無限ループは終わらない〜The endress of infinity〜
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-3-


ピンポーン

「はーい」
「宅配便のお届けにあがりました!!」
「・・って、パパ、何してるの?」
「ちょっと冗談を・・・。でも、どうして分かったんだ?」
「最近のインターホンには、カメラがついてるの。・・・常識だよ?」
「はあーっ。武・・・相変わらず馬鹿ね。」
「・・・?」
「沙羅、ちょっと近くを通ったからあの子に会っておこうと思って・・・。」
「・・・なんだ、そういうこと。じゃあ、扉の前で待ってて。」

ギイイ・・・。

「しっかし、沙羅も結構おっきな家に住んでるな。」
「・・あなた、ここ知らないの?」
「ああ。実家はこんなのじゃなかった。」
「・・・家が変わったのね・・・。」
「・・・なあ、日真理。」
「何?」
「・・・沙羅がもし、強行手段に移ったら・・・頼めるか?」
「陸斗・・・。珍しいわね、あなたが私に雑用を頼むなんて。・・・いいわ。その時は、私がやる。」
「ああ・・・頼む。」

中庭を移動して、ドアの前に立った。

「・・・・・。」
「・・・・・。」

しかし沙羅は、一向に出てこなかった。

「・・・何やってんだろ?沙羅の奴・・・。」
「・・・・・!」
「・・・どうかしたか、つぐみ?」
「扉から離れて!」
「へっ?」
「はやく!」

飛びのいた次の瞬間、


怒涛のような鉛玉の雨が扉を蜂の巣にした。

「・・なっ、なに!?」
「いきなりガトリングの奇襲・・・やる気満々と見たわ。」

そこに、いくつか玉が放たれた。

「次は煙幕かよ!」
「陸斗!ここは私が抑える!沙羅をひきつけていて!」
「了解っと!・・・気をつけてくれよ?」
「分かってる!」

日真理は、裏に回った。

「ちっ!アレで殺りきれなかったなんて・・・。あっちもやり手ね。」
「沙羅の奴、どこ行きやがった・・・うおっ!」

陸斗の目と鼻の先に刀が振り下ろされる。
その速さは、つぐみに匹敵するほどだった。

「ライプリヒなんか、やられる前にやってやる!」
「(沙羅の奴、逆上してやがる・・・。)」

沙羅の怒涛の連続攻撃、伊達に伊賀忍術免許外伝見込みをやっているわけではない。
(泳ぎ以外は)免許外伝のものすら敵わないほどの強さなのだ。
当然剣術も、人間業を超えている。
そして、ついに追い詰めた。

「くっ!」
「これで!」
「動かないで、沙羅。」
「(しまった、あと一人を・・・)・・・!!」

沙羅は、刀を落とした。

「・・・この子、どうなってもいいの?」

日真理の腕の中で、何事かときょとんとしている男の子。
・・沙羅は、動けなかった。

「・・・用件は、何?・・私には用なしでしょ?・・・私をダシにでもする気?」
「あなたを捕まえにきたわけじゃないわ。あなたに伝えに来たの。今日の八時に、田中研究所まで来て。全てを知るために・・・」
「・・・・。」
「彼は、連れて来て。この子は返してあげる。連れて来なくても、連れて来てもいいわ。一応、危害は加えないつもりよ。」
「ライプリヒの言葉なんか誰が・・・。」
「信じなくてもいい。でも、こなければ・・この子を殺すわよ?」
「・・っ!」
「行くわよ。陸斗。」
「ああ。」

ギイイイ・・・。
ガチャン!

「・・・流星。・・・ごめんね。ママ、あなたを守れなかった。」

ドタドタドタ!

