〜お正月 IN 優の家〜
                              歩


眠い。
ただひたすらに眠い。」
「ふぁぁぁぁ・・・。」 
「パパ〜、早く用意するでござる〜。」
「わかったわかった。ちょっと待ってくれ。」
わが娘に急かされて準備を整える。
「それにしても久しぶりね・・・。」
「あれからいろいろ忙しくてみんなに会う機会が無かったしね。」
今日は正月。またの名を元旦。一年の始まりだ。
今10時でついさっき一一一4時間ほど前一一一まで神社にいたのだからたまらない。
神社は混んでるは帰ってきたら帰ってきたで子供たちは元気でしばらく遊びに付き合っていたし・・・。
寝てないのでかなり疲れている。
それはともかく今日はみんなで優の家に集まることになっていた。
「あれから8ヶ月か・・・。」
「幸せな時間は早く過ぎるものね・・・。」
「パァパァ〜!は〜やく〜!」
おっとしみじみしてる場合じゃない。
「んじゃぁ行くか。」
「あ、武、ちょっと待って。あれ着てくるから。」
「おう、そうだったな。」
・・・
・・・
「ぷぷっ。」
「・・・・・・」
ドスッ!
始めに会ったときと同じような強烈なボディーブローが俺を襲った。
「タヌキ・・・もう見慣れていたはずなのに、無念だ・・・。」
ガクッ
「まだ言うか〜〜〜!!!」
容赦の無いローキック!
「ぐふっ!つ、つぐみ、ダウンした相手に攻撃を仕掛けるなんて武士道に背いているぞ・・・。」
「何で武士道なのよ・・・。はぁ。」
ため息をつかれた。
「お、お父さん大丈夫?」
「あぁ、なんとかなぁ!」
「大丈夫そうでござるなぁ、ニンニン。」



さすがにつぐみは目立つので電車やバスなどの公共機関は利用できない。
よってタクシーで優の家に向かうことになったのだがタヌキのようなのが一人いて
タクシージャックされるとでも思ったのか数台素通りされた。


約30分後・・・

優の家に着いた。
見事な門松が飾ってあっていかにも正月といった感じだ。
ピンポ〜ン♪
軽快な音が響いてまもなく優が出てきた。

「4人ともいらっしゃい、久しぶりね。」

「おう、しばらく」
「8ヶ月、といったところね。久しぶり、優。」
「おはようございます、なっきゅ先輩のお母さん。」
「おひさしぶりです、おばさん。」
「お ば さ ん ?今なんていったのかなぁ〜?ホ ク ト 君?」
「ユウのお母さんでした、マチガエマシタ、もう言わないから許してぇ〜〜〜」
怯えている。優も顔は笑っているが目が笑っていない。
「あはは、まあ許してやってくれ優。」
「ちょっとした冗談だから。大丈夫よ倉成」
その割には怖かったがな。

「おじゃましま〜す×4」
しかし広い家だ。俺んちとは比べ物にならん。
そこで俺は思ったままを直接優にぶつけた。
「なあ優、お前ライプリヒから一体いくらせしめ取ったんだ?こんなでかい家住んで。」
「真面目に働いたに決まってるでしょうが〜。せしめ取ったなんて人聞きの悪い。」
「いやそんなはずは無い!普通に働いてもこんな家に住めるわけが無い!
う〜む・・・、わかったぞ!少年の給料を横領したんだな!そうすればなんとか・・・」
ドスッ!パチン!
「Wかよ・・・。」
本日2度目のボディーブローと平手打ちを喰らった。
「おふざけが過ぎたわね倉成。」
「自業自得よ。まあ武は放っておいて、みんなはもう来てるの?優。」
「ええ、いるわよ、ついて来て。」

おお〜い、二人とも俺を置いていきますか。
動けねぇよ・・・。
「・・・口は災いの元、でござるよ、ニンニン。」
「お父さんも懲りないね・・・。」
「それが父親にかける言葉かぁ〜!」
「広いから迷わないようにね〜、パパ〜」
「先行ってるね。」
「やりやがったなぁ〜!」

「うう、俺はどうすれば・・・。
妻にも二人の子にも見捨てられ・・・」
とか言ってても誰も反応してくれない・・・。空しい・・・。
それからみんなのところに行くまでにどれだけ彷徨ったかわからん。
ただでさえ疲れてたのに・・・。

