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未来へ続く夢の道−本編5 おひろめ− あんくん |
そして始まった体育祭午後の部。 遂に沙羅の出番がやって来た。 それは、 借り物競争、だった。 午後2時17分 トラック⇔3年B組⇔父兄応援席 三元中継 「お兄ちゃーーーん!見ててねーーー!!!」 スタートラインの上でぶんぶん手を振る沙羅。 「愛されておりますなあ、兄様」 「頼むからその表現、止めてくれる?」 「あんなことやこんなことって、何をしたんですかー?」 「だから!そういう発言は禁止禁止!(ユウにこんな会話聞かれたら殺されちゃうよ…)」 「皆の者、御嬢ちゃんの出陣だ。勝利を願い、今此処に景気づけの神酒を…」 「だから、止めろっていうのが分からんのか!この宿六があ!!!」 「おぷふぁ!!!」 ぱあーーん! スターターピストルの音と共に一斉に飛び出す。 沙羅もそれなりのスタートを切り、トラックに置いてある紙の一つを拾い上げ、開く。 「!」 思わずガッツポーズ。 そのまま小躍りして駆け出す。 「お、沙羅ちゃん、簡単なお題に当たったみたいだな」 「『兄』と書いてあるとか?」 「あたしは、『好きな異性』だと思うけど。過去実際にあったらしいから」 「だから、その手の話題は禁止だって…」 「しょうがないわね」 「あ、委員長、お願いだから止め…」 「ホクトくん、諦めなさい。思春期の少年少女に何言っても無駄よ♪」 「って、委員長も面白がってるじゃないかーーー」 「ふふふ、当然!」 「おっ、御嬢ちゃんも一着当確か!そいつはめでたい!これは…」 「もう酒は残ってないわ」 「何故にーーーー!」 「ふん、私に飲み比べを挑むなど、笑止。こういった事態は想定できて当然よ」 「お前ら、コントやってないで沙羅を応援しろ!頼むから」 しかし、ここで沙羅が取った行動は、誰も想定しなかったであろう。 紙を片手に駆け出した沙羅は、トラックを駆けて、 そのままゴールしてしまったのである。 「って、なんでだーーー」 「ちょっと待て。いくら沙羅ちゃんが天然だって言っても、借り物競争の意味くらい分かってるはずだぞ!」 「なんか、聞き捨てならない発言があったみたいだけど?」 「ホクト、空耳だ。それより沙羅ちゃん、どうしたんだ…て、ごめんホクト、ギブ、ギブ!」 騒然となる3年B組応援席。 「もしかして、沙羅、借り物競争初めてか?」 「違うわ武。『目下負けなし5連勝中』って昨夜自慢していたもの」 「でも、なんも借りてないよな?なんでだ」 「お願いだから、私に、そんなこと聞かないで」 こちらは困惑する父兄席。 駆け寄ってきた実行委員に、沙羅は紙を手渡す。 そして、ツインテールの片方を解き、髪を止めていたリボンを手に取ると、 「はい、御題通り『リボン』よ!文句ある?」 胸を張る沙羅。 「…放送部に頼んで、マイク持ってきてくれ」 グランドのあちこちで声を張り上げ借り物を求める姿と、目的物を探す姿と、目的物を持って駆けてくる姿を横目で見つつ、実行委員は同僚にそう告げたのであった。 全ての選手がゴールするのと、実行委員が予備のマイクを放送部より借りて持ってきたのがほぼ同時。 そのマイクを受け取った競技統括実行委員が、ゆっくりとマイクのスイッチを入れる。 しんと静まる会場。 「ええと、本競技における倉成沙羅選手でありますが」 ざわ… ざわ… 「借り物として指定された物品は『リボン』であり、倉成沙羅選手より提出を受けた物品も、確かに『リボン』であります」 「うんうん、当たり前でござる」 腕組みして大仰に頷く沙羅。 「この物品でありますが。倉成沙羅選手、貴女は本競技開始時にこのリボンを身に着けていた。それに誤りはありませんね?」 「あ、当たり前じゃない。それ無いと髪結べない!」 突然マイクを向けられ、少々狼狽しつつも答える沙羅。 「…皆さん、只今の発言、確かに聞きましたね?」 