「・・・よかった。無事みたいね・・・。」

沙羅は声のほうにキッと睨みを入れた。
一瞬ひるむつぐみと武。
次の瞬間、沙羅は自分の誤解に気づいた。

「・・・パパ、ママ。」
「ど、どうしたのよ、沙羅。」
「今、ライプリヒの奴らが、この子を・・・。」
「この子をって、まさか・・・・。」
「・・・人質に、とられたの。私、守りきれなかった。」
「そいつらは・・・俺達にそっくりだったか?」
「・・うん。」
「でも、どうして分かったんだ?ホクトにしろ・・沙羅にしろ・・・。」
「・・・!お兄ちゃん達にも何かあったの?!」
「ああ。お前の家の前に、ホクトの家に行きやがった。」
「・・そんな。可憐ちゃんは大丈夫だったの?」
「あの子は無事だ。それより、流星は・・。」
「この子は・・えっ!?」
「!どうしたの、沙羅?!」
「笑ってる・・。この子、笑ってるよ・・・。」
「何か、おかしいのか?」
「この子、あんまり笑わなくって、すぐ泣くから私も手を焼いてたんだけど・・・。」
「あいつらが来て、笑ってた・・・?」
「・・うん。そうみたい。・・・この子も、見えるのかな?」
「何がだ?」
「私やお兄ちゃんと同じく、アレが・・。私は、あいつらのぎこちなさと、体温で区別した。
 パパ達と明らかに体温が違ってるんだもの。見える人なら誰だって不審に思うよ。
 普通の人ならともかく、ママもパパもキュレイなんだから体温に変化はあまり起こらないのに・・。」
「そういうことか・・・。」
「沙羅・・・あの人たちは・・・。」
「やめとけ、つぐみ。・・・今は、な?」
「・・・そうね。そういえば、ホクトの家でも言ってたけど、あいつらなんか言ってなかった?」
「そういえば、八時に田中研究所に来いとか・・・。」
「やっぱり同じね。・・ということは、沙羅はどうするの?この子・・・。」
「連れて行く!・・・今度は、私が守ってみせる!」
「じゃあ沙羅、遅れないようにしろよ。」
「うん、分かった。」


「沙羅も大丈夫そうだな。」
「そうね。・・次は、桑古木たち・・・。」

国立白河産婦人病院受付。

「面会?」
「ええ。知人なんですけど・・・。」
「本人にご連絡は?」
「いいえ、とってません。」
「では、電話をお繋ぎして、二人の了承を取ります。・・・お名前は?」
「倉成武」
「倉成つぐみ」
「二人の特徴を・・。」
「男のほうは20代。背が結構高くて、赤系の髪。」
「女・・女の子の方は、10代後半で、ピンクの髪。」
「はい。結構です。では、お呼びしますのでお待ちください。」

「しっかし、ここまで厳重だとは思わなかったよ。」
「やっぱりキュレイの子供だから普通とは違うみたいね。」
「まあ、知人だといえばたいがい関係者だからこれでも甘いほうなんだろうな。」
「・・・。」
「沙羅には、悪いことしちゃったな・・。」
「・・・さっきは、ごめんなさい。陸斗・・・。」
「・・どうしてだ?」
「殺すと・・・言ってしまったから・・。」
「んなこと気にするなって。そうでもしないと、沙羅を止められないと思ったんだろ?」
「うん・・・。」
「お前もお人よしだよな・・。つぐみの出産の時もあんなことしたくせに・・・。」
「・・・・。」
「わざわざ偶然を装わせて産婆さんを雇って、つぐみの動けそうな範囲全域に置いとくなんて、
 つぐみが聞いたらきっと怒るぞ?」
「・・・ごめん。」
「まあ、これで俺も・・・。」
「倉成武様。つぐみ様。受付までお越しください。」
「ほら、時間だ。・・・いくか。」
「・・・ええ。」


あとがき
ども、第3話です。えっーと、沙羅はあんなに強行的なのか疑問ですが、サラリと受け流してください。
だんだんはっきりしていく謎。
小町日真理と小町陸斗。この二人はいったい何者なのか?

次は「桑古木&ココ」ですが、ココのコメッチョは・・・炸裂しません。
考えると非常に難しいコメッチョ・・・・。ココ、あなたは天才(コメッチョ限定)かもしれません。
では次もお楽しみに・・・。


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