今日はクリスマスだから、サンタクロースのお話をしてあげよう。


〜SANTA AND ANGEL〜
                              作 BREAKBEAT!

前半 始まりの夜

12月24日、クリスマス・イヴ
この日、子供好きの神様は子供達の笑顔が見たいから雪の精霊にお願いをしました。
「私の代わりに、小さな子供達にプレゼントを配って欲しい。もちろんただとは言わない。もし、君達が私の願いをかなえてくれるのなら、君達に身体をあげよう」
雪の精霊たちは、そのお願いを聞き入れました。
雪の精霊たちも、子供達の笑顔が、子供達の見る楽しい夢が大好きだったからです。
神様は喜び、魔法で雪の精霊たちに身体を作ってあげました。
それが、サンタクロース達です。
子供達の笑顔が大好きなサンタクロースたちは、今日だけはお仕事をします。
みんなの笑顔が見たいから、みんなに幸せを届けたいから、今日だけはお仕事をします。

さて、今日はある若いサンタクロースのお話をしましょう。
彼の名前は、リョウ=カラマ
今年、念願のサンタクロースになれた若い雪の精霊です。
彼は小さな子供が大好きでした。
素敵な夢を見てくれる子が大好きだったのです。
家で、プレゼントを大きな袋に詰めているとき、リョウはサンタの長老に呼ばれました。
「長老・・・何の御用でしょう?」
リョウゴは長老の家に出向きました。
「まぁ、座りなさい」
リョウゴは真っ白くて長いおひげの似合う長老にすすめられて、切り株でできた椅子に座りました。
長老は、カチャカチャと音を立てながら、ティーセットを運んできました。
ポットからは白い湯気が立ち上り、室内には甘い、いい香りが立ち上りました。
「ホットシロップでも飲むかね?」
「いただきます」
ホットシロップというのは、冬にしか咲かない不思議な花―冬美花(とうびか)―からとれる蜜に、長老が味付けをして、暖めた飲み物です。
とっても甘く、とっても暖かいホットシロップは、彼の大好物の一つでした。
ティーカップに注がれたホットシロップを一口飲み、ゆっくりティーカップを置きました。
「それで・・・長老。用件は何ですか?」
「ほほほ・・・まぁ、そう慌てるな」
長老はゆっくりとホットシロップをすすり、自分のカップに新しいホットシロップを注いでから、ゆっくりと口を開きました。
「実はな・・・お前は、パートナーと一緒に仕事をしてもらうことになっておるのじゃ」
「パートナー・・・ですか?」
「そうじゃ・・・昔から、新人のサンタクロースは、最初の三年間はパートナーがついていないといけないのじゃ」
「なぜですか?俺には信用がないと言うのですか?」
「そういうことではないのじゃ。これは昔からのしきたりなのじゃよ。神様との約束なのじゃ」
リョウはそれが気に入りませんでした。
長老のお話なんて耳に入りません。
サンタになれたことは雪の精霊とって、一人前になったことの証なのです。
一人前になったのだから、一人前の扱いをして欲しい。
リョウはそう考えていました。
「・・・というわけで、彼女が君のパートナーじゃ。お〜い!入ってきてくだされ!」
長老が少し大きめの声でそう言うと、奥にあった木の扉がゆっくりと開きました。
中からは、純白の服に身を包み、ピンク色のボブの髪型に髪をサイドで白いボンボンを使ってお団子を作った女の子が出てきました。
リョウはココを見たとき、胸にちょっとした違和感を感じましたが、すぐに消えてしまったため
「長老・・・こんな小さな女の子を連れて行けと?」
「そうじゃ・・・何か不満でもあるのか?」
「あたりまえです!こんな小さな女の子を、しかも人間の女の子を連れて行けというのですか!?」
「あ〜!失礼な!ココは人間じゃないもん!」
自分のことをココといった女の子は、純白の服の影に隠されていた白い羽を使って飛び上がり、リョウの目の前で文句をいいました。
「え?え?えぇ〜?」
リョウはあまりの光景に後ずさりしてしまいました。
