※壊れ注意(笑) |
ハード・ライフ 作 大根メロン |
ぼくは今、お母さんと並んで歩いている。 「ねぇホクト、夕飯は何がいいかしら?」 「う〜ん、昨日の残り物もあるから…」 大した事ではない。親子で夕飯の買出しをしているだけだ。 しかし、親子と言っても肉体年齢はほとんど変わらないので、どうやら周りからはそう見えないらしい。 だから、周りの人の勘違いによるトラブルもたまにあるのだ。 そして明日、ぼくは前代未聞のトラブルに襲われるのだが、この時はまだ知る由も無かった。 県立星丘高等学校。 家族と再会し、新しい生活が始まったぼくと沙羅が通っている学校である。 僕達家族が今住んでいる星丘市のちょうど真ん中あたりに位置し、あの田中研究所からもそう離れていない。 学校の設備は良くも悪くも普通、と言った所か。 学校は普通なのである。学校は。 「もしもしホクトさん、ホクトさん」 だが、生徒には『ちょっと変わった人』が多い。人の事は言えないのかも知れないけど。 「ホクトさん、シカトなのですか? アルル、キレちゃうのですよ?」 …そう、今ぼくに話し掛けているクラスメイトの川瀬亞留流(かわせあるる)さんも、そんな『ちょっと変わった人』の一人である。 「ホ・ク・ト・さ・ん?」 川瀬さんの長い髪が怒りによってゆらゆら揺れている。このままでは危険だ。 「ああ、ごめん。ちょっと考え事をしていたんだ。それで何かぼくに用なの? 川瀬さん」 「『川瀬さん』じゃなくて『アルルちゃん』と呼んでください、と耳にタコが出来るほど言った筈なのですが?」 「…うん、鼓膜が破れるほど聞いた」 前にスピーカーで叫ばれた時はどうなるかと思った。 「それより、用件は?」 彼女と会話をする時は、話の主導権を握る事が何より大切なのだ。 「『アルルちゃん』と呼んでください」 「………用件は?」 「もう、軽いジョークじゃないですか。そんな恐い顔しないで欲しいのです。さあさあ、沙羅さんもどうぞこちらに」 「ん? 何でござるか?」 「おもしろい情報(ネタ)があるのですよ」 川瀬さんはこの学校の『報道クラブ』に所属している。なので、いろいろな情報を持っているのだ。 ちなみに報道クラブには現場で情報を集める『実働班』と、集まった情報をおもしろおかしく脚色する『編集班』が存在する。 そして川瀬さんは2年生でありながら、実働班のエースなのだ。 噂に聞いた話だと、1年前まではさらに『諜報班』なる謎に満ちた集団が存在したらしい。 しかし、この諜報班はある時何処かの研究所と揉め事を起こし、その研究所の所長である『白衣の女』によって壊滅させられた。 なんでもその『白衣の女』は『諜報班四天王』という4人の強力な使い手を1人で全滅させ、諜報班のアジトをことごとく破壊し尽くしたという。 今でも、報道クラブはこの話を禁忌としている。 「ホクトさん? どうしたのですか?」 「あ、いや何でもないよ。それよりおもしろい情報(ネタ)っていうのは?」 「ふっふっふっ! よくぞ訊いてくれたのです!」 「自分から言い出した事でしょ……」 沙羅が呆れたように呟いた。 「ではいくのですよ… 3・2・1… ばーーーーーーん!!」 …注目されるから、大きな声を出すのは止めて欲しい。 川瀬さんは叫びながら懐から取り出したビラを広げた。 そこに書かれていた事は。 『星丘高校の人気者、倉成ホクトに浮気疑惑!?』 …時が止まった。 ぼくも、沙羅も、注目していたクラスの皆も、完全に停止していた。 「…説明を要求するでござる。川瀬殿」 沙羅が再起動したようだ。 ぼくもなんとか再起動する。 「ホクトさんが鳩鳴館女子大学に通っている田中優美清秋香菜さんと交際している、という事は知っていますね?」 「勿論。て言うか、この学校で知らない人なんていないでしょ」 何故? 「ええ、そうなのですが…」 川瀬さんは懐から一枚の写真を取り出した。 「昨日、アルルはホクトさんが綺麗な女の人と歩いているのを見てしまったのです!!」 今度は空気が凍った。 「…確認するけど、なっきゅ先輩じゃないんだね?」 「無論。かなり親しげな様子でしたので、アルル、思わず激写しちゃったのです」 …それは盗撮、というのではないだろうか? 「…お兄ちゃん?」 沙羅がもの凄く鋭い眼でぼくを睨んだ。 だが、まったく心当たりが無い。睨まれても困る。 「そして、これがその写真なのです!! 3・2・1… ばーーーーーーん!!」 その写真に写っていたのは、ぼくと一人の女性。