お久しぶりです。私、茜ヶ崎 海尋と申します。一度だけLemuでお目にかかりました。

 なぜ貴方様が分かるのか?…ですか。
 正直私も戸惑っておりますが、分かる以上は分かるのだとしか申し上げる事はできません。私には原理も何も分からないのですが。こうやってお話できる事が何よりの証拠かと存じます。

 船内管理に全力を注いでいるセントラルコンピュータ『ギャラクシア』に代わりまして、私が恒星間亜光速探査船『ノア』及び本船が置かれている現状に付きまして御説明させていただきます。


 本船は『ノア・プロジェクト』第一段階、外恒星系探査計画の中核をなす恒星間を航行できる有人探査船です。現在、目的星系である『アルファ・ケンタウリ』星系へと向けて、1Gでの定常加速を行っています。
 本船は全世界の協力の下、月面にてアッセンブルが行われました。地球を巡る大型無重力工廠型宇宙ステーション『ISS-17』及び地球上の多くの工場で製造された本船の部品は重量物輸送用RTSを使用して月面基地『Luna-R11』へと送られ、そこに設置された超大型外宇宙船舶建造ドックにて組み立て調整が行われました。
 重力が地球の1/6で様々な鉱物が豊富な月面は、このような大型宇宙船を建造するのに適しているとの事ですので。姉妹船『フォールチュン』及び内宇宙探査船も何隻かすでに建造が開始されていて、ルナベースはてんてこ舞いであると聞き及んでおります。
 既にプロジェクトの第二段階の一部は開始されており、重力均衡点の一つラグランジュ3に投入される予定の無重力宇宙船建造ドックがルナベースにてアッセンブルがスタートしております。
 第二段階が順調に進めば、22世紀を待たずしてスペースコロニー計画や内宇宙探査、ソーラーシステムによる無限発電計画、及びアステロイドベルトでの資源採掘といった夢のような時代がやってくる事になると思われます。


…申し訳ありません。話が少々それました。


 本船は竣工・進宙後月を周回する軌道に投入され、様々なテストが行われた後に月周回軌道を離脱。本来は火星を利用したスウィングバイを行う予定でしたが、アステロイドベルトでの衝突事故等を考慮し本船の重力波推進システムのみによって加速を行う計画に変更されました。
 重力波推進システムの最大の利点は、推進剤を不要とする点と、慣性制御技術にそのまま転用できる点にあります。通常は1Gでの加減速ですが、緊急最大出力を使用すれば理論上100Gの加減速と慣性制御による5Gへの体感加速度軽減を同時に行える事になっております。…正直、その能力を使用する事態にならないに越した事はないのですけれど。
 主動力炉は核融合炉。燃料である水素及び3重水素は艦内プラントにて水を原料として生産しておりますし、緊急時にはRTSを使用して地球ないしルナベースより送っていただける事になっておりますから。事実上燃料の心配は不要という事になります。


 本船に搭乗する乗組員は常時約2,000名前後。全員がキュレイ種です。基幹クルーと呼ばれ、ほぼ常時乗船し続けるクルーはその内約500名前後。それ以外の1,500名は、定期的に地球と本船を往復する乗組員です。その為、本船に関わる乗組員の延べ数は乗組者数より多く、約5,000名。
 RTSのお陰で、このような体制を採る事も可能になりました。また、情報システムは言うに及ばず船体や居住区といったエリアに関しても常時細かなアップデートが施されております。
…貴方様には、外宇宙探査船で地球の最新ヒットソングや最新のファッション事情が常設船内チャンネルで流れ、船内食堂に地球で流行っている食材や料理メニューが並んでいる光景は想像できないかもしれませんけれど。


 そして、ノア・プロジェクトを実現可能とした主役。常時接続量子利用超光速通信兼用型テレポーテーションシステム、通称RFTL-TS。
 本船は単独でも十分生存できる閉鎖系を備えてはおりますが、それにも限度があります。地球との通信・連絡及び補給に使用するRFTL-TSは文字通り、本船の生命線です。
 本船が保有するRFTL-TSの数は実に6基。その上本船には常に3基分の全パーツ及び多くのサプライパーツのストック及びRFTL-TSをアッセンブル可能なラボが存在します。仮に全てのRFTL-TSが使用不能になっても、自力で新しいRFTL-TSを製造する能力があるのです。
 現在の所、重量物運搬用の大型RTSを含む3基をメインコンピュータ、月読システムの最新バージョン『ギャラクシア』が制御し、残りの3基を3人の空システムが制御する形式となっております。


