「お早うございます、優お義母さん」
「おっはよー、お母さん」
 田中研究所の所長室に、元気な挨拶が響く。
「はいはい、二人ともお早う。……何度も言っているけどホクト、その『義母さん』は止めてくれないかしら?」
 娘夫婦の挨拶に、この部屋の主である田中優美清春香菜が少々憮然とした表情で応じる。更に言い募ろうとした彼女であったが。
「またまたー、優さん照れちゃって」
「沙羅、優さんに失礼だよ。幾ら事実だとはいっても」
 絶妙のタイミングで、部屋のソファーから飛んでくる声。
「あ・ん・た・た・ち・ねえ!」
 きっと眉根を寄せて睨み据えた先で、石原彼方と倉成沙羅は意地悪い笑みを浮かべている。頬を盛大に引きつらせている優の姿に。
「全く大人気ないぞ優。じゃれあう為にデフコン上げてる訳じゃ無いんだから、とっとと要件をすませろや」
 最後は桑古木。さすがに優の扱いに慣れているだけあって、あっさりとその場を収めて見せたのだった。



未来へと続く夢の道−外伝2 レムリア仮説 −
                              あんくん



 全員で応接卓を囲んで車座になった状態。部屋はしんとして、エアコンディショナーの音が響くのみ。
「それじゃ、始めるよ。この話は、ここの皆にしかできない。お願いだから、できれば武さんとつぐみさんには黙っていて欲しい」
 見るもの全てを刺し通すような峻烈な光を瞳に宿す彼方の姿に、居合わせた全員は黙った首を縦に振る。

「まず、結論から言う事にする。
 キュレイは、先祖還り。そして今、人類に必要だからその封印が解かれた。
 そして、それを望んだのは他ならぬ『人類の意思』……アラヤの意思だと思う」

 突如として放たれた、言葉の矢。
 ある程度想定はしていたとはいえ、実際に言葉となって示されるとその重みはずしりと肩にのしかかる。

「……説明、してくれるよね?」
 一同を代表する形で口を開いたホクトに、彼方は軽く首肯して返事とする。
「うん。ちょっと遠回りになるけど、それは勘弁して欲しい」


 そう言って、彼方は自身が通った思考の道程を語り始めた。


「まず、量子論の根本だけど。難しい話を省略するとこうなるんだ。
『現在と未来は確率でのみ存在している』事と『過去は収束している』という二点だけ
 そして、『確率』とは過去の解析から導き出されたもの。収束した過去の統計だね」
 可能な限り易しくなる様に、言葉を選びながら。そうやって彼方は話を切り出す。
「確かに、そう大学で習ったよ。『シュレディンガーの猫』は、元来『人間の観測による確率収束』に対する反論として生まれたんだよね」
「うん」
 ホクトの問いに、彼方は頷く。
「で、それと最初の結論とどう関係するの?」
「ユウ、慌てすぎだよ」
 こちらはずばりと思ったままを口にするユウを、ホクトが慌ててたしなめるが、
「うん。秋香菜義姉さんの疑問ももっともだね。
 僕がこの話をした理由はね。『SGLS』や『RTS』は上位次元の介入による『確率制御』を利用した技術で、かつてキュレイだった僕らの御先祖さまが使用していたオーパーツの一つだという事を説明したかったんだ」

 ごくり。

 思わず息を飲む音が、静かな部屋に響く。

「…彼方、続けなさい」
「はい」
 優の言葉に、素直に彼方は答えて。一度深呼吸してから再び話を続ける。
「量子テレポーテーションとは、対になる『双子の量子』の片方に変化を与えると、もう一方にも自動的に伝わる事を利用する技術。自然界に存在する量子の対になる双子の場所は確率によって決まるから、どうやってもそのままでは使い物にならない。
 だからいかに『双子の量子』を人工的に作り出し、一定の場所に一定状態で閉じ込めるかに腐心してきたのが昔の研究だったんだ」
「でもね、お兄ちゃん。もしこの世界では絶対のルールである『確率』を自由自在に操れるとしたら……どうなると思う?」
 彼方の説明に割り込むような形で、沙羅が兄に問いかける。
 部屋から、音がまた消える。

「……量子発生装置なんて要らなくなるね。相手の空間に存在する量子は全部『都合よく』こちらの空間に存在する量子と双子になるから」
 沈黙の末に、ホクトが結論を口にした。