間違いなくお母さんである。 昨日、夕飯の買出しに出かけた時のものだった。 (…お、お兄ちゃん、これって!?) (うん、昨日の買出しの時のぼくとお母さんだね…) (ど、どうするでござるか!? 完全に勘違いされてるでござるよ!?) (な、何とか言い訳しないと…) 「…何をお二人でコソコソ話してるのですか?」 まずい。非常にまずい。 川瀬さんは『スクープよりスキャンダル』がモットーなのだ。こんな情報を手に入れて黙っている筈がない。 「ふふふ、実はこのビラ、1000枚くらい刷ってあるのですよ」 彼女のバックの中には、同じビラがたっぷり詰まっていた。 「せ、1000枚!? そんなに刷ってどうするの!?」 学校中に貼り出してもまだ余るだろう。 「そんなの決まってるじゃないですか。市内にまくのですよ」 …ジーザス。 「ふふふ、楽しみなのです♪」 その時、ぼくはある恐ろしい事実に気付いてしまった。 ――優にこのビラを見られたら、確実にぼくは殺される。 そして沙羅もその悪夢の方程式を導き出したらしい。顔が青くなった。 「……沙羅」 「……うん、お兄ちゃん」 ぼくと沙羅は川瀬さんに跳びかかった。なんとしてもビラを奪取、あるいは破壊しなければ。 きゅぴーーーーん! その瞬間、川瀬さんの眼が光った。 「アルルちゃんキック!!」 ドゴォ!! まるで鉄パイプで殴られたような衝撃が襲った。 その一撃でぼくと沙羅は教室の反対側まで吹き飛ばされ、壁に叩き付けられる。背中に激痛が走った。 「クッ……!?」 「ふふふ、そんなにこのビラをまかれるのは困るのですか。ますます楽しみになってきたのです!!」 困るとかそういうレヴェルではない。命に関わるのだ。 川瀬さんは教室のドアを吹き飛ばし、廊下に飛び出して行った。 沙羅はさっきの一撃で気絶してしまっている。ぼくが何とかしなければ。 ぼくはどうにか立ち上がり、川瀬さんの追跡を開始した。 速い。サピエンスキュレイ種であるぼくが全力で走っても川瀬さんとの距離はまったく縮まらない。 彼女は階段を降り、下へと向かっている。まさかこのままビラをまきに行くつもりなのか。 「…させない!!」 ぼくは階段を飛び降りた。 「なっ…!?」 川瀬さんの足が止まる。目の前にぼくが着地したのだ。 「追い詰めたよ!!」 「甘いのです!!」 彼女が大きく息を吸い込んだ。 「ふぅーーーーーーー!!」 川瀬さんが吐き出した『何か』が辺りを包んでゆく。 近くに居た生徒や先生が次々と倒れ込んだ。 「催眠ガスなのです!!」 川瀬さんはあらかじめ取り込んでおいた様々な物質を体内で合成し、ガスとして吐き出す事が出来る。『川瀬一族』に伝わる異能らしい。 やろうと思えば毒ガスだって合成出来る、非常に強力な能力だ。 …どうしてぼくの知り合いはこんな人ばかりなんだろう。 「クッ……!?」 ぼくも強烈な睡魔に襲われた。思わず倒れそうになる。 「ふふふふふふふふふふふ♪」 …ダメだ。川瀬さんを逃がす訳にはいかない。 ぼくは睡魔を気合で振り払い、追跡を再開した。 「ほほう、意外と頑張るのですねぇ……」 「そのビラをどうにかするまで、ぼくは絶対諦めないよ!!」 「それでは、もう一発いくのです!! ふぅーーーーーーー!!」 「!?」 突然、煙のようなもので視界が塞がれた。 「煙幕!? しまった…!!」 …いや、慌ててはダメだ。 ぼくは冷静に川瀬さんの『体温』を捜す。 インフラヴィジョン。特殊な能力を持っているのは何も彼女だけじゃない。 「…見えた!!」 ぼくはお母さんから受け継いだ必殺のボディブローを放つ。まともに喰らえば確実に再起不能だ。 「これで終わりだよ!!」 ドグォン!! 「…なかなかやりますね、ホクトさん。でもまだまだなのです」 「ま、まさかそんな…?」 彼女は例の『アルルちゃんキック』でボディブローを受け止めていた。信じられないパワーだ。 「さらばだ、明智君!!」 そのまま川瀬さんは窓ガラスをぶち破り、下に飛び降りた。 「って川瀬さん!!?」 ここは3階だ。飛び降りるには高すぎる。 ぼくは窓から身を乗り出し、下を見た。 「ト、トランポリン!?」 そう、下にはトランポリンが用意されていた。その周りには数人の人影が見える。おそらく実働班のメンバーだろう。 川瀬さんはそのトランポリンの上に降り、そのまま体操選手のような動きで地面に着地した。 「仲間が待機してたのか…!」 盲点だった。敵は一人ではなかったのだ。 だが感心している場合ではない。 