小町つぐみ。
1993年、7月5日生まれ。あの日、私は、あの子を産んだ。
私は「未来を知るもの」として、あの子を産んでしまった。

そうなる「運命」だったから。

私は、運命に背けられなかった。
あの人との子を、産まずにはいられなかった。
そして、それから何が起こるかさえ、知っていながら。
12年後、2005年、アメリカ・・・・。

あの子は、18輪トレーラに引かれた。
いや、・・・「引いた」・・・。


他の人に、こんなことを頼められなかった。
それなら、いっそ私の手で・・・。




無限ループは終わらない〜The endress of infinity〜
                              横右


3.5:小町日真理の罪状


私は、今、幸せと絶望の絶頂にいる。
私の隣に寝ているのは、あの人と私の子供・・・。
そう、産まれたのだ。
その子に名前をつけた。私の日真理の「日」と、陸斗の「陸」。さかさまにして「月海」・・・。
小町月海。それが、あの子の名前だ・・・。
しかし、私には「視える」。
この子がどんな人生を送るのか・・・。
故に、絶望に立たされていた。未来を変えることはしてはならない。だからこの子も、絶望の渦を駆け抜けて生きなければならないのだ。

私は、泣いた。

今まで、未来が「視える」ことが憎いと思ったことはなかった。
だから、この「力」が疎ましかった。いっそこの力が、なければよかったのにと・・・。

「そんなことは・・・ない。」

陸斗にこの事を話したら、そういった。

「それがなかったら、「こっち」には、これなかっただろ?」
「でも・・・・。」
「・・・俺も、ご託を並べて自分を説得したよ。・・・・分かってくれないんだ。体が。自分が。」
「陸斗・・。」
「だから、「その日」が来るまで、せめてその日が来るまで、俺らの手で、あいつを幸せにしてやろう?な?」
「・・・そうね。そう、するわ。」

それから、私達はつぐみを幸せにするため自らの時間をつぐみに費やすようになった。限りない愛情をつぐみに注いだ。
あの人も、つぐみを深く愛した。私も、幸せだった。


そして、




「その日」が、来た。



「つぐみ、今日もジュリアちゃんのお見舞いに行くんでしょ?」
「うん。そうだよ。」
「今日はお天気もいいみたいだし、あんまり長くいないのよ。ジュリアちゃんの体のこともちゃんと考えてね。」
「うん、わかってる。」
「事故に気をつけて行ってらっしゃい。」
「いってきまーす!!」
ガチャン!
「・・・・・。」
「行ってらっしゃい。つぐみ・・・・。」

自然と頬に、涙が伝わってきていた。

熱く、そしてつめたい、涙だった。





その日の夜、私は泣き明かした。




自分のしたことを、悔やみ続けた。






そして、日の出とともに、私はライプリヒ社長に再就任した。
その顔は、もはや人形に等しかった。
全てを押し殺し、非人道的なことをやってのけた。
仮面をかぶり、私は、社長としての任務を着々とこなしていた。





2017年7月。
私は、一本の電話をした。
腕利きの闇医者を雇うために。

「で、報酬をいくらいただけますか、ライプリヒ社長様?」
「5000万、でどうかしら。」
「その十倍はもらいましょう。・・・よろしいですかな?」
「・・・・いいわ。そのかわり、しくじったら、こっちは全力であなたの周りの人からつぶしていくから。」
「了解いたしました。では、1週間までに指定した口座にご振り込みください。」

ツーツーツー・・・。

「・・・・」
非常回線を開き、アイツを呼び出す。

「何ですか、社長?」
「こっちはちょっと私的な用事で空けるから後をお願いね、陸斗。」
「・・・了解っと。じゃ、がんばってくださいよ。社長。」

私は出発した。



あの日真理がわざわざ非常回線で連絡するとは・・・・「何か」がある。
「陸斗、か・・・。」
「あの時以来だな。あいつ・・・。」
そう、出産後のあの一言。それ以降俺のことを「陸斗」とは呼ばなくなった。
「お父さん」とか、「あいつ」とか、数え上げればいろいろあったが、なぜか名前を呼ぼうとしなかった。
つまり、この名前を言うということは、ライプリヒ社長としての職務以外の事を行うつもりなのだ。

「・・・・そうか、つぐみか・・・。」

あいつが動く時はそれしか考えられない。
まず、そうだろう。

ピリリリリ・・・。

「・・・俺だ。」
「目標、見つけました。」
「了解、ターゲットの目的は?」
「ライプリヒ社長の抹殺、そして、クーデターです。現在、目標は空港前のホテルで準備中です。」
「分かった。・・今回は俺がやる。」
「では、私も・・・。」
「いや、今回は一人でやらせてくれ、空。」
「・・分かりました。では、任務を続行します。」