「そう。でももう一つだけ難問があるんだ」
 ホクトの答えに満足したのか、彼方は僅かに表情を和らげる。が、一瞬で元の表情に戻ると再度口を開いた。
「『量子』の持つ情報は『波』と『粒子』の二つの側面があって……どちらか一方しか知る事が叶わない。だから、受け手側は常に『送り手と同じ側面』を観測しないと伝えられた情報を受け取る事ができないんだ。
 結局、『どっちの側面を観測するか』という情報を別の手段で送らないといけなくなる。だから、量子テレポーテーションは光速を越える事は叶わない」
 一気に言い終えて、テーブルの上に置かれた水を一口飲む。
「『SGLSがなければ』、でしょ?SGLS…ソウルジェミニ・リンケージシステムって言葉そのものが欺瞞の為だったって訳ね。いづみさんもやってくれるなあ」
 そのタイミングを見計らったように、優が横から言葉を挟んだ。
「正解。優さん、相変わらず鋭いなあ。
 実はね、『魂の双子』は一種の目印みたいなもの。SGLSを使っても、実際には情報は全くリンクしてないんだ。
 SGLSがRTSのFTL……量子通信領域に接続した後、受け手側はFTL領域に存在する量子の状態を『とりあえず手当たり次第にランダムに』観測してそれを情報に置き換える。すると『偶然にも』観測した量子と側面が送り手が意図したものとことごとく一致して、結果的に送り手が送った情報がそのまま伝わるんだ。逆もまた然りで結果的にリアルタイムで情報交換が出来るって事になる。
 確率を制御する事によってありえない偶然を生み出し、『結果として』情報を瞬時に伝達したのと同じ状態にするのがR-FTLの正体なんだ。
 はっきり言って反則技だよね、これ」

 彼方がため息を吐いてから周囲を見渡す。
 全員あっけにとられた表情。それはそうだろう。彼方が披露したのは余りに無茶苦茶な論理。

「とりあえず、先を続けるよ。いろんな疑問とか反論とかはあると思うけど……全部話してからにして欲しいんだ」
 問いかけに全員が頷いた事を確認して、彼方は再び話に戻る。

「さて、RTS……量子テレポーテーション。これもまた、一種の欺瞞なんだ。R-FTLは結果的にだけど量子テレポーテーションを実現しているから、ウソを吐いているわけじゃないけど。
 でも本当のRTSの仕組みを隠すために、ことさらこの用語を強調している。いづみさんはこっそりそう教えてくれたんだ」
「……本当にあの人は、狸ね」
 呆れ果てた表情で優は嘆息し、同感という風情で他の皆も首肯する。
「で、説明なんだけど。これを見てくれないかな?」
 彼方は、足元の大きなバックからなにやら取り出すと、手馴れた手つきで机の上に並べていく。
「……チェス盤か?なんでまた」
 桑古木が意外そうな表情で、テーブルの上の二枚のチェス盤ときちんとならべられた駒を眺める。
 一つの盤の駒はプラスチック製で、もう一つの盤の駒は木製。

「まず、SGLSとRTSの方から。要はこういう事なんだ」
 彼方が沙羅に目配せする。
 沙羅は頷いて、プラスチック製の右端の黒のボーンの駒を摘み上げ、同時に彼方は、木製の右端の黒のボーンの駒を摘み上げる。
 そして二人はお互いの駒を相手の開いた手に握らせる形で交換して、自分の前の盤にその駒を載せる。
 結果として……綺麗に一列に並んだ黒のボーンの内、右端だけが別の材質の駒となったうえで一つ前のマスに置かれていた。
「別の盤から駒を持ってきている時点で既にチェスのルールそのものからは外れているでしょ?
 でもこの盤の中の駒にはそんな事判らないし、ルール違反だって事は夢にも想像できないよね?どっちもボーンだから役割は一緒だし、ルールも表面上は守られてるじゃない?何しろ見た目は『右端の黒のボーンが一つ前に進んだだけ』でしかないんだもん」
 沙羅が、チェス盤のヘリを指でなぞりながら説明を引き継ぐ。
「この例だとさっきボーンがあった位置と今ボーンがある位置にSGLS付きのRTS端末があって、RTSの行う作業を沙羅と彼方がした事になるかな。
 RTSの転送作業は、実際はこんな感じでされているって事だよね」
 ゆっくりと顔を上げて、くすりと笑ってみせる沙羅。だが、その表情はどう見ても苦笑としか思えない。

「次に、確率制御。不可能を可能にする事ってのはこういう事だよ」
 いきなり彼方は自分の前の盤の真ん中の黒のボーンを掴んで、白のキングのまん前に置いた。
「確率っていうのはね、ルールなんだ。その世界では絶対の、ね。チェスの駒は、チェス盤の中ではチェスのルールに従ってしか動けない。
 でも僕はチェス盤の中の存在ではないし、チェスのルールを守るつもりも無い。だからこうやってルールを破っていきなりありえない場所へ駒を運ぶ事ができる」
 そのまま彼方は足の上で手を組んで、じっとチェス盤を見つめる。
「そして、チェスの盤のなかの世界ではこれはありえないこと。確率という絶対ルールから外れた結果なんだ。自陣にあるボーンがいきなり敵陣奥のキングの前に現れるなんて、あるはずの無い現象。
 でもチェス盤の外にいてかつチェス盤を見る事ができる僕なら、こんな事は何の苦労も無く実現できる。
 これが確率制御。ありえざる偶然を現実にしてしまう魔法の正体なんだ」