「はぁ!!」 ぼくも下に飛び降りた。 トランポリンは実働班の迅速な働きによりすでに撤去されているが、もともとぼくには必要ない。 着地と同時に、全身のバネを使い衝撃を軽減する。さすがに足が痺れたが、走れなくなる程ではなさそうだ。 校門あたりに川瀬さんの姿が見える。距離は51mくらいだ。 いける。本気で走れば、まだ追いつけない距離じゃない。 「行かせはせん!!」 突如、ぼくの前に実働班のメンバーが立ち塞がった。彼らは紙袋を被り、チェーンソーで武装している。 …そのスタイルはあまりにも恐い。 「実働班の名に賭け、アルル様を護るのだ!!」 「イエッサー!!」 一斉に襲い掛かってきた。 「ぼくの… 邪魔をするなぁ!!」 チェーンソーによる攻撃を紙一重で全て回避し、道を塞いでいる数人にボディブローを打ち込む。 「ぐごぉ!?」 所詮はザコだ。一撃でダウンである。 それに、無駄な戦いは避けなければならない。相手はあの川瀬亞留流なのだ。力を温存しておくべきだろう。 ぼくは斃した連中の屍を踏み越え、川瀬さんの背中に向け走り出した。 彼女は誰がどう見ても赤信号の横断歩道に突入する。それを避けようとした自動車が派手にスピンし、ぼくを追いかけていた実働班の人達に突っ込んだ。 「きゃぁぁああああ!!」 「た、助けてくれぇ!!」 「おのれ、倉成ホクトォォオオ!!」 …恨むならぼくの前を爆走している非常識人を恨んで欲しい。 その非常識人は今川沿いの土手を疾走している。走りやすいルートを選んだのだろうか。 「まずい…!!」 さっきから距離は離れるばかりだ。このままでは逃げられてしまう。 だがしかし、突然川瀬さんの足が止まった。 「……?」 距離はどんどん縮まってゆく。そして、ついにぼくは川瀬さんと対峙した。 「…どういうつもりなの? このまま行けば逃げ切れたかも知れないのに」 「ふふふ、ホクトさんがまるで地獄まで追いかけてきそうな勢いだったので、さっさと片付けたほうがいいと思ったのです」 「…そう。でも賢い判断とは言えないね」 「そうですか? まあ、その余裕も今のうちなのです!!」 川瀬さんが大きく息を吸い込んだ。同時にぼくは地を蹴り、彼女との間合いを詰める。 勝てる。そう思った。 彼女がどんなガスを使おうと、この距離でぼくのボディブローを回避するのは絶対不可能だからだ。 だが、その自信はあっさり崩れる事になる。 「ふぅーーーーーーー!!」 ゴォォオオオオオオ!! 一言で言えば、川瀬さんは炎を吹いた。 おそらく、引火性のガスに火を付けたのだろう。凄まじい火力だった。 「うああぁぁあああ!!?」 あんなのをまともに喰らったら、ぼくは黒焦げバーベキューホクト風味になってしまう。反射的にそれを回避し、川に飛び込んだ。 「倉成ホクト、敗れたりなのです!! ははははははは……」 川瀬さんの声がどんどん遠くなってゆく。しかし、今のぼくに彼女を追う気力は残されていなかった。 ――ああ、これが敗北の味か。 ぼくは火の海になった土手を眺めながら、ぷかぷかと川を流れていった。 そしてあのビラを、優――田中優美清秋香菜が手にしたのは、それから3時間57分後だったという。 「こりゃあ、死んだな」 お父さんがいつもの笑顔でぼくに死の宣告をしてくれた。 無論、ちっとも嬉しくはない。 僕達は今、迫り来るカタストロフ(ぼく限定)を回避する為、緊急対策会議を行っている。メンバーはぼく、お父さん、沙羅、そして強制連行してきた川瀬さんだ。 さすがの川瀬さんでも、沙羅がクラッキングしたレーザー衛星からの攻撃は厳しかったらしい。彼女は白旗を揚げ、投降してきたのだ。 しかしビラは既にまかれた後だった。よって、この会議が開かれる事になった訳である。 ちなみにお母さんは、ちょうど散歩に出かけていたので欠席だ。 「パ、パパ!! いきなり夢も希望も無い事言っちゃダメでござるよ!! いくらそれが現実でも!!」 「しかしだな、獅子は我が子を地獄に叩き落とすと…」 …会議はさっきからまったく進展していない。 「う〜む、しかしホクトさんのお母さんだったとは。驚きなのです」 「うん、結構複雑な事情があってね」 「となるとあのビラは誤報ですか。それはとんでもない事をしてしまったのです…」 一応反省はしているらしい。 「気にしなくてもいいよ。そのかわり…」 「…そのかわり?」 「戦力として期待してるから」 「…………」 あのビラを優が見たとしたら、絶対今日中にぼくを処刑しようとする筈だ。