妄想覚醒劇
                             HELLCHILD作

優春編

「こ・・・・・ここは?」
「え!?な,なんであんな所に地球が!?あっ,太陽があんな所にぃ!!」
たれ銀が子供のように無邪気に走り回っている。
「ここは・・・・・・・・・月の表面?」
地球や太陽,その他の惑星の位置から考えると,間違いなくここは月だ。
なぜか呼吸もできるし,重力も大体地球と同じくらいなのが気になるが。
「まさか・・・・・・・・BWがここへ運んだの?」
ここでなら思いっきり暴れても不自由しない。
「あ,そうだ。そろそろ奪還しないとね。」
銀次が臨戦態勢になる。
「ふっ・・・・・・・・いいわ。見せておげる。この新型AMスーツの力を!!」
優春が白衣を脱ぎ捨てた。
なんとその中に,リティシア・ディルのAMスーツを着ていた。
「つぐみと戦うためのものと思って用意したんだけど・・・・・・ま,役に立つのならつぐみが相手じゃなくてもいいわ。」
「そんなムチャな・・・・・・・・だいたいルナヴァースの主人公は御神苗 優(森久保 祥太郎)じゃなくて大槻 達樹(辻谷 耕治)じゃ・・・・・・・・・。」
・・・・・・・・確かにリティシアと優春はちょっとカブるような・・・・・・
「うっさいわね!はぁぁぁぁぁぁあ!!!」

ドゥン!!

優春のAMスーツが力を開放したようだ。マッチョにはなっていないが,力がみなぎっているのが判る。
「いくわよ!!!」

シュン。

音も立てずに優春が飛び掛かってきた。
「はあっ!!」

ドドドドドドッ!!!

「ぐはっ!!」
高速だったが,連続で6発は喰らったことは判った。後方に吹っ飛ぶ銀次。
「何よ,以外と脆いのね・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・それはどうかな。」

ボンッ!

優春の左肩が小さな爆発を起こした。
「な・・・・・・・・・!?これは・・・・・・・・。」
「オレは電気を自由に操れるんだ。だから電撃で攻撃もできるんだ。」
なるほど,今回は表面が軽く爆発しただけで済んだが,下手をすれば電気が装甲を突き抜け,過電圧で稼働できなくなるかもしれない。
「ふっ・・・・・・・ならこっちも本気で行きましょうか。」
1秒で銀次の近くへ移動できる優春。スピードスーツ並だ。
「てやっ!」

ビシィ!

膝蹴りが銀次の顎にモロヒットした。
「くっ!」
「次ぃ!!」

シュン。

よろめきながらもカカト落としをギリギリでかわす銀次。
「はああああああああ!!!」

バシュゥン!!!

思いっきり電撃波を喰らわす銀次。その衝撃に,今度は優春が吹っ飛ぶ。
「きゃあっ!!」
10メートルは吹っ飛んだ。
「くっ・・・・・・・・・・・。」
胴体の装甲が焼け焦げている。
スーツ自体も帯電量が増えて,負荷がかかってきてるようだ。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・。」

ポゥ,ポゥ,ポウ・・・・・・・・・・・・・

銀次の周りに,10個以上のプラズマが発生した。
「行けえっ!!」
銀次が手をかざした方向にプラズマが飛んでいく。

ド,ド,ド,ド・・・・・・・・・

プラズマが地面に着弾する度,火炎瓶の十倍以上の爆発が起きる。
(何て威力・・・・・・・・・こいつ,ただのガキじゃないわね。)
猛スピードでプラズマを避ける優春。
一瞬の隙を狙って前方に飛び掛かった。
「でいっ!!」

ドゴォ!!

中段廻し蹴りが,銀次の水月を捉えた。これは痛い。
腹を押さえながら倒れ込む銀次。
「ハァ,ハァ,ハァ・・・・・・・・・どーよ。」
「ぐ・・・・・・・・・・・」
だが銀次は左手を挙げ,思いっきり振り下ろした。
「なっ!?」
上を見上げた瞬間―――――――――――――――。

ズドォォォォン!!!!

巨大なプラズマが優春に直撃した。
もちろん銀次はダメージを受けていない。
「く・・・・・・・・・は・・・・・・・・・・」
「ふぅ・・・・・・・・もうやめたら?バチバチ言ってるよ?」
確かに,帯電量がかなり増えている。下手をすればショートして使い物にならなくなるだろう。
だが,優春にはまだ奥の手があった。
「ふっ・・・・・・・・今までのは60%よ。次は100%の力を見せて上げるっ!!!」
「え・・・・・・・・・・・!?」
「はあああああああああーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

辺りの空気が振動し始める。
大地が小刻みに揺れている。

「ふん!!!」

ドオォォン!!!!!

