Ever 17−Be in two minds -
                              朝月

定まらぬ心とココロ編



――AM 6:00 田中家

――ピピピピピピピピピピピピピピ

田中 ゆきえ――もとい、田中 優美清春香菜の一日は起床から始まる。
目覚しの音で優が目覚める。

優「ん―――うるさい…」

――カチッ

目覚しを止めた
――しかし

ビビビビビビビビビビビビビ!

優は自分は寝起きが悪いのを知っててあえて目覚しを“止まらない”ようにして
いた。

優「だからー、うるさいっての!」

ズガン!

優はあえてチョップで目覚しを止める。しかし優は止まらないのを知っていて
も。
それを押さずにいられなかった。

キィー―――――――――ン

優「うきゃあっ!」

ついに最終段階、恐ろしいまでの音波が優の耳に入ってくる。

優「わーかった、起きるわよぉ…」

キィ――――――――――ン

優「わかったっちゅーの!」

ドグシャァッ!

優はついに目覚しを時計をチョップで壊してしまった。これが優の一日の始まり
である。

優「あー耳痛―、また目覚し直さなきゃ…」

優はそうつぶやいた

優「ん・・・」

ぐしぐし
ベッドに寝ながら近くの窓のカーテンを開ける。

――ジャッ
朝日が窓に差し込む

優「まぶしー…、そうだ、朝ご飯の支度しなきゃ…」

ズルズルとパジャマのすそを引きずりながら部屋を出て行く。

優は台所でトースト2枚、目玉焼き2人前、キャベツとニンジンのサラダを作り
コーヒーを煎れ、一息ついた後、ユウを起こしに行く

優「そろそろ時間ね…」

そう言って優はユウが寝ている部屋に向かう。
階段を上り、2階へ行く、2階の奥の部屋の前で止まると
扉にノックする。

コンコン

優「ユウ〜!起きてる〜?」

シーン…

沈黙が、流れる

もう一度

ゴンゴン!

優「ユウ〜!遅刻するわよ〜!朝ご飯、食べないの〜!?」

シーン…

また沈黙が流れる

優「まったく、いっつもこうなんだから」

優はあきれた顔をして、扉のノブに手をかける

ガチャリ

優「ユウ〜起きろ〜!」

部屋に入ってすぐさまユウの寝ているベットに駆け寄る。

優「こら〜!起きろ〜!!」
ユウ「くかー、すぴー…」

ユウは優の大声にも反応せず、ただ寝息をかいていた。

優「起きろ〜!うらぁ〜っ!!」

ついにユウを抱え揺さぶる。

ユウ「わあああぁぁぁぁ!?何々!?」

と、ユウが目を覚ます。

優「おはよ、ユウ」

優がにっこりと微笑む。

ユウ「あれ?おかーさん…?なんで、ココに…いるの?」
優「え?」

まだ寝ぼけているようだ。

優「ユウがいつまでたっても起きてこないからいつもどうり起こしに来たの
よ?」
ユウ「いつもじゃないよ、昨日は自分で起きれたよ」
優「やっぱりこの目覚しじゃ駄目?」

ユウの使っている目覚しは設定された時間になると音楽がなるが、どうも音が小
さく、
とてもこの音で起きれるという代物ではなかった。

優「やっぱり、新しいの、買う?」
ユウ「ダメだよ、これ、私のお気に入りだもん」
優「でも、これじゃ一人で起きられないんでしょ?」
ユウ「大丈夫だよ!これでも起きられるよ!」
優「本当に?」
ユウ「ホント!」
優「間違いない?」
ユウ「無いもん!!」

優はやれやれとした顔で、言った。

優「そう、わかった」
ユウ「ホント!?」
優「ええ、本当よ」

そう言ってユウの頭を撫でる

ユウ「えへへ」
優「でも、目覚しを二つ使うって方法は考えなかったの?」
ユウ「んー、でも、これ一つで起きられるようになりたいの」
優「そう、頑張って」
ユウ「うん!」
優「朝ご飯、出来てるから、早く食べなさい」
ユウ「は〜い」