戦力は少しでも多いほうがいい。 話し合いで解決出来ればそれが一番だが、相手は狂犬だ。話が出来るとは思えない。 「お〜い、ホクトにアルルちゃん。そっちは何か決まったか?」 「いざという時は、アルルが八面六臂の活躍を見せる。これは決まったのです!!」 「そ、そうか…」 …お父さん、その人『アルルちゃん』って呼ぶと調子に乗るから……。 「まあ、そんなにピリピリしなくてもいいだろ。相手は化物って訳でもないしな」 「パパ、なっきゅ先輩は田中先生の娘でござるよ?」 「……家の周りにバリケードを張るんだ!! ゴリラだろうがキュレイ種だろうが絶対破れないような頑丈なヤツを!! ホクト、急いでセメント持って来い!!」 バリ封(バリケード封鎖)。随分と古典的な手である。 「ふぁああ……」 お父さんが欠伸をした。バリケードが完成したため、少し余裕が出て来たらしい。 コンクリートブロックを積み重ねてセメントで固めただけの簡単な物だが、やはりあるとないとでは大違いだ。 「こんな簡単なバリケードでも、時間稼ぎくらいにはなるだろ。優の娘がどっかの誰かみたいに一発でバリケードを吹き飛ばしたら話は別だが」 どっかの誰かって誰だろう。なんとなく解かるけど。 「もしもし、ホクトさんのお父さん」 「ん? 何だ?」 川瀬さんがお父さんに話し掛けた。 「いきなりなのですが、今までにアルルと何処かで逢った事がありますか?」 意外な質問だった。 「…? いや、無いと思うぞ? 俺達はここに引っ越して来たばかりだし。今回が初対面だ」 「…そうですか。何処かで見た事のある御顔だと思ったのですが……」 川瀬さんがその場で考え込んだ。何処でお父さんの顔を見たのか、思い出そうとしているのだろう。 しかし、お父さんはこの間まで海の底で冷凍されていたのだ。川瀬さんと逢う機会があったとは思えない。 「う〜ん、あ〜でもない、こ〜でもない……… あぁ! 思い出したのです!! 『アレ』なのです!!」 どうやら思い出したらしい。でも、『アレ』って何だろう。 「川瀬さん、『アレ』って…?」 「ふふふふふ、『アレ』はそういう事だったのですか…♪」 …聞いてないし。 「お兄ちゃん、今の川瀬殿は何も聞こえてないでござるよ…」 「うん、そうだね…」 さっきから川瀬さんは薄笑いを浮かべ、何かをブツブツ呟いている。 「しかし…」 川瀬さんの表情が一瞬変わった。 「…田中優美清秋香菜さん。あの女の娘さんですか……」 「…え?」 意味深な一言だった。どういう事だろう。 ぼくがそれについて尋ねようとしたその時。 「……!」 突如、川瀬さんが凄い顔で向こうを睨み始めた。 「ど、どうしたの…!?」 「皆さん!! 来ますよ!!」 ドドドド…… 何かがこの家に近づいて来るのを感じた。地響きのような音が聞こえる。 ドドドドドドドド…… 音が大きくなってゆく。もうこの家からかなり近い所まで来ているようだ。 ドドドドドドドドドドドド…… そして―― ドゴォォオオオオン!!! ――バリケードに衝突した。 「な、何だ!?」 「これはまた派手に攻めてきましたね……!!」 バリケードに衝突した物。それは巨大なトレーラーだった。 コンクリートやセメントの破片を踏み潰しながら、ゆっくりとぼくらに近づいて来る。 「バ、バリケードが一撃で破られたでござる!!」 「お父さん!! 少しの時間稼ぎにもならなかったじゃないか!!」 「う、うるさい!! 俺だってこの展開は予測出来なかったんだよ!!」 「そんな事言ってる場合じゃないのです!!」 ぼくはトレーラーを見た。助手席には優の姿が見える。 そして運転席には、『来て欲しくないけど、多分来るだろうなあ…』と思っていた人物。 知る人ぞ知る、田中優美清春香菜大先生である。 そして―― バァン!! ――助手席側のドアが開かれた。 「優……」 「…ホクト、何故私がここに来たか解かってるわよね?」 「誤解だ、と言っても信じてくれないんだろうね…」 「当然よ。言い訳を聞きに来た訳じゃないんだから」 優は特攻服を身にまとっており、さらにその手には一本の金属バットが輝いている。 …殺る気満々だ。 「さあ、行きなさいユウ!! 今こそこの乾いた大地にたっっっっぷりと血を吸わせてやるのよ!!!」 田中先生が叫んだ。 …どうしてあの人はあんなにノリノリなんだろう。 「…吸わせるのはあなたの血なのです。田中優美清春香菜」 川瀬さんが田中先生に向けて凄まじい殺気を放った。 「あら? 誰かと思えば川瀬亞留流じゃない。