・・・
・・・
・・・


「お、やっとご到着、ってか。」
「あ〜、たけぴょんひっさしぶり〜!」
「倉成さん、お久しぶりです。」
「やっほ〜、いらっしゃ〜い。」
「わんわん!」

タッタサンド恐怖症のキャリア、少年こと桑古木涼権
マイクロウェーブを照射し脳をゆすぐ自称ちょーのーりょくしゃ、八神ココ
元天然AIで今は奇跡?によって実体化した茜ヶ崎空
族という噂があり優の娘兼クローンの田中優美清秋香菜
119Mの深海もおまかせ!の高性能電子犬ピピ
である。
ちなみにこのメンバーはみんな優と一緒に住んでいる。
もう家族同然だろう。ユウは本当に家族だが。

「よっ!みんな久しぶり。」
懐かしいなぁ〜。あの事件以来だからな。

ちなみにみんな服装は正月仕様だ。
女性陣6人は着物。男性陣3人は紋付袴という出で立ちだ。ピピは・・・すずの代わりにミニ門松が付いている。

「ずいぶん遅かったなぁ〜、武。」
「ああ、理不尽な暴力を振るわれて虫の息だったからな。」
優とつぐみがこちらを睨んでいる気がするが気のせいだろう。
そうにちがいない。というかそう思いたい。
「まあ、大丈夫なんですか、倉成さん。」
「たけぴょん、ほっぺた真っ赤だよ〜。」
優しいなぁ〜、うむうむやはり仲間はこうでないと。

「変わってないね〜、ね、ピピ。」
「わん!」
どうやらユウはさっきのことを聞いたみたいだな。
まずいな・・・。
俺のイメージがダウンする→必然的に息子のホクトのイメージもダウンする一一
→将来的にまずい→家庭崩壊の危機!
なかば暴走的にここまでの過程を0,1秒で計算し、素直に謝ることにした。

「ごまん、わらかったよ・・・じゃなくて、ごめん悪かったよ、つぐみ、優。」
「ふう、まあいいわ、冗談だったんだろうし。」
「今回は見逃してあげるわ。」
冗談じゃなかったしまた同じ過ちを繰り返しそうだがとりあえず頷いておいた。
ああ・・・芸人の悲しい性・・・。

「誰が芸人よ・・・。」
心を読まれた、さらにつっこまれた。つぐみ、お前は何者だ!?


ボーン、ボーン。
12時を知らせる鐘が響いた。

「あら、もうお昼か。話が弾むと時の流れが早く感じるわね。」
「時に優よ。昼飯は正月っぽいものか?」
「ええ、そうよ。おせちとかお雑煮とかね。」
「わ〜い、ボクおせち大好きだよ。」
「そうね、そろそろお昼にしましょうか。」
「さ〜んせ〜い!ココもうお腹ぺっこぺこだよぅ〜。」
ふむ、それなら・・・
「ならば俺が腕によりをかけてタッタサンドを・・・」
「お正月にタッタサンドはないでしょう・・・。本当に馬鹿ね。」
「頼む・・・、もうタッタサンドは勘弁してくれ・・・。」
2017年にタッタサンドを二つほどダメにされた仕返しにマグロの代わりに
コオロギを入れたコオロギサンドでも作ってやろうと思ったのに残念だ。


「それじゃあまずは・・・あけましておめでとう。」

       「あけましておめでとうございま(〜)す」

「うんOKね。それじゃあいただきます。」
     
       「い(っ)ただ(っ)きま(〜)す。」

食事はとても賑やかなものになった。
こんだけ人数がいれば当然かもな。特にユウとかココとかがいるし。

「優!マグロが、マグロがぁぁぁ〜〜〜!!!」
「あら?桑古木普通のマグロも食べられないんだっけ?」
「ダメなんだよ・・・っていうかなんでマグロが入っとんじゃぁ〜!しかも雑煮に。」
「やぁね〜、ちょっとした冗談じゃない。」
マグロ嫌いもあそこまでいけばすごいもんだな。普通は入っててもわからんぞ。

「ねえなっきゅ先輩、前にコニーが電子犬を飼ったって言ったじゃありませんか。
その電子犬しょっちゅう故障したりしてるんですよ〜。」
「へぇ〜、やっぱりあの人のある意味突出した飼育センスじゃ何を飼っても
ダメなのかしらねぇ〜。そういえば前に一度学校のプールで『海亀を飼うぞ〜』、みたいなこと
言って校長に届けを出さなかったけ?」
「3秒で却下されましたけどね〜。PHの調節が大変だとか言われて。」
「つっこむところはそこかよ!って言いたくなったわね。」

「ひくっ!」
「こ、小町さんおとそで酔うなんて・・・お酒、弱いんですね・・・。」
「なぁにい〜、酔ってにゃんかいないわよ〜。」
「・・・・・・。」
「あはははははは!。」
意外な弱点発見!どうやら笑い上戸のようだな。怒らせちまったときは飲ませればいいな。

