真・女神転生SEVENTEEN
                              作 大根メロン


最終話 ―ニュートラルエンディング―


八氏九頭山山頂、倉成本家。
「…はい、分かりました。それでは」
武の母――倉成都は微笑を浮かべたまま、電話を切る。
「誰からだ?」
その都に、武の父――倉成玄翁が訊いた。
「ふふ、田中さんからよ。武達が勝ったそうですわ」
「…そうか」
玄翁は都から視線を外す。
「まぁ、あれでも私達の息子だからな。当然といえば当然だろう」
その顔には、わずかに笑顔が浮かんでいた。



田中研究所付属病院。
その長い廊下を、4人の女性が歩いていた。

倉成つぐみ。
茜ヶ崎空。
田中優美清春香菜。
天峰咲夜。

4人は談笑しながら、1つの病室を目指している。
それは51号室。武の病室である。
久隠島での戦いの後、心身共にボロボロだった武達はこの病院に入院していた。
だがキュレイ種への転化が不完全な武だけ、入院期間が延びていたのである。
そして4人の目の前に、51号室が見えた。
4人の眼が、変わる。
談笑が消え、明らかに入院患者には悪い雰囲気が包む。
「――っ!!」
まず跳び出したのは、優春。51号室に向け一直線。
だが。
「潰れなさい!!」
つぐみの一撃により、顔面から床に叩き付けられた。
その隙に、空と咲夜が前に出る。
しかし。
「ぶっ!!?」
咲夜は優春に足を掴まれ、見事にズッコけた。
「ははっ!」
空が爆走する。
「くっ、行かせないわよ……!」
優春の白衣から大量の、メス、注射器、ハサミが飛び出し空へと襲いかかった。
「甘いですよ田中先生! まるで、塩と砂糖を間違えた小町さんの料理のように甘いです!!」
空はレーザーを放射状に展開し、光の盾を作り出す。
それにより、優春が放った無数の凶器を融解させた。
そして空が最初に51号室に飛び込む。そこには、布団を被り眠っている武の姿。
「さぁ倉成さん! 目覚めのキスを!!」
空の頭に咲夜の気弾がブチ込まれる。
「さぁ武さん! 目覚めのキスを!!」
優春の蹴りが咲夜を吹き飛ばす。
「さぁ倉成! 目覚めのキスを!!」
つぐみのボディブローが、優春の身体に打ち込まれる。
その時。
乱闘の衝撃で、布団がふっ飛んだ。
だがそこにいたのは、
「へ……?」
武ではなく、クワコギ・リョウケン――否、桑古木涼権。
静寂が病室を包む。
数秒後、
「ぐごっ!? な、何だ、お前等… ぎゃ、ぎゃあぁぁああああ!!!?」
桑古木の絶叫が、病院に響き渡った。



桑古木の絶叫が響く、十数分前。
「ヒマだ……」
武は病室で、暇を持て余していた。
「する事がない……」
武は一度、病院から抜け出し遊びに出ようとした事があるが、
「実験動物――いや、患者が勝手に逃げちゃダメじゃないか。ふふふふふふ…♪」
逝狩に捕まり、見事に失敗していた。
「う〜ん……」
次逃げ出したら、今度こそ殺されるかも知れない。
だがそれでも、武は脱出計画を立てずにはいられなかった。
その時、ドアをノックする音。
「たっけぴょ〜ん♪」
「おう武、生きてるか?」
ココと桑古木が、武のお見舞いに現れた。
「おお、何か久し振りだな」
「うん、たけぴょん久し振り〜♪」
「ほらこれ、見舞いの品だ」
桑古木はそう言い、メロンを取り出す。
そしてそれを台に置こうとしたが、
「がぶ」
その前に、ココが噛り付いた。
「…ココ、これが食べたいのか? よし、これはココのメロンだ」
「待てコラ」
一瞬で、メロンは武への見舞いの品からココへの貢ぎ物へと変化する。
「おいクワコギ! それは俺への見舞いの品だろ!!」
「うるせぇ! この世にココに勝るものがあるか!!」
「眠れ!」
「ぐべしッ!!?」
つぐみ直伝の技で、武は桑古木を気絶させた。
「ほへ? 少ちゃんどうしたの?」
「ああ、何か寝不足で寝ちまったみたいだ。生活習慣には気をつけないとな」
「ふ〜ん」
すでにメロンの85%を胃の中に収めたココが、桑古木を見る。
「……ん? これだ!!」
その時、武は閃いた。
(こいつを身代わりにすれば… 少しくらい時間稼ぎになるかも知れない)
武は桑古木をベットに乗せ、布団を被せる。
「うむ、我ながらパーフェクトだ」
無論パーフェクトからは程遠いのだが、この男はそう考えない。
「さて、ココ。俺は出かけるから、これ以上ここにいても仕方ないぞ」
「じゃあ、ココも行くよ」
メロンを完全に胃の中に収め、ココが武の後に付いて歩く。
「いっぱい聞けてぇ〜♪ いっぱい喋れるぅ〜♪」
怪しい歌を歌い、怪しい踊りを踊りながら。
「ココ… いや、何も言うまい……」
武達は人に見つからないように、病院から外に出る。
「おぉ、見たか! 俺は魔境から脱出したぞ!!」
「脱出したぞ〜♪」
「いざ行かん!!」
武が歩き出す。
その時。
「……ほへ?」
ココは一瞬、振り返り病院を見上げる。
1枚の羽根が、ひらひらと空を舞っていた。



