第一回倉成争奪戦in忍者村
                              NONAME


〜二日目変〜


 旅行に来てから二日目の朝……
 俺は目を覚ました、いや正確には『意識を取り戻した』がいいかもしれない。
 つぐみの寝ぼけボディーブローを喰らって1時間後のことだった。
 やはりいつものボディーブローは手加減してたのだろうか?
 今回はいつもの比じゃないほど強烈だった。

「どうしたの、武?朝も遅かったし……」
「…………」

 寝ぼけたお前に昏倒させられたんだよ!!
 常人だったら骨の一本ニ本は軽く粉砕されてたっての!!

 そんな事を思いながら俺は朝食を口につけた。
 人様が作った飯なんて久しぶりだ。
 家では常に俺が台所の主だからな、つぐみも徐々に上達してきてはいるがまだ俺の領域には遠い。
 さらなる修行が必要だぞ!我が愛弟子、つぐみん!!

 ……って話がズレてるじゃないか、話を戻そう。
 とりあえず今は朝、俺は朝食を食べている。
 今日は忍者村へ行くんだったな。
 俺は事前に入手しておいたパンフレットを広げる。
 どうやら忍者村はテーマパーク風の施設と忍者修行体験の施設に分けられているみたいだ。

「結構変わってるな、忍者村って……」
「そうなの?」

 つぐみが俺の手からパンフレットを取り上げる。
 しばらくパンフレットを眺めていたが不意に表情が変わった。

「どうした?」
「…………」

 つぐみは黙ってパンフレットのある場所を指した、そこには……

『忍者村オーナー、田中 優美清春香菜よりコメント』

 そのすぐ下には白衣のままの田中先生が写っていらっしゃるじゃありませんか。

「やっぱりアイツの仕組んだ事か……」
「と言うかいつの間にオーナーに……?」

 俺達は呆れて溜息をつくだけであった。
 しかしこの旅行の波乱(俺限定)はまだ始まっていなかった……


 朝食を食べ終え、俺達二人は他の奴らと合流した。
 そして話し合いの結果、今日はテーマパークで遊び、明日は体験施設に行く事にした。

「っていうかさ、忍者風のテーマパークって何よ?」

 俺が優に尋ねた。

「まぁ、色々よ。……それより、一緒に回らない?」
「ん?みんなで回らないのか?」
「それも悪くないけど、あの子達の仲を進展させてあげようと思わない?」

 そう言って前を歩いているホクトとユウを指す。

「それなら、あの二人だけ別行動とらせればいいじゃない」

 いきなりつぐみが乱入してきた。
 しかも俺を自分の方に引き寄せる。

「…………」
「…………」

 その時、俺はその二人のバックに修羅を見た。
 目から火花を散らす二人の姿は恐ろしいものであった。
 しかし、もっとも危険なのはその被害を被る俺である。
 ああ、コラ! ホクトに沙羅!! 何事もないかのように無視すんな!!
 桑古木!! テメェ、その哀れむような顔は何だ!?
 ココ!! 手と手と合わせて「な〜む〜」とかしてんじゃねぇ!!!

 結局、その場はなんとかしのげた(奇跡的に俺に身体的外傷はなかった)がこのまま何事もなく済む
保証はない、っていうか無理だろ。
 片や長年、ライプリヒを相手にしていたキュレイキャリアのつぐみ。
 こいつのボディーブローは鉄板をも砕く(はず)!!
 片や元暴走族(仮)で、そのライプリヒを潰した張本人の田中 優美清春香菜。
 その異常な程の権力とキュレイの力で世界を蹂躙する(かも)!!
 そんな二人が殺りあったら――

 『とばっちりを受けて俺、再起不能』 『忍者村崩壊』

 ええ!? これ、ルート選択なのか!?
 しかもどっちもありえそうだな……って不吉すぎるわ!! 誰が選んでやるか!!
 頼むから入院だけは勘弁してほしいなぁ……


視点変更―田中 優美清春香菜―

 まったく、つぐみってばせっかくの機会を邪魔して…!
 ……まぁ、いいわ。
 ここは私の息のかかった忍者村、今日の為にどれだけ仕掛けを施したことか……

「ちょっと、空」
「なんですか、田中先生?」
「みんなが入場したら速攻で『アレ』を使うわよ」
「え? 『アレ』ですか……? いいですけど……本当に大丈夫なんでしょうか?」
「失敗すればまた別の手があるわ、大丈夫よ」
「そうですね、成功の暁には……」