「オチが読めてきたなあ」 「やっぱり、沙羅さんって、天然ね…」 「今回ばっかりは、否定できないよ。御免、沙羅」 「あの、馬鹿娘…」 「帰ってきたら、お仕置きね…」 「借り物競争における借り物の定義は『借りた物』。すなわち自身の所有物で無いということが大前提にあります。 倉成沙羅選手が提出した物品は確かに指定した物品と同じ種類のものでありますが、先ほどご自身が証言されたように、倉成沙羅選手自身の所有物であります。 結論としては今回倉成沙羅選手が提出された物品は借り物とは認められません。 従いまして、倉成沙羅選手は指定された物品を借りることなくゴールインいたしましたので、ルール違反により失格といたします」 「えーーーーっ、それってあんまりだよー。官僚主義はんたーい」 「だめです」 「少しくらいおまけしてくれたっていいじゃない」 食い下がる沙羅を横目で見て、実行委員は、笑った。 「先ほど、生徒会長が全校生徒の意思として申し上げました。『いかなる差別も区別も特別扱いもする事無く、ただ、一生徒として歓迎し受け入れる』と。ですので、特別扱いも、無しです」 がっくりとへたり込む沙羅。 かくして、沙羅の晴れ舞台は、散々な結果に終わってしまったのだった、合掌。 「全く。体育祭の意味、考えてほしかったわ」 「こういう事だけはちゃんとしないとな」 父兄席で、少々おかんむりな当事者の両親。 「あのー」 後ろからかかる声。その姿をみるなり 「って、ごめんなさい、ウチの娘が…」 「本当にすまん。あとで絞っておくから」 生徒会長だった。 「まったく困ったもので。それでですね、一つお願いしたいことがありまして。 倉成さんのご両親にとっても悪い話ではないと思いますが」 「出来ることなら、協力するわ」 「おう、娘の責任は親の責任でもあるからな」 「それではお願いします。えっと…」 「沙〜羅〜?」 「お兄ちゃん、ごめんなさい―」 応援席に帰還ししゅんとうなだれる沙羅と、少々ご機嫌斜めのホクト。 「あれはちょっとあんまりだと思う。皆頑張ってるのにああいうズルは失礼だよ」 「うん…」 全体に漂う重い雰囲気。 「…まあ、落ち着きなさいな」 それを宥める委員長。やっぱりクラスのまとめ役だけあっt… 「幸い、名誉挽回の機会が残ってるから。妹の不名誉はお兄ちゃんが晴らしなさい」 …全然宥めてなかった。委員長の顔に浮かぶチィシャ猫笑い。 「最終採点種目、学級対抗リレー決勝。沙羅ちゃんはそこそこ足速いから35番目。ホクトくんはアンカーお願いね。無様な姿、今度見せたら承知しないわよ?」 この学校の学級対抗リレーは1クラス36人で行う。男女各18名で400mトラック6周。32人が1/8周を走り、33、34番目が1/4周、35番目が1/2周、アンカーが1周。途中の順番は自由だが33番目と34番目及び35番目とアンカーは男女各1名でなくてはならない。というわけで大低35番目が女子、アンカーが男子ということになる。 「クラスの命運、ホクトと沙羅に預けるわ。4×400リレーの奇跡の再来、期待してるからね」 午後3時30分 校庭 『それでは、プログラム33番、最後の採点競技種目であります学級対抗リレーの決勝を行います。先に行われた予選を勝ち抜いた精鋭6クラスによる最終決戦。見ごたえある戦いを見せてくれるでしょう』 「来たね、お兄ちゃん」 「ああ、これで最後だ」 現在のクラス対抗成績は、学年1位、全体で2位。但し僅差。 このリレーに学年2位及び全体1位のクラスもエントリーされている。 勝てば文句無く総合優勝。しかし、負ければ総合優勝はおろか学年別優勝すら危うい。 そんな決戦の締めを任され、緊張する二人。 特に沙羅。確かに最近足は速くなったが、それでもトップクラスとは言いかねる。 他のクラスは当然女子のエースを持ってくる。事実、全員陸上部。 ホクトは、沙羅の分のハンデまで背負ってこの戦いに臨むことになる。 それでも、 「沙羅に名誉挽回のチャンスを与えてくれた皆の為にも…このレース、負けられない」 ばあーーーん! 一斉にスタート。 