行方不明のいおおんを捜せ!
                              大根メロン




星丘市の片隅にある、幽霊が出るとウワサの廃工場。
最近では幽霊だけではなく、ロリ娘やヘタレやサイボーグもどきや白男も出るらしい。
そんな奇々怪々廃工場で、1つの事件が起こっていた。

『旅行に行ってきます。捜さないでください。 by いおおん』

「…………」
文華ロリ娘カリヤヘタレアルバートサイボーグもどきは、テーブルの上に置かれたそのメモを見ながら、唖然としていた。
数分前までこの場いたはずの庵遠白男が、このメモを残し忽然と姿を消したのである。
「…また、庵遠さんの悪い病気が発症しましたね〜」
文華が、どこか上の空で言う。
元々、庵遠は単独行動が好きだ。以前にも、庵遠は勝手にロンドンに旅行へ出かけた事がある。そして、イングランド国教会エクソシストチームとSASを相手に闘い、見事全滅させた。
さらには勝手に優春達に挑み、その結果、星丘市に核ミサイルが落ちそうになった事もある。星丘市に潜伏している文華達からすれば、なかなか笑い事ではない。
つまり庵遠は、単独行動を行うと必ず何か問題を起こすのである。
「まったく、私達は国際手配されてるんですよ〜! 庵遠さんには、その自覚が足りません〜!!」
「堂々とコンビニで中華まんを買ってるお前もどうかと思うけどな」
文華の田中優美清春香菜直伝殺人キックが、カリヤの身体にめり込む。
「…それで、どうする?」
アルバートが、文華に言う。
「まずは、庵遠さんが何を持って行ったかを調べましょう〜!」
3人が、それぞれの方向に散る。
そして。
「せ、生活費が持ち去られてます〜!!!」
「ギャー!!? お、俺っちのヘソクリが消えてる!!!」
「…食料も、いくつか無くなってるな」
状況は、かなりマズい事になっていた。



「やっぱり、たまの休みくらいゆっくりしなくちゃね〜」
優春はせんべいをかじりながら、自宅でテレビのワイドショーを見ていた。
すると。

プルルルルルル……

PDAから着信音。平穏な休日を切り裂く、地獄からの旋律。
「……げ」
仕事がらみだと思った優春は、それを無視する。
だが、いつまで経っても音は消えない。
「…はぁ〜……」
優春は溜息をつくと、覚悟を決めその電話に出た。

『あ、春香菜さんですか〜?』

「――ッ!!!?」
優春は、食べていたせんべいを全て噴き出した。
それはもう、モザイク処理が必要なほどの勢いで。
「…ふ、文華ぁあ!!?」
『えぇ、文華ですよ〜』
「あああ、あんた、どうして――」
『とにかく、話を聞いてください〜』
「……話?」
『庵遠さんが、また行方不明になっちゃったんですよ〜』
優春は、思わず頭を抱え込む。
『それで、捜すのを手伝って欲しいんです〜。家事担当の庵遠さんがいないと、マトモなごはんが食べられませんし、お金も持ってかれちゃってるんですよ〜。このままじゃ、私達は飢え死にしちゃいます〜』
「じゃあ、そのまま全滅しなさい」
優春、絶対零度の一言。
『…そんな事を言わないでくださいよ〜。春香菜さんも、あの何をするか分からない庵遠さんを放って置く訳にはいかないでしょう〜?』
確かに、文華の言う事には一理あった。
「…それで、私に何をしろっていうのよ?」
『庵遠さんは今、星丘市にいるはずです〜』
「星丘市に? 何で?」
『……と、とにかくいるんです〜。非常線を張って閉じ込めた後、捜索してください〜。それじゃ〜』
「あっ!? ちょ、ちょっと待ちなさ――」