 大体の技術的な説明は以上になります。一度に説明いたしましたので御理解が追いついていない部分があるかもしれませんが、その点は御了承願います。


 最後に、本船の位置について説明いたします。

 現在、本船は太陽系最外延部を航行中です。
 現在の軌道要素及び加速スケジュール通りであれば、本日、2051年8月15日午後7時17分17秒(GIT)をもちまして本船は太陽系最外惑星軌道を離脱…即ち太陽系外へ脱出する事となります。
 人類にとって記念すべき出来事という事で地球の方では様々な催し等が行われる事になっており、その余波は当然本船にも及んでおります。
 様々なイベントやインタビューその他の準備のため、現在のノア船内は大変な喧騒の中にあるのです。
 


…ふふふっ。申し訳ありません。このような説明よりも、貴方様にはずっと大切で、ずっと興味がある事がございましたね。思わずいじわるをしてしまいました。

 現在ノアに搭乗している空システムは合計3人。私、『茜ヶ崎 海尋』と双子の姉妹に当たります『茜ヶ崎 美凪』。そして、貴方様が何よりも一番気にしておられる方。





                  ………プロダクト・ゼロ。『茜ヶ崎 空』お姉様です。






未来へと続く夢の道 エピローグ4-宇宙駆ける空-
                              あんくん



〜茜ヶ崎 空 & 守野くるみ〜








 2051年8月15日(火)午後5時17分(GIT) 恒星間亜光速探査船ノア 士官クラブ(ガンルーム)




「御免な、空。この忙しいときに俺の相手なんかさせてしまって」
「とんでもありません、倉成さん」

 お願いですから、そんな事を仰らないで下さい、倉成さん。
 私は…茜ヶ崎空は、この時をずっと待ち続けていたんですから。





 私は今、倉成さんと二人きりでノアの船内の個室に居ます。船内はてんてこ舞ですが、今の私にとってそんな事よりもずっとずっと大切な事があります。

………そう。倉成さんに、私の気持ちを告白する事。34年間、待って待って待ち続けて。そしてやっと、その機会が今ここに訪れました。
 他の皆さんは既に御存知です。ですけれど私は、直接自分の気持ちを倉成さんにぶつけた事は一回もありません。
 冗談に紛らわせて『倉成先生の恋愛教室』を受けたことは何回もありましたけど。肝心の告白は結局出来ずじまい。研究所での日々にあって、何度も二人きりになる機会はありましたけど。立場がそれを許してくれませんでした。


 いいえ。それは『自分を騙すための嘘』。


 私は、ただひたすら、怖かった。倉成さんに全てをぶつけて、拒否されるのが怖かったのです。


 私はAI。有機ボディに宿った、精神だけの存在。精神さえ満足できれば、妻という地位も、本能に起因する男女の関係も要らない。だからつぐみさんとだって共存できます。
 ですが、ですがっ!………拒絶されてしまえば、精神が絶望してしまえば。私には何も残らない。そうなってしまえば、私は文字通り『壊れて』しまいます。


 だから、私は告白をする事ができませんでした。


 ですけれども。もう今は、自分を騙す嘘すら吐く事が出来ません。
 ここは宇宙船『ノア』。ここには、あのLemuの7日間を共に過ごした人々は誰も居ません。目の前の倉成さん以外には。邪魔する人も、遠慮する相手も、今の私の居場所であるここには一人も居ないんです。
 そしてこの船には、私の妹達が3人も居ます。『海尋』と『美凪』と『ギャラクシア』。仮に私が『壊れて』しまっても、代役はちゃんといます。この船で暮らす人々にとっては私は絶対不可欠な存在ではなく、補充の利く部品の一つに過ぎないのです。

 そして、倉成さんがこの船を訪れる機会というものは、滅多にありません。…今回が2回目。前の時にはつぐみさんが御一緒でした。
 今回は倉成さんお一人でいらっしゃいましたが、次がそうであるとは限りません。もしかしたら、今日のような機会は二度と訪れないのかもしれないのです。…そうしたら、私は出口の無い永遠に取り残される事になってしまうでしょう。


 ですから私は、今に全てを賭けるしかありません。例え倉成さんに拒否されて、『壊れる』末路を辿る事になろうとも。私には、このワンチャンスしか残されていないんです。


  ですが…ですが……その、一歩が、踏み出せません。

 体内の冷却システムがフル稼働してもなお、ジェネレータやバイオトランスファーシステムは余分な熱量を放出し続け、体内温度は上昇し続けています。
 辛うじて強化されたメインチップは論理的な思考を維持していますけど、全身のサブシステムは暴走寸前です。全身のパーツが私のメインフレームに訴え続けます。『さあ、早く言ってしまいなさい』って!

 それなのに…私には勇気がありません。たった一度しかないかもしれない機会なのに。ここを逃したら、もう二度と回ってこない機会かもしれないのっ!

 私は…私はッ………!!!

「く、くらなりさんっ!!!」
「は、はいっ!な、何だ、一体どうしたんだ空!」
「あ、ああああ、ああのですね…わ、わわ、私…く、くらなり、さ、さんのこと…」

 頑張れ、頑張れ私っ!もうちょっと、もうちょっとッ………!!!!!!!