各人50mという短い距離だけあり、全員全力疾走。 目まぐるしく入れ替わる順位。 距離の短さゆえ、バトンの受け渡しの重要性がいや増している。 上位のチームほど、全体練習でバトン渡しを徹底し、メンバー選抜でも重視している。個人の能力より、全体の結束。 事実、陸上部のエースを有し優勝候補筆頭と言われたクラスは、度重なるバトン渡しミスにより予選敗退している。 全体の結束が、何より勝敗に直結するルール。飛びぬけた個人に依存しては勝てない。 このような細かい配慮がこの学校の校風を良く表していると言える。 あっという間に、35番目。現在の順位は、僅差のトップ。しかし、沙羅の足を考えれば順位ダウンは免れない。 「沙羅!頼んだわよ!」 34番目走者の委員長から 「任せてくだされ!」 沙羅に、バトンが渡る。全力で、走る。 しかし、相手は陸上部員。あっという間に抜き去られる。 (やっぱり、私じゃ、無理なのかな…) 心に忍び寄る、弱気。 「沙羅ーーーー!!!頑張れーーーーー!!!」 「沙羅、諦めちゃだめーーーー!ホクトが、何とかしてくれるから、頑張ってーーー!!!」 両親の声。 励ましの声。 今まで何回体育祭に出ても、ハッキングコンテストに出ても、聞いた事の無かった声。 「私は、独りじゃ、ないのっ!!!」 心に、足に、鞭打ち、加速する。 自分のためにじゃない。パパの為、ママの為、お兄ちゃんの為、ここで挫けちゃ、だめなんだ―――!!! 短距離選手の速力曲線にはいろんなパターンがあるが、素人の場合、たいてい一番スピードが出るのはラストスパートを除くとスタート直後、初期加速終了時点である、らしい。また、ラストスパートは余力があって初めて可能になる。要は、一度スピードが落ち始めると、素人は再加速というのは殆ど出来ないということだ。 しかし、 沙羅は、再加速した。陸上部員達は、焦る。後は広がるだけだったはずの差が広がらない。縮むはずだった差が縮まない。それが、心を乱し、タイムを落す。 それが、勝負を決めた。 「お兄ちゃん!!!」 「沙羅、後は任せろっ!!!」 バトンが渡されたとき、先行する相手との差は予想以上に少なく。 (沙羅の頑張り、僕が無にするわけにはいかない) 妹の姿に、家族思いのホクトが奮起しないはずはなく。 あっさりと4角出口でトップを捉えると、 直線ぶっちぎりで差を広げ、 ホクトはゴールテープを切った。 「いよっしゃーーーーーーーーーー!!!」 「やった、やったわ、武。沙羅が、ホクトがーーー!!!」 両手をつなぎ、ぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ両親。 「おおっ、やってくれるじゃねーか!御嬢ちゃん、見直したぜ」 「しっかり名誉挽回して見せるあたり、親の血かねえ」 こちらはこちらで盛り上がる酒宴メンバーズ。 全体に広がる歓声の中、生徒による競技は劇的な幕切れで終わった。 生徒による、競技は。 午後3時47分 校庭 『それでは、プログラム34番、最終種目、本校名物、父兄によりますエキシビジョン競技「夫婦対抗リレー」を行います。参加される御父兄は、グラウンド中央にお集まり下さい』 「あれ、お父さんとお母さん?もしかしてこのリレー出るの?」 「嘘でしょ!この競技凄く人気で、あっという間に枠埋まったのに…って、パパ、ママ!」 歓迎にもみくちゃにされやっと開放されたホクトと沙羅が、グラウンドに両親の姿を見つけて驚きの声を上げる。 ―『夫婦対抗リレー』 12組の夫婦が、二組に分かれて競う。一人1/4周で3周勝負。ここまでは、普通。 しかしこの学校の場合、本当に『夫婦が二組に分かれて』競うのである。 つまり、夫と妻が、常に別の組になるのである。 通常、夫婦で争うことは『夫婦喧嘩』というわけで、良いこととは思われていない。しかし、この場においては、喧嘩ではなくルールに基づく正々堂々とした『競争』で夫婦争うことが出来るのである。 また、勝った組にだけ賞品が出る。