ツー、ツー、ツー……

「…………」
通話が、切れる。
「…何か、仕事より面倒そうね……」
そのままそのPDAで、優春は何人かに電話をかけた。



「――と、いう訳で、庵遠の捜索をするわよ」
優春は、集まった武・つぐみ・空にそう言った。
「…しかし、空はともかく、何で俺達が? お前のとこの人員を動かせばいいだろ。桑古木とか、逝狩サンとか、咲夜とか」
武が、当然の疑問を口にする。
「桑古木なんて、戦力になんないでしょ」
哀れ、桑古木。
「…じゃあ、逝狩サンは?」
「逝狩は、ああ見えて結構忙しいのよ。病院の最高責任者だからね」
「咲夜は?」
「ダメ。咲夜が関わったら、このSSはギャグじゃなくなるから」
「…ミもフタもないですね、田中先生」
空が口を挟む。
「とにかく、庵遠を見つけたら即捕獲。庵遠の捜索をしてる187メンバーも、チャンスがあったら捕まえるわよ。じゃあ、捜索開始!!」



つぐみは、街の中を疾走していた。
「まったく、何で私が……」
つぐみの庵遠捜索方法は、『庵遠の気配を探る』だ。だが、未だそれらしい気配は見つかっていない。
もっとも、庵遠は第187番部隊の中で最も器用だ。気配を消す事くらい簡単なのかも知れないが。
(……ん?)
その時、つぐみは異質な気配を感じた。
その気配は、曲がり角の向こうから感じる。
つぐみは曲がり角を曲がると同時に、
「久し振りね」
気配の主の顔面に、拳をブチ込む。
「――ぐふぁ!!?」
その行動に理由はなかったが、強いていえば以前に刀でブスブス刺された恨みだろうか。
「い、いきなり何だよ!!?」
カリヤは地面で七転八倒しながら、つぐみに向かって叫んだ。



「…まったく、今日は災難だ。庵遠は行方不明になるわ、いきなり殴られるわ……」
「それで、庵遠の行方は掴めたの?」
「いーや、サッパリ」
「役に立たないわね」
「うるさい。まったく、どいつもこいつも……」
カリヤと合流したつぐみは捜索を続行していたが、未だ庵遠を見つける事は出来ないでいた。
「ヘソクリ、ヘソクリ、ヘソクリ……」
カリヤは、まるで呪詛のようにそう言い続けている。
本気で呪われそうだった。
「…さっきから、一体何なの?」
「……庵遠の奴、俺のヘソクリを持ち逃げしたんだ」
瞬間。
カリヤから、空間が震えるほどの闘気が立ち昇る。
つぐみが退くほどのプレッシャーだった。
「俺っちが深夜にバイトして、一生懸命貯めた金を! 俺っちの、老後の貯えをぉおお!!」
つぐみは『老後って… あなた、歳取らないでしょう』と思ったが、ツッコミはしないでおいた。
「庵遠の奴… 見つけたら、ズタズタに斬り裂いてやる! そして、ヘソクリも奪り還す!!」
その時。

「残念ながら、それは無理だよ」

「――!!!?」
近くの木の上に、庵遠の姿。
「庵遠ッ!!!」
カリヤが、跳ぶ。
その凄まじい跳躍力によって、一瞬で庵遠がいる高さまで辿り着く。
「死んで生まれ変われぇえ!!」
そして、輪廻之太刀が庵遠を斬り裂いた。
だが。
「――残像ッ!!!?」
庵遠の姿が、消える。
次の瞬間、庵遠はカリヤの背後に廻り込んでいた。
「な――!!!?」
「遅い」
庵遠の指が、カリヤに向けられる。
だが、
「敵は1人じゃないわよ!」
悪魔の爪が放たれる前に、つぐみが庵遠の身体に蹴りを打ち込む。
「……ッ!!」
そして、3人は同時に着地した。
「…庵遠、俺っちのヘソクリを返せ。今ならまだ半殺しで許してやる」
「ダメだよ。これは俺の旅行資金になるんだからね」
「…なら、斃して奪り還すしかないな」
「ふふ… 君とは子供の頃から何度も闘り合ったけど、君が勝った日は1度としてないだろう?」
「なら、今日がその日だ! 信濃霧神流秘伝 第五十一番… 『地獄巡礼』ィイ!!」
カリヤが、飛炎を振り下ろした。
爆音と共に、8つの衝撃波が庵遠に放たれる。
しかし。
「同じ技でも、羽鏡ちゃんのものと比べると… キレが悪いね」
「――!!!?」
悪魔の爪が、8つの衝撃波をカリヤの身体ごと貫いた。
「ぐぁ……!!?」
「邪魔よッ!」
「――ッ!!? ぎゃぁぁああ!!!?」
つぐみは目の前のカリヤを蹴り飛ばし、退かす。
そのまま庵遠との間合いを詰め、
「砕け散りなさいっ!」
一気に殴りかかる。
だが、
「甘いよ」
庵遠はそれを、爪を盾にし難なく防御した。
さらに、庵遠の爪から真空波が放たれる。
「く……!!?」
2人が防御に集中した、その一瞬。
「じゃあね♪」
庵遠は、その場から姿を消した。