『空さ〜〜〜ん!ごめーん、キャプテンそっち来てないかなあ?』





………私は、生まれて初めて機械を破壊したい欲求に駆られました。




 きっと睨みすえた艦内モニターの先には………


「おう、くるみちゃんじゃねえか。いったいどうしたんだ?」
『ごめんねえ。空さんと二人っきりだったのに』
 モニター画面のくるみさんが、倉成さんと会話しています。
「まあ、それは置いといて、キャプテン…艦長さんがどうしたんだ?」
『どうもこうもないんだよぉ〜!この忙しい時期にふらっと艦橋出て行って、行方わからないんだって。ねえ、武さん、そっちに行ってないかなあ?』
「………どう考えても、居る筈は無いと思うんだが。ここは個室だぞ?」
『うーん。やっぱりそうかあ〜』
 しゅんと肩を落とす、くるみさんのバストショット。
『だから申し上げたじゃないですか、くるみ様。そんなところに居られるわけがないと』
『そうです。せっかく空お姉様が昔なじみの方とお会いしている所にお邪魔してはいけないとあれほど申し上げましたのに』
 そうですそうです!海尋も美凪ももっと言ってやってください!野次馬根性でそんな真似しないで下さいって…はっ。
 私なんてはしたない。いけません。この一世一代の大勝負の時にこんな態度では、倉成さんに嫌われてしまいます。
 とりあえずパーソナルシステムであるサーモグラフィシステムを起動………!!!

 
 私は足音を消して、ゆっくりと自動ドアへと歩み寄ります。そして…
「アクセス」
 そっと呟き、ドアを緊急最大速度で開放させました。

「だあーーーーっ!」
 どんがらがっしゃん!一人の男性が、支柱を失って室内に転げ込んできました。
「いつつつっ………はっ!」
 私を見上げる、その男性に対して。

「いったいそこで何をなさってらしたのですか、艦長?」
 私はつぐみさん直伝の『人を殺せる笑顔』とともに、可能な限り冷たく聞こえる声で告げたのでした。




『ねっ!言ったとおりだったでしょ?』
 ふふんという感じでモニター上で胸を張るくるみさん。
『かんちょお………乗組員にどう伝えたらよいのでしょうか』
『信じられません。本船を統括するお方が、何故………』
 海尋も美凪も、余りの事に硬直しています。…私も、恥ずかしいです。現在の上司である『ノア』の責任者、艦長ともあろう方が、よりによって、よりによってっ!
「出刃亀、ですか………」
 ついつい、口に出てしまいました。
「空も、苦労しているんだな」
 ああっ!倉成さんっ!判って下さいますか。…ってまた、やってしまいました。ううっ、どうして私、肝心な所でこうなのでしょう。

「すまんすまん。気になって見に来たんだが。あんなポンコツさんなエアを見るのは初めてだったものだから、ついやってしまった。
 すまない、ミスタ・クラナリ」
 艦長が、倉成さんに謝っておられます。当然です!…ってその『ポンコツさん』ってどういうことですか艦長!!!
「まあ、気にしちゃいないから。艦長、それより仕事の方は大丈夫なのか?聞いた話じゃ………」
 お願いだから気にしてください倉成さんっ!
―――ううっ、もしかして私の星廻りってずっとこうなのでしょうか。とてもショックです………
『その通りです、艦長。既に艦橋に対して行われた艦長に関する問い合わせが3桁に達しております。至急艦橋へお戻り願えないでしょうか。…言い訳をするのにも限度がございますし。増してや真実は語るわけには参りませんので』
『スケジュール的にも、です。艦長。想定した予備時間を既に超過しつつあります。これ以上の猶予は最早御座いません。場合によっては強制的に………』
「だあーっ!分かった分かった!ミヒロ、ミナギ、戻るからそれ以上言うな…それじゃ、ミスタ・クラナリ、後でな」
―――後も先もありませんっ!とりあえず今日は二度と来ないでくださいっ!!!全く、一体なんだったのでしょう、今のは。

「はは、ははは、はははははっ!!!」
 ちょ、ちょっと、倉成さん!何で笑っているんですか!
「やっといつもの空に戻ったって感じだな。やっぱりそっちの方が落ち着く」
………そういわれてみると。ジェネレータやバイオトランファーシステムは通常出力に戻っています。
 確かに取り敢えずの告白のチャンスは失われてしまいましたけど。その代わり、昔私が地上に居たときのような暖かくて穏やかな空気が、戻ってきていました。