田中研究所付属病院、屋上。
ひとりの男が、武とココを見下ろしていた。
その男は、『明けの明星』の異名を持つ者――魔王ルシファー。
「そんなにあいつ等が気になるか? 明けの明星」
その背後から、もう1人の男がルシファーに話しかける。
「何の用だね、泰山府君」
「そんなに邪険にするなよ。わざわざ泰山からこんなトコまで来たんだからな」
その男――泰山府君が笑う。
「…お前に1つ訊きたい事がある」
「何だ? まぁ、何となく予想はつくがな」
ルシファーは下を見下ろしたまま、
「倉成武はあの時、百々凪庵遠に心臓を貫かれ死ぬはずだった。それを何者かが因果律に干渉し、その死の運命を変えた」
泰山府君に語りかけた。
「……で?」
「倉成武の死の運命を変えたのは泰山府君、お前だな? 生死の理を司るお前になら、容易い事だろう」
「…さすがは魔界の大魔王、ルシファーサマだな。その通りだよ」
「お前は霧隠れ山でも彼等に力を貸している。そんなに彼等が気に入ったのか?」
「ああ、気に入ったね。将門公や崇徳院と同じくな。明けの明星、お前だってそうだろう?」
ルシファーはその言葉には答えず、星丘市を見下ろし続ける。
「ま、いいけどな。でもあいつ等を気に入ったのは、俺達だけじゃないみたいだぞ?」
「……何?」
「『這い寄る混沌』」
その時ルシファーの表情が、一瞬だけ変わった。
「アレは滅ぼされたと聞いたが?」
「人類全てに共通する心の海、『普遍的無意識』。そこに潜む、ネガティヴマインドを司る元型(アーキタイプ)――這い寄る混沌。アレは人そのものだ。人が滅びない限り、アレも滅びないさ」
「…だろうな」
ルシファーはそう言い、6枚の翼を広げる。
「お? もう行くのか?」
「不愉快な者が現れたのでね」
「おいおい… 今のは、ちょっとだけ傷付いたぞ」
「とにかく、私は行かせてもらう。私とお前では、歩む道が違うのだからな」
「お前は混沌の道、俺は調和の道ってか? でも法の道を歩む、唯一神やお前のいけ好かない双子の兄弟よりはマシだろ?」
ルシファーは無言のまま翼を羽ばたかせる。
そして、空の向こうへと消えた。
「…やれやれ、無視かよ」
空に向け、泰山府君が呟く。
「だが、明けの明星――混沌の王よ。法と混沌、ポジティヴマインドとネガティヴマインド、陽と陰、そして… 生と死。2つの相反するものが調和してこそ、この世界は世界として成立するんだ。何故、それを理解出来ない? いや… どうして、理解出来ていないフリをするんだ?」
そして泰山府君の姿も、そこから消えていった。