「んあっ!?」
あまりの衝撃に,たれ銀になって吹っ飛ぶ。
半径3メートル以上に衝撃波が飛んだのだ。
『ゼロバースト』により,100%の力が発揮された。

フッ。

(!?消え・・・・・・)
思考する暇もなかった。

バキィ!!

鮮やかで華麗なサマーソルトキックが炸裂した。
20メートルを軽く超えた。つぐみのアッパー以上だ。

ドッ!!

「ぐはっ!!」
浮いた銀次に一回転カカト落としを加えてたたき落とす。
凄まじい衝撃で叩きつけられる銀次。

ドスン!

「ぐふっ!」
遂に血を吐いた。
その間に,優春が上空でストンピングキックを決めようとしていた。
「トドメェ!!」
「肉を切らせて・・・・・・・!!」

ズドオオオン!!!

優春が着地する直前,スパークで大爆発が起きた。
「骨を断つって弥勒君の時に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!?」
至って平気な様子の優春。ダメージもほとんど受けていないようだ。
「その程度・・・・・・・?じゃあ,今度は私の番ね。」
また優春が視界から消えた。

ズドドドドドドドド・・・・・・・・!!!

華麗なコンボを,パワースーツ並の力とスピードスーツ並の速さでキメている。
どんどんボロボロになっていく銀次。
「く・・・・・・・・うおおおおおおお!!!!」
電撃波を放つ銀次。
「サイコブロー!!」
優春もサイコブローを放つ。

ドン!!

互角の力で,双方とも掻き消えた。
「く・・・・・くそおおおおおおおおお!!!」
最後の力を振り絞って,プラズマを大量発生させる。
「あああああああ!!!」

ドドドドドドドド!!!

プラズマは優春に次々と当たっていく。だが・・・・・・・・・・。
「ぜぇ,ぜぇ,ぜぇ・・・・・・・・・・・・・・・。」
「それがあなたの最後の力のようね・・・・・・・なら,こっちもこれで終わりにさせてもらうわ。」
これでも無傷だ。ディフェンススーツを凌ぐ防御力すら兼ね備えているらしい。
サイコパワーをためていく優春。
「サイコクラッシュ!!!」

ゴオッ!!!!

凄まじい大爆発が起こった。パワースーツの最強技だ。
ミニサイズのクレーターが出来た。銀次も無事では済まないハズだ。
「ふう・・・・・・・・・やったかしら?」
銀次がボロボロの状態で倒れていた。意識がないようにも見える。
「やれやれね・・・・・・・・・さて,どうやったら戻れるのかしら?」
優春が辺りを見回した瞬間――――――――――――――。

バヂバヂッ!!

「きゃあっ!!な,何!?帯電量が・・・・・・・・・。」
過電圧でショートしそうなほどに帯電量が上がっている。
そして倒れていた銀次がゆっくりと起きあがり,閃光を放った。


カッ!!


バチィン!!
「・・・・・・・・・・まだ終わりじゃない。田中優美清春香菜。」
さっきとはまるで雰囲気が違う。
髪の毛は全立ちになり,顔も無表情になった。
(なに・・・・・・?この感覚・・・・・・血が沸騰しそう。)

ピッ。
銀次が優春に掌を向けた。と同時に――――――――

ドッ!!

雷が落ちた。何とか紙一重で逃れた優春。
「な・・・・・・・・?」

ドッ!!

「きゃぁっ!!」
今度はまともに喰らった。
「――――――――消えろ。」
「・・・・・・なんですって?」
「オレがこうなってしまった以上,あんたに勝ち目はない。消えろ。」
冷酷に言い放つ。
「ふ・・・・・・・・まだまだよっ!!」
起きあがってサイコブローを放つ優春。
「はっ!!」

ドッ!!

直撃した。だが50センチほど後ろに下がっただけだ。
「よせ・・・・・・・・これ以上オレを怒らせるな。」

シュゥゥゥ・・・・・・・

傷も修復しつつある。つぐみ並の回復の早さだ。
「く・・・・・・・・ええい!!サイコストーム!!」

バシュゥッ!!!!

竜巻が発生する。一直線に銀次を狙っていた。
「・・・・・・・・・・・・・やめろ。」
避けようともしない。

「やめろおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!」

ドオオオオオン!!