 完全に、音が消える。部屋を沈黙だけが支配した、一瞬にして無限の時間が過ぎ去って。

「……で、俺たちにこれを信じろと。彼方はそう言いたいのか?」
 桑古木が、辛うじて声を絞り出した。
「他の誰も信じられなくても、ここのみんなだけは信じられると思うんだけどね。
 だって、『自分たちより一次元上の存在』に会った事がある人たちだから」
「…………」
 沈黙ではなく、絶句。言葉を発しないのではなく、言葉を発したくても発せられない状態。
 全員の瞳に驚愕と納得という相反する感情が揺れ動く。


「ブリック・ウィンケル」


 ぽつりと、優が洩らした言葉。それが呪縛を解く呪文となった。

「うん。ブリックウィンケル召還の方法論は置いておいて、結果的にブリックウィンケルが自分の存在の意味に気づいたのはね……」
 そして、彼方と沙羅は盤面を一番最初……勝負開始時点の、整然と駒が並べられた状態に戻してから、お互い交互に――最初が彼方、次が沙羅――全く同じように駒を動かして……同じ局面を双方の盤面に作り出していく。
「こうやって、盤の外の存在であるBWを騙した。全く同じ勝負を見ているかのように錯覚させたんだ。そして……うん、この状態かな」
 全く同じ状態の盤面が二つ。俗に言う『チェック』(詰めろ)状態。次に手を打たないと黒のキングが取られる状態。
「詰み寸前ね。どう駒を動かしても、次の白の手が受からずに『チェックメイト』になる」
 優が冷静な声で現状分析した。彼方も首肯してその分析を肯定する。
 チェックメイトはチェスでは事実上負けを意味する。現状は王手(メイト)ではないからチェックメイトではなかったが、事実上この時点で黒の負けが確定している。

「優さんがBWに事実を教えた時点で、元来一面しかなかったチェス盤が二面に増えた。……厳密に言えば、『本来二面だったものを一面と思い込んでいた』事にBWが気付いたって事。
 そして何よりも、BWが『自分がチェス盤の外の存在で、チェス盤のルールを無視して駒を動かせる』事に気付いたのが重要だった」
 かちん。彼方は、黒のキングの傍にあってチェックをかけていた元凶である白のビショップを外し、その場所に盤からもともと外されていた黒のナイトを置いた。
「僕の前の盤が『2017年』。BWが武さんを救って、結果的に武さんが蘇った状態がこれだね。
 ただ、最初にブリックウィンケルがしてしまったのは……」
 かちん。今度は先ほどの黒のナイトを、本来その駒が動けるはずのない場所にある『白のキング』の場所に置いて、白のキングを盤から退場させてしまった。
「こういう事。つまり、2017年の盤の段階で勝利させてしまったんだ」
 そして、視線を沙羅に投げる。それに頷いて、今度は沙羅が口を開く。

「でも、沙羅の前の盤『2034年』の状態はね……2017年の結果をそのまま引き継ぐんだよ。そして、このチェスは一回勝負。一回勝ったら、次は存在しないから。だって勝負する理由なくなっちゃうじゃない?
 だから2017年で勝っちゃうと、2034年の勝負そのものがなくなってしまうの。そうすると」
 言葉を切り、周囲を見渡す。
「盤が1面になってしまうから、BWが召還されるための条件も真実に気付く条件も消えてしまうって事なんだね、沙羅?」
 ホクトが、沙羅の意図に気付いて答えを返した。
「お兄ちゃんは実際体験してるんだもんね。だから分かるよね、これが『時間背理』だってこと。
 原因が結果を生み、結果が原因を消滅させる。原因を失った結果が消滅し、また原因が生まれて……出口の無い永遠ループになってしまうの」
 ため息をつきながら微笑むという実に器用な表情を作る沙羅。
「沙羅の言う通り。だから……二回目はこうしたんだ」

 元の状態に戻して、彼方は先ほど同様に白のビショップを盤外の黒のナイトでどけた。沙羅が無言で同じ動作をする。
「今度はこう。ちなみに次は黒番だね……だって盤上の手そのものは、白がビショップでチェックをかけたのが最後だから」
 二本ある黒のビショップを勝手に動かして……白のキングにチェックがかかった状態にする。メイトはかかっていないが、なにをどうしても『チェスのルールに従う限り』次は必ずチェックメイトがかかる状態になった。
 沙羅は同じ動作を繰り返した後……今度は黒のビショップを斜めに移動させてチェックメイトをかけた。このビショップだけはルールどおりの動きだ。
「これで勝負あり。黒のキングがパパで、黒のビショップが優さんと空で、黒のナイトがBWの力を借りたお兄ちゃん。そして白のキングが……ライプリヒかな。二回目の勝負の場合」
 今度の沙羅は満面の笑みを浮かべていた。
 
