※この作品は同作者のSS『I Wish 〜永遠の愛情〜』を一読しなければ分からない点があります。
お手数ですが、一読してからご覧下さい。


浪漫酢の神様

                             レイヴマスター


予告編


━━━倉成武は思った。
『今年は家族で海に行きたい!というか、つぐみの水着姿が見たい!!』
男としての欲望が爆発しかけている武であった。


【以下、武視点から進みます】

とはいえ、そうそう簡単に事は運べない。
つぐみの体は極端に紫外線に弱いのだ。知ってるだろう、画面の前のBW諸君?
それをどうにかしない限り、海でENJOYどころか、一緒に私服で買い物すら出来ない状況なのだ。
切ない、切なすぎる!愛妻とともに楽しい休日すら過ごせないこの生活!!
かといって、優には頼めない。
『紫外線カットクリームを作ってくれ』なんて言ったら、それ口実といわんばかりに何かヤバい薬を開発しそうだ。
つぐみの身を未知の恐怖に晒すわけにはいかない。
空も同様だ。なまじ加減を知らない分、優より厄介かも知れない。
桑古木?あいつにそんなものが作れるとは思わない。
炉とMな奴には無理に決まっている。(ヒド)
しかし、俺にも開発不可能だ。そもそも資金と工房が無い。さて、どうするか……。
………。
…………。
……………ピッコーン!(古典的表現)
その時、俺の脳裏に一人の人物が思い浮かんだ!



「それで…僕の元へ来たと?」
「ええ。こんな事頼めるのはタカさんしか居ない!と思いまして」
俺が思い浮かべた人物。その人は以前つぐみが小さくなってしまった際に助力を仰いだこの人、阿師津隆文ことタカさんである。
優の医学の師であり、天才と謳われるこの人ならば、あるいは…と思って足を運んでみたのだ。
「タケ…君って奴は……」
う…?も、もしかして逆鱗に触れちゃったか?阿師津さんて結構倫理とかに厳しそうだし……。
「す、すみません!やっぱりこの話は…」
「…何て良い奴なんだ!」
「は、はい!?」
阿師津さんは突然俺の手を握るとだばだばと滝の様な涙を流していた。
脱水症状起こすんじゃないか?と心配してしまう程の勢いだ。
「つまり、アレだろ?今のままでは作れない、夏の海での家族の思い出を作りたい!そのために僕に頼みに来たと!!」
「え、ええ…まあ…」
どこをどう曲解したのか不明だが、どうやらそういう事で納得したらしい。好都合ではあるが。
「少し待っていてくれ。速攻で作り上げるから!」
白衣を翻し、タカさんはラボへと消えていった。


「…というわけで、これがその特殊クリームらしい」
紫外線を99.99999999999999999%カットする上に、つぐみの肌と同じ色で体の傷痕も目立たなくする。
しかも塩分と化学反応を起こし、海に入ってもクリームが流れない様にした…という、何とも素晴らしいご都合主義なアイテムだ。
「いくら阿師津さんの作品とはいえ…疑わしいわね」
つぐみも、やはりすぐには信じられないらしい。余りにも万能過ぎるからだろう。
それならば、小実験だ。


翌朝。都合良く休日かつ晴天だったので、ベランダの日よけに俺とつぐみは座っていた。
つぐみは今、その白く綺麗な右腕を陽の元に晒していた。もちろん、例のクリームを塗って、だ。
いきなり全身ではアレなので、片腕による実験を試みている、ということである。
「………」
タカさんへの信頼はある。だが、不安は払拭しきれないようだ。
俺の手を握るつぐみの左手は、震えていた。


実際は1時間にも満たなかったが、俺達には無限に続くかのように感じられていた時が過ぎ。
つぐみはそっと、右腕を引いた。
「……どうだ?」
見た目に問題は無い。つぐみは確かめるように2、3回掌を握り、開きを繰り返し…
「…うん。大丈夫。何とも無いわ」
「そ、そうか!やった、やったぜ!!」
ちなみに塩水で流そうとしても、肌にくっついたかの様に離れず、普通の水道水で軽く洗ったらあっさりと落ちた。
タカさんの腕は本物だった。
「これで…家族一緒に海で楽しめるな」
「ええ…良い思い出、作りましょ」
俺とつぐみは顔を見合わせ、微笑みあった。


その時、俺達は気がつかなかった。
垣根の向こう、水羊羹を手に立ち聞きしている優の存在に……。


━━━そして、夏がやって来る。


『浪漫酢の神様』本編━━━7月上旬完成予定。



あとがき


来ます。夏が。Ever17が発売してから、初めての夏らしい夏が!
そして、書かずにはいられない!『海ネタ』!!!
『I Wish〜』の阿師津さんは今回のこの為に居たといって良いのです!!
しかし、性ホルモンの分泌が出来ないのに、あんなご都合主義なアイテム作れるなんて一体ど(以下削除)
この作品、15禁になりそうな勢いで作成するつもりな、少し暴走気味のレイヴでした。
ではでは♪

口ずさみソング 『RIVER』 (石井竜也)


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