「て、てててててて・・・・て、天使様〜!?!?!?!?」
リョウはココという女の子を指差しながらいいました。
「そうで〜す!天使のココ=ヤディアで〜す!」
そう言うと、ココはリョウの周りを飛び始めました。
「あの・・・本当に天使様っすか?」
リョウは始めて天使を見ました。
リョウが聞いていた話だと、天使は
知的、神秘的、おしとやか
などなどの大人のイメージが強いのですが、リョウから見た彼女は、
(毒)電波系的、ぶっ飛び系的、天真爛漫
などなどの子供みたいな第一印象が強かったのです。
「ほへ?ココはちゃんとした天使だよ。ほら、ちゃんと羽までついてる」
ココはリョウの目の前で、羽をパタパタと動かしました。
「輪は?」
「輪?」
「天使様の頭の上にある光の輪のことだよ」
「光の・・・輪?あ、『ライリグ』のことだね?いいよ。やったげる」
そう言うと、ココは羽の動きを止め、床に降り立ちました。
ゆっくりと瞼を閉じ、手を組んで、何か独り言のようなものをつぶやき始めました。
「汝、神の祝福に背くならば」
ココの身体が黄色い光を放ち始めました。光は圧迫感のような感覚をリョウに与えました。
「光汝の敵となり、汝を束縛するリングとならん」
ココは呪文のようなものを一通り呟いた後、リョウに向かって手をかざしました。
「ライリグ!」
ココがそう叫ぶと同時に、ココの手のひらから複数の光の輪が出てきて、リョウの両手両足にはまり、ココの手のひらの一番小さな光の輪から光の鎖が出てきて、彼の身体にはまっていた光の輪と繋がってしまいました。
「ぐ、ぐへ・・・う、動けねぇ・・・」
「すごいっしょ?すごいっしょ?ココが天使だって認めた?」
「そういう・・・問題・・・じゃねぇ・・・」
苦しそうにしているリョウを見て、流石に長老もリョウがかわいそうに思えてきたので、
「ココ、いい加減魔法を解いて上げなさい」
と、注意しました。
「ほ〜い、りょうか〜い」
ココがポンポンっと手を叩くと、リョウを締め付けていた光は消えてしました。
「ところで・・・リョウが言っていた『光の輪』っとは、『エンジェルリング』のことじゃないかね?」
長老がココに尋ねると、
「な〜んだ、『エンジェルリング』のことか・・・ちょいと待ってて」
そう言ってココは純白の服のポケットに手を入れました。
「・・・あれ〜どこいったのかな〜・・・あ、あった!」
ココが嬉しそうに笑い、ポケットからリング状のものを取り出しました。
「ぴかぷかぽかーん!エンジェルリング〜」
そして、『エンジェルリング』を頭の上に乗せました。『エンジェルリング』はココの頭の上でプカプカと浮かび、明るい光を発しています。
「これのことでしょう?」
「おぉ〜それそれ。うん、少しは天使らしくなった」
「そうっしょ?そうっしょ?」
「ところで・・・なんでいつもそれつけてないんだ?」
リョウは軽くリングを掴みました。それはとても暖かく。なぜか安心できる感じがしました。
「どうでもいいでしょう?個人の自由だよ?」
「まぁ・・・そうなんだが」
リョウはなぜかその返事に満足できませんでした。
「まあまあ・・・そんなことどうでもいいから。早く行かないと間に合わないよ?」
リョウはへ?って感じの顔をして、長老の部屋の掛け時計に目をやりました。
「や、やべぇ!あと、20分しかないないじゃないか!長老、失礼します!」
リョウは長老に向かって一礼すると、荒々しくドアを開け、雪の降る夜に向かって駆け出しました。
「う〜ん・・・相変わらず慌て者じゃな・・・あんな奴じゃが、よろしくな」
「大丈夫だよ。ココ、リョウちゃんのこと好きだもん」
「ほほほほ・・・そうかそうか・・・そうじゃ、リョウにこれを渡してもらえんかの?ホットシロップじゃ。外は寒いからの」
「うん!」
「よろしくな」
「うん!じゃあね。長老様」
ココはそう言うと、長老に向かって手を振りながら、駆け出しました。
「気をつけてな〜」
長老も手を振りながらお別れの挨拶をしました。
雪は、降り続けています。