優は先に部屋を出て行く。

優「(まったく、ヘンなところに意地っ張りなところは誰に似たのかしら?)」

ふと、思った。

優「(って私しかいないでしょ!?私がヘンなとこに意地っ張り!?)」

ユウが後を追ってくる中で、優は自分で自分の首を絞めていた。


―十五分後―

優「ご馳走様」
ユウ「ごちそうさま〜!」

優は時計を見た。

優「そろそろ学校に行かないと遅刻するわよ、早く着替えて」
ユウ「は〜い!」

そう言って、ユウは自分の部屋に戻っていく。
そして、五分後、ユウは着替えてランドセルを背負い、戻ってきた。

優が台所で洗い物をしていると

ユウ「お母さん〜!私、もう行くね〜!」
優「行ってらっしゃい」
ユウ「いってきま〜す!」

その直後、扉の閉まる音がした。
丁度、優は洗い物を済ませた。

優「ふう、私も着替えて行かなきゃ…ん?なにやら雲行きが怪しいわね…ユウに
傘もたせれば良かったかな」


―同時刻―

それは、鉄の音だった。
鉄が軋む音、白いスーツの男は一つの部屋にいた。

男「―――」

男が一人を呼ぶ。

A「―――!!」

一人の黒スーツの男が声を上げる。

スーツの男の後ろには6人、黒いスーツの男たちがいた。
この白いスーツの男の護衛であろう。

男「―――?」

白いスーツの男が尋ねる。

A「―――、―――」

先ほど呼ばれた黒スーツの男が答える。

男「――――…」

彼らはドイツ語で話していた。
ちなみに、先ほどの会話は―――。

男「日本に着くのはいつだ?」
A「今日の夜には、着くかと」
男「そうか…」


―AM 7:30 ライプリヒ製薬 研究棟 第5研究室―

研究室の中で槙は一人パソコンのキーを叩いていた。

タタタタタタタタタタタタタタタ

規則的な音が部屋の中に響く
現在、部屋の中に居るのは槙一人である。

槙「(そろそろなっきゅが来るころか…それにしても…どういうこと?)」

槙は悩んでいた、理由は二つある
一つは昨日からまったく桑古木と連絡が取れないこと。
そしてもう一つは―――

ガチャリ

急に入口の扉が開いた。

優「おはようございます」
槙「おはよう、なっきゅ。今日は早いわね」
優「そうですか?家はいつもと同じ時間に出てきたんですけど」
槙「そう?ならいいけど。」

―ライプリヒ製薬 研究棟 第5研究室―
メンバー
室長  大河内 槙
研究員 田中 優美清春香菜
    桑古木 涼権
    宮下 耕輔
によるウイルス研究チームである。

槙「それより、これ見てくれる?」
優「何ですか?」

優が槙のパソコンに近づく。

槙「あなたに調べてもらった、ドイツへの出張者リストなんだけど
優「例の『組織』の事ですか?」
槙「そうなんだけど…ドイツもコイツもドイツに出張にいってないのよね〜」
優「駄洒落ですか?」
槙「何を言ってるの?」

―「組織」―
ティーフ・ブラウウイルスの流失事故の証拠隠滅のため
「IBF完全廃棄」を目指す組織である。
今現在、組織の規模などは全くの不明である―――

優「私は日本から各世界のライプリヒ製薬会社への出張先までを全て調べました
が」
槙「ええ、でも、この一週間、日本からドイツに行った者はいないわ」
優「どこかを経由してドイツへ向かったんですかねぇ?」
槙「かもね…でも、確かな確証が無いから、なんとも言えないわ…」
優「そうですね〜」

優はため息混じりに、そう言った。

ガチャリ

宮下「おはようございます〜!」
槙「おはよう、宮下クン」
優「おはよ〜」

宮下は部屋を見渡すと

宮下「あれ?桑古木、まだ来てないんすか?」
優「そういえば…」
槙「そうね。昨日から全く連絡が取れないんだけど…」
優「PDAの修理はとっくに終わっているはずなんだけど…」
宮下「いや、俺が言いたいのはそうじゃなくて、今日の朝市街地で桑古木が歩い
てるのを見かけたんですよ、話しかけようと思ったんですけど、見失っちゃっ
て」