「ねえねえホクたん、ココの新作のこめっちょ、聞きたくな〜い?」
「え、え〜〜〜と・・・・・・。」
「そいじゃあいくよ!ココちゃんのショートコント〜、もしも少ちゃんがココだったら!
『もう嫌なんだよ!飽きちゃったんだよぅ〜!たまにはマヨちゃんをたぁっぷりかけた
タッタサンドがたべたいんだよぅ〜!むにむにむにぃ〜っとね。』」
「・・・・・・・・・。」
「にゃっはっはっはっはっはっは!」
ホクトが固まっている。
おそらく画面の前のみなさんも同じだろう、意味が分からんからな、っと何を言ってるんだ俺は。
いきなり訳の分からないことを考えてしまうなんて。きっとB・Wの影響だな、きっとそうだ。
発現してないだろとか細かいことは言わないでくれ。

「わんわん!わんわん!」
「ん?何だ、ピピ」
「わぉ。」
「おお!前よりさらに短くなったな。えらいぞピピ!」
何がえらいのかは知らんが。


「ふ〜、満腹々々。」
食事が終わり食休み中、
「ねえねえ、みんなでかくれんぼしな〜い?」
「かくれんぼ〜???」
「かくれんぼ〜???」
俺とつぐみの声がハモった。
「うん!LeMUでやった闇鬼はできないけどかくれんぼならできるっしょ?」
「確かにここは広いけど・・・、家主の了解を得てからでないと・・・。」
「いいんじゃない?すこし何かして騒いだほうが楽しいわよ。」
即答かよ、おい!
「ふむふむ、食後の運動にはちょうどいいくらいでござるな。それほど動くわけでもないし。」
「今回は私も普通に参加できますね。」
「ふっふっふ、この家を知り尽くしている私に勝つことができるかしら?」
「楽しそうだね、人数多いし。」
「ま、じっとしてるよりはな。」
みんな乗り気のようだった。仕方ないな。
「じゃあみんなでやるか、もちろんつぐみもだぞ。」
「わ、私も!?」
「おう!あたりまえだ!」
「はあ、わかったわよ。」
「じゃあ鬼を決めよぅ〜!」
「その前に空、音が良く響くように・・・」
「無理です。」
即答。

「せ〜の、チッケッピ!」
「チッケッピ!」
「チッケッピ!」
以下十回ほどあいこを繰り返し・・・

「あちゃあボクの負けか〜。」
ホクトが鬼に決まった。

「それで隠れられる範囲は?」
「この家全部!」
「え!?」
「本気か?ユウ。」
「もちろん!じゃあホクト、がんばってね〜。」
「オーノー。」
気が抜けそうなセリフを吐いたホクトは放っておいて隠れるか・・・。
「ちゃんと百数えてくださいね。」
「ほいじゃあねぇ〜、ホクたん。」
「あ、ちなみに制限時間は1時間たっぷりだよ〜。」
「い、1時間・・・。」
ファイトだ!ホクト!




「95、96、97、98、99、100!」
数え終わった。さ〜て行くぞ〜、みんなを見つけなきゃ。
しかし部屋を一歩出て改めてこの家の広さを思い知らされる。
これがかくれんぼじゃなくて缶けりだったら・・・・・・
考えるだけで恐ろしい。
とりあえず歩く。

・・・
・・・
・・・

10分
部屋を一つ一つ当たっていくうちに変な物を見つけた。

・・・着ぐるみだ。『なぜユウの家に着ぐるみが?』
とか思ったが深く考えないようにした。
とりあえずここにいそうな人物は一人。
ためしに着ぐるみのわき腹あたりをくすぐってみた。
「・・・・!・・・・!」
動いた。声こそ出さないものの動いた。
どうしようかな・・・。

これ以上はかわいそうだったので頭の部分を取って言った。
「・・・お母さん見っけ・・・。」
「あ、あはは、見つかっちゃったか・・・、あはは・・・。」
「そんなに着ぐるみが気に入っ・・・ふぐう。」
「い い ?ホクト、このことは他 言 無 用 よ。」  
「は、はいぃぃぃ!」
言ったらどうなることか・・・、くわばらくわばら。

15分
階段付近まで来た時誰かの視線を感じた。
そこで、
「何だこのかいだんはぁ!?」
と、いきなり叫んだ。
「きゃっ!」
「空見つけた!」
「ホクトさん卑怯ですよ〜。」
「作戦と呼んで欲しいな。」
2人目。

17分
またある部屋。
「・・・・・・。」
ピピの尻尾がある。隠れきれてない。
「誰かいる〜?誰もいないなら返事して〜。」
「いないよぉ〜。」
・・・B・Wの視点がこんなとこで役に立つとは・・・。
「ココ見っけ・・・。」