久し振りね」 「相変わらずお元気なようですね。非常に残念なのです」 どうやら川瀬さんと田中先生は初対面ではないらしい。だが、お世辞にも仲がいいとは言えない雰囲気だ。 「か、川瀬さん、田中先生と知り合いなの?」 「知り合いも何も、1年前に報道クラブの諜報班を潰したのはあの女ですよ」 ああ、やっぱり『白衣の女』というのは田中先生の事だったんだ。もっとも皆解かってた事だけど。 「まだあなたは私が諜報班を潰した事を恨んでいるの?」 「当然なのです」 「…まあ仕方ないわよね。あなたは諜報班のコア・メンバーである諜報班四天王の1人だったんだから」 …ちょっと待て。 「川瀬さんがあの諜報班四天王の1人!!?」 ぼくは思わず叫んだ。 かつて諜報班に所属していたという4人の使い手。その1人が川瀬さんだというのだ。 「あらホクト、知らなかったの? 『傀儡師のアヤメ』、『岩砕のカイヨウ』、『瞬斬のハヤト』、そして『霞のアルル』。その女はかつてこの星丘市を恐怖で支配した4人の凶皇の1人なのよ」 …知らなかった。川瀬さんにそんな過去があったとは。 「まさかまだここに住んでいたとはね。てっきりあなたも他の3人と同じくこの星丘市を去ったものだと思っていたわ」 「残念でしたね。私は今も実働班で部活動を続けているのです」 「へぇ、悪あがきが好きなのね」 川瀬さんの殺気が増した。 「世間話はこれくらいでいいのです! さっさと始めるのですよ!!」 川瀬さんが田中先生に向かって跳んだ。そして跳ぶと同時に息を吹く。 「ふぅーーーーーーー!!」 だが田中先生はその息をひらりとかわす。その為、目標を失った息は後ろのトレーラーに命中した。 息が命中したトレーラーは何故か一瞬で錆び付き、スクラップに変わる。まるで何年もそこに放置されていたかようだ。 「超高濃度活性酸素の息なのです!! 浴びれば骨までボロボロになるのですよ!!」 「それはなかなか強力ね。でも私に命中しなきゃ意味が無いわよ?」 田中先生は余裕の笑みを見せた。 しかし。 「……!!?」 先生の髪の毛が数本地面に落ちた。息が掠っていたのだ。 「…ふうん、1年前より少しは強くなっているみたいね」 「アルルはまだ若いのです! どんどん成長するのですよ!! 35歳独身女とは違うのです!!」 田中先生の顔が変わった。 「いいわ… 本気で闘ってあげるわよ!!」 その瞬間、先生の白衣の中からメス、注射器、ハサミといった物が数え切れない程飛び出した。 それらはまるで意志があるかのように川瀬さんを追跡する。 「なっ…!?」 そしてその無数の凶器は川瀬さんの頭上で一瞬停止し―― 「喰らいなさい!!」 ズドドォオオ!! ――凄まじいスピードで降り注いだ。 「か、川瀬さん!!?」 「無駄よ、ホクト。あれを喰らったら最後、骨も残らないわ」 「そ、そんな……!?」 だがその時。 「隙ありなのです!!」 川瀬さんが土煙の中から跳び出した。 「ふぅーーーーーーー!!」 ゴォォオオオオオオ!! 川瀬さんの吹いた炎が田中先生を襲う。いくら先生でも、あれを喰らったらただじゃすまない筈だ。 しかし。 「無駄よ!!」 突如、田中先生の白衣が光り輝き、6枚の白い翼へと姿を変えた。 「…って翼!?」 先生はその翼で自らを包み込み、川瀬さんの炎から身を護る。 …もう訳が解からない。 「…って翼!?」 川瀬さんがぼくとまったく同じリアクションを見せてくれた。かなり複雑な気分だ。 「ふっふっふっ…」 田中先生の不気味な笑い声が響く。 6枚の翼が再び白衣へと戻った。 「どう、この新型白衣の力は!? 従来の耐久性はそのままに、変形機能まで搭載したスグレモノよ!!」 …一体どこからツッコミを入れればいいんだろう。 「そ、そんなの反則なのです!!」 「殺し合いに反則もクソもないわ」 殺し合い!? 「ねぇ、川瀬亞留流。私も鬼じゃないから、なるべく闘いなんて事はしたくないのよ」 嘘つけ。 「そこで相談なんだけど、1年前に諜報班四天王… いえ、あなたが私から奪った『アレ』を返してくれれば、ここは大人しく退いてあげるわ」 「『アレ』? ああ、あなたが毎日頬擦りしていたホクトさんのお父さんの人形の事なのですか?」 ……は? 「言うなぁ!!!」 田中先生が地を蹴った。 「ちぇすとぉーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」 先生のドロップキックが川瀬さんに突き刺さる。