「だは〜・・・やっと詰め終わった〜」
家の中では、リョウがプレゼントを詰め終えていました。
「ふ〜次は・・・着替えなくちゃな」
リョウはさっきまで着ていた服を脱ぎ始めました。
すると・・・
バン!
「リョウちゃ〜ん!準備できた〜!?」
ココが急にリョウの寝室のドアを開けました。
「こ、こら!ココ、人が着替えている時に部屋に入ってくるな!とりあえず、出て行きなさい」
リョウはココの背中を押すような感じで部屋の外にココを追い出し、パッタンっとドアを閉めました。そして、リョウは再び着替えを始めました。
「へ〜リョウちゃんって結構鍛えてるんだ〜」
「まぁな・・・サンタって仕事は身体が資本だからな・・・ってこら〜!なんでこんなところにいるんだ〜!」
「ん?リョウちゃんとお話がしたいから」
「そうか・・・うん、可愛いじゃないか・・・ってそういうことじゃなくて!どうやってこの部屋に入った?」
「ココはね、天使なんだよ?魔法が使えるんだよ?こんな壁の一つや二つぐらい、簡単に越えられるよ」
「ほう・・・だったらやって見せてくれないか?」
「うん。いいよ」
ココは壁の前に立つと、すぅーっと息を吸って、ゆっくりと吐き出しました。
そして、壁に手を当てると、
「壁に住み精霊よ、われに従いし光よ」
リョウは、ココが手を当てている壁の部分が少し光ったような気がしました。
「汝ら我に力を貸し、我に障壁がないことを示せ・・・ゴヲール!」
すると、ココは壁から手を離し、リョウに向かって笑顔を向けた後、
「とう!」
と壁に向かってジャンプしました。
すると・・・ココは壁の向こうに消えていきました。
「な、なに〜!」
すると壁の向こうからココの声が聞こえてきました。
「すごいっっしょ、すごっしょ?リョウちゃんもやってみたら?」
「・・・・・面白そうだな・・・」
リョウはココが通り抜けた壁に向かって歩み寄ってみました。しかし、
ゴン!
「いって〜!」
・・・失敗しました。
「な、なんだよこれ〜」
頭をさすりながら、壁に文句を言うリョウ。格好悪いとしかいいようがない間抜けな姿です。
「にゃははははは!」
壁の向こうからココの声が聞こえ、
「ゴヲール!」
という呪文が聞こえた後、ココが壁から顔だけを出しました。
「リョウちゃん大丈夫?」
その顔は、いまだに笑っています。
「でも、これぐらいできなきゃだめだよ?サンタさんは魔法が使えないといけないんだから」
「そ、そうなのか?」
「ココたちはね、新米さんのサンタさんに魔法を教えるために来たんだ」
「魔法を?」
「そうだよ。リョウちゃんはどんな魔法が使える?」
「・・・そうだな〜」
「レンガ一個分ぐらいの重さの物を動かすムヴェント。傷を治すキュア。高速移動のためのファーリー。雪を降らせるスノス。流れ星を作るスタネス・・・・ぐらいかな・・・」
「な〜んだ。だったらリョウちゃんの魔法のお勉強は簡単そうだね」
「そうなのか?」
「うん。だって、キュア、スノス、スタネスは一応中級魔法の一種だもん。精霊達にはそう簡単に覚えられるもんじゃないもんね。もしかしたら・・・リョウちゃんて、すっごいくらいの魔法の才能あるかも」
「ほ、本当か?」
「でも・・・規則でサンタさんには攻撃魔法は教えられないからね」
「あぁ・・・サイですか」
リョウはいかにも不服そうな顔をして着替えを始めました。
ココを追い出しても『ゴヲール』で簡単に部屋に入ってきてしまうので、ココを追い出すことをあきらめ、ココも部屋の中にいます。
「ところで・・・俺が教えてもらえる魔法ってのはどんな魔法なんだ?」
ココはリョウの部屋にあった置物で遊んでいましたが、それを止めリョウの質問に答えました。
「えっとね・・・さっき見せたゴヲール、空を飛ぶためのウィグン、動物の心がわかるようになるリートの三つだよ」
「何の必要があるんだ?」
「それは後のお楽しみ!」
「ヘイヘイ、了解」
二人で話している間に、リョウは着替えを済ませてしまいました。
真っ赤な服と真っ赤な帽子。サンタクロースの仕事着です。
「さて・・・行きますか!」
「あ、そうだ!」
「ん?なんだ?」
「はい、これ」
ココはリョウに水筒を渡しました。
「なんだこりゃ?」
「長老様からの差し入れ。ホットシロップだよ」
「へ〜ありがとな」
リョウはココの頭をなでてあげました。
「えへへへへ」
「さて、今度こそ行くか!」
「うん」
そういって二人は、雪の降る闇の中を駆け抜けて生きました。