巨大なプラズマの柱が,銀次に立った。サイコストームも吹っ飛んでしまった。
「・・・・・・キエロ・・・・・・キエロ・・・・・・・」
「フッ・・・・・・・いいわ,これで終わりにしようじゃないのっ!!」
無謀にも飛び掛かっていく優春。だが,それも無駄だ。
「はあああああ!!」

ズドドドドドドドドドオォッ!!!

二つの凄まじいエネルギーがぶつかり合う。
だが初戦は狼と犬の喧嘩だ。勝負は見えている。

シュゥゥゥ・・・・・・・

「く・・・・・・・・・・・」
受けた傷は瞬時に回復してしまう。
それに対し,優春はダメージを受けまくり,スタミナもかなり減っている。

ドン!!

雷が直撃した。
「きゃっ!」
「消えろ!」

ドン!!

もう一発。
「消えろ消えろ消えろ消えろおおおーーーーーーーー!!!」

ドシャァァァァッ!!!!!

連続で雷を浴びせ続ける銀次。

「う・・・・・・・ぐ・・・・・・・・。」
何とか生きていた優春。しかしもうスーツ自体が負荷に耐えきれなくなりつつある。

ヒィィィ・・・・・・

「くぅっ!!??」
血液が沸騰するような感覚。これは・・・・・・・・・。
(これは・・・・・・・高周波・・・・・・電子レンジの原理・・・・・・・・!?
一体・・・・こいつ,何者・・・・・?私の手になんてとてもおえない怪物よ・・・・・!)
そう,今の銀次は正に,無尽蔵のエネルギーをもつ大量破壊兵器だった。

「そうだ――――――――――。オレは『雷帝』,無現城の支配者だ。」

ゆっくりと力をためていく銀次。
「くっ・・・・・・・・・・こっちも最後の技よっ!!」
急いで銀次から離れる。
エネルギーを最大に高めていく優春。

「サイコクラッシュ!!!!!」

ドウッ!!!!

遂に出た。ディフェンススーツの最強技。
飛び道具的な性能がある分,精神波攻撃の中でも最強だろう。


キン。


巨大な光が銀次から球状に広がる。サイコクラッシュも飲み込まれてしまった。
「な・・・・・・・・・・・・・・・」
優春も飲み込まれた。


「んあ〜・・・・・・・・・・・」
本当に隕石が衝突したような光景が広がっていた。
雷帝の力を全て放出し,元のたれ銀に戻っていた。
「さてと・・・・・・・・・奪還奪還,と。」

気絶しているだけで,脈はある。命にも別状は無さそうだ。
もう既に装甲は殆ど剥がれ,人工筋肉と機械類が剥き出しになっている。
「・・・・・・・・・・どうやって脱がせばいいのか解らないのです。
・ ・・・・・・・お!これかな?」

プシュゥゥゥ・・・・・・
手首のボタンを押すと,プ●グスーツのごとく,音を立ててブカブカになった。
足から思いっきり引っ張ると,シュルリと音を立てて脱げた。
プ●グスーツということは・・・・・・・・・・・・・・。

「ぶっ!!!」

鼻血を噴き出す銀次。
一糸纏わぬ姿の優春がそこにあった。
「って・・・・・・・・・鼻血を出してる場合じゃないのです。」
作業に取りかかる。
拘束具をはめ,髪をネコミミの如く立て(special thanks to かばちゃぱ&mao様),・・・・・・・・・・・・鳩鳴館の夏服を着せた。

辺りの景色が透明になっていく。
「あ・・・・・・・・・・奪還に成功したからか。」


「遅っせーぞ銀次!!!」
「ごめん蛮ちゃん,ちょっと手こずっちゃってさ。」
「優!あなた達・・・・・・・・・!」
「こ,殺しちゃいないよ。ちょっと気を失ってるだけで・・・・・・・」
「そうじゃなくて!その格好は何なのよ!!」
優のネコミミ制服姿を見て,叫んだ。
「これから一体何を始めるつもりなの・・・・・・・・?」
「へっ・・・・・・・・・・・まぁ,それは他の奴等が到着してからだ。」





the other side


あとがき

かばちゃぱサン&maoサン,たびたびすみません。
念のため,ネタ元は『PS専用ソフト スプリガン ルナヴァース』『OVA スプリガン』『アニメ番ゲットバッカーズ』『言うまでもない名作』です。

BGM:『薔薇色の世界』PIERROT


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