 空が不敵に微笑む。

「わかってるわよ、皆まで言わなくても……」
「うふふふ……」
「ふふふふ……」

そして私達は揃って声を出して笑った。

「お母さん達……怖いよ……」

ユウがそんなことを言うが私達はお構い無しに笑い続ける。


視点変更―小町 つぐみ―

 笑ってる……何なの、あの二人は?
 とにかく、あの顔はロクな事考えてないわね。
 そして目標はおそらく武……

「ねぇ、武」
「ん? どうした?」

 武は自分が狙われていることをわかってないはず……私がなんとかしないと……

「大丈夫、武、あなたを死なせはしない」
「はぁ?」
「大丈夫、私は……死なない」
「待て、コラ!! それは俺の決めゼリフだろうが!!」

 そう、私が何とかしないと……


視点戻して―倉成 武―

「いいか?そのセリフはだな、俺の生き様を体現しているといっても過言じゃない。
そのセリフで全国のBWは泣き、感動し、俺を漢と呼び称えてくれているんだ。そのセリフはKID最強主人公の称号なんだ!!」

 俺はつぐみに「俺は……死なない」の何たるかを説いている。
 しかし当のつぐみは何か考え込んでいて全く聞いちゃいない。
 はぁ……なぁ、BW。お前ならわかってくれるよな?

「パパ〜♪早く早く〜〜♪」

 前方から沙羅の声が聞こえてくる。
 気がつけばもう入場口の近くまで来ていた。
 俺は四人分のフリーパスを提示した。
 関係ないが作者は小学生の時、某遊園地でフリーパスを購入したはいいものの身長制限の所為で乗れないアトラクションが多かったそうな。
 情けないことこの上ないな。
 ちなみに優達は顔パスだった。
 まぁ、オーナーなんだから当然と言えば当然か。

「さて、じゃあここで一旦解散して自由行動。昼頃ここに集合でいいか?」
「うん、じゃあ行こうか。優、沙羅」
「じゃあまたね〜。パパ、ママ〜♪」
「お母さん、なるべく何するのかは知らないけど穏便にね……」

 そう言って三人は何処かへ行った。
 結局、ホクトはユウと沙羅と一緒に行くとこにしたらしい。

「…………」

 残ったのは俺、つぐみ、優春、空、桑古木、ココの六人。
 しかもみんな何故か黙っている。

「……いくわよ、空」
「わかりました!」

 優春と空が小声で何か話している。

「科学忍法! RSD分身の術!!」

 いきなり、空が意味不明な言葉を発した。
 沙羅の忍者かぶれにやられたか?
 などと思っていると突然、視界一杯に俺と優春と空が現れた。

「RSD!? こんな仕掛けを仕込んでたのね!!」

 つぐみがそう言いながら俺の腕を掴んで走り出した。
 すぐ隣にいたから本物の俺はすぐ確認できたらしい。
 しかしこの忍者村のどこに半導体レーザーの照射装置なんてあるんだよ……

「やっぱり、この程度ではダメでしたね……」
「次の作戦に移行するわ。行くわよ、空!」
「はい!」

 そう言って二人も駆けて行った。
 残った桑古木とココは……

「え〜と……一緒に回ろうか、ココ」
「そうだね、そうしよっか」
「なんだか俺達、地味だよなぁ……」
「そうだねぇ……」
(でも、おかげでココと二人きりで回れるぞ! ありがとう武!! 骨は拾ってやるからな!!)

 そうして二人仲良く忍者村を回ったらしいが、それはまた別のお話……


「く……やっぱり、追いかけてくるわね」
「って言うか逃げる必要があるのか……?」
「大アリよ!!」

 そう言ってさらに強く俺の腕を掴む。
 さらにその速度を上げていく。
 こういった状況はエルストボーデン以来だ、って言うかまだこういう状況に陥るんだ、俺って……

「流石、つぐみ! まだスピードを上げることができるなんて!!」
「長年、ライプリヒ相手に逃げていただけはありますね」

 後方から優春と空が叫んでいる。
 舌噛んでも知らんぞ……

「しかし、それもここまでよ! 出でよ、忍者軍団!!」

 優春の掛け声と共に忍者姿の人達がわらわら出てくる。
 よく見ると胸には名前の書かれたプレートが……って係員かよ!!
 しかも優達はその光景を傍観してるだけだし……

「お前が倉成武か、我らが田中先生の為にその身を捧げるがいい!!」
「誰が捧げるか!! てか、お前ら誰だよ!! どうせ名も明かされないキャラなんだろうけど……」
「馬鹿にするな!! 我らは……」

