B−T−B HELLCHILD作 |
ズドォン!! アルバートの巨体が、地面を破壊した。 「どわっ!!」 間一髪で避けるアツシ。あと0,001秒ほど反応が遅かったら、下敷きとなっていただろう。 (こ・・・・こんな巨体で、ここまで身軽に動き回れるなんて・・・・・・・) 反則であった。200kg以上ありそうな巨体が、いきなりジャンプして襲いかかってくるのだ。 「はあっ!!」 「うぉ!?」 鋼鉄の脚が、間髪入れずにローキックを放ってくる。何とか後ろに下がって回避した。 「クソがあ!!」 キックを避けた瞬間、アツシは一気に前へ出た。 「どりゃどりゃどりゃあ!!」 秒間約10発の拳を放った。少し出っ張った腹が、拳の形に凹んでいく。 が、アルバートは蚊に刺されたほどの衝撃も感じていないようだ。 「フッ・・・・・・この程度か。」 「な・・・・・・・・・」 ゴッ!! アルバートのボディーブローが、アツシの腹部にヒットした。 アツシは思いっきり吹っ飛ばされた。豪速球の如きスピードだ。 20mほど後ろにある木に直撃した。恐らくトラックにでも跳ねられない限り、ここまで吹っ飛ばされることはないだろう。 「ぐっ・・・・・・」 アツシが衝撃に俯いている隙に、アルバートはブローニングM2重機関銃を構えていた。 「・・・・・・死ね、B−T−B。」 「げっ・・・・・・ヤベェ!!」 ドガガガガガガ・・・・・・・・!!! 無数の弾丸が地面を抉る。猛スピードで駆け出すアツシ。 「・・・・っきしょお!」 苦肉の策で、木の茂みの中に隠れるアツシ。だが・・・・ 「・・・・無駄だ。」 また銃撃が襲ってきた。しかも、アツシの居るところを正確に捉えている。 「な・・・・・何故だ!? 何故暗闇の中のオレの姿が・・・・・・」 「俺の両眼は人口眼球だ。貴様らと同じインフラヴィジョンを搭載した、な。」 弾は途切れることなく襲ってくる。暗闇に隠れても無駄。 このまま猛スピードで走っていては、その内スタミナが切れてしまう。その前に、アツシは賭けに出た。 猛スピードでアルバートに突進するアツシ。 「ぬぅおりゃああああああああ!!!」 ジャンプして、胸部にタックルを喰らわした。アルバートの体がバランスを崩す。 「ぬぅ・・・・・!!」 ドズゥン! そのままアルバートは倒れた。その隙に、アツシはマウントポジションを取った。 「いくら肉体改造狂でも、頭は改造できねーだろ。」 「く・・・・」 「・・・・・・これでキメるぞ。」 そして、アツシの両腕が見えなくなった。残像が微かに見えるだけだ。 凄まじい勢いでパンチを決めていくアツシ。アルバートはやられているだけだ。 が、いきなりアルバートの手がアツシの脚を掴んだ。 「な・・・・・・!?」 「フッ・・・・・・ぬかったな。常人だったら腕も封じられているだろうが、俺の体の体積は別物だ。」 確かにそうだ。普通は胸の辺りに乗って攻撃する体勢だが、慎重が3m以上あるアルバートの場合、顔にダメージを与えようとすると、鎖骨の辺りに乗る体勢になってしまう。衝撃に耐えられさえすれば、反撃も可能だろう。 アルバートは、そのまま立ち上がった。相当な体重のはずなのに、簡単に立ち上がったのだ。 「な・・・・・・何でそんな簡単に立ち上がれんだ!?」 「対B−T−B用に、特殊チューニングにしておいた。出力係数を普段の5倍以上に設定し、神経の伝達速度も850mに強化した。そしてその負荷に耐えられるよう、体の改造パーツ全体を取り替えたのだ。衝撃吸収板も最新型になり、従来の物の4倍の衝撃に耐えられるようになった。これなら流石のB−T−Bも歯が立たないだろう? さあ・・・・・・ゆっくりと痛ぶってやる。」 「ぐっ・・・・・」 「はああっ!!!」 バシィン! アツシの体を思いっきり地面に叩きつけた。地面に当たり、アツシの体が跳ねる。 「ぐはっ!」 血を吐くアツシ。相当な衝撃のはずだ。 「死ねェ!」 すぐさまアルバートのキックを喰らった。鳩尾にモロヒットだろう。 「があっ!」 「粉砕してくれるわぁ!!」 アルバートが腕を振り上げた。恐らく、渾身のストレートを放ってくる。 