彼女の身体が数回バウンドし、向こうに吹き飛んだ。 「くっ… 川瀬さん!!」 ダメだ。いくら川瀬さんでも、田中先生が相手じゃ勝ち目は無い。 あんなのでも、一応ぼくのクラスメイトなのだ。明日の朝刊の死亡欄に載っていたらさすがに目覚めが悪い。 ぼくは川瀬さんを助太刀する為、先生に向かって駆け出した。 だが。 「ホクト! あなたの相手は…」 殺気を感じた。とっさに頭を下げる。 「この私よ!!」 優の振ったバットがぼくの頭上を通り抜けた。 …あれで殴られたら死んでしまう。 「くそっ! 優の事を忘れてた…!」 「忘れるなぁ!!」 だって、あの二人があまりにも……。 「武器は金属バット… なら、距離を取れば…!」 ぼくは優から離れた。圧倒的攻撃力を持つ彼女を相手に真正面から闘うのは死を意味する。 「甘い甘い甘い甘い甘いぃぃいいいい!!」 優は奇声を発しながら、バットを頭上に振り上げた。 「唸れ! 『ヒヒイロカネバット』!!」 そして、そのままバットで地面を殴り付けた。 ズドォ!! 「……!!!?」 凄まじい衝撃波がぼくを襲う。身体がバラバラになるかと思った。 「ぐぁああ!!?」 全身が悲鳴を上げる。ぼくは派手に吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた。 「これで終わりよ!!」 優が迫る。ぼくにトドメをさす気だ。 「浮気滅殺!!」 …ああ、そう言えば発端はそんな事だったんだっけ。 ぼくは全てを覚悟し、静かにその眼を閉じた。 「……?」 だが、いつまで経ってもその破滅はやって来ない。 ぼくは、恐る恐る眼を開いた。 そこには。 「なっきゅ先輩!! それ以上お兄ちゃんに危害を加えるとただじゃおかないですよ!!」 「やいやい優の娘!! よくも俺の息子をこんなにしてくれたな!!」 優とぼくの間に、沙羅とお父さんが立っていた。 「…邪魔よ。そこをどきなさい」 優が沙羅とお父さんを睨む。だが二人ともまったく怯まなかった。 「嫌です! 絶対にどきません!!」 「ふざけんな! 親が息子を見捨てて逃げられるか!!」 不覚にも、涙が出た。 「ふう…」 優が溜息をつく。彼女の殺気が霧散した。 「…まったく、大した家族愛ね」 優が笑顔を見せた。優しい空気が辺りを包む。 そして、優は沙羅とお父さんに言った。 「その頭、トマトみたいにぶっ潰すわよ!!?」 天使のような〜♪ 悪魔の笑顔〜♪(混乱中) 「………」 「………」 二人は無言でその場を離れ、数メートル向こうから言った。 「お兄ちゃ〜ん、頑張るでござるよ〜」 「ホクト、骨は拾ってやるぞ〜。骨が残ったらの話だけどな〜」 …涙が出た。 優が一歩ずつぼくに近づいて来る。 「おやすみ、ホクト。安らかに永眠(ねむ)りなさい」 優がバットを振り上げた。 「……!?」 その時、向こうから何かが飛んで来るのが見えた。 それは地面を数回跳ねた後、ようやく停止する。 「か、川瀬さん!?」 そう、飛んで来たのはボロボロになった川瀬さんだったのだ。 「くうっ…!」 川瀬さんが呻き声を上げる。かなり苦しそうだ。 「あら、もう終わり? もう少し楽しませてくれると思ったんだけど」 田中先生が川瀬さんに近づく。 「じゃあ、そろそろ永眠(ねむ)りなさい」 田中先生は懐から禍々しいオーラを放つ1本のメスを取り出す。ジャック・ザ・リッパーの<銀ナイフ>だ。 「おやすみ、川瀬亞留流」 <銀ナイフ>が川瀬さんに迫る。 だが、<銀ナイフ>が彼女を切り裂く事はなかった。 「ホ、ホクトさん!?」 何故なら、ぼくが川瀬さんを抱きかかえその場を離れたからである。 「おぉ! お兄ちゃん、かっこいいでござるよ!!」 「お姫様だっこかぁ… 若いっていいよなぁ……」 ギャラリィが何か言ってるが無視だ。 「川瀬さん、大丈夫?」 「え、ええ… ホクトさん、ありがとうなのです」 何故か川瀬さんの顔が赤い。お酒でも飲んだんだろうか。 「ホクトォォォオオオオオオ!!!」 優が凄まじい怒りと殺気を放ちながら跳びかかって来た。何をそんなに怒っているのだろう。 「ふぅーーーーーーー!!」 ゴォォオオオオオオ!! 川瀬さんが優に向け炎を放つ。 「くっ…!?」 優は炎をかわす為、ぼくから離れた。 「あなた… いい度胸ね…!!」 どうやら優は目標をぼくから川瀬さんに変更したらしい。 「覚悟しなさい!!」 「こっちの台詞なのです!!」 その時、ぼくは何か違和感のようなものを感じた。 …おかしい。絶対にこれは変だ。 