リョウとココは、サンタクロースのソリとトナカイの置いてある、『出発の広場』に来ました。
広場には、一つのソリと、二匹のトナカイと、一人のサンタしかいませんでした。
「リョウ!遅刻だぞ!」
サンタは、リョウにすごい剣幕で怒鳴りました。
「わりぃ、わりぃ・・・ってたった三十秒じゃねぇか!」
リョウは自分の腕時計を指差しました。
確かに三十秒しかたっていません。
「俺らサンタの仕事は子供達にプレゼントと夢を配ることだ。遅刻は許されん!たった一人でプレゼントが届いていない子供がいたらサンタ失格だからな!」
「・・・了解」
リョウは反省したようです。
「それとな、リョウ・・・その時計、ずれてるぞ」
「・・・はい?今なんと?」
「だから・・・その時計ずれてるぞ」
そう言ってサンタはリョウにぐいっと時計を押し付けるような感じで時計を見せました。
時計の長い針と短い針が指差している数字は・・・
3と8・・・20時15分ということになります。
出発時刻は20時ジャスト・・・
つまり・・・
「ち、遅刻だ〜!」
というわけです。
「おい、リョウ!そのトナカイたちにも名前つけてやれよ。これからずっと一緒に働いてくれる仲間だからな」
「ああ」
「いってきや〜す!」
ココとリョウはソリに乗り込みました。
「てなわけで・・・ココ先生の魔法お勉強のコ〜ナ〜!」
ココは、ソリに乗り込むと急に大声を上げました。
「な、なんだ?」
「ほら、拍手拍手!」
「う、うん・・・」
パチパチパチ・・・
まばらな拍手があがりました。
「コホン、今日は手始めに、動物の心を読んで、話せるようにする『リート』をお教えしましょう。では、先生がお手本を・・・」
「呪文さえ教えてもらえればすぐにできるけど・・・」
「いいの、これは一種の形式なの!!」
ココの妙に迫力のある力説に押され、リョウはおとなしく従いました。
「いい?いくよ?」
ココは右側のトナカイの頭に手を置き、目を閉じてゆっくりと呪文を唱え始めました。
「汝、知を知らぬ者」
ココの身体は白色の・・・まるでミルクのような輝くを放ち始めました。
「我、慈悲の心の下に、汝に知を与えん・・・」
ココは目を開くと・・・
「リート!!」
と、大きな声を上げました。
すると・・・
「オイオイご主人・・・早くしてくれよ・・・」
「うお!?しゃ、喋った・・・トナカイが喋った〜!?」
「喋ったんじゃないよ。トナカイさんの心を開放したんだよ」
「はい?」
「心と心は繋がっている。でも・・・言葉と自分の理性や常識・・・恥ずかしさがそれを邪魔するの。『リート』は言葉の壁を作っている理性と常識のタガをはずしちゃうって、心を開放させるの」
「・・・意味がよくわかりません」
「もぅ〜しょうがないな〜。簡単に言っちゃうと、このトナカイさんはテレパシーみたいなものが使えるようになったの。とりあえずリョウちゃんもやってみて」
「了解」
リョウはもう一匹のトナカイの角の間に手を置きました。
「心静かに、真理を求めよ・・・」
ココはリョウにそう言いました。
これは、魔法を唱える時の決まり文句みたいなものでした。
リョウはこの言葉の意味を知りません。
しかし・・・どことなくこの言葉には安心できるような気がしていました。
「わかってる」
リョウは目を閉じ、呪文を唱え始めました。
「汝、知を知らぬ者」