ダメージを喰らいすぎて、アツシは上手く動けない。仕方がなく、全力でガードしようとしたが・・・・ 「フンッ!!」 ボゴォ!! 「ぐあぁぁっ!!」 ガードごと吹っ飛ばされた。更に、ガードを突き抜けてダメージを顔面に喰らった。 アツシの体が、また後ろの木に激突した。今度は17mほど吹っ飛んだろう。 バキッ! あまりの衝撃に、衝突した木が折れた。ここまで来ると、前面だけでなく背面からのダメージも相当な物だ。 「ぐっふ・・・・・・ぅ・・・・・・お・・・・・・」 「・・・・・意外と脆いものだな、B−T−Bよ。」 「ぐ・・・・・ま・・・まだ、終わりじゃ・・・ねぇ・・・・・・・」 「終わらせてやるさ。俺の最終兵器でな。」 アルバートが、銃を取り付けていない方の掌をアツシに向けた。すると・・・・ ジジ・・・バジッ、ジジ・・・・・・ 掌が帯電している。やがてそれが集中していき、一つの巨大な光球になった。 (ヤ、ヤベぇ・・・・・・・!!) 危険を感じ取ったが、あまりのダメージで思うように身動きがとれない。 (く、くっそー!! 動けよ、オレの体だろうが!!) 「終わりだ・・・・・・・さらば、アツシ・サクライ。」 その光球が、アツシ目掛けて放たれた――――――――――――― ズドォォン!! 大爆発が起こった。ナパーム弾の数倍程の威力だ。 「・・・・・・・・・よく避けたな。」 「ヘッ・・・・オレの反射神経とスピードを舐めないでくんない?」 そう言いつつも、殆ど余裕がないのも事実だった。体力はアルバートの攻撃でかなり削られてしまった。 「それにしても・・・・・・・・大した武器じゃん。」 「新型兵器“プラズマクラッシャー”だ。これも対B−T−B用に製造された物だ。いくらB−T−Bといえども、コイツを喰らえば肉片も残らない・・・・・・・さあ、地獄へ堕ちろ。」 そう言って、また掌を向けてきた。チャージの速度がさっきよりも速い。 「・・・・っきしょぉ!!」 「死ねぇ!!」 立て続けにプラズマを放ってくるアルバート。何とか猛スピードで回避するアツシ。 だが、段々とアツシの息が切れてきた。もうそろそろスタミナ切れだ。 (ぐ・・・・・・んのやろぉ・・・・・・・) 段々とアツシの目が霞んでいく。視線の焦点も定まらなくなっている。 その隙を突き、アルバートが突進してきた。肩をこちらに向けている。 「粉々になれ!!」 へヴィ級ボクサー何十人分の体重と、サーキットカーの如きスピード。常人なら肉片に化けかねない。 「があっ!」 全力のショルダータックルを喰らった。最大速度の大型トラックでも潰れてしまうだろう。 バキバキバキ・・・・・!! 何本もの木を突き抜けて、6本目あたりで止まった。 もう既にアツシの体は動かなくなっていた。限界が来ている。 「・・・・・・・本当の力は発揮しないままか?」 「本当の・・・・・力・・・・・・・?」 「とぼけるな。貴様らB−T−Bにはそれぞれ隠された超能力があると聞く。その力を最大限に発揮し、かつて米軍の一個師団を壊滅させたのだろう? それだけの力を発揮しないまま、なぶり殺されて終わりか?」 「・・・・・・・あんた如きに使うまでもねえよ。」 「ほう・・・・・・・・・ならば、死ね。」 へヴィ級なクセに、ライト級のスピードでラッシュをかますアルバート。アツシも必死で回避する。 「はああ・・・・・・・・」 一旦距離を置き、掌を帯電させるアルバート。今がチャンスだとアツシは睨んだ。 「ぐぅおりゃあああ・・・・・・!!!」 何と、折れた木を持ち上げた。そして更に木を、やおらアルバートの方にブン投げた。 「ふん、この程度など!」 だが、その木もブローニングで粉々にされてしまう。しかし次の瞬間、アツシがアルバートの目の前に現れた。 「な・・・・・・」 「アニイ直伝粉砕絶叫滅殺最強正拳突きぃ!!」 アルバートの鼻面に、アツシの拳がめり込んだ。が、それほど堪えてなさそうだ。 「げっ・・・・・・・・!!」 「・・・・結構痛かったぞ。お返しだ。」 ゴン!! 何とチョーパンでアツシを叩き落とした。