「しかし、よく艦長の居場所が分かったな、くるみちゃん?」
『えっへん。自分の旦那さんの居場所が分からないようでは、奥様は務まらないのですよ!!!』
「だったら、止めてください!」
『空さん、ごめんごめん。ちょっと目を放した隙に居なくなっちゃったから』
『くるみ様。くるみ様もお仕事、一杯残っておりますが。無駄話はお止めになってください』
『そのとおりです。さあ、お仕事です!』
『あうー!美凪ぃー、はーなーしーてー!!!』
 モニタースクリーンからくるみさんの姿が消えて。
『それでは、ごゆっくりどうぞ、空お姉さま』
 海尋がスクリーン上で一礼した後、モニターの電源は切れました。
「…いっつもこうなのか、ノアじゃ?」
「お恥ずかしいところをお見せしてしまいました。…艦長もいつもはこうではないのですが」
 呆れ果てたような倉成さんに私は真っ赤になって俯くしかありません。
「まあ、空が謝る事じゃないよな。………にしても、くるみちゃんが『ノアプロジェクトに参加したい』って言い出したときはびっくりしたけどな」
「はい。仰るとおりですね。挙句に………」
「ああ。あの艦長、ひとかどの人物なんだろう?」
「ええ。ですけど、くるみさんにめろめろだったみたいです。
 くるみさん、ものすごく人気でしたから。皆『一番人気同士の組み合わせだ』って男女ともども悔しがっていたみたいです」
「まったく、あのくるみちゃんがなあ」
「その通りですね。人間は、変われるんですね………」


 守野くるみが、ノアプロジェクトへの参加を皆に告げた時。ほぼ全員が反対した。だが彼女の意思は固く、結局彼女がキャビン研究所へ旅立つのを止める事はできなかった。
 意外なことに、彼女はキャビン研究所では大人気だった。元気なマスコットキャラとしてだけでなく、実戦力としても。
 遙のオリジナルである彼女は急激にその秘めた才能を開花させ、プロジェクトにおける戦力の一員として必要不可欠な存在となっていった。………言動や性格の幼さはたいして解消されなかったが。
 そして、彼女は皆から好かれた。その好意が恋情に変わり………彼女の周りには恋の花が咲くようになっていた。そんな彼女が選んだ伴侶が、この『ノア』の艦長。
 人類の英知と希望を背負った宇宙船『ノア』を任される人物である。当然、絶大なカリスマ性とキャプテンシーを有するひとかどの大人物。そんな誰もが憧れる相手と、大恋愛の末にゴールインしたのである。
 結婚直後、夫がノアに乗り組む事が決まった時。当然の様にくるみもノアの船上の人になることを望んだ。そして進宙後、初期不良が相次ぐノアにおいて様々なメカニカルトラブルが起きていく。そんな中で彼女に付いた二つ名。

                          『現代の姫巫女』

『第三視点・偽』。ノアの事故はそのままくるみの生命に関わる事。故に、致命的なトラブルはくるみのループに引っかかり、結果的にくるみの『予知』によって致命的な事故は事前に回避される事になった。
 皆はそんな彼女に畏怖を覚え、文字通り『姫巫女』として祭り上げるようになる。
 事実上、くるみはこの『ノア』を守護する最後の命綱。それゆえに彼女は『ノア』の中では最高の評価と待遇を与えられていたのである。
 そして、いかに変わろうとも守野くるみは守野くるみだった。いかなる立場の相手に対しても分け隔てなくあの『くるみスマイル』で接する彼女を嫌う人間はほとんど居らず。今では、彼女は完全にいい意味での『ノア』を象徴する存在と化していた。



「流石に、この前来た時は参ったよ。延々とのろけ話聞かされるし、挙句につぐみはつぐみで俺達の恥ずかしい話をバラすし。まるっきり………」
「倉成さん?関係ないフリしても駄目ですよ?みんなして惚気あってたじゃないですか!!!お陰であの後、みなあてられて大変だったんですから!!!」
 前回…一年ほど前の倉成さんとつぐみさんの訪問は、くるみさんの招待によるものでした。なんでも、
「つぐみさんとの約束、やっと果たせるんだもん!!!」
 という事らしく、くるみさんがいつも以上にはしゃいでらしたのが思い出されます。
 つぐみさんはつぐみさんで、
「それじゃ、約束どおりにたっぷりと自慢してもらうから」
 って仰いまして。私と倉成さんはさっぱり訳が分かりませんでしたけど、お二人にとっては、大切な意味があったみたいです。
…正直、倉成さんがつぐみさんの事で惚気ているのを傍で見ているのは、とても辛かったですけれども。

 これを皮切りに、私と倉成さんの話は、懐かしいみんなの近況に移っていきます。
 告白はまだ出来ていないんですけど。正直、私は今はこんな懐かしくて穏やかな空気に包まれていたかったのです。それで、取り敢えずは告白の事は忘れる事にしました。






 2051年8月15日(火)午後7時17分(GIT) 恒星間亜光速探査船ノア 主艦橋





『天測、終了しました。本船は、只今の時間を以って太陽系最外惑星の軌道外へ達しました。…現在、本船は太陽系の外にあります』
『ギャラクシア』の合成音声が艦橋に響き。