槙達は考えた

槙「サボりかしら?」
宮下「ありえますね」
優「桑古木ならやりかねないわね」

3人は納得した―――だが

優「でも、本当にどうしたんだろ…普通ならめったにサボらないはずなのに…」

優は昨日から嫌な予感が止まらなかった。

槙「そうねぇ、少し心配な所はあるかな」
宮下「大事なメンバーですからね」
優「…探しに行きますか?」

優はぼそっとつぶやいた

槙「行きたいのはやまやまなんだけど、私はこれから大事な仕事があるから手が
話せないのよね」
宮下「俺も、研究がありますし…」
優「私も、自分の仕事が…」
槙「でも、なっきゅの仕事は何も今日中ってわけじゃ、無いでしょ?」
優「それは、そうですけど…」
槙「じゃ、行ってらっしゃい」
優「そんな、悪いですよ…」
宮下「だいじょぶっすよ、優さんの分は俺がやっとくっす」
優「でも…ただのサボりかもしれないし」
槙「その時は、殴って気絶させてのも連れ戻してくればいいのよ。いいからいい
から、たまには私を頼りなさい?」
優「…わかりました、後頼みます…」

槙と宮下は微笑みながらこう言った。

槙「りょーかい」
宮下「まかせてください」
優「ありがとう、それじゃ、行ってきます」

そう言って優は部屋を出て行った。

宮下「じゃ、俺は隣の研究室にいますから、何かあったら呼んで下さい」
槙「わかったわ、研究、よろしくね」
宮下「任せてください」

そう言って宮下は隣の部屋に消えていった

槙「(さて…私も仕事の続きを始めないと…)」

槙はこれまでのことを考えながら再びパソコンをいじり始めた。

槙「(IBFの完全廃棄はLeMU再建の話が持ち上がった時から話されていたわけ
だけど。今回のように『組織』を立ち上げてまでの事じゃなかった。いえ、それ
以前になっきゅからの頼みで片っ端から[IBF完全廃棄計画書]とかIBFに関
する計画書を消してきたから反乱分子とか存在しても、半ば諦めていると踏んで
いたんだけどなぁ…うーん)」

槙は席を立つと部屋の中にあるポットに向かいコーヒーをいれた。

槙「(しかも動きが慌ただしくなって来たのは最近のことだから、社内に統率力
と経済力に優れた人物が居るとしか…)」
槙「ん?社内…?あっ、そうか!!」

槙はそう言うと自分の席に戻る

槙「(社内だからといって別にこの中のみというわけじゃないのよね、なんで今
まで気がつかなかったのかしら。だから昨日なっきゅの家でファイルを受け取っ
た時違和感に襲われたんだわ)」

カタカタカタカタカタ

キーボードを打つ音が部屋に響く

槙「(ドイツの研究員データを片っ端から調べていくと――――おそらく…)」

タン―――。

槙「(コイツか…)」

一人の名前が浮かんだ

槙「ハインツ…グロウス」

―ハインツ・グロウス―
ライプリヒ本社きっての天才科学者である。
数年前からその実力を発揮し、今や世界にその名を轟かせている。
さらに、社長の片腕とも言われ、会社ではかなりの信頼を得ていると思われる。

槙「表向きは天才だけど――――裏ではどうかしらね…」

槙をこの男のことをしらみつぶしに調べていった…

槙「(なるほど…見つけたわ…!)」

旅行会社の航空機の乗員名簿をクラッキングして名前を検索してみると…
今日の午後9時の便で日本に来ることがわかった

槙「(もちろんこの事は他の研究員には知らされていない…普通の出張や会議な
ら秘密にしておく理由が無いって事は…何か裏があるはず!)」

―数十分後―

槙「はぁ〜」

槙はため息をついていた

槙「(これ以上は探しても無駄か…)」

槙は黙って席を立つと

槙「よーし、まだ時間はあるし、念のため家に戻って、アレを取ってこようかし
ら」
?「残念ですが、そうはいきません」
槙「え?」

ガチャッ!

入口の扉が急に開けられた、入口からは白衣を着た研究員がぞろぞろと中に入っ
てくる

研究員「今あなたに動かれると我々としては困るのですよ、大河内教授」

槙は平然としてこう答える

槙「あなたたちがココに来るって事は、私の読みは正しかったようね」

この場にいる研究員たちは前から槙が危険視してきた人物たちだった。

研究員「ええ、全く、嫌になるほどですよ」
槙「それで?私に何か用かしら?」
研究員「とぼけられては困る。先刻も言ったようにあなたに今動かれては困るの
です」
槙「あなたたちだけで私を止める気?無茶はよしなさい」
研究員「まさか」