けっこうこの賞品が豪華だったりするのだ。 さて、ここで考えて欲しい。勝った組にしか賞品は出ないのだが、組は2つだけで夫婦は常に別の組になるわけだ。 早い話、どっちが勝っても賞品はもらえるわけである。夫婦としては。 そういった意味でストレス解消の場と実利がセットになったこの競技は大人気。集まりが悪くご協力お願いをするのが常の父兄参加競技においても、この競技だけは抽選をするくらい応募が集まるのである。 当然、開枠などある訳無いはずだったのだが… 『なお、今回は特別枠と致しまして、倉成武・倉成つぐみご夫婦に13番目として参加頂くことになりました。それに伴いましてレース距離が1周延長され、アンカーのみ1周して頂きます。また、スポンサー様のご好意により賞品がいくつか追加されることとなりました。○○様、××様、△△様、ご協力誠に有難うございます』 …そう来たか。 確かに、他の夫婦の飛び入り参加であれば文句の一つも出ただろう。 しかし、昼の感動の場面に立ち会った人々にとって、倉成夫妻の参加はむしろ歓迎すべき事項と言えた。他の参加夫婦にしても、賞品が増えたこともあり拒否する理由などどこにも存在しなかった。スポンサーにしても、僅かな賞品代で強力な広告効果を生むことが出来る。倉成夫妻の飛び入り参加と賞品の追加の因果関係を想像するのは容易であり、人道的配慮を出来る企業というイメージは非常に効果的なのである。 そういう一石三鳥のプランに反対など出る訳もなく。この変更は拍手をもって迎えられたのであった。 恒例の各チームの作戦会議。出走順を決める重要な会議。なにしろぶっつけ本番。出走順は勝敗に直結する。もっとも、 「それではアンカーは倉成の旦那さんということで。宜しくお願いしますよ」 「アンカーは、倉成の奥様にお願いしますわ。健闘、期待していましてよ」 アンカーだけは、すんなりと決まったのだが。 ぱあーーーん!!! スターターのピストルの音と共に、スタート。 なにしろ40代や50代のご夫婦が多い。効果音はむしろ「とてとて」とか「どたどた」といった感じ。競争と言うよりはかけっこに近い。 それでも一所懸命な姿にあちこちから声援の声が飛ぶ。 そんなこんなで、和気藹々とした応援が飛ぶ中、あっという間に3周は過ぎ去り… 「「倉成さん、あとは頼む!!」」 ほぼ同時に、バトンがアンカーに渡った。 直後、旋風が吹いた。 内につぐみ、外に武。ぴったりと併走する二人の姿に、皆、我を忘れる。 後に、タイム担当は語る。 「陸上やっている人間として、あれは夢としか思えなかった」 興味本位に測ったスプリットタイム。 100m通過、11秒06。200m通過、21秒69。300m通過 32秒27…ラップ11秒06、10秒63、10秒58… 「世界記録、上回ってる。しかもラップ、速くなってる…」 二人ともスタンディングスタート。武は外回りの距離ロス。そしてコーナリングによる減速。 記録会とは程遠いグラウンド環境、カジュアルな普段着、ありきたりな運動靴… 2035年時点の世界記録。男子400m 42秒18。女子400m 46秒11。男子100m 9秒38。女子100m 10秒37。30年前より早くはなったが… 「明らかに、世界一の選手より、速い…」 異様な集中で見守られるデッドヒートは、あっという間に直線勝負。 「ここは、譲れん!」 「武でも、負けるのは嫌!」 残り僅か。そこで少しだが武が前に出る。常に外周を回り、それで併走できたのだ。僅かに、武のほうが速い。 しかし、そこで… 「きゃっ」 全力疾走のつぐみが石につまづき、 宙を、舞った。 校庭に響く、悲鳴混じりの声。 全ては一瞬。 武は右手でつぐみの左手首を掴むと、そのまま強引に手繰りつつ半回転させる。 そのまま左手を下から抱えあげるように置き、そのまま足を撓めて着地に備える。 もっとも、時速30km超の衝撃を消しきれるわけも無く。 最大限のバネを着地で効かしたものの、消しきれない衝撃によりそのまま武は尻餅を付きながらゴールテープを切ることになったのである。 