「そして、BWが『たまたま2017年と2034年のLemuに来た』理由だけど。
 多分、ココだと思う。優さんや桑古木さんや空さんが条件を整えた後、ココに呼ばれてBWが召還されたんじゃないかな。この場合、ココが『SGLS』と同じ役割だったんだろうね……だからBWはココにだけ見えたんだよ」
 最後に彼方が付け足して、あの『Lemu事件』の解説が終わった。
「……ふむ。納得できる答えだが。挙句にさらっと重要な要素まで混ぜてくれたな彼方?
 全く以って天才ってヤツにはかなわんぞ」
 呆れ果てた表情を作る桑古木。
「桑古木さんこそ。年の功とか苦労の経験って凄いよね。こっそり隠して話してたのにやっぱり気付いたんだ」
 ココの件を話したときの彼の一瞬の憂い顔は見なかった事にして、彼方はにこやかな笑みで応じる。

「そう。さっきの盤の動きの中で僕は3回、ルールを破ってるんだ。
 白のビショップを盤外の黒のナイトで取ったとき……BWとホクト義兄さんが武さんを復活させたとき。
 最初に黒のビショップを移動させたとき……ピピが空のテラバイトディスクを優さんに届けたとき。
 次に黒のビショップを移動させたとき……BWが優さんに計画を要請したとき。

 そして、説明したよね。ルール破りは『確率制御の結果』だって。
 さて、この三つの確率制御を行った張本人は、だれなの?この確率制御を願ったのは、だれなの?」

 何度も途切れた話。だが今回の沈黙の重さは、それまでを段違いに上回っていた。



「ルールを破ったのは、ブリックウィンケルの意思だけど……破らせたのは私達。
 私達の願いを叶える為に、BWがルールを曲げた」
 あの豪胆な優ですら、かすれる声で呟く事しか出来なかったのだ。

「そう。ルールを破らせたのは、他ならぬみんなだ。
 そしてこれがもう一つの大きなルール、『ルールを破るためのルール』なんだと僕は思っている」
 そんな彼女に対して、こちらは表情一つ変えもせずに彼方が畳み掛ける。
「……『ルール破りは、そのルールに縛られている相手の要請に応じてしか出来ない』って事?」
「正解だね、ホクト義兄さん。ついでに言えば、『ルール破りは必ず上位次元の存在が関与する』とも言えると思うよ。いくら願ったとしても、上位次元の存在が動いてくれない限りは絶対に『奇蹟』は起こりえないんじゃないかな」
 意外な人間の出した答えを肯定した上で、更に彼方は付け加える。
「ただ、この場合。説明できない事がいくつかあるんだ」

 たった一言。この一言が、まとまりかけた話を一瞬にして白紙に戻す。

「まず、全ての発端……くるみ叔母さんの時空転移。初めてRTSが作動し、時を越えた事件。
 あくまでRTSは、ルール破りを要請するための上位次元への情報接続端末に過ぎないから。だから、様々なバリエーションが存在できると考えてるんだ。
 あの神社は、そのバリエーションの一つだと思ってるんだよ。僕達の知らない原理のRTSが作動したと。
 でも、なぜくるみ叔母さんがあのような手段で生き残らなければならなかったのか。これは先ほどの説明では証明できない。茂蔵おじいちゃんの願いならば、3年ものブランクを置く必要が無いよね?」
「確かに、そうよね」
 彼方の言葉に、ユウが頷く。
「はい。次にキュレイシンドローム。
 トムさんの願いは、『ジュリアを救う事』。あんな『奇蹟の伝染』なんて非常識な確率操作を行う必要なんてどこにも無かった。でも……結果的に世界を曲げてしまうほど大規模な確率操作によって『キュレイ』がこの世界に登場してしまったんだ。
 父さん達の『永遠の7日間』なんて極めつけ。みんなあんな無限ループなんて望んでなかったのに……望まれぬ無限ループの末に第三のキュレイシンドロームが生まれた」
「…………」
 最早、誰も口すら挟まない。
「こう考えた場合、個人だけの願いだけで確率制御が行われるという考え方自体、無理があるんだ。
 だからこそ、第三の条件が発生する」