                「ブラヴォーーーーーーー!」



 歓声が、艦橋を含めた全艦に木霊した。





「まずは、一仕事終わったねえ〜〜♪。ご苦労様ですキャプテン!」
「ああ、まだ通過点だが。とりあえずもう少しでお偉方のお守りから解放される」
 艦長席と、その真横の副官席…艦長とくるみの艦橋の定位置で、二人笑いながら言葉を交わす。
「だからちょっと早いって言ったんだよ?空さんって、肝心な所で臆病だし。武さんもこういうの器用じゃないし…ね?」
 可愛らしく首を傾げて、上目遣いに夫を見やる。
「全く反論できないよ。お陰で赤っ恥かいた。もっとかっこよく出て行くつもりだったんだけどなあ」
 艦長はポケットから一枚のデータカードを取り出して、手の中でもてあそぶ。
「キャプテンってこういう時結構三枚目だよねえ?今度はちゃんとくるみの言う事聞いてね?」
「はいはい。今日は俺の負けだ………これで3日連続で料理当番か」
「あーっ!恨みっこ無しって言ったよー!!!」
「く〜〜っ!分かった、分かったから!こら、抓るな、引っ張るな!!!」



「相変わらずですね。艦長も、くるみ様も」
「全くです。少しは場というのを弁えていただきたいですね」
 言っている事は不満でも。海尋と美凪の面に浮かぶのは微笑み。
「ああなると、何を言っても無駄ですから。とりあえずの仕事は………」
「私達が代行する事としましょうね。美凪」
 微笑を苦笑に変えて。海尋と美凪はコンソールに向き直り、仕事を再開した。







 2051年8月15日(火)午後9時17分(GIT) 恒星間亜光速探査船ノア 居住区ゲストルーム




 突然ですが。このノアで採用されている時間はグリニッジ標準時です。ですので、懐かしい日本とは9時間の時差があります。日本の方が早いですから、今は日本では朝の6時になります。
 従いまして、いつも日本で暮らしておられる倉成さんは………



「Zzz………Zzz………」


 私の目の前のベッドで、幸せそうに寝息を立てていらっしゃいます。結局、つい先ほどまで倉成さんは私にずっと付き合って、懐かしい皆様の話をして下さいました。事実上の徹夜をしてまで。

 相変わらず、久遠ちゃんは少年さんを追っかけて騒動を巻き起こしているそうです。諦めの悪さは…私から遺伝したんでしょうね。

 もう一人の少年さん、石原彼方さんと沙羅さんに関しては、むしろ私が倉成さんにお話しする側に回りました。今ではノアプロジェクトを担う中核メンバーとなったお二人はちょくちょくノアに訪ねていらっしゃいますのでお会いする機会も多いですし、さまざまな逸話も私は存じております。………御免なさい、沙羅さん。つい「パパには秘密だからね!」と口止めされたあんな事やこんな事までお話してしまいました。
 倉成さんがあきれた表情で仰ってました。『やっぱり沙羅は、つぐみの娘だ』って。…もしかして同じような事をつぐみさんとなさっていたのですか?正直へこみました、私。

 ホクトさんと秋香菜さんも、相変わらずだそうです。やんちゃな子供達に振り回されて大変だって笑ってらっしゃいました。最近の趣味はTBDホームビデオの撮影と編集だそうでして。定期的に私やくるみさん宛てに送られてくるテラバイトディスクは全部お二人が撮影されたものだそうです。
 ちなみに『あの』くるみさんですから。辺り構わずみんなに見せて回りまして、いまではノアの風物詩となってしまいました。お陰であの三人娘は艦内では有名かつ大人気です。特に子持ちの乗組員の受けが良くて、なんでも秘密の親衛隊が結成されて定期的にTBDビデオ鑑賞会が行われているとか。………とてもじゃないですけど倉成さんには言えませんね。

 優さんと少年さんも、相変わらずの凸凹コンビだ………って仰ってました。確かに、田中研究所からの定期通信は艦長や中核クルーからは『凸凹コンビの夫婦漫才』って呼ばれていまして。毎回どんなオチがつくのか楽しみにされているみたいです。二人揃わなかったり、平穏に終わってしまった時はみんな逆にがっかりしておられます。逆に久遠ちゃんが出て来た時は拍手喝采。『何が出るかな、何が出るかな』って感じでみんな期待でうずうずしながら見てらっしゃいます。
 どうコメントしていいものかは分かりませんが。少なくとも他の施設からの定期通信よりは、皆がリラックスして聞いているのは間違いありません。…案外それを狙ってらっしゃるのかもしれません。ただの贔屓かもしれませんけど。
 この事を話すと、倉成さんも苦笑されていましたから。おそらくいつもああいう感じなのでしょう。ですが、時を追うごとに巨大化していく研究所を隙なく切り盛りされていらっしゃいますから。仕事のほうはちゃんとされていて皆もそれは認めておられるようです。