ピッ。

「日真理を狙うか・・・。いい度胸だな・・。」

俺は武装を揃えにかかった。
といっても、拳銃も持たないし、防弾チョッキをつけるわけでもない。
只、移動するためのバイクと、ヘルメット。それだけだった。
バイクにまたがり、空港を目指した。



「いいか、飛行機をジャック後、小町日真理を殺害。そしてそのまま飛行機の外に捨てるんだ。」
「イエッサー!」
「いくら対象がキュレイであったとしても、所詮は人だ。高度3万フィートの上空から落ちれば生きてはいられまい・・・。」

コンコン

チャキッ!!
「ルームサービスですが、よろしいでしょうか?」
「・・・・必要ない。第一、そんなの頼んだ覚えがないぞ?」
「そりゃ、こっちから勝手に来たんだから、当たり前でしょ?」
「な、何!?」

バキッ!!
ドアが開く。

「お取り込み中すまないな・・・。」
「貴様・・・何者だ?!」

そこには陸斗が立っていた。

「ライプリヒの雑用・・・いや、ライプリヒの狗だ。」
「そうか・・。ということは、貴様には消えてもらわんといかんな。」

男の一人が、自動ショットガンを構えて言う。

「死ね。」

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!
「がはっ・・・う、うおぁ・・。」
ドサッ!


「けっ!ライプリヒの狗ってのもこんなに弱いなんて、楽勝じゃねーのか?」
「へっ!違いねえ。」
「よし、そいつを片付けてさっさと行くぞ。」
「おう!」

すると、

「・・・痛えじゃねえかよ。なあ?」

陸斗は、立ち上がった。

「こいつ!」

「貴様の弾は、俺に一発たりとも当たらない。俺は、パーフェクトキュレイだ。」
「こしゃくな!いくらキュレイでも人は人だ。数撃ちゃ死ぬだろ?!」

ドン!!ドン!!ドン!!ドン!!
先ほどと同じく、弾丸の嵐が降り注ぐ。
しかし、陸斗には一発たりとも当たる事は無かった。

「な・・・!」
「まさかこいつ、アナザーキュレイか?!」
「そうだ、俺はキュレイウイルスの遺伝子と、アナザーキュレイ「キュレイシンドローム」の患者だ。」
「なに!?そんな奴、今まで聞いたことすらな・・・・・」

奴らの会話は、そこで途絶えた。
パーフェクトキュレイの凄さを誤認している彼らにとって、彼は化物以外の何者でもない。
人を超えし人、キュレイ。
その「妄想」は、既に皆に伝染して疑う余地すら無くなっていた。
そして、キュレイシンドローム最大の能力、その「妄想」は「現実」となる。
ゆえに、彼の力はその化物と同等の力。
そんな彼が奴らを潰す事など造作もないことだった。




「陸斗・・・。流石ね。」

小町日真理は、「無事」に飛行機に乗り込んでいた。
彼女の視た「未来」は、しっかりと変わったのだ。
しかし彼女は知っている。
パラレルワールドにいるもう一人の自分は、もう既に死んでいることを。
彼女は「死」の経験さえもできてしまうのだ。
だが、彼女は生きている。
目的のために、今死ぬわけには行かないのだ。
彼女は、最大の娯楽都市、ラスベガスへ向かった。

「流石に五億は大変ね・・・。」

そう、彼女は自力で五億もの金を稼ごうとしているのだ。

「こういうときに陸斗がいると便利なんだけどなぁ。
 けど、彼には彼の仕事があるわ。それに、私だけでもどうにかできるし。」

賭場にて、日真理は誰かを待っていた。
その誰かは、もう人生にうんざりしていた。
だから気晴らしに来た賭場にも嫌気がさしていた。
そいつに会うために・・・。

「はぁ・・・。」
「そこの紳士さん、どうしたんですか?」
「・・おお、これはお若いミセス、このような老人に話しかけるなどよほどお暇なんですな・・。」
「いえ、久しぶりに日本人を見たもので、声をかけてみたくなっただけですよ。こちらにはどうしておいでなすったのです?」
「妻が私に今まで働いたお礼だといって残したお金を、なんとなく賭場で使っていたのですよ。」
「そうなんですか。奥様は、どこにいらっしゃるのですか?」
「先月、先を越されてしまいまして・・・。」
「・・・すみません、浅はかな事をお聞きしました。」
「いいえ、良いんですよ。妻は賭博が好きでよく一緒に来たのですが・・・。勝てたら息子夫婦にやるつもりなんです。でも、もう残りわずかしか・・・。」
「・・それなら、私に賭けてみませんか?」
「あなたに?」
「ええ。私が勝ったら、私は欲しい額だけもらって、残りはあなたにあげるわ。」
「あなたが負けたら?」
「その時は、あなたが私の運を見分けられなかった。と思って。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「・・・・分かりました。乗りましょう、その賭けに。私のチップをあげます。それでは、楽しみにしていますよ。」
「ええ。」