「『確率制御が行われるのは、人類全体にとって必要だから』でしょ」
 突然割り込む声。

 全員、弾かれた様に声の主……優を振り向く。

「今になってみれば、イヤでも分かるわ。
 上位次元の存在とやらは個々の願いに便乗して確率制御を実行し、この世界全体をコントロールしながら良い方向へ人類を持っていこうとしている。
 もう地球環境は、今の人類を支えきれない。だから人類が存続する手段は、壮絶な殺し合いに伴う人口の減少か……宇宙殖民しか残っていなかった。
 でも宇宙殖民にかかる困難は果てしなく多く、残された時間は僅かしかない。だから」
「うん。だから封印を解いた。
 かつて人類は、宇宙に上るべく獲得した特性と知識と手段を愛する星に残るために封印した。でも今、その特性が人類が存続するために必要になったから……人類の大部分が絶望的な現実を知ってなお生き残りたいと願ったから……ブリックウィンケルの同族達は、キュレイシンドロームとキュレイウィルスという手段で人類の封印を解き、『RTSによる即時転移』と『重力波制御技術』というオーパーツをキュレイに与えて宇宙への進出を後押ししたんだ」
 優の言葉を、そのまま彼方が引き継ぐ。

「そして、そんな平行世界が幾つもある。そんな世界の間をRTSが繋いで、今の状態が成り立っている。そう言いたい訳だな」
「うん。『同一の平行世界』って考え方は基本的には無いみたいだけどね。元々が、収束が別だった場合が存在するって事からパラレルワールドの理論は生まれたわけだから。
 でも、考えてみて?地球から遙か遠く離れた星での歴史だけが違った並行世界の場合、地球には何の影響も無い。そんなパラレルワールドは事実上……」
「人類にとっちゃ『同一世界』だな。なるほど、そういう平行世界を選んでRTSは転移を行っているわけか。良く出来てる」
 今度は桑古木との対談に変わった。質問をしているというより、彼方の説明を分かり易くするために助け舟をだしているという印象がする内容。
 すこし空気が緩みかけた、そんな中で。


「でも、肝心の結論はどうなるのよ?キュレイの先祖還りとかもだけど……つぐみや武には話さないで、私達に話す理由なんてどこにも無いじゃない!」
 突然に……いや、ついにユウが切れた。
「私もホクトも一介の市井の考古学者。人類の未来だの、確率制御だの、そんな話どうでもいいの!
 そんな難しい話を聞かされて、挙句に秘密厳守なんて押し付けられるのはまっぴらゴメンよ」
 憤怒に顔を赤らめて、やおら席を立とうとする。

「ユウ。それは違うよ」
 静かな声。手首に伝わる強い手の感触。
「ホクト……どうして……」
 ユウは、自分の手首を掴んで自分を引き止める夫の姿を見て……完全に動きを止めた。

「ねえ、優さん。ずっと前、お父さんたちと聞いたキュレイウィルスの詳細の事なんだけど。
 もしかして、ユウに話してないんじゃない?」
 意外な問いかけがホクトから発せられる。
「……そう言えばそうね」
「……おい?優、おまえ『そう言えばそうね』は無いだろうが」
 こめかみをかきながら誤魔化しの照れ笑いを浮かべる優と、こちらはこめかみに青筋を立てる桑古木のやりとり。
「はあ。しょうがねえ。確かにこの話をユウにしなかったのは俺達のミスだな。
 なあ、彼方。話の腰を折るようで悪いが、今ここで話しても良いか?」
「当然。灯台下暗しって所だね。そりゃあ、この事知らないと何を言いたいか分からないよ」
「???」
 目を丸くして疑問符を乱舞させているユウに対して、桑古木はゆっくりと説明を始めた。

「Cvp17……スイッチが切り替わったように完全に変わる代謝系?何よそれ、メチャクチャじゃない」
 話を聞き終わったユウの状態は、あまり変わっていなかった。
「ええ、メチャクチャよ。でも、たった二つの遺伝子が変わっただけでDNAが作り出すRNAが全く変わってしまうのは事実よ、ユウ。
 だからこそ……キュレイは先祖がえりとしか考えられない。Cp1700の作用によって、封印されたもう一つの遺伝情報体系が目覚めたとしか考えられないのよ」
 母親の言葉に、ユウは虚ろな視線を返す。
「で。それと考古学とどう関係があるの?」
 言葉からも、いつもの勢いが失われていた。

「それじゃ、こう考えてみてくれないかな。
 『キュレイとはレムリア人で、少なくともサピエンスの一部は能力を封印したレムリア人の直系か混血だ』としたらどう思う、ユウ?」
「え……」
 横のホクトからかけられた声。その内容に今度こそ、ユウは目を剥いた。
「何よそれ……信じろといわれても……」
 言葉には震えが混じっているが。だがその表情は、確かにそれまでの力ないそれとは異なっていた。