武はココと別れ、1人で商店街を歩いていた。
しばらくそうしていると、武の前に1つの集団が現れる。

倉成ホクト。
倉成沙羅。
田中優美清秋香菜。
川瀬亞留流。
フルート。

「ちょっとマヨ! ホクトから離れなさいよ!!」
「嫌でござる〜♪」
優秋と沙羅の間には、もはや人形のように力のないホクト。
「…逃げるか」
何やらトラブルの予感を感じた武は、そこから離れようとする。
だが。
「あ、お父さん!」
「くっ!!?」
あっさりと、ホクトに発見された。
「あ、パパ」
「倉成? まさか、また病院から抜け出したの?」
沙羅と優秋が武に言う。
「ああ、決死の覚悟でな」
「…な〜むぅ〜」
優秋が武に向かい、手と手のシワを合わせた。
「うぅ……」
落ち込む武。
「大丈夫なのですよ、ホクトさんのお父さん。アルルはこうして生きているのです。逝狩さんなんか怖くないのですよ」
「そうか… そうだよな!」
武、すぐさま復活。
「…今の発言、逝狩さんの耳に入ったらまずいよ?」
ホクトが言う。
「あぅ……」
落ち込む亞留流。
それを慰める沙羅を見ながら、武は一行から少し離れた所の人物に話しかけた。
「ふっふっふっ……」
不気味に笑う武。
「……何?」
フルートは不快そうな表情で、それを視た。
「ふはははっ、青髪! 聞いて驚け!!」
「…そんな『青ひげ』みたいな呼び方、しないでくれる? ナンセンスね」
武はその言葉を無視する。
「俺は庵遠と闘っても死ななかったぞ! どうだ、驚いたか!!」
「そう、よかったじゃない」
フルートは驚いた様子もなく武の横を通り抜け、ホクトの所へと向かう。
「お、おい……」
「拾った命、せいぜい大事にする事ね」
武は何も言い返せず、手を振るホクト達を見送っていた。



「…そろそろ昼か」
武は一度家に帰ったが、そこに誰もいなかった。
「仕方ない。1人で作るのも面倒だし、コンビニに頼るか」
武は最寄りのコンビニ、『セヴン−セヴンティーン』に入る。
そこでお弁当を見ていると、
「……あ」
あるモノが、目に入った。
それは中華まん。だが、ただの中華まんではない。
その名も、『マグロまん』。
その名の通り、中にマグロが入っている中華まんである。
武はこの中華まんの存在を知ってはいたが、口に運んだ事はなかった。
「……よし!」
武は決意し、マグロまんを購入する。
その数は4個。店にあった、全てのマグロまんである。
「ありがとうございました〜」
武は背中で店員の声を聞きながら、店の外へと出た。
「……?」
1人の少女が武と擦れ違い、コンビニの中へと入って行く。
何故か、武はその少女の事が気になった。
外見からすると、年齢はおそらく15歳くらい。とにかく、何かが普通ではなかった。
「……は!? いやいや、俺は桑古木とは違うぞ」
武は自分にそう言い聞かせ、その場を離れようとする。
だがその時。
「な、何でマグロまんがないんですかぁああ〜!!?」
絶叫が、コンビニから響いた。
「な、何だ一体……?」
そして、さっきの少女がコンビニから出て来る。
「マグロまん〜、マグロまん〜……」
と、言いながら。
武は自分の持っているマグロまんを見ると、
「…まぁ、いいか」
と呟き、少女に近付いた。
「おい」
「ほへ〜?」
「これ、やるよ」
武は、少女に2つのマグロまんを差し出す。
「え? これは〜……?」
「俺が買ったせいで、君が買えなくなったみたいだからな。ほら」
「あ、ありがとうございます〜!!」
少女が飛び跳ねながら喜ぶ。
「じゃあ、お金を〜……」
「あぁ、いいっていいって。タダだ、タダ」
「え、でも〜……」
「ほら、冷めない内に食べろよ」
少女は頬を紅く染め、武を見る。
そして一口、マグロまんを食べた。
「それじゃあな」
武が行こうとする。
「あ、待ってください〜!」
だが少女が、それを呼び止めた。
「ん、何だ?」
「お名前は、何ていうんですか〜?」
「名前? 俺の名前か? 俺は――」
少女が期待のこもった眼で武を見る。
「――倉成武、だ」

ブッ!!