日真理は、即座にルーレットの場所に行った。

「ミセス、何処に賭けますか?」

日真理は迷いもせず赤の18に全てのチップを置いた。
ルーレットが始まる。
カラカカカラッ・・・・!
そして、

赤の18に止まった。
その後、そこにいた人々は奇蹟という名の悪夢を見ることになる。

「紳士さん。」
「・・・おお、先ほどのミセス。会いに来たということは勝ったのですな?」
「ええ、約束どおり私は欲しい分だけとったわ。後はあなたにあげるわね。日本円でよかったかしら?」
「・・・?別によろしいですが・・・。」
「そう、じゃあこれ。」

老人の手に一枚の通帳が渡される。

「暗証番号は、今日の日付と奥様の亡くなられた月です。それでは、私はこれで・・・。」

そしてその老人は、なんとなく通帳を開いた。
そこには、

「一、十、百、千、万、十万、百万、千万、一億、十億・・・・。」
「へっ・・・じゅ、十億?」

老人は気が抜けていた。



「流石にやりすぎちゃったかな・・・。あのディラーさん最後には泡吐いて失神してたし・・・。
 まっ、いいか。」

そう、彼女は未来を視て全て24倍で当てていったのだ。
流石にインチキくさいだろ?と陸斗も言っていた戦法である。
彼は彼で、お金の無い時はスロットでスリーセブンを5連荘で出したりしたのでそんなことは言えないのだが・・。


次に日真理は、腕利きの産婆さんを探した。
条件を割り出し、それに見合った者のみ、依頼を出した。
もちろん依頼内容は、小町つぐみの出産の補佐である。
確かに未来は見えるが、未来はいつでも変わるのだ。
その時のために、彼女は労を惜しまなかった。
きっとつぐみに知られたら怒り出すことは目に見えている。
でも、
それでも、
私はあの子の親なのだ。

「やっぱり私も、親バカなのかな。」
「うむ、違いない。」
「そういうあなたも親バカの仲間よ。」
「・・・違いねえ。」

話は、永遠にinfinity loopを回り続ける。
なぜならこれは、Endless infinity loopなのだから・・・。






あとがき
テストの結果に怯え続けた毎日から開放された横右です。
作っちゃいましたよ、裏設定。こんなのでいいのか?と疑問に思いますでしょうが、ご了承ください。
さて次回こそは(炉里の中の炉里)涼ちゃんと(電波の中の電波)ココちゃんの登場です。
この二人は基本的な部分は変わってませんが、実は重要な人物なのです。
というか全て重要なんですけど・・・。特にこの二人は、後々凄いことに・・。

しかし涼権よ。ついにお前もココに「手を出しちゃった」訳だな・・・。



コ「涼ちゃんはココに『病気の治るおまじないだ』って言ってたよ。」
涼「・・・・・。」
優「桑古木、あんた・・・・。」
コ「でも、涼ちゃんは悪気は無かったんだよね♪」
涼「・・・・・。」
つ「人間失格ね。」
空「絶交ものです。」
沙「この犯罪者。」
チャ「でも、武もつぐみも似た様な展開でやってるけど・・。」
ユウ「マヨ、流石にそれは言い過ぎじゃない?」
沙「このくらいが妥当でござるよ。」
優「最も私にしたら足りないぐらいね。」
ホ「・・・今、チャミがしゃべったよね?」
チャ「・・・・・(カシカシ)。」
武「・・・・・。」
チャ「・・・・・(シャカシャカ)。」
つ「・・・・。」
チャ「・・・・・(モゾモゾ)。」
沙「気のせいでござるな・・・。」
ホ「でもなんでこんなことが起きたんだろ?」
作「それは俺の所為だ。」
武「あんた、誰?」
作「BWのうちの一人。」
コ「何しに来たの?」
作「うむ、一言いっておきたくてな。」


作「桑古木のバッカヤロォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」
                                                  以上。(訳分からん。。。


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