「元々のレムリア大陸の学説は『生態系の類似性』を説明するために生まれた仮説で、大陸移動説の登場によって根拠となる類似性が説明されたせいで消えたものだけど。
 でもね。もしレムリア人が宇宙を駆けることの出来る存在だったとしたら、別の考え方が出来るんだ」
「別の考え方?」
 ユウの瞳に完全に光が戻った。彼方の『レムリア』という単語に反応し、興味津々という感じで身を乗り出す。
「簡単な話だよ。レムリア大陸が『元々の陸地』だと考えなければいいんだ。
 今のLemuを考えてみて欲しい。……インゼルヌル諸島。あれは一体何で出来てるかな?」
 彼方の言葉に文字通りはっとして、ユウの体が弾かれた様に横に居る自身の夫に向き直る。その視線の先のホクトもまた、らんらんと目を光らせている。
「もしかして……レムリア大陸って、メガフロート?」
 震える口調で、おそるおそるユウは彼方に問いかける。
「恐らく。メガフロート、それも直接宇宙に飛び立てるようなレベルの存在だと僕は考えているけど。
 周辺に与える影響とか考える限り、そのような浮島の集合体を置くとすれば比較的気温が安定していて周辺に大陸がない場所、つまり太平洋中央部と考えるのが妥当じゃないかな?
 そして昔のレムリア人もまた、『確率制御』で強制的に突然変異を起こされた存在じゃないかと僕は思ってるんだ。だって、あまりにも『都合が良すぎる』から。
 彼らの大部分はそのまま宇宙へと去っていき、結局レムリア大陸そのものは宇宙船と去ることとなって地球上から消滅した。
 そして、この地球を愛しこの地に残る事を願った少数のレムリア人は自らの知識とキュレイとしての寿命を封印し、自分たちが存在した痕跡を消して回り……その時期に存在したサピエンス種と同等の存在として各地に散っていった。
 もともとレムリア人そのものがサピエンス種から枝分かれした亜種だった筈だし、殆ど外見も遺伝情報も大差なかったはずだ。だから彼らの大部分はサピエンス種と混血したんじゃないかと思ってる」
 彼方の言葉が続くたびに、ユウとホクトの目はらんらんと輝き、表情は高潮していく。
「そして、その時期のサピエンス種そのものの人口もまた……少なかったのね?」
 もはや興味を押さえる風も無く、浮き上がるような口調で尋ねるユウの言葉。
「多分。その時期の人類構成は大部分がレムリア人で、そのほぼ全部がレムリア大陸に集中していたはずだ。
 残ったのはレムリア人の少数と言っても、古サピエンス種に比べれば十分多かったはず。だから結果的に、今のサピエンスの大部分にレムリア人……古キュレイ種の血が混じっているとみて間違いないと思う。第一そんな何十万年も前の話でもないと思うけどね。せいぜい数万年のオーダーだと思うよ、古かったとしても」
 彼方もにこにことしながら自説を展開していく。完全に二人の熱気に皆が気圧されていた。

「なるほど。そう考えれば幾つもの線が一つにつながるか。RTSに起因する遺伝子異常も、一種の防御機構だな」
「そうだと思うよ、桑古木さん。資格を持たない人間がRTSを使えないように、Cp1700を持たない人間を排除するための防御システムがRTSには備わっているんだと思う。僕たちが使っているRTS端末は、多分レムリア人が使っていたものとだいたい一緒の筈だから。
 ついでに言えば、秘密裏にこのRTSの技術を残していた人々も居た筈だ。杜紀司神社や司紀杜神社もその類だと思う」

「キュレイウィルスの特性も、似たようなものね。今だからこそ『血液感染』という手段は一番コントロールが容易だわ。最初は日和見感染防止のための防御メカニズムだと思っていたけど」
「うん。輸血技術や血液検査技術・血液保存技術・血液成分分離精製技術といったものが発達した今だからこそ、血液感染という手段は極めて有効なんだ。感染拡大にも、感染抑制にも。
 キュレイを人為的に広めるにも容易、事故によるキュレイ化の防止もまた容易。ウィルス自体は遺伝しないから、役目を終えれば自然とキュレイウィルスは絶滅する。だから後始末も容易だね」

「……もしかして、キュレイシンドロームが起きたのは?」
「選ばれたんだよ、多分。苦難の道を歩んで人類を未来に導くに足る人材に対して、『奇蹟を起こせる能力』という報酬を先払いして願いを叶える代わりに人類のために働くという義務を負わせたんだと思う。
 今の現状を見れば分かるんじゃないかな?結局キュレイシンドロームやキュレイ化で救われた人々が先頭に立って『ノアプロジェクト』を推進し、人類を宇宙へと導こうとしている。
 あるいはキュレイとサピエンスの橋渡しをしたり、キュレイとサピエンスの混血問題を解決したり……そうやって人類の発展や、キュレイとサピエンスとの融和に何らかの形で関わっているんだ」

