもと・・・」
「な〜んだ。それならそうと電話の一本くれれば迎えの準備ぐらいできたのに。ささっ、あがってあがって。」
「(ねえ、陸斗。)」
「(何だよ。)」
「(やっぱり、そっくりよね。)」
「(何がだ?)」
「(反応が。いつもどうりでなんか不思議な感じ。)」
「(同一人物なんだし、仕方ねーだろ?)」
「(それもそうね・・・。)

「ほーら可憐。おばあちゃんたちが来てくれましたよ〜。」
「あら。ホクトは?」
「あっ、今仕事に行ってます。そろそろ帰るころだと思いますよ。」
「ただいま〜。」
「お帰り。あなた、お義母さんたちが来てますよ。」
「えっ、お母さんが?」
「あっ、お帰りホクト。」
「!」
「・・・?どうかしたか、ホクト?」
「あっ、優。この仕事、先生から預かってたから、ちょっとやっといてよ。」
「えっ、私?・・・分かったわ。じゃあ、家族団らん、楽しんでね。」

ガチャン。

「・・・・・」
「・・・・・」
「貴方達、何者ですか?」
「流石、というべきなのかな?倉成ホクト。」
「優は騙せても、僕はそうは行きませんよ。やっぱり、ライプリヒの・・・。」
「全てを知りたければ、いえ、全てを知るために、8時に田中研究所に来て。優も。・・・あの子は、好きにして。」
「おいていくのも自由。連れて行くのも自由。・・・危害は加えるつもりはないからな。」
「それに、私達はここでやりあう気でもない。だから私達はそろそろ帰るわ。優にヨロシク伝えておいて。」

ガチャン。

「・・・・。」
「あなた?どうしたの?」
「・・・・優。」
「あれっ、お義母さんたち帰っちゃったの?挨拶ぐらいしておきたかったのに・・・。」

ピンポーン!
ピンポーン!
ピンポーン!

「はーい。あれっ、お義父さん、お義母さん、また来たの?忘れ物?」
「ホクトはいるか!?」
「居間にいるけど・・・。」

ドダドダドタ・・・。

「ホクト!」
「お母さん・・・。」
「よかった、無事だったんだな。」
「あの二人は、誰?」
「えっ、あの二人って、まさか・・。」
「ホクト、やっぱりあなた、気づいたんだ。」
「・・・誰、なの?」
「あの人たちは、私の両親。あなたの、もう一組のおじいちゃんとおばあちゃんよ。」
「そんな・・・。でもあれはおかしすぎるよ。お母さんはともかく、お父さんもに、似すぎてる・・・・。」
「そうなんだ。俺もよく分からないんだが・・・。で、奴はなんていった?」
「全てを知るために、八時に田中研究所に来いって。どういうことだろう・・・。」
「いい、ホクト、落ち着いて聞いてね。あの人たちは、ライプリヒの人間。」
「それは僕も分かったけど・・・。」
「正確には、ライプリヒそのもの。彼女達が、ライプリヒ創立者。社長なの。」
「ライプリヒを作った者・・・。ライプリヒさえなければ、僕達は・・・・。」
「それを説明するために、来いといっている。罠の可能性も高いって訳ね。」
「そういうこと。どうする、ホクト?きっと、優もつれて来いって言われたんでしょ?」
「うん、僕は・・・いくよ。優、どうする?」
「それはもちろん。夫の危機に立ち向かわない妻がいるもんですか。でも、あの子、どうしよう・・・。」
「・・・。」
「・・・連れて行くよ。」
「・・ホクト、正気?!危険なのに連れて行くなんて・・・。」
「連れて行かなくて誰かに殺されでもしたら、優、耐えられる?」
「・・っ!」
「それより、僕らが守ってあげよう。僕達の、愛の結晶なんだから・・・。」
「ホクト、いえ、あなた・・・。うん。分かった。私もあの子を守る!」
「・・ふう、こっちは大丈夫だったみたいだな。」
「こっちはって、沙羅に何かあったの?!」
「分からないわ。今から行ってみる。じゃあホクト、遅れないように来てね。」
「うん、分かったよ。」

一方、沙羅の家の前。

「確か沙羅は、誰かと結婚して、苗字が変わってるはずだけど・・・。」
「おいおい、『石原』に決まってるだろ?」
「たしか、特殊な精神病、感応精神病『キュレイシンドローム』になってる患者がいたけど・・・。それが、沙羅のお義父さん
 にあたる人よね?」
「そう。だから俺は・・・。」
「つべこべ言わず早くしないと、つぐみたち来ちゃうわよ。」
「・・・そうだな。」

ピンポーン


あとがき

前回、初めて作品を出した横右というものです。
初めて出して慌てていてあとがきを書くのを忘れてしまったとですm(_ _)m
まあ、この話はとってもながったるいウチの妄想話ですのでお暇なら以後も読み続けて頂けると光栄です。
次は沙羅の家に入ります。沙羅の反応は如何ほどなものか・・・。
ちなみに2042年の人間関係は、こんな風になってます。

34年ハッピーエンド後と比較
つぐみ&武:相変わらずラブ×2状態。子作りは・・・経済的状況よりやむなく控えているそうです。
ホクト&優秋:(沙羅をおさえてついに)ゴールイン。優にそっくりな女の子がいる。
沙羅&石原?:とりあえずブラコン脱出。親にも負けないラブっぷり。男の子がいる。
涼権&ココ:こちらは炉・・・。ココはキュレイにかかってる設定なのでやっぱりどう見てもこの称号ははずせません。
      こちらは双子です。時には少ちゃんもハッピーエンドにせんと報われません。
ではでは・・・。


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