さてここまでは順調だけどここからが厳しい。
根性はやたらありそうなお父さんと桑古木。
自称忍者の沙羅。
そしてこの家のすべてを知り尽くしている先生とユウ。
まだこの家を半分も調べていないし下手したら移動してるかもしれない。
焦りが募る。

25分
居間に着いた。
「しかし居間も広いな〜。」
つぶやきながら歩いていると・・・

ゴツンッ!
「いってえぇえぇ〜〜〜!!!」

「うわっ!」
こたつの中から音がした。
めくってみる。
そこには頭を押さえた桑古木が・・・。
「桑古木見〜つけた!。」
「ちっくしょ〜。反対側から逃げようと思ったら・・・。」
「それよりここに20分以上いたの・・・?」
「おおともよ!まさにモグラもびっくりだ!」
・・・コメントは控えます。
とにかくこれで4人!

30分
洗濯物だ。
白衣とか白衣とか白衣とか白衣ばっかりだけど。
「一体何枚持ってるの?ねえ先生。」

もそもそもそ

白衣の山から先生が出てきた。
「まさか見つかっちゃうとは・・・。」
「先生にもザ・モグラーの称号がありそうですね。」
「何よそれ・・・。やっぱり赤の白衣とか使ってカラフルにしたほうが良かったかしら。」
「赤の白衣という時点で矛盾してますよ。それにとっても目立つ気が・・・。」
「う〜ん、まあそうね。」
さてあと3人。

庭に出た。
まさかどっかの漫画みたいに池に入ってすいとんの術!とかやってないよな・・・。
一通り見回して誰もいないのを確認してその場を去った。

34分
後はお父さんとユウと沙羅か・・・。
どこにいるんだろ・・・。
と、その時風呂場が目に付いた。
「・・・・・・。」
探すべきか否か。
「こ、これはかくれんぼだから仕方なく探すんだ。うんそうだ。」
誰にともなく自分に言い聞かせながらドアを開けた。
浴槽の蓋は閉まっている。
だがどこからかシュコー、シュコーと音がする。
「まさか、ね・・・。」
蓋を開けた。
「・・・・・・。」
「・・・・・・。」
いた。
「沙羅の忍者好きは遺伝だったんだね。お父さん。」
「くそっ、そんな、そんなばかなぁ〜、ここが見つかるなんて!」
ずぶ濡れだった。
LeMUであれだけ水の恐怖を味わったのにまだ服着て水に入れるなんて・・・。
さすがお母さんにカマドウマと呼ばれただけの事はある。前世が水生動物だったんだろう。
あと2人!


45分
何か気配がある。誰かに見られてる感じだ。
でも見た感じ回りには誰もいない。
物は試しだ。カマかけてみよう。
「火と言ったら?」
「煙、でござるよ!ニンニン。」
天井裏から声が聞こえた。
「し、しまったでござる!つい忍者の癖で・・・。た、退避〜!。」
逃がすか!
っていうか沙羅はどこから天井裏に?
・・・う〜ん。
とりあえず移動すれば音が出るので後をつけよう。

51分
やばい、そろそろ二人とも見つけないと。
その時ピタッと音がやんだ。
そこはまだ入ってない部屋の前だった。
「とにかく入ってみようぜぇ。」
一瞬何を口走ったか分からなかったがそれは置いといて。
「・・・・・・。」
どうやらここは誰かの私室のようだ。
「ここから天井裏に行けるのかな?」


後々ボクはここでおとなしくあきらめておくべきだったと後悔した。


クローゼットを開けた。
そこには・・・




『関東愚連会・苦麗無威爆走連合 七代目総長 田中勇美聖亜季火那 夜露死苦!」
と書かれた特攻服があった。(しかも3着も)

「あわ、あわわわ・・・・・・。」
その時背後から何かが忍び寄っていた・・・




    「・・・見 た わ ね ?」



ぎゃぁーーーーー!!!!!


その後、ホクトの行方を知るものは誰もいなかった・・・。





 あとがき
 
 どうも。
 SS初心者の歩です。
 最初に言っておきますがこれは『Ever17のSSが書きたい!』
 という勢いで書き上げたものです。    
 なにぶん初めてなもので文章力とかが欠落しておりますがご容赦ください。
 全体的にギャグで行ったつもりですが染まりきれてないような気が・・・(汗)
 メモオフとか某デス様のネタ使っちゃってるし・・・。
 呼んでくださった方、どうもありがとうございます。
 ネタが浮かべばまた書かせていただきたいと思います。
 それでは。

 2002 師走 歩








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