研究員がそう言った瞬間、目の前に何かが飛んできた

バシッ

槙はそれを受け止めた

槙「短刀?」

研究員の間から一人の男が姿を現す
見ると、その男は中国の民族衣装を着た小柄の小太りが一人

男「ふぉっふぉっふぉっふぉ、今の攻撃をうまく受けおったな…褒めてやるぞ
い」

小太りの男はそう言って前に出る

槙「あなたは…殺し屋ね?しかもこの短刀に彫られた九匹の龍…あなた中国最強
の殺し屋…九龍(クーロン)と言ったかしら?」

九「ほう、私のことを知っているとはな…ふぉっふぉっふぉ」

男はそう言うと笑い始めた

槙「やっぱりね、でも、あなた一人じゃ私を止めることは出来ないわよ」

槙はそう言って男を挑発する

九「言葉には気をつけたほうが身のためじゃぞ…女ァァァァァァ!!」

男がそう叫ぶと研究員が二人、槙に襲い掛かる

槙「(こいつらも…!)」
九「わしが潜入させた選りすぐりの部下じゃ…わしが手を下すまでも無いワイ」

研究員が槙に左右から同時に襲い掛かろうとすると、

ヒュンッ!

槙が右手を一回払うと、研究員が襲いかかろうとした方向とは全くの逆にとんっ
で行った。

ドグシャァッ!

槙「これでお終い?―――っ!?」

槙がそう言った瞬間、短刀が五本、槙めがけて飛んでくる。

槙「ちぃっ!!」

槙が刺さる寸前のところでぎりぎり短刀をかわす。

九「ふぉっふぉっふぉっふぉ今のもかわすとは、なかなかやるのぉ」

槙は苦笑した。

槙「あなた如きじゃ私を殺すことは出来ないわ」

九「よくぞ言ったのぉ…フン、貴様ら、殺ってしまえ!」

九龍も含め、全員が槙に襲い掛かる、無論、短刀が飛んでくる量も先ほどの非で
はない。

槙「フッ」

だが、槙は恐れも感じず、ただ、笑った――――――。

―1分後―

九「ぐはっ…ば、化け物め…」

ドサッ

男は床に倒れた

槙「他愛も無いわ」

槙は一言、そう言った。

槙「宮下クン」
宮下「ヘイ」
槙「後処理、お願いね?私ちょっと用事が出来たから」
宮下「わかりやした、姐さん、お気を付けて」
槙「(私はヤクザか?)」

そう疑問を残すと、槙は部屋を出て行った。


―AM 8:00 市街地 路地裏―

桑「うぐアあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

―あ、頭が…頭が割れるように…痛い!

桑「う、うぁ…ぐああああぁぁぁぁぁ…」

たまに通る通行人がひそひそと何か言葉を漏らしている

通行人1「何、アレ!薬中?」
通行人2「かかわらないほうが良さそうだな」

―ぐ…五月蝿い…なんで…俺は…―――無いんだ

痛みがひいてきた…これなら…大丈夫だな…

桑「まだ、記憶が完全に戻ったわけじゃないようだな…まぁいい、時間は山ほど
あるさ…」

―さて、これからどうするか…ま、ぶらついてみるか…

桑古木は市街地へ足を進めた。


―同時刻 市街地―

優「宮下君はこの辺りで桑古木を見かけたといったわよね…」

私はきょろきょろと辺りを見渡す。

優「うーん、一度桑古木のアパートに行ったほうがいいかしら
…」

優がそう思っていた時。

ポツ、ポツ…

優「あれ…雨…?」

優が雨に気づくとすでに雨は大降りになっていた

ザァァァァァァァァァァァァ…

優「うわっ、こんなことなら傘持ってくるんだったわ…これじゃ私馬鹿みたい
じゃないのよ…もぅ…ん?」

私がふと反対側の歩道を見ると、そこに桑古木らしき姿が見えた。

優「あれは…桑古木…?何よ、やっぱりサボりだったんじゃない、全く、心配か
けて!」

私は桑古木のところへ歩みよる。信号を渡り、反対側の歩道へ着く

優「確か、こっちの方に…いた!」

雨がどんどん強くなっていくのがわかっていたが、そんなのはどうでも良かっ
た。

優「桑古木っ!」

ズゲシッッッ!