「一子相伝暗殺拳禁技! 『殺神撃』!!」 「喰らえなのです! 『メギド・ブレス』!!」 優と川瀬さんが激しいバトルを繰り広げているが、ぼくはそれどころではない。 辺りを見回し、目的の人物を探した。 ……いない。どこにもいない。 「優! 川瀬さん! 田中先生が何処にもいない!!」 「――!!?」 そう、どこにも田中先生の姿がないのだ。 さっきまであれほど暴れていたのに、今は気配すらない。 「あの女、どこに消えたのですか…?」 「川瀬さん、この場合は『どこに消えたのか』よりも『何故消えたのか』の方が重要だよ…!」 「…もしかしてお母さん、また何か企んでるの!?」 問題は何を企んでいるのか、という事だ。いや、それは考えなくても解かる。 「ま、まさか…」 優が呟く。結局のところ、田中先生が企む事なんて1つしかないのだ。 ぼくは大声で叫んだ。 「お父さん!! 早く逃げて!!!」 「? 何だ、どういう事… ってうわぁぁあああ!!?」 「!? お父さん!!」 突然、お父さんがネットのような物の中に閉じ込められた。 「はははははははははは!」 そして、笑い声と共に現れた田中先生がお父さんを抱え、家の屋根に飛び乗る。 「優! 何やってんだ、ここから出せぇ!!」 「…倉成、少し黙ってた方がいいわよ?」 先生がお父さんの首にメスを当てた。 「…………」 お父さん、完全に沈黙。 「田中先生、最初からお父さんが狙いだったんですね…!」 どうして気付かなかったんだろう。ちょっと考えれば解かる事だったのに。 「ええ、その通りよ。つぐみが散歩で家を離れる時間を調べ上げたんだけど、私って何故か警戒されてるじゃない? 怪しまれずに倉成家に近づくチャンスが欲しかったんだけど…」 「そのチャンスがこの騒ぎ、という訳ですね…」 「そういう事よ」 田中先生の白衣があの白い翼に変化した。 まさか、空を飛んで逃げるんだろうか。それはちょっと見てみたい気もする。 「じゃあ、お母さんが私にあのビラを見せたのは…!」 「そう、この瞬間の為よ」 「そんな… またお母さんは私を利用したの…!?」 優が涙ながらに訴えた。 「ええ、利用させてもらったわ♪」 がーーーーーん!!(優秋ショック効果音) …優が真っ白になった。 「思えばここまで長かったわ… 船上でつぐみに挑んでボコボコにされ、つぐみが倉成の実家に挨拶へ行くのを妨害しようとしてボコボコにされ、爆弾事件の後イチャイチャしてるのが気に入らなくて邪魔しようとしたらボコボコにされ…」 田中先生の眼に光るものが見えた。 「まさに『地震・雷・火事・つぐみ』。今生きてるのが不思議なくらい酷い目にあったわ…」 ぼくは背後に人の気配を感じた。 …オチが見えてきたなぁ……。 「でも!! 私だけが苦汁をなめる暗黒時代は今日で終わりよ!! 明日からは新しい時代… いえ、新しい世界が始まるの!! そして倉成と私がその世界のアダムとイヴになる…の……よ………」 田中先生はやっとぼくの背後にいる人物に気付いたらしい。 そしてこれは、先生にとって最悪の展開だろう。 「…何やってるの? あなた達」 お母さん、倉成家に帰宅。 「つ、つぐみ……」 「ねぇ、何やってるの? 優」 沙羅とお父さんはすでに気絶していた。優は向こうの隅でガタガタ震えてるし、川瀬さんは汗をダラダラ流しながら硬直している。 ぼくも、意識を失う寸前だ。 「来たわね、つぐみ! 今日こそあなたを斃し、私は『倉成優美清春香菜』になるわ!!」 …田中先生、足震えてるよ。 「ふうん…」 お母さんは足元に落ちていた小石を1つ拾い、それを田中先生に向け指で弾いた。 ドゴォォォオオオオ!!! 小石が命中しただけなのに、屋根が粉々に吹き飛んだ。 「きゃぁぁああああ!!?」 田中先生とお父さんも一緒に吹き飛ぶ。今日のお母さんは手加減なしだ。 「くっ…!!」 先生は翼を使い、空に飛び上がった。やっぱり飛べたのか。 ちなみに、お父さんは地面に向かって落下している。まあ、お父さんなら大丈夫だろう(根拠なし)。 「ちっ… 相変わらずのバケモノっぷりね…!!」 先生の6枚の翼がお母さんに向けられた。 「喰らいなさい! 『セラフィック・マシンガン』!!」 シュバババババ!! 翼から放たれた無数の羽根がお母さん襲う。 だが、その羽根達がお母さんを傷つける事はなかった。羽根がお母さんの身体をすり抜けたのだ。 「!? ざ、残像!!?」 次の瞬間、田中先生の背後に黒い影が見えた。 そして―― 「落ちなさい、優」 ブチィ!! 