さて、このときの二人の置かれた状態は。 武の右手は、つぐみの左手首を掴んだかたちで伸ばされ、 つぐみの右手は、武の首に引っかかり、 武の左腕は、しっかりとつぐみの膝裏に入っている。 若干片手の位置が違うものの、普通この体勢を人は「お姫様抱っこ」と言う。 「いってーな。全く、痣になってなきゃいいんだけどな、って…うわっ!!!」 我に返り、ふと自分達の置かれている状況に気付く武。 真っ赤になり、あわてて右手を離したのだが。 ぎゅっ 「どわっ!」 いきなり両腕を首に回されて抱きつかれ、思いっきり狼狽する。 「こら、やめっ、恥かしいだろ…」 子供みたいにいやいやをして、腕に込めた力を緩めないつぐみ。 「わかった、わかったから、な…」 空いた右手でつぐみの頭を優しく撫でて、子供をあやすように宥める。 そんな、優しい光景。 ぱちぱち ぱちぱちぱち ぱちぱちぱちぱちぱち 再び起きた拍手の輪は、あっという間に広がり、すぐにその場に居る者全員に伝染した。 こうして、虹ヶ丘高等学校体育祭は、暖かい拍手の渦と共に全競技を終了した。 (400m、42秒ジャスト。最後の100mのラップタイム、9秒73) 幻の世界記録と共に。 余談であるが、翌年以降の体育祭においては、特別枠として新婚の夫婦(大体生徒の兄弟姉妹となる)が選ばれ、最後のゴール前で夫が妻をお姫様抱っこしてゴールするのが習慣となる。 午後4時17分 閉会式 そして、閉会式。 総合優勝 3年B組。最優秀選手賞、倉成ホクト。審査員特別賞、倉成親子。 閉会式の最後。家族四人で壇上に上がる。 マイクが、つぐみに渡される。 「みなさん、今日は本当に、有難う。 お蔭で、初めての、家族での体育祭を楽しむことが出来ました。本当に、感謝します」 ぱちぱちぱち 巻き起こる拍手。 「そして、私事だけど、これだけは言わせてください」 右手を、武に差し伸べる。 「この人は私の自慢の夫です」 左手で、子供たちを引き寄せる。 「この子たちは私には過ぎた最高の子供たちです」 目に光る涙。 「皆さん、本当に…本当に…有難うございます…」 ぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱち この日最後の、そして、これ以上無い暖かい拍手の渦の中。 虹ヶ丘高等学校体育祭は、終わった。 こうしてこの日、倉成一家は、沢山の賞品と、メダルと、思い出と、そして、 なにものにも変えられない、地域の一員としての資格を手に入れた。 −To Be Continue − |
後書 や、やっと終わった……… 本来、幕間話のはずだったのが本編に昇格。 さらに、普通のほのぼの話のハズが、途中に出てきた重いシリアス。 軽い流れで地域住民にバレるはずだったのですが、書いてみるとそんな甘いものではなかったです。 最初のプロットでは二人三脚と夫婦対抗リレーしかなかったはずなのに増える増える。沙羅の借り物競争や学級対抗リレーは完全に登場人物に引っ張られて作ったお話です。 しかも、チョイ役のつもりだった親父が大活躍。奥さんまで出てきて予想外の料理談話まで増える始末。 そういった訳で、実に4話構成のだらだらしたお話となってしまいました。 それぞれに見せ場を作って、最後は武とつぐみで締める。という構成にしましたが…やっぱり素人だなーと反省しきり。 これでもいくつかの要素はカットしたんですがね。 さて、いろいろありましたが、やっとピーカンほのぼの話の書ける土壌が完成しました。 次は、もともとプロットになかったのほのぼの話。今回の話がなければ書くことの無かったはずのお話です。 太陽の下を歩き、色々な人々の暖かさに包まれる倉成一家を、今後とも愛していただけるとありがたいです。 最後に、こんなだらだら話を最後まで読んでくださって有難うございます。 006年3月18日 あんくん |
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