桑「うわっ!!いてて…何しやがる!」

優「何は無いでしょ何はっ!仕事サボっておいて!」

桑「仕事ぉ?なんの事だいったい…それよりアンタ、誰?」

優「はぁ、桑古木…ホントにぼけたの?よーく頭ん中探って見なさい、ったく、
寝ぼけてんじゃなでしょーね?まったく…」

桑「ああ、思い出した!!なるほどなるほど…」

桑古木はそう言って頷く

優「はいはい、目、覚めた?じゃ、帰るわよ、いつまでも雨に濡れてなんかいら
れないし…」
桑「優、だろ?髪伸ばしたから良くわかんなかったぜ」
優「…え?」
桑「ほんっと、久しぶりだよなぁ、元気に、してたか?」
優「ちょっと、悪い冗談はやめてよね、桑古木、私を騙すならもっと―――」

私は始めて異変に気がついた、ありえない…いつもの桑古木の表情じゃない、こ
れはまるで―――

桑「さっきからかぶらき、カブラキって、何言ってんだよ?まさか俺の名前忘れ
たなんて言わねーだろうな」
優「そっちこそ、何言ってんのよ、あなた、桑古木でしょ?」
桑「おいおい、しばらく会ってなかったからって、それは無いだろ?第一桑古
木ってのは少年の名前じゃねーか、どうしたんだよ?まさか、本当に忘れたの
か?」

おかしい、絶対におかしいこんな事は、こんな事は―――

優「じゃあ、あなたは…あなたは…誰なの?桑古木じゃないのなら誰だって言う
のよ!?」

私は“彼”に問い詰めた。

桑「いいか?よく聞け、そして二度と忘れるなよ?俺の名前は―――」

どうか…どうかその名前だけは言って欲しくなかった――――

タケシ「武」
武「俺は倉成 武、どうだ?思い出したろ?絶対どこかで聞いた時あるだろ?」
優「――――っ!?」
武「おい、優…どうした?」
優「嘘…嘘よっ!あなたが倉成のはずなんか無いでしょ!?あなたは…倉成じゃ
ない!」
武「おいおい、俺が俺じゃ…ない?何言ってるんだよお前は?――――つっ!」

急に“彼”は頭抱え始めた。

優「え?」
武「まあ、いい…何がなんだか知らんが、少し休んだほうがいいんじゃないか?
俺、今日は帰るわ…じゃあな…」

“彼”は私の前を通り過ぎた。私がそれに気づくのに時間がかかった。

優「ちょ、ちょっと待っ…あうっ!」

すぐに追おうとしたが、そこにあった段差に気づかず、転んでしまった。

優「う…うぅ…そうだ桑古木は…」

地面に突っ伏したまま顔を上げ、前を見た。しかし、もう“彼”の姿はそこには
無かった。

優「いったい、何がどうなってるの…?」

道行く人がちらりと見ていく、けど、そんなことはどうでも良かった。
私の目は虚空を見つめ…耳は雨の降りしきる音しか聞こえなかった。
体が、寒さで震えているのがわかった、でも…それよりも…今ある現実が信じら
れなくて…恐くて…。

優「いったい…何が…――――てるの…?」

もう、何も信じることが出来ない…

優「いったい何が!どうなっているのよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

―雨がさらに強くなった気がした――――――

―END―



―あとがき―
前の1、2よりだいぶ間が空きましたが。ようやく完成しました。
しかし、ここまで長くするはずは無かったんですけどねぇ…。
これも愛のなせる技かも!(?)
オリキャラについて少し
成瀬深冬―このキャラは今回は登場しませんでしたが、2には出てきています。
診療所のお医者さんです。この人も重要なキャラなので次回には出るかも?
このキャラの服装が書かれていなかったのでここで少し…
(こういうのは反則だと思いますが…)
髪型は基本的に優春と同じです。(でも髪の色はちょっと青みがかかった黒で
す)
服装は基本的に白衣にTシャツにジーンズって感じです、というかよく自分のS
Sを見てみればキャラのほとんどが白衣を着ている!(爆)
九龍(クーロン)―この人は…ただのやられキャラとして考えたものです。
特に何も考えていませんでした…。でも、こーいう、暗殺者は好きなので機会が
あればまた出るかもです。でも結局やられキャラ(笑)
最後に長くなりましたが、いつも読んでくださる方、いつもありがとうございま
す。
1から3まで、一気に読んであとがきまで来た方、忙しいところありがとうござ
います、これからもよろしくです。
次回、最終回です。 でわ


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