…そして、私は今、倉成さんの眠るベッドの傍らに座っています。
 前、田中研究所に居た頃は。このように倉成さんの寝顔を見ることはそれほど珍しい事ではありませんでした。宿直の時、残業で泊まり仕事になったとき。あるいは偶に仕事中に居眠りされたとき。
 そんな姿を、私はよくこっそりと眺めていました。 優さんの傍らで、皆さんを見守った日々の中で。


 ノアに乗り込む事に決めたのは、ほかならぬ私なのですし。それにノアでの日々も嫌いではありません。いろいろな人と出会い、共にいろいろな困難を乗り越えて。

 しかし、それでも、それでもっ!!!

 懐かしいんです。倉成さんたちと過ごした日々が。そして………還りたい。あの日々へ。
 もう帰れない。それは分かっています。だけれども、帰れるものなら帰りたい。私の嘗て居た場所へ。倉成さんの居る場所へ。



 私は初めて………さめざめと、泣きました。郷愁に苛まれて、泣きました。







 2051年8月16日(火)午前9時17分(GIT) 恒星間亜光速探査船ノア 



 あの後、お目覚めになられた倉成さんは、私に船内の案内を求められました。


「ふふふ、それでは御案内いたします、倉成先生♪」
「って、おい空!こら、腕を組むなって、恥ずかしいだろうが!!!」
「あら、これってデートのお誘いだと思ったんですけど。こうやっていろんな所を男性と女性が二人で巡るのが、デートじゃありませんでしたっけ?」
 内心を押し殺し、必死の努力で笑顔を作ります。
「…確かにそうだよな」
「はい。ですので腕を組んでも良いんです。デートですから」
「ああ、そういうことにしといてやるよ………はあ、乗組員達に何を言われる事やら」


 食堂。

「空。おまえ、食べ物食べられたっけ?」
 私の目の前にあるケーキを見て、コーヒーだけを注文された倉成さんが呆れ顔で仰います。
「いいえ。食べる事はできませんよ」
 私は澄まして答えます。
「じゃあ、どうして………って、まさか!」
「はい。もう遅いですよ、倉成先生。くるみさんから『「あーん」はデートの必須イベントなんだよ』と窺いましたので。当然、付き合って下さいますよね?」
「あのなあ…」
「あーん」
 倉成さんの表情は気づかないフリをして、私は小さく切ったケーキを差し出します。
「っておい!」
「あーん」
「………」
「あーん」
「………あーん」
 ぱくっ。
「ふふふ。ケーキはまだ残っていますから♪」
「ま、まだやるのか空?」
「はいっ♪。それでは………あーん!」
 真っ赤になった倉成さんに、私は悪戯っぽく笑いかけたのでした。


 娯楽室。

「てりゃ!」
「はいっ!」
 娯楽室にあったエアホッケー。私は倉成さんに一勝負を挑む事にしました。もちろん、賭けをしまして。
 倉成さんは二つ返事で承知してくださいました。『空、スポーツで俺に勝てると思っているのか?』なんて仰って。

「くっ。空、想像以上にやるな!」
「ふふふ。瞬発力は倉成さんには劣りますけど、コースを読むのは私のほうが上ですから」

 確かに本気の倉成さんのショットはとても速いです。ですが、私は瞬時にそのパックのコースを読むことが出来ます。もっとも、私のボディの反応速度にはリミッターが掛かっていますから、完全な対応をすることは出来ません。
 その代わり、反応できる範囲では一番適切なショットを放てますので。結果的に互角の戦いになりました。一進一退の攻防の末、今は6対6のタイスコア。次の一点を取ったほうが勝ちです。

 そして。

「これで、終わりだーーー!」
 倉成さんが、初めて全力のショットを放ちました。しかし。
「カウンター、ですっ!!!」
 全力ショット故に、コースが単調になりました。私はショットに対して直角に当たるように防御して。
「だあーっつ!やられたあーーーー!!!」
 がら空きになった倉成さんのゴールに、パックが吸い込まれました。

「やりました、私の勝ちですっ!!!」
 思わず私は小躍りして喜びました。だって、なにしろ賭けの賞品は。
「それじゃ、お約束どおり私のいう事を一つだけ聞いてもらいますから。倉成先生♪」
「くうーっ。しょうがねえ、約束だしな」


 船内緑化公園。

「なあ、空。俺、すっごく恥ずかしいんだが」
「ダメです♪約束ですから」
 私が、賭けに勝ってお願いしたことは。
「それに、普通逆じゃねえのか?膝枕って………」
「あら、どなたがそんな事を決めたんですか?秋香菜さんも沙羅さんもよくしてもらっているそうですよ」
「確かに俺もたまに…いてっ!つねるな。痛いだろうが!!!」
 はい、公園のベンチで膝枕です。ただし、私が倉成さんにしてもらうほう。ああ、確かに柔らかくて気持ちいいです。それにこんな視点から見上げる倉成さんの顔は、すごく新鮮でした。
 周囲の視線を気にして、倉成さんは真っ赤になってらっしゃいましたけど。言葉とは裏腹に、倉成さんの表情そのものは笑顔でした。