「え……?」 ――6枚の翼が、全て引き千切られた。 「…きゃぁぁああああ!?」 翼を失った田中先生は重力に引かれ、さっきのお父さんのように地面に落下した。 …凄い。やっぱりお母さんは凄すぎる。圧倒的だ。 「トドメよ」 お母さんが腕を振り上げた。 「ま、待ってつぐみ! 私達って友達… いえ、深い絆で結ばれた『仲間』よね!?」 「…ええ、そうね」 「だったらお願い、許して! これはちょっとした気の迷いだったの!!」 …命乞いしてるよ。 「…2度とこんな事しないと、約束出来る?」 「勿論よ!」 どうせ、口だけなんだろうなあ…。 「はぁ… 仕方ないわね。許してあげるわ」 「あ、ありがとう、つぐみ! やっぱりあなたは最高の『仲間』よ!!」 田中先生の顔が喜びで満ち溢れた。命の危機が回避されたのだ。よほど嬉しいのだろう。 だがぼくにはこの後の展開がなんとなく予想できる。現実はそんなに甘くない。 「ただし…」 「…ただし?」 「許すのは、あなたを殺した後だけどね」 がーーーーーん!!(優春ショック効果音) 「沙羅編の恨みもあるし…」 「それ別世界の話!! この世界の私達には関係無いのよぉぉおおお!!!」 「言いたい事があるなら、あの世で閻魔様にでも言いなさい」 お母さんの腕が、再び振り上げられた。 「永遠にさよなら、優」 「い、いやぁぁぁああああああ!!!?」 その叫び声と共に、ぼくは意識を失った。 「じゃあ結局、ホクトは浮気なんかしてなかったんだ」 「はい、その通りなのです。全て私が悪かったのです。すみませんでした」 川瀬さんがペコリと頭を下げた。 「今回の事は、もうどうやって責任を取ればいいのか…」 「まあ、いいじゃないか。誰一人死者も出なかったし、誤解も解けたんだしな」 ぼくは何故かお父さんの言葉に疑問を感じた。誰一人死者は出なかった。それは本当だろうか。 今この部屋にいるのはぼく、お父さん、優、沙羅、川瀬さん。お母さんはさっき庭にいるのを見たから、大丈夫だ。 …間違いない。全員いる。 (何を考えてるんだ、ぼくは) みんな無事なのだ。誰も死んでなんかいない。 …さっきから白衣を着た女の人のイメージが頭に浮かぶが、一体誰なんだろう。 「ねえ、優」 「ん? どうしたの?」 「優のお母さんって、何て名前だっけ?」 「それなら前に教えたじゃない」 「思い出せないんだよ。優みたいに長い名前だったような気がするんだけど…」 「長くなんかないわよ。いたってシンプルな名前」 「…シンプル?」 「そう、『田中ゆきえ』。それが私のお母さんの名前よ」 そうだった。『田中ゆきえ』さんだ。どうして忘れてたんだろう。 「…………」 何だか頭がもやもやする。 「ホクト、大丈夫なの?」 「う、うん大丈夫。ちょっと疲れただけだから…」 「…ごめんなさい。私のせいで……」 「だから大丈夫だって。ほら、顔上げなよ」 「……うん」 ぼくの頭の中のもやもやが少しずつ消えてゆく。しかし、同時に思う。本当にこのもやもやを消していいのか。 そんな事を考えていると、ドアが開き、お母さんが部屋に入ってきた。 ぼくは思わず訊いた。 「お母さん、さっき庭で何してたの?」 「え? ああ、あれね。ちょっと優… じゃなくて、ゴミを埋めてたの」 「そ、そう。ゴミを埋めてたんだ…」 「ええ、そうよ」 …涙が出るのは何故だろう。 「ふぅ〜 でも、とりあえずはこれでハッピィエンドでござるな」 「そうだな。皆がこうして揃ってるんだ。見事なハッピィエンドだろ」 沙羅にお父さんが同意し、部屋を笑い声が包んだ。 …やっぱり何かを忘れてるような気がするが、きっとぼくの気のせいなのだろう。 こうして、この事件は笑い声と共に終わったのだった。 「だ、誰か助けて〜(泣)」 ……終わったんだと思う。 |
あとがきっぽいもの どうもこんにちは。大根メロンです。 しかしこの話、長すぎ。そして意味不明。 本文が長いので、あとがきはなるべく短くしましょう。 という訳で、次回予告(え?)。 次の話はこの話とは180度変わり、シリアス。 逃亡生活中のつぐみんがライプリヒ製薬のエージェントと激しいバトルを繰り広げます。 タイトルは『暗い時の狭間で(仮)』。 大根メロンにギャグ無しのSSなど書けるのか!? …どうなんでしょう。やってみなければ解かりません。 ではアディオス。 |
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