また地面に叩きつけられるアツシ。 「ぐはあ・・・・・・・!」 もうそろそろ体力に限界が近いようだ。息切れが激しい。 アルバートの方は、エネルギーチャージが完了したようだ。これまでにない大きさの光球が出来上がった。 「さらば、B−T−Bよ!!」 ズドォォン!! 大量の火薬を積んだ爆撃機が墜落したら、恐らくこの位の威力だろう。 煙に包まれて見えないが、恐らくアツシが粉々に粉砕されたはずだ。 「・・・・・・・・意外とあっけなかったな。」 ・・・・・・が、段々と煙が晴れてくると、アツシの姿が確認できた。しっかりと立っている。 「な・・・・・・・・・あれを喰らって生きているだと!?」 生きているだけではない。しっかりと大地を踏みしめて立つその姿は、凄まじい覇気を放っていた。 アツシの体は、黒い光に包まれていた。体中が不気味に輝いているかのようだ。 「・・・・・・・・あんたを少々見くびっていたようだ。」 口調はいつもと変わらないはずなのに、どこか言い知れぬ殺気を帯びている。 「あんまり‘こいつ’を使っちまうと、みんな一瞬で死んじまうからな。だが、あんたのタフさだったら大丈夫だろう・・・・・・・・・ちょいとマジモードで行くぜ、覚悟しとけよ。」 そういうと、アツシは右手を天にかざした。 「汝、今こそ我が手に降り立て・・・・・我が守護神(ガーディアン)よ。」 ――――――――――キン。 「うおおっ!?」 あまりの眩しさに、アルバートは顔を覆った。 そして、段々と光が収まってきた。アルバートはゆっくりと目を開けた。 (・・・・女・・・・・? ・・・・・・あの黒い双翼は・・・・・・・・) そう、そこには美しい女が居た。短い黒髪をたなびかせ、一糸纏わぬ肌を黒い翼で覆っている。 「・・・・・・・・・汝、変われ。」 その言葉に反応したかのように、黒翼の女は形を変えていった。体中が融解し、やがて剣の形を形造っていく。 「・・・・・・サシの勝負で‘これ’を使わせた奴は、あんたが初めてだ。誉めてやるよ。」 その手にはアツシの身長と同じ位の、ツヴァイハンダーの如き大剣が握られていた。漆黒の刀身がメタリックな鈍い輝きを放ち、柄の部分が女性の裸体を模している。ちょうど腹の部分をアツシの手は握っていた。 「これは魔剣『タナトス』・・・・・・魔力を持った剣だ。こいつが出た以上、あんたに勝ち目は無いと思った方が良いぜ?」 「ふん・・・・・・それはどうかな!?」 掌をアツシに向けるアルバート。もう一回プラズマを放つ気だ。 「今度こそ死ねぇ!!」 さっきと同等の大きさのプラズマだ。だが、アツシは一歩もその場を動かない。 ズドォォン!! 今度こそやられたか、そう思いきや・・・・・・・・ 「・・・・・・無駄だ。」 「何!?」 アツシの半径1m以内は、紅いドーム状のバリアに包まれている。 オーロラの如く輝くそれは、正面に向けた剣の切っ先から放たれているようだ。 「物理的攻撃じゃあ“タナトスの障壁”は破れないぜ。」 「くうぅっ・・・・・・おのれぇ!!」 アルバートが飛び掛かってくる。凄いスピードだ。 アツシは両手で剣を握りしめ、そして前へ踏み出した――――――――――― ガギィン!! 直下降に剣を振り下ろした。二人は交錯し、そして・・・・・・ 「な・・・・・・馬鹿な!! お、俺のブローニングが!!?」 ブローニングM2重機関銃を切り裂いていた。凄まじい切れ味らしい。 「そんなのは只の物理攻撃だ。こんな事だって可能だぜ?」 突然、剣が黒く発光しだした。まるで闇そのものを纏っているかのようだ。 「うおりゃあ!!!」 ドゴォン!! 「な・・・・・・・・・・!?」 剣がアルバートの腹部を切り裂いた。と同時に、真っ黒な爆炎が巻き起こった。 爆炎には衝撃吸収板も耐えられないようだ。機械組織が剥き出しになる。 「“タナトス”の魔力・・・・・・・・そいつを爆炎に昇華した。」 何だかFF化してきた。しかし、強いことに変わりはない。 圧倒的物量攻撃がメインのアルバートに、もはや勝ち目はないのか。 「諦めな。もうあんたに勝ち目はない・・・・・・・さっきの攻撃に反応できない時点で、オレの相手は無理だ。」 