「ヘソクリィィイイイ……」
カリヤが、泣きながら庵遠が去って行った方向に手を伸ばす。
つぐみは一瞬、武が海にダイヴした時の自分もこんな感じだったのだろうか、と考えた。
「…ねぇ、どうして庵遠は私達の前に姿を現したのかしら?」
一瞬とはいえ、カリヤを自分と重ね合わせた事に吐き気がするほどの嫌悪を感じながら、つぐみは疑問を口にする。
「…どうせ、俺っち達をからかってるんだろ。あいつは昔からそういう奴だった」
「あなたと庵遠って、昔から知り合いだったの? さっきもそんな事を言ってたけど……」
「ああ。人間の血を引いてるとはいえ、あいつは一応化生だからな。当然、退魔である霧神とは仲が悪い」
「なるほど、だから子供の頃から闘り合ってたのね。そして、あなたは連敗」
「言うな。……それで、俺っちが霧神を破門されて文華に拾われた時、文華が強い奴を探してる、って言うから――」
「…文華に庵遠の事を教えたのね」
「そういう事だ。ま、最初は庵遠も文華なんか相手にしなかったけどな」
「――? じゃあ、どうして庵遠はあなた達の仲間に?」
カリヤの表情が、曇る。
「…文華が庵遠を半殺しにして、無理矢理仲間に」
「…………」
つぐみは、言葉が出なかった。



「倉成さん、こっちにそれらしき人はいませんでしたよ」
「こっちもサッパリだ」
武と空は、同時に溜息をついた。
「…ま、地道にやるしかないな」
「そうですね… 倉成さん、聞き込みでもしましょうか」
「聞き込みか。そうだな、それがいい」
2人は辺りを見廻し、1人の少女を見つけた。
武はその少女に近付き、
「なぁ、ちょっと聞きたい事があるんだが――」
声をかけた。
「ほへ〜? ――って、武さん〜?」
「……ん? あぁ! お前、この間の……」
「おぉ〜! 覚えててくれたんですか〜♪」
その少女は、武が以前にマグロまんの1件で知り合った少女だった。
空が、武と少女に近付いて来る。
「倉成さん、お知り合いですか?」
「ああ、まぁな」
「…………」
空が、少女の顔を凝視する。
「な、何ですか〜?」
「いえ、何処かで見た事のある御顔な気がして……」
「き、気のせいですよ〜!」
「…………」
空はしばらく少女の顔を見つけた後、
「あぁッ!!!」
何かに気付いたように、叫び声を上げた。
「お、思い出しました! 研究所の資料で見たんです! 倉成さん、この人は、ひいら――」
「てぃ〜♪」
「――はぅッ!!!?」
少女の完璧なチョップが、空の首筋に炸裂した。
空が、音もなく倒れる。
「お、おい!? 何をしたんだ!!?」
「蚊がいたので、叩いてあげただけですよ〜」
「…じゃあ、どうして空は気絶したんだ?」
「さぁ〜? 寝不足じゃないですかね〜」
武は以前に自分が桑古木を気絶させた時、同じく寝不足のせいにした事を思い出した。
「…とにかく、空を病院に――」
「た、武さん〜!!? 『病院』って、その人を殺すつもりですか〜っ!!!?」
「何故そうなるッ!!?」
「だって、病院には逝狩さんが〜!!!」
「――うっ!? た、確かに……!!!」
それでいいのか、田中研究所付属病院。
「…まぁ、いいや。それより、人を捜してるんだが――」
空は、とりあえず放置された。
「人を〜?」
「あぁ、頭の先から足の先まで真っ白な奴だ。見なかったか?」
「――!!? い、いえ、見てませんよ〜。ダッフルコートの半人半妖なんて、全然知りません〜」
「そうか……」
落胆する武。
何故か、少女は微妙に焦っていた。
「庵遠、早く見つけないとな……」
「そ、そうですね〜。早く庵遠さんを見つけて、生活費を奪り還さないと〜」
「…………」
「……?」
「…………」
「……ハッ!!?」
少女は、ようやく自分の失言に気付いた。
「…『早く庵遠さんを見つけて、生活費を奪り還さないと〜』って、確かに言ったな?」
「うぅ〜……」
「お前が… 柊文華だったのか」
「…………」
2人の間に、緊迫した空気が流れる。
「…ふっ、バレちゃあ仕方ありません〜。そう、この私が柊文華です〜……」
「遊園地では世話になったな」
険しい顔で、文華を見る武。
「…まぁ、その前に庵遠さんを捜しませんか〜? 武さんも、春香菜さんに頼まれて庵遠さんを捜していたんでしょう〜?」
「…………」
「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ〜。私は武さんに危害を加えるつもりはありませんから〜」
文華が歩き出す。
仕方なく、その後に続く武。
「…俺に危害を加えるつもりはない、って言ったな?」
「ええ〜」
「だが、優に危害を加えるつもりは… あるんだろ?」
「…ええ〜」
「なら、俺に危害を加えるつもりがあろうがなかろうが関係ない。……お前は俺の敵だ」
「…………」
文華が振り返り、その闇の底のような瞳で武を見る。
そして、言った。
「ギャグSSでそんな事を言われても、どうしたらいいか困るんですが〜……」
「…さっきまでのシリアスムードが台無しだぞ」
そんなコントまがいの事をしていると、