リョウの身体もココと同じように白い光に包まれていきます。
「我、慈悲の心の下に、汝に知を与えん・・・」
リョウは目を見開き、最後の言葉を発しました。
「リート!!」
トナカイは
「まだかな・・・?早くして欲しいな・・・」
と、声を発したように聞こえました。心が開放されたのです。
「おっしゃ!成功!!」
「よくできました〜」
ココは羽で中に浮き、リョウの頭をなでなでしました。
リョウの顔はだんだん赤く染まっていきます。
「や、やめろよ」
リョウは恥ずかしかったのでココに頭をなでさせるのを止めさせました。
「今度は、ウィグンだね。ココたちは天使だからこの魔法は使わないけど、リョウちゃんたちのために神様が創ったんだって」
ココはにかっと笑い、天使の羽を使ってリョウの胸元あたりまで飛びました。
「いい?動いちゃだめだからね?」
ココはそう言うと、リョウの胸元に人差し指をあてました。
「こ、ココ?」
「動いちゃだめ〜!」
「・・・はい」
そして、呪文を唱え始めました。
「空を知らぬ翼無き者よ、翼無き者を知らぬ空よ、我汝らの仲裁者となり、汝らに至福のときがくることを願う・・・ウィグン!!」
・・・・・
何も起こりません。
「ふぅ・・・成功だよ。リョウちゃん、空を飛ぶことをイメージしてみて・・・」
「空を・・・?」
リョウはゆっくりと目を閉じ、ぶつぶつと独り言を始めました。
「空を飛ぶ、空を飛ぶ、空を飛ぶ・・・・・・」
すると、
「のわ!」
急にリョウが空に向かって飛び始めました。
というより・・・空に引っ張られたような感じです。
「うお!」
空に向かって上昇を続けていたリョウの身体は急にピタリと止まりました。
「ふぃ〜たすかった〜。しかし、何故急に止まったんだ?」
リョウが視線を動かすと、両手両足に光のリングがはまっていて、四本の鎖状の光はある一点で束ねられていました。
ココです。ココが『ライリグ』の力で止めてくれたのです。
「を〜い!リョウちゃ〜ん!大丈夫〜?」
「あぁ!すまね!」
「待ってて!今、魔法解いたげるから〜!」
「はぁ・・・お、おい!ココ!ちょっと待って!!」
ココは左手の親指と中指を引っ付け、
パチン!!
と、指を鳴らしました。
「うわ〜!」
リョウは叫びました。当然です。
リョウを空中に飛ばしている力は、『ウィグン』の力、それ以上、上に飛ばされないようにリョウを固定していたのは『ライリグ』による力だからです。その力を解いてしてしまえば、
「おちる〜!」
という結果に導かれます。
リョウは目を閉じました。
「うわ〜!」
リョウの死神は、リョウの首に容赦なく鎌を押し付け、その首を掻っ切るはず・・・でした。
ストン
リョウは尻餅をつきました。
「イテテテ・・・・あれ?俺は死んだはずじゃ・・・」
「リョウちゃんの帰り〜!」
ココは満天の笑顔でリョウの顔を覗きました。
「ココ・・・ここは?」
「空の上」
「そ、空の上?俺はまだ落ちてる最中なのか!?」
「違うよ。ココたちは空の上のソリの上にいるんだよ」
「ソ・・・リ・・・・?」
リョウはココの後ろを見ました。そこには、ソリを力強く引くトナカイの姿がありました。
「じゃあ・・・」
「そ、ココがトナカイさん達に『ウィグン』をかけたの。リョウちゃんはイメージが強すぎたんだよ。魔法の強さ=心とイメージの強さだからね」
ココはにっこりと笑いました。