 そう言いながら何故か戦隊モノ風なポーズをとりながら叫ぶ。

「俺の名はショーゴ!!」
「俺はシン!!」
「そして自分は……」
「「マグローだ」」
「ち、違うっす!! 自分はマグローじゃないっす!!」
「「いんや、お前はマグローだ」」

 そんな会話が何回もループし続ける。

「なぁ、アレは無視してもいいんじゃないか?」
「そうね……」

 再び俺とつぐみは駆け出す。

「あっ!! 待て!! 我ら忍者軍団三人衆から逃げられると思うな!!」
「そのとおりだ!! さっさと田中先生のモノになれ!!」

 武とつぐみは回り込まれた!!
  
 ……何だ? 上のメッセージは……?

「仕方ない、そんなに俺の身柄を確保したいなら相手になってやろう」
「お、ノリがいいな」
「まぁ、ここらで俺の主人公っぷりを全国のBWに見せてやらんといけないからな。
で、誰が相手になるんだ?」
「よし! いけ、マグロー!!」
「結局、最初は自分なんすね……」

 そしてマグローとか呼ばれている奴が前に出てきた。

「まずはお前か……え〜と…まぐろだっけ?」
「違うッス! 違うッス!!」
「まぁ、そんな事はどうでもいい。俺は鮪と聞くと調理したくなってしまう性分でな……」

 そしてどこからともなく柳刃包丁を取り出す。

「え!? ちょ、ちょっと待つッス!! う、うわわわぁぁぁ〜〜〜!!!」

 そして俺は(以下グロテスクな為、検閲削除)

「はいよ! マグローサンドお待ち!!」

 そしてそれを残り二人の前に差し出す。

「哀れ、マグロー……」
「せめて俺達の血肉となって生き続けてくれ……」

 男泣きしながら二人はそのサンドを口に運ぶ。
 しかし、よくあんなもん口にできるな……まぁ、ギャグだから問題なしか……

数分後……

「う……腹の調子が……」
「ト、トイレトイレ……」

 まぁ、あんなもん喰ったら腹壊すわな。
 その後、近くのトイレから「たはー」という奇妙な声が聞こえ続けたとかなかったとか……

「ふっ、まぁこんなもんよ」

 大体、作者は想君を友人から借りたはいいがその数日後にメガテンが発売したからって全エンディングを見ずに返したような奴だからな、
そんな奴がまともにお前らを動かせるわけがないのさ。

「ちょっと! 何で武まで逃げるのよ!! そんなに私のものになりたくないわけ!?」

 今まで傍観してた優春が叫びだす。
 
「いや、それ以前に命の危険を感じるから……」
「そう……そんなに私と一緒になるのが嫌なら……」

 そう言いながら何か取り出す。

「あなたを殺して私も死ぬわ!! ポチっとな!」

 おお、優春もその掛け声を使うのか……って何、危険な発言しとんのじゃーー!!

「もうすぐ忍者村は爆破するわ……そして私達はここと共に華麗に散るのよ……」

 ヤバイ! 優春が何処かにいってしまった!!
 隣にいる空も困惑している。

「爆破オチ……今時、こんなネタ使う人いたのね……」

 つぐみ!! お前ものん気な事言ってんじゃねぇ!!

「とにかく逃げるぞ!! 空、お前も優連れて早く逃げろ!!」
「わかりました! さぁ、田中先生!!」

 そして俺達は愛の逃避行……じゃなく、爆破に巻き込まれないように必死で逃げて、逃げて、逃げまくった。
 途中、さっきの三人組が爆発に巻き込まれていたが……どうでもいいことだな。

 後日、忍者村爆発は新聞に大々的に取り上げられていた。
 奇跡的にも死者、怪我人共に0。(どうやらあの三人は数にカウントされなかったらしい)
 俺達は優春達と共に残っていた一日も泊まらず、逃げ帰って来たという訳だ、ちゃんちゃん。
 
 ってこんなオチでいいのかよ、作者!! 笑えねーぞ!!



あとがき

待たせといてこんなオチ……
すいませんすいません、すいません!!(深く土下座)
今後はもっとマトモなやつを書けるようにしますのでどうかご容赦を……

しかし自分はギャグ体質だしなぁ……もっと笑いの境地に辿り着けるようにならないと……
では、次回作(未定)に御期待して下さい〜〜。
(誰も期待してないよ、お前みたいなへっぽこ作家に)←自分の中のBWの声  


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