少女は勢いよく、マグロまんを吹き出した。
「おわっ!? ど、どうしたんだ!!?」
「い、いえ、何でも〜… 倉成武さんですか。いい名前ですね〜……」
少し慌てた様子で、少女が言う。
「そうか、そう言われると照れるな。じゃあ、君の名前は何ていうんだ?」
「わ、私の名前ですか〜!?」
少女はさらにあたふたしながら、
「な、名乗るほどの名じゃありません〜! では武さん、またどこかで会いましょうね〜!!」
そう言い、走り去って行った。
「……?」
とりあえず、武はマグロまんを口に入れる。
マグロの味が、口内に広がった。



星丘市の片隅にある、幽霊が出るとウワサの廃工場。
そこに、3人の人間がいた。

カリヤ・霧神・アーヴィング。
アルバート・ビッグズ。
百々凪庵遠。

彼等の目の前には、運命を決める54枚のトランプがテーブルに広げられている。
そして3人が、同時に口を開いた。
「『ピロピロピンポンドーン』だ!」
「…『神経衰弱』だろう」
「『スーパーめくりんちょ』だよ」
一触即発の雰囲気。
「話し合いは無理みたいだな……」
「…仕方ないな」
「残念な事だね……」
カリヤが飛炎を握り締めた、その時。
「いぃっ!!?」
カリヤの頭にアルバートの銃口が押し付けられ、首には庵遠の悪魔の爪が当てられた。
「1つ訊いていいか…?」
ゆっくりと、カリヤが口を開く。
「…何だ?」
「何かな?」
「どうして、俺っちだけが狙われたんだ?」
「ふふ、そんな事かい」
庵遠が笑う。
「弱い者から狙うのは、当然の事だよ」
「ふざけるなぁ!!」
カリヤが叫ぶ。
だがそこに、
「…弱いだろう。立場は」
アルバートの、トドメの一言が飛んだ。
「お、俺っちって一体……」
床に倒れ込むカリヤ。
「さて、続きを始めようか」
「…そうだな」
庵遠とアルバートが向き合う。
「このゲームはスーパーめくりんちょなんだよ」
「…違う。このゲームは神経衰弱だ」
「いい度胸だね、アルバート……」
「…それはこちらの台詞だ、庵遠」
再び、一触即発。
しかも、
「これは… ピロピロピンポンドーンだ……」
カリヤも床に倒れたまま、自身の意見を主張する。
そろそろ死人が出るかと思われたが、
「じゃあ、『神経ピロりんちょ』にすればいいじゃないですか〜」
突然現れた文華が、そう言い放った。
「って言うか、さりげなく俺っちを踏むな!!」
「何やってるんですか、カリヤさん〜? 床を這い廻って〜」
「おい、ちょっと待て!? 這い廻ってはいないぞ!!!」
文華はその言葉を無視し、その手に持ったマグロまんを食べる。
「はぁ〜、切ないですね〜……」
そして、マグロまんを全て口に入れた。
「ところで、庵遠さん〜 お昼ごはんはまだですか〜?」
「え? ああ、作ってあるよ。俺達は食べたけど」
庵遠が席を立ち、料理を持ってくる。
「では、いただきます〜」
文華は凄まじいスピードで、料理を食べ始めた。
「やっぱり庵遠さんの料理はおいしいですね〜。庵遠さんがロンドンに行ってた間は、ホントに酷かったんですよ〜!」
「…一日三食、カリヤの料理。厳しかったな」
「それでも文華の料理よりは、俺っちの料理の方がいくらかよかったけどな……」
アルバートとカリヤが、遠い眼で語る。
「ごちそうさまでした〜」
文華は料理を食べ尽くし、
「それはそうと庵遠さん、どうするんですか〜? CONPがないと仲魔は喚べないんでしょう〜?」
庵遠に尋ねた。
「ああ、それなら心配ないよ。悪魔召喚プログラムはPCに残ってるし、CONPもそろそろ新しい物に替えようと思っていたからね。まぁ、仲魔は集め直さなきゃならないけど。それより文華、春香菜はどうするんだい? 彼等… 意外と手強いよ」
「心配しなくても、春香菜さんは何時か必ず殺しますよ〜」
文華が笑いながら言う。
「そうだな… 春香菜の姐御は裏切り者だ」
「…生かしておく事は出来ないな」
「ふふ……」
3人も、文華に同意する。
そして、
「春香菜さん、覚悟しておいてください……」
文華が、冷たい声でそう呟いた。



「かつて人は、自然の力に支配されていました」
咲夜が、ゆっくりと武に語りかける。
星丘公園へとやってきた武は、そこで咲夜とつぐみにばったりと出くわしていた。
どうやら、病院から消えた武を二手に別れて捜していたらしい。
「自然が災害をもたらせば人など呆気なく消え、逆に恵みをもたらせば、それは人の繁栄を生んだんです」
つぐみも、静かにそれを聞いている。
「人はその自然の力を、自分達の力の及ばない高位の存在なんだ、と考えるようになりました。ある意味、妄想ですけど… その妄想を笑うのは、現代人の傲慢ですよ」
武がPDAを取り出し、操作した。
「そして人がそれに姿を与え、名を与えた時… それは悪魔と成りました。妄想が現実化したんですね」
悪魔召喚プログラムが起動する。