プルルルルルル……

武のPDAが鳴った。
「…はい、もしもし――」
『倉成っ!!?』
「――優!? ど、どうしたんだ!?」
『庵遠を見つけたの! 早く公園まで来て!!』



「――さて、春香菜。どうする?」
「く……っ!?」
優春は、庵遠に追い詰められていた。
庵遠は不敵な笑みを浮かべると、右手の爪を優春に向けながら、左手に持ったマグロまんを食べる。
「もぐもぐ。神サマに祈る時間をあげようか?」
「…必要ないわ。祈りたい神サマがいないのよ」
「そうかい… なら、終わりだ。もぐもぐ」
緊迫感ゼロだった。
「…あぁ、もう! マグロまんを食べるか私を殺すか、どっちかにしなさいよ!!」
「じゃ、殺すよ」
「――えぇ!!? ちょ、ちょっと待って、タイムタイム!!!!」
「さよなら♪」
庵遠が悪魔の爪を優春に向かって放とうとした、その時。
「信濃霧神流禁法 第三十四番… 『六地蔵首落とし』ッ!!!」
闘いの場に跳び込んで来たカリヤが、庵遠に必殺の斬撃を叩き込む。
「――ッ!!!?」
庵遠は爪を盾にしたが、その空間すら斬り裂く一撃は爪を砕き、剣圧で庵遠を吹き飛ばした。
「ぐぁ……!?」
そのまま、庵遠の身体は公園の石碑に衝突する。石碑が粉々に砕けるほどの衝撃だった。
「優、無事!?」
「つぐみ… 助かったわ」
優春から連絡を受けたつぐみとカリヤが、公園に到着したのだ。
「どうだ!」
カリヤが庵遠に飛炎を向け、叫ぶ。
「…信濃霧神流の禁法か。噂には聞いていたけど、実在したとはね… ちょっと効いたよ」
庵遠が、石碑の破片の中から立ち上がった。
「…どうして皆、俺の自由への逃避行を邪魔するんだい?」
庵遠は額から流れ出した血を、袖で拭き取る。
「これ以上、邪魔をするのなら… 俺も本気を出すよ」
つぐみと優春は、『こんな茶番で本気を出されても……』と思ったが、その言葉は心の金庫に封印した。
「ふふ……」
砕かれた悪魔の爪が、再生する。
さらに、
「悪魔の爪… 『焔凰えんおう』」
爪が紅蓮の炎に包まれ、周囲に凄まじい熱波が降り注ぐ。
血液が突沸するかと思うほどの… 圧倒的な灼熱。
「な――っ!!?」
「…さぁ、いくよ」
そして、庵遠は一同にその爪を向けた。
しかし。
「庵遠!」
「庵遠さん〜!」
武と文華が、その場に現れる。
「はっ!」
突然、武は文華の首を掴み、ハンマー投げの選手のようにグルグルと廻り始めた。
「とりゃああぁぁあああッ!!!」
そのまま渾身の力を込め、文華を庵遠に向けて投げる。
ハンマー投げのハンマーのように、空中を飛んで行く文華。
その姿… 天翔ける龍の如し。
「とぉ〜!」
そして。
「必殺〜! 『文華ちゃんスペシャルボンバ〜』ッツ!!!!」
文華が謎の技名を叫んだのとほぼ同時に、