 ブティック。

「って、船内にこんなものまであるのか?しかも24時間営業で」
「はい。何しろ船内には2,000人近くが住んでらっしゃいますし、そのうち4割近くが女性の方ですから。当然、このようなお店も必要になりますので。それにクルーは基本的に3直交代制ですから、常に開店しておく必要があるのです」
「で、なんで空が?」
「あーっ!酷いです倉成先生!!!私だって『女性型』なんですから、ファッションだって気をつかいますっ!…私、すごく傷つきました」
 よよよとその場にくずおれてみました。
「って、おい、空………」
 倉成さん、慌ててます。周囲の目が私達に集まっていますから。
「という訳で、罰ゲームです。私の買い物に付き合ってください」
 思い切り悪戯っぽく見えるように笑ってみます。
「勝手に決めるな!だいたい何をしろって………」
「もちろん、私に似合う服を見繕ってもらうんですよ。『ショッピングはデートの基本』だそうですから」
「誰がそんなこと言った?」
「もちろん優さんです。『好きな女性に服を買うのは男の甲斐性だ』とも仰ってましたけど」
「………桑古木もとんでもない女に惚れられたもんだなあ」
「はいはい、韜晦しても無駄ですから、倉成先生♪。それじゃ、張り切って選んでくださいね」
 こうして、何着かの服を選んで貰ってオーダーして作ってもらうことにしました。流石に御代は私が払う事にしましたけど。ただ、
「流石に全部という訳にはいかないけどな」
 と仰って、一着だけは倉成さんがプレゼントしてくれました。涙が出るほど嬉しかったんですけど…でも、なんでチャイナ服なんですか?しかも茜色の。


 中央観測ドーム兼展望室。

「全然、星の見え方が違うんだな………」
「はい。まだこの程度の位置や速力では星座は殆ど変わりませんけど。太陽と月と惑星が見えなくなっただけで結構変わるんです。
 今後予定通りの0.2C(光速)まで加速すれば、ドップラー効果も含めてかなり特殊な見え方をする事になると思います」
 倉成さんに寄り添って、満天の星空…語弊はありますけど…を見上げます。確かに空気はありませんけど。これもまた、私にとっては空でした。
 時間が経つのも忘れて。私と倉成さんはただひたすら、全天の星々を眺め続けました。





 そして、別れの時がやってきます。




 楽しい『デート』の時間ももうすぐ終わり…夫婦はおろか恋人ですらない私達のデートは、帰宅の挨拶を告げることで終わってしまいますから。その先の続きは、もうありません。
 私と倉成さんが居る部屋は、RTS室の隣のレストルーム。まもなく、倉成さんは私が管制するRFTL-TSを使ってこの『ノア』を去っていきます。

 私にとってのラストチャンス。さよならの挨拶の代わりに愛の告白をして。そして肯定されようとも否定されようとも、私は『告白できた』という想い出と共にノアの中で生き続ける事になるでしょう。
 もう、ジェネレーターやバイオトランスファーシステムが熱暴走することもありません。あのデートで十分『恋人』は堪能できましたから。
 たとえ、空にしか浮かばない蜃気楼であったとしても。それでも、私にとっては真実です。なにしろ私は『空』ですから。


 だから、私は告げます。私の想いの全てを、倉成さんに。


「あの、倉成さん…」
 私が全てを籠めて伝えようとした言葉は。


「空。俺、空に話さないといけない事があるんだ」
 倉成さんの言葉に、止められてしまいました。


「私に話、ですか?」
 落胆と共に、私は倉成さんの言葉に相槌を打ちます。
「ああ。あのな、俺、今度田中研究所の所長代理に昇進する事になったんだ」
「おめでとうございます、倉成さん」
「有難う、空」
 確かにめでたい事ですけど。倉成さんの17年の努力が認められたわけですから。ですけれど今の私にはもう、何も関係はない事です。
「お話は、それだけですか」
 とにかく私は話の主導権を取り戻したくて、話を切ろうとして。
「いや。話は終わりじゃない」
 倉成さんの、真剣な眼差しに射すくめられました。そんな私に、倉成さんは口元だけで笑いを作ります。そして…その唇が、動きました。




               「空。戻ってきて俺の相棒になってくれないか?」




 全ての思考回路が停止しました。ほんの僅かな瞬間ですが、これは事実です。




                   「倉成さん、今、なんと仰いました?」


 

 声が震えて、不明瞭になります。機械の私ではありえないはずなのに。でも…これは事実です。


「いや、今度俺に補佐官を付けてくれる事になったんだけど。それで適任者を指名してくれって言われて…いくら考えても考えても、空しか思い浮かばなかったんだ。
 昔、空が優の隣で優を助けてくれていたように。今度は俺の隣で、俺を助けてくれないか?」



                       帰りたいけど、帰れない場所。
  
                       戻りたいけど、戻れない場所。

                  そして、居たいけど、居る事が許されない場所。


          つい、さっきまでは、そんな場所でした。ですけれど、今は………今はっ!!!