『SUMMON:CERBERUS』

そして、ケルベロスが召喚された。
「じゃあこいつ等はやっぱり、俺達の力の及ばない高位の存在なんだよな」
「…本来、人が持つべき力ではないのね」
武の言葉につぐみが答える。
「だとしたら尚更、俺みたいな奴が持ってて良い力じゃない」
武はそう言い、ケルベロスを見た。
「…いままでありがとう、ケルベロス。本当に助かったよ」
「主……」
「魔界で再生したサリエルとヴァルキリーに会ったら謝っておいてくれ。お前等を護れなくて悪かった、ってな」
「それは主が謝る事では… いや、いい。どうせ、何を言っても無駄なのだろう?」
「よく分かってるじゃないか」
「仲魔だからな」
武はPDAを操作する。
そして、悪魔召喚プログラムを削除した。
「さよなら、ケルベロス。俺のパートナーデヴィル」
「さらばだ、我が主。この我が認めた、強き霊止(ヒト)よ」
ケルベロスは光の渦へと変わり、天へと昇って行く。
武はそれを見ながら、PDAをポケットに入れた。
「…やっぱり、少し寂しい?」
つぐみが武に尋ねる。
武は正直に、
「……まあな」
と答えた。
「大丈夫ですよ。私達が永き時を生きれば、また会う事もあるでしょう」
咲夜が優しい声で、武に言う。
「そうか……」
武はそれを聞き、笑顔を見せた。
「と、いう訳で!」
突然、咲夜の声の調子が変わる。
「事件解決の御祝いに、『2人』で食事でもしませんか? 『2人』で」
そう言って、咲夜は武の腕を掴んだ。
「ちょっとあなた!? 武に何してるのよ!?」
つぐみが怒鳴りながら、武と咲夜を引き離す。
「何ですかいきなり!? あたしと武さんの仲を引き裂こうというのなら、容赦はしませんよ!!?」
「笑わせないで! あなたと武が、一体どんな仲だっていうのよ!!?」
「一緒に死線を越えた仲です!! あたし達は深い絆で結ばれてるんですよ!!!」
「あなた、命を捨てる覚悟があるみたいね!!!」
「それはこっちの台詞です!!!」
乱闘まがいの事を始めるつぐみと咲夜。
武はそれを眺めながら、日常に戻って来た事を実感していた。
ただ、その日常は以前より少しだけ… 騒がしく、温かい。
その時ポケットの中のPDAに、1つのメッセージが表示された。


『このプログラムを正しく使ってくれた者に、私から感謝の言葉を。ありがとう、倉成武君』


真・女神転生SEVENTEEN――END




あとがきと呼ばれるもの・ファイナル
真・女神転生SEVENTEEN、完結。
ここまで長かったです。
しかもなんと、16話+最終話の計17話で終わりました。さすが私!!(ただの運)
ここまで読んでくれた皆さん、どうもありがとうございました。
次は何を書こうかなぁ。
まだとくに決まってないので、嘘予告でも。



17年に1度、星丘高校の地下闘技場で行われるバトルトーナメント。
賞金1億ペソを賭け、4つのチームが激突する。


――田中研究所――

田中優美清春香菜
桑古木涼権
天峰咲夜
倉成月海(通称『キュレイの申し子』)


――諜報班四天王――

斎角寺妖眼(通称『傀儡師のアヤメ』)
崎森界陽(通称『岩砕のカイヨウ』)
美榊迅徒(通称『瞬斬のハヤト』)
川瀬亞留流(通称『霞のアルル』)


――第187番部隊――

柊文華(通称『プリンセス・ザ・アン=デッド』)
カリヤ・霧神・アーヴィング
アルバート・ビッグズ
百々凪庵遠


――信濃霧神流宗家――

マリア・霧神・アーヴィング
霧神匠哉
霧神光志
羽鏡(通称『不滅の幻影』)


激しい戦い。そして、渦巻く陰謀。
つぐみは田中研究所を勝利へと導き、生活費を手に入れる事が出来るのか――?

『格闘王への道(仮)』近日公開予定!



……何度も言いますが、嘘予告です(汗)


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