ドキ

また・・・リョウは胸に違和感を感じました。
ココに会ってから大きくなる胸の違和感。
ココを見ることに少しだけ抵抗を感じる。
そんな不思議な感覚に見舞われたのです。

「ん・・・りょ・・・ちゃ・・・・」
「リョウちゃ〜ん!!」
キィ〜ン!!
強烈な耳鳴りがリョウの耳を襲いました。
「な、何だよココ?」
「これこれ・・・」
リョウはココから、革のような細く、丈夫な紐を受け取りました。
「これは?」
「手綱だよ。これが無いと、トナカイさん達、言うこと聞いてくれないよ」
「あ、あぁ・・・サンキュー。助かったよ」
リョウはココから受け取った手綱をしっかり握り、そりの一番前に座りました。
「そうだ!トナカイさん達に名前付けてあげようよ」
「・・・そうだな・・・よし!右のトナカイが『まぐろ』!左のトナカイが『ひよこ』だ!」
右のトナカイは言います。
「ご主人・・・気に入らんぜよ」
左のトナカイは言います。
「ご主人様・・・・それはちょっと・・・」
どうやら二匹とも、リョウの付けた名前が気に入らないみたいです。
「じゃあね〜・・・右のトナカイさんは『ピピ』!左のトナカイさんは『チャミ』!」
右のトナカイは言います。
「それでいいぜよ」
左のトナカイは言います。
「僕もこれなら・・・・」
「なに?何ゆえ俺の名前が気に入らない?」
「やっぱりな〜」
「やっぱりね〜」
二匹のトナカイは同時に溜息をつきました。
「だぁ〜わかったわかった!その名前でよし!さっさと仕事しにいくぞ!」
「リョウちゃん、どこに行くの?」
ココはリョウに聞きました。
リョウはポケットをあさくり、一枚の紙切れを取り出しました。
「ここから東にある国、『ジパング』だ」
「ジパング?ココいきた〜い!」
「よ〜し、捕まってろ!」
リョウはしっかりと手綱を握り、ココはリョウの隣に座って、リョウが握っている手綱を握りました。
「ココも運転する〜」
ココの行動を見て、最初はあっけにとられていたリョウも、この一言を聞いた時、
「あぁ・・・一緒に運転しようか」
と、優しく笑いました。

「「GO!」」

二人で握った手綱を激しく上下させ、同時にトナカイたちに合図を送りました。
こうすることにより、トナカイたちはスピードを上げます。

しんしんと雪が降る夜を、ソリを引いたトナカイたちが走り抜けて生きます。
シャンシャンシャンと、鈴の音を鳴らしながら・・・

後編へ続く>>

あとがき
ういっす!BBです!
とりあえず前半終了!まだまだ終わりじゃないよ。

妄想だらけです!サンタだの、天使だの、魔法だの・・・・いいじゃない!!
ファンタジーよ、時代はファンタジーなのよ!!
などというわけのわからん挨拶はやめて、一部説明を・・・

リョウ=カラマ
わかってると思いますが、桑古木涼権のことですよ。
日本人の名前をサンタにつけるのはどうかなと思い変更しました。
そっれにしてもネーミングセンスないな〜
カラマは桑古木とカルマを混ぜて作りました。

ココ=ヤディア
これもわかってると思いますが、八神ココのことです。
これもリョウと同じ、日本人の名前を天使につけるのはどうかな〜と思い変更しました。
なんでか、『ナディア』という文字が思い浮かび、八神とナディアをかけて、ヤディアができました。

魔法
ほとんど英語の読み方を適当にした物ばかりです。
ライリグ・・・光の輪=ライトリング=ライリグ
ゴヲール・・・=壁を行け!=go wall=ゴーウォール=ゴヲール
リート・・・聞く&読む=リッスン&リード=リート
ウィグン・・・翼=wing=ウィング
ファーリー・・・はやく=fast&early=ファスト&アーリー=ファーリー
キュア・・・治療=cure(そのまんま!)
ムヴァント・スノス・スタネスは適当!!
結構苦労したよ。ここまで考えるの・・・

全キャラ出します。
ほとんど子供化してもらいます。

あとは、後半で説明しましょうか。

では、SEE YOU!




2002


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