ゴチンッ☆

文華の頭と庵遠の頭が、いい音を出して激突した。
「よしッ!」
武がガッツポーズをする。
優春・つぐみ・カリヤの3人が展開について来れなくなっているが、武はまったく気にしていない。
「いたたたた〜……」
涙目の文華が、頭を押さえながら立ち上がる。
隣の庵遠は、カンペキに気絶していた。
「…何なの、今の技……」
つぐみが呟く。
優春が、それに答える。
「『文華ちゃんスペシャルボンバ〜』――数々の戦場で恐れられた、文華の必殺技よ。文華以外にもう1人必要という弱点があるけど、それを差し引いても問答無用で最強。その威力は、もはや戦略兵器レヴェルよ」
「優… 本気で言ってるの?」
「冗談に決まってるじゃない」
「…………」
つぐみは優春との会話を放棄し、文華を見た。
「ふぅ〜、ようやく捕まえましたよ〜……」
文華はどこからか、ベトナム戦争で死体運搬用に使われていた袋を取り出すと、その中に庵遠を入れる。
その庵遠の姿は、まるで袋に入れられるゴミのようだった。
「じゃあ、そういう事で〜。皆さん、協力ありがとうございました〜」
そして、その庵遠袋を引き摺りながら、文華はその場を去ろうとした。
「――って、待て!」
武が文華を追いかけようとする。
さっきは妙な合体技をする事になったが、基本的に武と文華は敵同士なのだ。
だが。

ダダダダダダダッ!!!!(文華逃走音)

「……速ッ!!!?」
速かった。文華の足は速かった。
それはもう、庵遠袋が地面との摩擦で発火するほどに。
呆然とする武を見ながら優春は、
「遊園地の時、言ったでしょう? あいつは逃げ足が速いって」
「…言葉通りの意味かよ」
武が、疲れ果てた声で呟く。
「…カリヤも、いつの間にかいなくなってるわね……」
つぐみが、辺りを見廻しながら言う。
「…結局、俺達は何のために庵遠を捜してたんだ?」
武の疑問。
「さぁ……?」
その答えを示せる者は、誰もいなかった。



数時間後。
「さぁ庵遠… 俺っちのヘソクリを返してもらおうか」
「あれは全部使ったから、もう残ってないよ」
「――な、何ぃぃいいい!!!?」
廃工場から絶叫が響くのを、付近住民が聞いたらしい。
「…読めたオチだな」
「へタレですからね〜」



あとがきとは関係ないもの
ハロー、大根メロンです。
さて今回は、いつかやろうと思っていた187のギャグものです。
彼等はシリアスキャラのはずですが… まったく違和感がないのは何故(笑)
メガセヴの第十一話と読み比べると、色々と面白いかも知れません。……一族の皆さん、浮かばれませんねぇ。
さて、次回予告。


あるユダヤ人富豪、『クリストファー・ロスチャイルド』から田中研究所に持ち込まれた、1つの依頼。
それは、失われたはずのオリジナル・バイブル――『旧約聖書原本』を、イスラエルまで輸送する事だった。
しかし、ヴァチカンが原本の奪取を狙っており、すでに1人の男が動いているという。
その名は、『パトリック・オブライエン』。元IRAの爆弾テロリストにして、教皇直属の異端審問官。

輸送の期限は、7日――98時間以内。
敵は、ヴァチカンの中でも最悪の男。
優春は、無事依頼を達成する事が出来るのか――……?
『シナイの頂(仮)』近日公開予定!


…もう誰もが分かっていると思いますが、ウソです。
ではまた。


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