※この作品は壊れている感が否めません。
  純粋な御心を持つ方は控えたほうが無難かもしれません。












その日は快晴、しかし風は強く、肌寒い一日だった。
 ここは某住宅街の一角にあるその近辺で一番の高級住宅である。
 そしてその家のリビングにて、史上最大の夫婦ゲンカが始まろうとしている!!

喧嘩の理由とは結構、低俗だったりする話
                              NONAME


「今回ばかりは譲れんぞ、つぐみ」

 倉成武は腕を組み、仁王立ちになりながらつぐみに向かって言い放つ。

「私もよ……こればっかりはあなたと意見が合わないようね」

 やや翳りの見える表情でつぐみが言う。
 しかし、その表情に妥協という言葉は伺えなかった。

「はぁ、お父さんたちも少しは周りを考えて喧嘩してよね……」
「そうでござるなぁ……毎回毎回、リビングの備品を避難させる拙者達の身にもなってほしいでござる」

 愚痴を言いながらも二人はせっせとソファやテレビやらを部屋から出していく。
 以前も一度だけ武とつぐみが一歩も引かない状況があった。
 いつもならつぐみの一撃で終わってしまうのに、だ。
 その時は備品の撤去をしなかったためにリビングは破壊の限りを尽くされたのだった。

「よいしょっと……これでいいかな……お父さん、お母さん。あんまり壁とか穴空けないでね」
「じゃあ、拙者達はなっきゅ先輩の家に遊びに行ってくるでござる〜♪」

 そう言って沙羅とホクトは喧嘩のとばっちりを受けない為に避難……もとい、優秋の家に行ってしまった。
 そして、家にいるのは武とつぐみ、後はチャミだけであった。
 沙羅とホクトがいなくなっただけで家全体の空気が重くなったようであった。
 実際問題、子供たちがいなくなって先程よりも激しい睨み合いが展開されてはいるのだが、それを唯一知っているのはチャミだけであった。
 
「いくわよ……」
「ああ……」

 それが第二回キュレイ最強決定戦(?)の始まりのゴングであった。

「ふっ!」

 先に仕掛けたのはつぐみだった。
 キュレイによる運動能力の向上により一足で武に一撃を加える事の出来る間合いに入り込んだ。
 もちろんその移動速度は常人の比ではない。
 間合いに入ったその刹那、つぐみの拳が武のボディーを捉えた。
 室内に肉と肉がぶつかる音がし、完全につぐみの拳が決まった。
 しかし――
 
「やっぱ、少しは痛いな……」

 武は立っていた。
 いつもなら地に堕ち、腹を抱えて悶えるはずだった。
 しかし今回は違っていた。
 
 武は確信していた。
 自分とつぐみ、サピエンス種の場合ならまず間違いなく腕力も体力もある自分に分がある。
 しかし自分達はキュレイ種、しかも自分のキュレイはつぐみから感染したもの、完全なキュレイ種であるつぐみとはやはり力の差が生じてしまう。
 恐らく総合的な戦闘力はつぐみの方が上であろう。
 しかし如何に完全なキュレイでも自分が護りを固めれば一撃では仕留める事は不可能。
 故に武はつぐみが先手を打ってくるのを予想し、ボディーへの一撃を腹筋を締め、防御したのだった。

「悪いが、つぐみの攻撃は護りを固めた俺には通用しない!」

 武がつぐみの腕を掴みながら叫ぶ。
 今までのやられ役が嘘のようだ。

「永遠の20代、漢気一本投げえぇっ!!」

 脳内をマイクロウェーブでやられたようなネーミング0の技を叫びながらつぐみを投げ飛ばす。
 ネーミング云々はともかくとして、つぐみは宙を舞い、壁際まで吹っ飛んだ。
 しかし、つぐみは身体を捻り見事な着地を披露する。
 無論、身体的外傷は皆無である。

「やっぱり貴方ってただのやられ役じゃないわね」

 不敵な微笑を浮かべながらつぐみが囁く。

「当然だ、一体今までに何回おまえの攻撃を喰らったと思っているんだ?」

 武はその時――
『今まで反撃しなかった自分に乾杯』
 などと思っていたがそんな事は今回とは一切関連性はない。

「私の攻撃パターンはお見通しって訳ね……でも、私に引く事は許されないの!」

 そう言い放つとつぐみは再び武に向かって駆けた。
 しかし今回はすぐに攻撃を加えない。
 武の周りをフェイントをかけながら俊敏に動き回っている。

(俺の不意を突くつもりか……
 やはり、ライプリヒと渡り歩いていただけはある。その経験の差は簡単には埋められないか……)

 自分の周囲を廻るつぐみの気配を辿りながら武は思った。
 無闇に相手に手を出せばカウンターが還って来る。
 しかも相手は百戦錬磨のつぐみだ。
 一瞬の不注意が敗因となる可能性は極めて高い。
 しかしこのままでは一向に決着はつかない、つぐみも長期戦は避けたいだろう。

(もうすぐだ……じきにつぐみは動く。その時が勝負の分かれ目だ!!)

 武は身構える。
 つぐみもこちらの意志を察知したのか動きが先程より変則的になる。

 そして勝負の時は来た。

「はぁっ!!」

 つぐみは武の正面から攻めてきた。

(来たっ!!)

 武は攻めてくるのと同時に両手でボディーを守った。
 このままガードし、一気に勝利を掴む。
 そのつもりであったが……

 比喩的表現『トライアングルを鳴らす』

「ぐはぁぁーーーっ!!!」

 そして武はいつも通り地に堕ちた……
 いつもと違うのは押さえている場所が違うという差異はあったが……

「悲しいわね……」

 武は最後にその一言を聞いて意識を失った……


 武が目覚めたのはそれから数時間後だった。
 
「ん……ここ…は……?」
 
 しかし、そこは先ほど気絶したリビングではなかった。

「おはよう、武」

 不意に横から声が聞こえた。
 声の主はつぐみだった。

「つぐみ……?」
「よかったわ、起こす前に気が付いてくれて」

 一瞬、つぐみの言動を理解できなかった。
 よく見ると自分は大きめのソファに縛られていた。

「本当は無理強いはよくないのは分かってるの……」
「え?」

 武が当惑している内につぐみは手にした何かを押した。
 すると正面のテレビの電源が入り、ある番組が始まった。

「でも……武も一緒に見ましょう。『タモルのグッジョブ〜胸八手この仕事〜』♪」

 その時のつぐみの表情は、今までにない程の眩し過ぎる笑顔だった。

「い……」
「イヤだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!タモル、タモルだけはぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 
 武はタモルになにかトラウマでもあるのだろうか……
 そしてつぐみはいつの間にタモルの魅力に取り憑かれたのだろうか……

 それはBWとクィクィ星人しか知らない……

 そして今日も武はやられ役……



あとがき

純粋な御心を持つ読者様、スイマセン。
つぐみが壊れています(特に最後)
武が強すぎです(そうでもないかも)
そしてタモルオチかよ(これが一番致命的)
本当は緊張感のあるバトルのある作品にしようと思ったのですが……(でも痴話ゲンカネタ)
関西人はギャグに持っていく傾向があるようです(かなり屈折した偏見)
とりあえず、懺悔は近所の教会に行ってしてきます。
罪深きこの子羊に裁きの鉄槌を……アーメン…………がくっ!!


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