「でも、それじゃ、ホクトやマヨが救われたのはどう説明するの?」
「うん。多分ね、『奇蹟を起こすキュレイシンドローム』の発現条件そのものを、各ゼロキュレイにアプリケーションのような感じで与えてたんだと思う」
「アプリケーション?」
「うん。今の所、キュレイシンドロームの発現には『救おうとするゼロ・キュレイ』『救われたいと願う存在』『救われてほしいと願う存在』『救われる者は人類やキュレイに害を為さない』の四つは必須で、更に『死に瀕する』ってのも父さん限定での条件として追加されるみたいなんだ。これは自動起動プログラムみたいなものらしいね。
 ジュリアさんも、トムさんより更に条件が限定されたゼロ・キュレイなんじゃないかって僕は思ってるけど。真実は分からない。
 もっとも、生半可な状況下では発動はしないみたいだけど。自動起動故に、条件がかっちり合わないと発現しないみたいだ。融通が効かないんだよね」
「でも、『第三視点・偽』と、ホクトや沙羅のキュレイシンドロームは少し違うよね?」
「うーん。そこいらはまだ確実な仮説は立ってないんだけど。でも、つぐみさんの例も考えたら、必要条件を満たした後のキュレイシンドロームってある程度なら形式を変えられるんじゃないかと思う。
 今結論を出すのは早すぎる気がする」
 
「……彼方。それって、誠さんや遙さん、可哀相じゃない?二人とも、キュレイを治療するのがキュレイを救う道と信じて、ずっと研究しているんだよ?キュレイがキュレイであるのは必然だなんて、結論としては残酷すぎるよ、それは」
「どうして?昔、レムリア人の中に地球を愛し、寿命を捨ててでも残りたいと願った人たちが居たから今の僕たちがあるんじゃないかな?
 だから、キュレイをサピエンスに戻す方法ってとても重要なんだ。……父さんや母さんは間違ってなんかいない。それに、父さんがこの研究を続けてくれたお陰で、僕達は救われたんだ。
 僕がキュレイだったから……父さんがゼロ・キュレイだって知ってたから。沙羅の真実を知って頼るものが何もなくなった時に、たった一つの可能性として、僕は父さんに全てを賭けて願う事が出来たんだ。
 沙羅。お願いだから二度とそんな事は言わないでくれるかな。次は間違いなく本気で怒るよ、僕は」
「……ゴメン、彼方。沙羅、もうこんな事二度と言わないね」
「うん。分かってくれればいいんだよ。世界で一番好きな沙羅だからこそ、誤解されたままはイヤなんだ」


 次々と浴びせられる質問に、彼方はすらすらと答えていく。最後の方はラブ臭が充満していて周囲はあてられていたが。
「ああ、熱い。そう思わない、ホクト?」
「うん。幾ら冷房入れてもムダだね」
 こんな風にみんなで二人をからかって、結果的に和やかな雰囲気へと変わっていく。
 
 そんな時間を暫く過ごした後に。


「それじゃ、話を最初に戻すよ」
 彼方の言葉によって、僅かな和やかな時間は終わりを告げた。

「僕の説は、自分で言うのは何だけど、かなり真実に近いと思っている。
 でも……学説として発表するには問題が多すぎる。何より根本的な問題がね、全然解決できて無いんだよ。
 ホクト義兄さん、秋香菜義姉さん。もう分かるよね?」
 じっと真摯な目で二人の瞳をひたと見つめる。
「具体的証拠が何も無い、状況証拠の塊ね。こんなもの、普通の人は科学的学説だなんて思わない」
 ホクトの手をかるく握ったユウが、代表して問いに答えた。
「うん、その通り。
 この説は、キュレイにとってはある意味究極の切り札なんだ。
 なにしろ『サピエンスとキュレイが全く別の生き物である』という考え方を根本からひっくり返すことが出来る。この効果は計り知れない。
 だからこそ、軽々しく発表できない。あらゆる矛盾を消し、誰もが納得できる具体的証拠を集めて発表しなければ、壮大なデマコーグと取られてしまう」
 ここで言葉を切り、彼方は周りの全員を見回した。
「トムさんにね、一回だけこの説の原型をまとめたメモを見せたんだ。いづみ叔母さんに頼んで。
 その時は何も言わなかったらしいけど。Lemuで初めてトムさんに会ったとき、こう言われたよ。
『よくもあそこまで考えられるものだ…だが、時期尚早だ。我々を含めた人類の、科学水準も、知性も、手の届く場所も、全てが足りない。発表すれば、混乱を招くだけだ』って。
 でも、逆に言えば『時期尚早』なだけなんだ。いつかはこの説を発表すべき日が来る。しなければならない日が来る」
 彼方の視線が、虚空を居る。見たものを気死させかねないほどの峻烈な意思を込めた視線。
「宇宙への挑戦は、僕や沙羅が引き受ける。生化学的なアプローチは茂蔵おじいちゃんや母さんやいづみ叔母さんが引き受けてくれた」
 彼方の視線は、虚空をさまよって。最後に、ぴたりとホクトとユウの前で静止する。