                    帰りたい場所に、帰ってもよくなりました。

                    戻りたい場所に、戻ってもよくなりました。

                        そして、そして…何よりも


              私が一番居たかった場所に、私は居る事を望んでもらえました。



「私…私…倉成さんの、隣に居ても………居ても………いいんですよね!これって、夢じゃないんですよね!!!」
「ああ、こっちからお願いしたいんだ。空…頼む」


                    「喜んで………お引き受けします!!!






                 私、私、倉成さんの事、大好きですっ!!!!!!!!」





 34年間の日々の末の告白と共に、私は倉成さんに抱きついて………そのまま全システムが熱量限界を超えて緊急停止した結果、気を失いました。




                  これが、「ぴぐまりおんの、きせき」だったんですね。




 最後に、この思考をメモリに焼付けて。








 2051年8月16日(火)午前11時17分(GIT) 恒星間亜光速探査船ノア 第1RFTL-TSシステムルーム





「国際ノアプロジェクト遂行機構、恒星間亜光速探査船ノア所属、空システム一号機、茜ヶ崎空。
 本辞令の到達時刻を以って、特定社団法人 田中研究所よりの出向契約を解除する」

 『ノア』の艦長。私の今の上司が私にデータカードを手渡されました。それを手でスキャンして………

「退職辞令、確かに受領いたしました」

 私は頷いて敬礼し、艦長は答礼を返して私の前から下がられました。

 続いて。

「特定社団法人 田中研究所所属、無任所、空システム一号機、茜ヶ崎空。
 本辞令の到達時刻を以って、本研究所副所長代理兼事務局長倉成武付主席補佐官及び本研究所付属RFTL-TSの管制業務担当に任ずる。
 なお倉成武は現在次期所長代理へ内定しているが、倉成武に正式な所長代理の辞令が下り次第、茜ヶ崎空を所長代理付首席補佐官の任に補することとする」

 倉成さんが、私にデータカードを手渡されました。先ほどと同じようにそれを手でスキャンして。

「着任辞令、確かに受領したしました。今後とも、末永く宜しくお願いいたします、倉成さん」
「ああ、こちらこそ宜しく頼むぜ、空。頼りにしているからな」

 倉成さんが差し出した手を、私は両手で包み込みました。



「倉成様、空お姉さま。RTS及びSGLSリンケージ完了。田中研究所への転送準備完了です。転送領域へどうぞ」
 海尋の声に従って、私は倉成さんと一緒にRTSの転送領域へ進みます。

 この船に来たときは、一人。
 そして今、この船を降りるときは二人。迎えに来た、最愛の人と二人。


「それでは、転送を行います。………さようなら、空お姉さま。末永く、お幸せに!」



 美凪の声を最後にして………私は倉成さんと共に、懐かしきあの場所へと舞い降りました。











『…そして天空を駆ける天女は最愛の人の元に帰る為、最後に自ら天の羽衣を脱ぎ捨てて天から降っていきましたとさ。おしまい』



                                ― EP4 宇宙駆ける空、天降る天女 End ―
後    書


………めちゃくちゃ甘々なTSLL(武空ラブラブ)エンドになってしまいました。思わず真・空エンドって言ってしまいそう。


 結局、つぐみと武の関係を壊すことなく空にとってのハッピーエンドを考えた場合、空の居場所はこの一箇所しか思いつきませんでした。『仕事上のパートナー』という位置しか。
 久遠が一日で手に入れた場所に辿り着くのに34年間かかりましたけど。やっぱり『妹に勝てる姉など存在せぬわ』なんでしょうか?
 このSSにおけるつぐみは完全な主婦であり、仕事には一切といっていいほどタッチしてきません。故に空が『仕事上のパートナー』に自身を限定する限り共存関係を保つ事が可能じゃないかなあと。


 くるみは…おもいっきり遊ばせて貰いました。『サマータイムデイドリームス』を書いた時点で、こんなお話に決定しておりました。お子様モードと大人の英知と前向きな態度を併せ持つ「すーぱーくるみん」を受け入れて下さったらありがたいです。


 しっかし、初めてのような気が。こんなベタ甘なSS書いたの。とにかく作中では不遇な空だけに、最後だけは思いっきりいい目にあってもらいました。


 次回は、優と桑古木と久遠のエピローグになる予定。何気に出番多くないか?久遠。


 2006年8月14日 初稿  あんくん

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