---サイフォン効果を使ったLeMU脱出方法に関する考察--- 
tomo


・はじめに
今回はEver17の優編で使われたLeMU脱出法について可能かどうか考察してみます。
優編グッドエンドを見ていることを前提に考察するので、まだ見ていない人は先に優編をクリアされることを推奨します。
なお、説明中はツヴァイトシュトックを2階層、ドリットシュトックを3階層と表記します。


・サイフォン効果を使ったLeMU脱出方法
サイフォン効果とは気圧差で気圧の低い方に液体を押し出し、その後は押し出された水の張力により水を排除する作用のことをいいます。
だからサイフォン効果を使って管路にある水を排除するためには2階層と3階層の空気と水の接触面における圧力の関係が
 3階層の大気圧<2階層の大気圧+水圧 …@
でなければいけません。
この場合の水圧は
 水圧=|2階層と水の接触面の高度−3階層と水の接触面の高度|×0.1 …A
で求められ物を使います。
また@式を満たしている間、空気が水の中を通り、3階層から2階層へと移ることはありません。
だから実際にあの状況下で使用できる方法として考えられるのは「2階層の管路側に大量の水を送る」ことのみになります。

理論上は@式を満たせば可能となりますが、計画を成功させるためにはまず最初の段階で「2階層の管路側に短時間で大量の水を送り込む」必要があります。
なぜなら水を少量ずつ管路に流すだけならば、圧力差が生じないため、3階層と水の接触面はまったく移動せず、接触面から漏れ出る水が3階層に流れ出るのみになるからです。
しかし水を短時間で大量に送り込むことで2階層と3階層の空気と水の接触面における圧力に差が生じ、3階層と水の接触面が階段部に押し出され、階段部が浸水していきます。
この場合の@式は
 3階層側(1気圧)<2階層側(1気圧+水圧)
となるので条件を満たします。

通常の場合は最初に階段部に水が満たされれば、サイフォン効果により管路にある水は3階層に確実に落ちるのですが、LeMUは閉鎖空間であり空気の逃げ道がない。
そのため空気が圧縮されるので3階層の大気圧は上がり、逆に空気が拡散されるので2階層の大気圧は下がり、2階層側と3階層側の圧力の大小関係がわからなくなってしまう。
よってここでは2階層と3階層圧力差を計算するため、最初のドライエリアの体積は両方とも同じくらいと仮定して話を進めます。
そして大気圧の変化には、気温が変化しないとき圧力Pと体積Vの関係は「PV=一定」となることを示す、ボイルの法則を利用します。
以降では時間順でいくつかの場合に分けて、それぞれの場合における最悪な条件を設定し、@式を満たすかどうか考察していきましょう。



(1) 階段部(17m)が完全に水に満たされていない時

空気の逃げ道が完全にない場合には階段の一部が水で満たされれば2階層と3階層に気圧差ができます。
ここでは2階層のドライエリアが1割ぐらい増加し、3階層のドライエリアが1割ぐらい減少した場合を想定して大気圧を計算してみると、
 2階層の大気圧=1×1/1.1≒0.9気圧
 3階層の大気圧=1×1/0.9≒1.1気圧
となります。
よって@式を満たすためには
 3階層側(1.1気圧)<2階層側(0.9気圧+水圧0.2気圧以上)
である必要があります。
そこでA式より水面の高度差がどれほどあればいいか計算してみると、2m以上あれば水は流れ落ちることがわかります。
よって最初に大量の水が必要になる決定的な理由がこれになります。



(2) 階段部(17m)が完全に水に満たされた時

では次に階段部が完全に水に満たされ、2階層のドライエリアが5割ぐらい増加し、3階層のドライエリアが5割ぐらい減少した場合を想定して大気圧を計算してみると、
 2階層の大気圧=1×1/1.5≒0.67気圧
 3階層の大気圧=1×1/0.5=2気圧
となります。
また階段部が完全に水で満たされているのでA式より水圧は1.7気圧以上であることがわかります。
よって@式は
 3階層側(2気圧)<2階層側(0.67気圧+水圧1.7気圧以上)
となり、条件を満たす。
以上より考えられることは、階段部分が完全に浸水していれば、2階層のドライエリアの増加が5割まで、そして3階層のドライエリアの減少が5割までなら、水の逃げ場がなくても確実に2階層から3階層へ水は流れるということです。




(3) 階段部の下の方にのみ水が残った時

この状態になった場合には@式を満たさなくなるので、もはや水が空気を3階に押し込めておく栓の役目を果たさなくなる。
よって空気は元の状態(1気圧)に戻るべく3階から2階へと移ります。

・結論
完全閉鎖空間でサイフォン効果を使って確実に管路の水を取り除くには
1. 最初の段階で水面高度差が常に2m以上となるくらい大量の水を管路側に短時間で集めること
2. 2階層のドライエリアの増加が5割まで、そして3階層のドライエリアの減少が5割までになる量しか水を開放しないこと
が条件となります。










SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送