「ホクト義兄さん、秋香菜義姉さん。
 全ての鍵は、『レムリア考古学』にある。レムリアの呼称が正しいかどうかはとにかく、僕たちキュレイのルーツを証明する中では絶対に必要な、最重要事項なんだ。
 だから、お願いです。僕の仮説……『レムリア仮説』を証明するために、考古学者としての力を全部……全部貸して下さい」
 彼方は、文字通りテーブルに頭をぴたりとつくまで頭を下げた。
「沙羅からもお願い……お兄ちゃん、なっきゅ義姉さん……彼方に、力を貸してあげて……」
 沙羅もまた。彼方と同じように深々と頭を下げる、

 静止した時間。固まったように動かない二組の夫婦。


「ばーか!」
 ぽん。
 沙羅の髪の毛の上に、暖かいしなやかな手が載る。
 思わず顔を上げた涙を湛えた沙羅の瞳の中には……満面の笑みをたたえた義姉の姿があった。
「あのねえ、私もホクトもレムリア考古学者よ?こーんな美味しい仮説を目の前にぶら下げられて黙っていられる筈無いじゃない!」
「そ、それじゃ!」
 ぱあーっと沙羅の顔に笑顔の波が広がっていく。
「あ、ありがとーーなっきゅ義姉さん」

 がばっ!!!
「こ、こらっ、抱きつかないの!マヨ!恥ずかしいじゃないの!」
 沙羅に全体重を預けられて抱きつかれ、じたばたともがくユウ。

「彼方くん、頭を上げてくれるかな」
 そんな妻と妹を尻目に、ホクトは落ち着いた声で彼方に語りかけた。
「……はい」
 彼方も素直に言葉に従って顔を上げる。
「僕も大学で考古学を学び、駆け出しとは言え考古学を研究する立場だ。だからあえて言わせて貰うよ」
「……はい」
 柔らかな笑みを浮かべたホクトが、真っ直ぐに彼方を見つめる。
「君の仮説は、確かに総合的には筋が通っている。……でもね、肝心のレムリアに関する仮説部分は穴だらけだ。とても考古学の仮説なんてレベルじゃないよ」
 ホクトの表情は全く変わらない。だが言っている事は辛らつであり、彼方もまた悄然として聞いていた。
「僕やユウは専門家。例え君が天才だとしても、僕とユウが協力して提唱する仮説には君の仮説など足元にも及ばない。緻密さや正確さは比べ物にならないだろうね。
 僕達は、あくまで僕達の仮説を立てて、それを元に研究する。そういう事だから、君の申し出は悪いけど断らせてもらうよ。」
 完全な拒否。
「ちょっと、お兄ちゃん!」
 沙羅がユウから離れて、兄を睨み据えた。だが……ホクトは表情ひとつ変えもせず、一顧だにすらしない。ホクトが見るのは、がっくりと肩を落として俯く彼方だけ。


 そして、そのままホクトはゆっくりと口を開く。
「だけど……結果的には、君の仮説に似てくるだろう。」
「え?」

 彼方が顔を上げて見上げた先には、掛け値なしの笑顔を浮かべたホクトが居る。

「僕やユウをなめないで欲しいな。その程度の可能性だったらとっくに気付いていたよ。
 かなり昔に『レムリア大陸説』が地質学的に否定されているにもかかわらず、『レムリア』の存在を信じる人が居るのにはそれなりの理由があるんだ。レムリアという要素を想定しないと説明できない事項が僅かとは言え残ってる。
 君の説は、僕達の考えていた学説の補強となるものだ。だから、遠慮なく使わせてもらうよ。
 でも、これはあくまで僕達の説が主だ。この条件を飲んでくれるのなら、協力しても構わない」
 そのままホクトは片目をつむってみせてから、右手を差し出した。

「はい。宜しくお願いします!」

 彼方もまた笑顔になって、その右手を自分の右手でしっかりと掴む。


「ふむ、よろしい。
 ホクト、ユウ。レムリア考古学は私の夢でもあるの。資金や人員のアテはあるから遠慮は無用、好きなだけ研究しなさい。
 ただし、リタイアなんかしたら全部利子付きで返してもらうから。そのつもりで居なさいよ」

「「「「はいっ!」」」」

 優の宣言に、ユウ、ホクト、彼方、沙羅の四人はとびっきりの笑顔ととびっきりの大声で返事したのだった。


                                     − 外伝2 End − 
後  書


 時系列的にはちょっと中途半端な位置になりますけど。『あーるてぃえすらぷそでぃ』より若干後だと考えてください。

 このSSの背景世界の説明です。
 Ever17の話の中で重要なファクターとなっている『レムリア』を話に取り入れて統合解釈をしてみました。

 自分の話の根幹として『キュレイ現象を否定的に見ない』というものがありますので。キュレイが必然である事を前提にして考察したものです。

 まあ、さまざまなアラはあるかもしれませんが。大目に見てもらえるとありがたいです。


 この次の話がホクトとユウの話です。

 楽しんで読んでいただければ幸いです。それでは。


2006年11月18日  あんくん拝


TOP / BBS /  








SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送