「ぐぅ・・・・・・・・・・・・・・!!!」 唇を噛み締めるアルバート。そして、突然心臓の辺りを掻きむしった。 やがて心臓の部分の装甲を突き破り、中にある回路を弄り始めた。 「な・・・・・・・・・!?」 その異常な行動に、目を見張るアツシ。 「フザケルなあああぁぁぁぁ―――――――――――――――――!!!!!」 見る見るうちにアルバートの顔が紅潮していく。機械の両腕と両脚が突然スチームを発した。 「な・・・・・何だ?」 「ぐはははは・・・・・出力係数を17倍まで引き上げた・・・・・これで貴様にも勝ち目は無い!!!」 さっき弄っていたのは、出力回路だったらしい。 「フヌゥおあああ――――――!!!」 突然飛び掛かってきた。さっきよりも数段速い。 「なっ・・・・・・」 「ガアアア―――――――――――っ!!」 物凄いスピードでラッシュを放つアルバート。腕を振るだけで風圧が起こる。が、それだけでは只の扇風機だ。 「クソがぁ!!」 一瞬の内に3発の斬撃を放つアツシ。3つの爆炎が起こる。しかし、アルバートは堪えた様子を見せない。 「ウゥオオオオ―――――――――ッ!!!」 全く怯まず襲いかかってくる。しかし、見た限りでは理性をほぼ失っている。 ボンッ! 突然、アルバートの肩が破裂した。それと同時に、体の至るところがスパークしかけている。 (なっ・・・・・・・野郎、まさか・・・・・・・) 「死ねええ――――――――――っ!!」 フルパワーのパンチが地面に炸裂した。その力は、小型隕石並の威力だ。地面に大穴が空く。 パンチをかました方の手が、またスパークした。グロテスクな人工筋肉が剥き出しになる。 「もうよせ! 体が負荷に耐えられなくなって来てんじゃねーか!!」 そう、アルバートの体には負荷が大きすぎるのだ。しかも只でさえアツシにダメージを加えられた体だ。傷物のジェッティングのバイクにニトロを積むようなものである。 しかし、アツシの訴えは届かなかった。完璧に頭が逝かれてしまっているのだ。 「殺ス!!」 掌をアツシに向けた。プラズマを放つ気だ。 「必ず殺ス!!!」 ズドオオオン!!! さっきまでの数倍の威力だ。しかも連続で放ってくる。殆ど絨毯爆撃に近い。 これだけの攻撃を放って、アルバートの体に負荷が掛からないわけがない。既に体中がスパークを起こしていた。 「ったく・・・・・・ブタちゃんがよぉ。」 アツシは剣を握りしめ、前へと踏み出した―――――――――。 「殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス、殺ス!!」 もはや彼を止めるには、倒すしか無い。彼は狂気に満ちた眼をしていた。 「やめろって・・・・・・・・・・・・・・・言ってんだろーが!!!!」 ドゴオオオオオン!!!! 0,03秒の内に、17発の斬撃を放った。両手脚を完全に破壊し、胴体も粉々に粉砕し、出力回路も破壊した。 アツシの足元には、アルバートの頭が転がっていた。首だけになっても、まだ生きている。 「まだ・・・・・・終われない・・・・・・勝つのは・・・・・・俺だ・・・・・・」 「哀れな奴だ・・・・・・・・・そんな姿になってまで、強くなりたいのか?」 「最強は・・・・・・俺だ・・・・・・」 「・・・・・・・・・・・・いいだろう、トドメを刺してやるよ。」 |
あとがき プラズマって、改造教師オオ●キかい。イオンVSトール戦の予告のつもりかよ、俺。 というわけで、当初は予定の無かったイオンが参戦いたします。何か途中で出そうと思ったら、どんどん構想が膨らんでいっちゃってw。 尚、タナトスについては謎が多いですが、この次の作品辺りで説明が出てくるかと。 ちなみに短い黒髪の女というのは、win版想君のパッケージの彼女というのはナイソ(ぇ 文華VSヒサシ戦も、かなり凄いことになっておりますので、ご期待下さい。 BGM:『タナトス』BUCK−TICK |
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